鹿島茂のレビュー一覧
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▼今年の読書の大テーマである、「フランス/パリを軸にして、ルイ14世から第2次大戦までを読んでいく」の一環です。ちなみに発端はロバート・キャパの評伝「キャパ」(ウィーラン作)があまりにオモシロかったからなのと、「第一次世界大戦っていうのが、どうもまだ皮膚感覚でよくわからん」なんですが。
ここまで「キャパ評伝三部作」を除けば以下の道のり。
■集英社「まんが世界の歴史13・第一次世界大戦とロシア革命」
■「太陽王ルイ14世」鹿島茂
■「賭博者」ドストエフスキー ※これも20世紀初頭のフランスの感じってにじむなあ
■「異邦人」カミュ ※アルジェリアが仏植民地であるということが20世紀前半のフランス -
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ネタバレ久々に長編の本を読んだ。クリステンセンの「イノベーションの最終解」以来だな。
こんなイノベーティブな実業家がいたのかと驚かされる本だった。年代的には渋沢栄一の子供くらいの世代だろうか。マーケティングの授業でセグメンテーションの切り口として年齢、性別、所得レベル、地域、人口などの項目を教わるのだけど、自己流で歴史人口学に着目して次々と新規事業を連鎖的に考えて日本の生活インフラを変えてしまった人だ。
小林一三は、新規事業家のようなクリエイティブなイノベーターには普通の生い立ちではとてもなれないのかも・・・、と思えるような複雑でドラマのような家庭環境で育つ。ただし、彼のように最初に銀行へ就職し、 -
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この本がどういう本かは、下記の、本書からの引用で示す。
■私の全著作の中で最もアカデミズム寄りの一冊である。なぜなら、万博関係の一次資料に世界でも最初にとはいわないが、かなり早い段階でアクセスし、パリ万博というものがサン=シモン主義から直接的に生み出されたものであることを実証した本だからである。(文庫版P391)
■1855年と1867年のパリ万博については、次のように断言してもよいと思う。すなわち、パリ万国博覧会とは、「人間による人間の搾取から、機械による自然の活用へ」というサン=シモン主義的思想を受け継いだミシェル・シュヴァリアとその盟友のフレデリック・ル・プレーが、ナポレオン三世というパ -
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①不遇な生い立ちから、”家族”に対する強い思いが、彼の企業活動のビジョンに活かされている。
この強いビジョンがなければ、彼の原動力は生まれなかった。
当時、”家族の楽しみ”の文脈で、女性、子供も意識していたことが発想として新しい。
小林一三は、勃興しつつある、良質な中層中産階級の娯楽をターゲットにした。(これが経営の軸)
健全なモラル、そこから生まれた少女歌劇団。
欧州では養老院が栄えていることに気付く。
子供は親から独立する。
一方、日本は直系家族、親子関係が大切。
その価値観をベースにビジネスモデルを築く。(日本オリジナル)
②人脈
岩下清周に引き立てられる。
彼は三井物産パリ支店 -
ネタバレ
気晴らしの効用
・人間の不幸というものは、部屋の中に静かに休んでいられないことから起こるものだ。
生きるために十分な財産を持つ人ならば、もし彼が自分の家に喜んで留まっていられさえすれば、
なにも危険を冒し、冒険することはないだろう。社交や賭博の気晴らしを求めるのも、じっとしていられないからである。
・病や死の恐怖を遠ざけたいのだ。真の幸福は、賭博で儲ける金や、狩りで追いかけるウサギを得ることにあるのではない。
人が求めるのは、われわれの不幸な状態から、われわれの思いをそらし、気を紛らわせてくれる騒ぎなのだ。
・ここから人間は、騒ぎや、動きを好む。ここから牢獄は、あんなに恐るべき刑罰になる。ここから -
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『パンセ』本文を読む前にウォームアップ。
人生いかに暇潰すかってことが主眼の一つになっている。
自分はその一つが読書で、それは好奇心に突き動かされていると思っている。
しかしパスカルによれば、好奇心は虚栄心である。僕は虚栄心に突き動かされて読書しているのか・・・?
完全に違うと言い切れないところに、自分への懐疑心が芽生える。
レオナルド・ダ・ヴィンチは好奇心による犠牲者の一人だが、パスカルに言わせれば彼は虚栄心の奴隷だったのだろうか?
そうは思えないけどなー。
その他いくつか気になった点を以下にまとめる。
・「人は精神が豊かになるにつれて自分の周りに独創的な人間がより多くいることに気 -
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ネタバレ鹿島先生の魂のこもった解説が秀逸。ところどころでうなり、時に笑いながら読み進めた。特に、以下のポイントが印象的。
・ビクトル・ユゴーの生まれ育ち、そのキャラ
・本作品の書かれた時代背景(POSTナポレオン)
・フロロが、要するに、身勝手なストーカーである、
が、フロロ側にも事情がある
(=東海林まさお、どーだ理論=自己認知欲望)
・カジモドもフロロもオタクの元祖
・エスメラルダは、マス消費される、現代のタレントのようなもの
・ノートルダムドパリの歴史的な意味合い
[引き続き読みたいもの]
・パンセ
・鹿島茂
・フランスの歴史(フランス革命前後、ナポレオン3世まで)
・魔女狩り -
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東宝という会社はもちろん知っていたが、その成り立ちは全く知らなかった。
小林一三はスゴイ!初めてちゃんと知ったわ。
こんなにすごい実業家が日本にいたのかと舌を巻いた。
しかも経営者としての才覚を発揮していくのは、サラリーマン時代の後だ。
三井銀行で15年間を勤務したというのだから、退職したときは30代も後半。
それまで普通のサラリーマンをしていた人が、どうしてここまでのカリスマ経営者になれたのか?
しかも三井銀行勤務時代も決して優秀な社員ではなかったのだ。
全国の支店がきちんと働いているかを探る内偵係。
調査部という名前だが、社員からは嫌われる閑職だ。
そんな身分だから、社内でも味方は少なかっ -
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ネタバレ人間は考える葦である、という有名な言葉を残したパスカルについて、含蓄ある彼の他の言葉が紹介されていました。以下、心に残った部分です。
「暇は人間を腐らせる」
無為ほどつらいものはないという言葉はとても心に残りました。
「人間はどんな職業だろうと生まれつきあらゆる職業に向いている。」「向いてないのは部屋の中にじっとしていることだけだ。」最初は向いていないと思った職業でも続けているうちにいつしか向いていると感じ始めることがある、という話は興味深かったです。
「自然は私たちを不幸にする。たとえ快楽に到達しても幸福にはならない。私たちはその新しい状態にふさわしい別の願望を持つに至るから