あらすじ
新1万円札の肖像画に選ばれた、「日本資本主義の育ての親」渋沢栄一。幕末から明治、大正、昭和へと至る91年の激動の生涯を、博覧強記の才人・鹿島茂が描いた傑作評伝、ついに電子書籍化!
「どうしたら、永く儲けられるのか?」。欲望を肯定しつつ、一定の歯止めをかける。──出した答えは、「論語と算盤」だった。大蔵省を退官し、銀行、海運、鉄鋼、電力、ガス、大学、病院など500を超える事業に関わり、近代日本経済の礎をつくった渋沢。事業から引退した後半生では、格差社会、福祉問題、諸外国との軋轢など、現在にも通じる社会問題に真っ向から立ち向かった……。波瀾万丈の評伝、その下巻・論語篇。
「最初の企画から考えるとじつに十八年近くを経過している。年数だけからいえば『大菩薩峠』級である。この間、私はなんと百冊以上の本を出版したが、しかし、渋沢伝はライフワークのひとつとして位置づけ、なんとかこれだけは世に出したいと念じてきた」
(本文より)
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
上巻、下巻と読み進めるうちに、渋沢栄一という人物ににどんどん引き込まれた。
究極の平等、客観的感覚。それなのに、人間味溢れるバランス感。
日本が誇るべき偉大な人物なことが、著者のマニアックな程の描写で、面白く知ることができた。
Posted by ブクログ
上巻から続き、晩年の渋沢栄一の業績から、明治時代に出合った元勲たちに対する渋沢による評価や人間渋沢栄一に迫る一冊です。渋沢の女性関係から子供たちに接する様子などあらゆることが著されているので、本書を読めば渋沢栄一の大体のことは分かると思います。派手な業績を打ち立てた様子を著した上巻よりは、地味には感じましたが、良い評伝だと思います。
Posted by ブクログ
埼玉県の偉人、渋沢栄作氏の伝記です。下巻論語編は、渋沢氏の明治以降の業績、社会福祉事業、民間外交、そしてプライベートなことなどが書かれています。
さまざまな会社設立を通し、私欲を抑え公共の利益に努めた氏の姿は流石だなと思います。そんな一方で、91歳で亡くなるまでそんなバイタリティを持ち続けられたのは、やはり色事も好きだったようで笑
やはり、人生をうまく運ぶことには仕事もプライベートも充実をさせなければいけないと思った話でした。
Posted by ブクログ
日本資本主義の父と言われる渋沢栄一の伝記作品。筆者は18年間もの長い間、紆余曲折を経て本作品を完成。ライフワークと語るだけあって極太のドキュメンタリー作品に仕上がっている。本作品は、思想家であり行動家たる所以。資本主義の本質を如何にして見抜いたか。人生における選択の局面。モラルを商売の本質としたルーツ。そして卓越した経営者ではなくプランナーとして500社にも及ぶ会社をいかにして立ち上げてきたか?など、歴史上有名人との触れ合いも交えながら克明に解説を進めていく。ドラッガーをして明治の奇跡と言われた軌跡をとくとご覧あれ~。人生訓がタップリつまった指南書です。
Posted by ブクログ
NHK大河ドラマ「青天を衝け」の主人公・渋沢栄一伝の下巻「論語篇」。ドラマチックな部分はほぼ上巻「算盤篇」に収められていて、「論語篇」では財界の大物となった栄一の中年から晩年に掛けての様々な仕事、政治や民間外交との関わりがテーマごとに描かれ、最後には渋沢の私生活、特に渋沢の女性関係や渋沢家の人びとのことが描かれています。産業人にも論語の必要性を主張しその地位確立に尽力した栄一も、美しい女性には滅法弱かったという一面を見てホッとするのは男なら誰でも納得してくれるのではないか。92歳まで精力的に活躍した栄一の物語を読むと、まだまだ自分もこれから志を持って生きいきたいという活力が湧いてくる、か。
Posted by ブクログ
著者の主力武器であるフランス第二帝政下万国博覧会に
渋沢栄一のパリ留学がとびこんできたことを掴んで
その面から明治維新の一面を照らす評伝
渋沢栄一の明治における活躍はサンシモン主義の影響下にあるという論証と
評伝としての構成が
かなりながめの連載作品ということもあってとりちらかっており
著者いつもの決めつけを隠さない書きぶりとか
小説風だったりする挿話場面を挟んでみたりだとか
いろいろ適当で繰り返しも多いが
そこが歴史読み物として魅力でもあるし評伝として欠点でもある
タレーランやナポレオン三世を描いたように
この作品も渋沢栄一を中心とした日本経済近代化物語としたほうが
まだまとまったと思うけれど
それはそれで筆がとっちらかるさまが目に見える気がする
Posted by ブクログ
多様な視点で丹念に資料を読み込み、渋沢像を深堀りする探求心には頭が下がる。
無私で高徳なイメージの渋沢が、女性関係には自由であったという意外さは、ある意味お茶目な側面を見たようでほころんでしまった。