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Posted by ブクログ
ナポレオン三世の既存のイメージを改める。
ナポレオン三世は、ナポレオンの弟ルイの三男。すなわち、ナポレオンの甥。プロローグの出だしは、「ルパン三世」のフレーズを模して、「ナポレオンには甥がいた。その名もナポレオン三世!」 なぜ彼に憑りつかれてしまったのか、そこから話は始まってゆく。
ナポレオン三世はバカで間抜けだった、それが世間のイメージ。しかしそうではない。彼は、オスマンと組んでパリを大改造したし、フランスの産業資本主義を大きく前進させた。彼がいなければ、いまのフランスもパリもなかったかもしれない。それなのに戯画化して語られるのはどういうわけか。どうやらそのイメージを作った犯人はマルクスとユゴーらしい。
鹿島から見ると、ナポレオン三世は、「摩訶不思議で」「スフィンクスのような」「端倪すべからざる怪帝」。その彼の実像を605ページを使って描き切った、読み応えのある評伝。
Posted by ブクログ
ヴィクトル・ユゴーやカール・マルクスと、同時代の人物に酷評されたせいで、ナポレオン三世の評価は低かった。しかし、著者は当時の左派の評価に疑問を呈する。本書は従来の評価を改め、ナポレオン三世の功績に目を向けた評伝本。普仏戦争の末路に注目すると、確かにナポレオン三世の外交政策は散々な結果であったが、一方で内政、とりわけパリ改造は今日のフランスでも活かされている。本書によると、ナポレオン三世、また第二帝政期に関与した者は、サン=シモン主義の影響があり、その思想がフランスの産業化を加速させたと著者は指摘する。セーヌ県知事のオスマンは第二帝政期に活躍し、部下の能力を見抜く力があったが、彼の政策は、ナポレオン三世の意見を聞きながら実施したという。このように、19世紀のフランスの発展は、ナポレオン三世の力なしでは成し遂げられなかっただろう。
Posted by ブクログ
▼今年の読書の大テーマである、「フランス/パリを軸にして、ルイ14世から第2次大戦までを読んでいく」の一環です。ちなみに発端はロバート・キャパの評伝「キャパ」(ウィーラン作)があまりにオモシロかったからなのと、「第一次世界大戦っていうのが、どうもまだ皮膚感覚でよくわからん」なんですが。
ここまで「キャパ評伝三部作」を除けば以下の道のり。
■集英社「まんが世界の歴史13・第一次世界大戦とロシア革命」
■「太陽王ルイ14世」鹿島茂
■「賭博者」ドストエフスキー ※これも20世紀初頭のフランスの感じってにじむなあ
■「異邦人」カミュ ※アルジェリアが仏植民地であるということが20世紀前半のフランス感だなー、と。
■「ナポレオン、フーシェ、タレーラン」鹿島茂
■「イギリスの歴史が2時間でわかる本」 ※比較してこの時期のイギリスっていうのがもやもやして気になってしまったので。
■「二都物語」ディケンズ ※このテーマを持っている今こそ読むべきだな、と。二都ってパリとロンドンですから。
■「贖罪」マキューアン ※第2次大戦前後。イギリス人兵隊がフランスの戦場で、もだえ苦しむ。
■「怪帝 ナポレオン三世」鹿島茂
という歩み。
今後も、(まあちょっとどこかで挫折するかもですが)
■「感情教育」※再読だが ■「葬送」平野啓一郎 ■第一次世界大戦の本2冊くらい? ■「西部戦線異状なし」 ■「第三帝国の興亡」 ■ルパンシリーズの未読のものを2~3冊 ■バルザックの未読のものをひとつくらい ■「移動祝祭日」 ■「武器よさらば」 ■「フランス組曲」
などを(できれば)読み進めて、「パリは燃えているか?」で閉幕したいと思っています。2024年いっぱいくらいは楽しめるかな、と。
▼閑話休題それはさておき。この本ですが、文庫本608ページという読み応え、各種脱線ありまくりの「ナポレオン三世とその時代」です。同じ鹿島さんの「ナポレオン、フーシェ、タレーラン」から続いて読むというのは正しかった気がします。
▼つまりは、「ナポレオン三世であるという妄執はあるんだけど、理想としては共和制と民主主義とナポレオン帝国の融合であったという不思議な人物」なんですね。そして、「今日のパリ、パリらしさ、みたいなものはナポレオン三世が作った」という事実。
▼それらが興味深いのは、結局、19世紀(日本で言えばまさに幕末前夜~明治維新なんですが)のこの時代に、ナポレオン三世は簡単に言っちゃえばロンドン育ちなんですね。で、ロンドンは当時の産業力学としては先端だった。しかもイングランドは以前から上手いこと、王政→ブルジョワジーによる民主的な政治 にソフトランディングできている。で結局、ナポレオン、といういかにもフランス革命そのものを代表する精神の塊のような固有名詞を持った「三世」は、ロンドンから吸収した美学をパリにぶち込んだんですよね。それでいて「ナポレオン」そのものは現代的に言うと「イタリア人」だったりするから、ヨーロッパって面白いなあ…。
Posted by ブクログ
まあなんという振り幅の激しい人であったことか!
あるときは慎重過ぎ、あるときは大胆過ぎ。
どちらの場合も、成功と失敗があった。
社会保障の先駆けやインフラの整備、パリの大改造等の
功績は」素晴らしいけれど、同等にとんでもない事も多し。
最後は捕虜になり、英国で余生を過ごす・・・あぁ怪帝!
産業革命、旧新入り混じった政治情勢・・・加速する歴史に
振り回されながらも、フランス最後の皇帝となった男の
生涯を詳細に綴っている。
女性関係もすごいもんだ!
画像と不随する説明が多く、長文でもわかりやすい。
なんといってもこの一冊で歴史とその当時の情勢がわかる。
鹿島先生の渾身の一冊ですね♪
Posted by ブクログ
その生い立ちから、傍目には「無茶?」と見える振る舞いで権力奪取を目指してみて失敗し、やがて大統領となり、クーデタで皇帝となり、敗戦で廃されてしまうまでのナポレオン三世の歩みが本書には網羅されている。彼と行動を共にした、または対立した男達や、彼の人生を彩った女達に関する言及も多く、それぞれ面白い。更にナポレオン三世の強い望みを受けて、彼が抜擢したオスマンが推進した“パリ改造”に関する話題も、「ナポレオン三世の事を扱った本だったよな?」と一瞬思う程に詳しく綴られ、非常に興味深い…
決して評価が高いでもない皇帝…しかし、「現代の基礎」を整えた側面もある、理想家肌な皇帝…非常に興味深い出会いということになった!!
Posted by ブクログ
『英国マザーグース物語』を再読したので
『やる夫が鉄血宰相になるようです』を再読し
『やる夫で学ぶ第一次世界大戦』を再読しつつこれも再読する
ナポレオン三世はあんまり好きになれないが
フランツ・ヨーゼフ1世はいいよね
ヴィルヘルム1世もいいよね
ビィクトリア女王もいいし
ヴィルムヘルム2世も人間味があるね
ナポレオン三世はフランス近代化に功績があったことは間違いないし
イタリア戦争も普仏戦争もナポレオン三世でなかったからと言って
結果が変わったかどうかはわからないから
もっと評価されていいのはわかるが
嫌われるのもわからないでもない
2013/2/22
ナポレオン三世=フランス第二帝政
とすれば否定する余地はあまりないが
「怪帝としての評伝」とフランス第二帝政の概観が
整理されておらず読みづらい
第二帝政について概説が不十分かつ主旨曖昧で
第二次産業革命に結局王政でも共和制でもなく帝政が
すなわちナポレオン三世がどれだけの役割を果たしたのか
結論づけれらておらず怪帝のまま
マルクスユーゴーへの批判もわかるけれど
プロイセンフランス戦争の敗北は
指導者ナポレオン三世の敗北と同時に
同時代フランスの敗北でもあり
そもそも相手にするほどのものでもないはず
近世から近代へのいつでも急激な変移において
国家指導者が理想主義であることがどれだけできるか
後世からの成功したから良い政治
失敗したから大悪人というのも
結果からの一面でしかない
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