鹿島茂のレビュー一覧

  • 怪帝ナポレオン三世 第二帝政全史

    Posted by ブクログ

    ▼今年の読書の大テーマである、「フランス/パリを軸にして、ルイ14世から第2次大戦までを読んでいく」の一環です。ちなみに発端はロバート・キャパの評伝「キャパ」(ウィーラン作)があまりにオモシロかったからなのと、「第一次世界大戦っていうのが、どうもまだ皮膚感覚でよくわからん」なんですが。
    ここまで「キャパ評伝三部作」を除けば以下の道のり。

    ■集英社「まんが世界の歴史13・第一次世界大戦とロシア革命」
    ■「太陽王ルイ14世」鹿島茂
    ■「賭博者」ドストエフスキー ※これも20世紀初頭のフランスの感じってにじむなあ
    ■「異邦人」カミュ ※アルジェリアが仏植民地であるということが20世紀前半のフランス

    0
    2023年11月03日
  • 日本が生んだ偉大なる経営イノベーター 小林一三

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    久々に長編の本を読んだ。クリステンセンの「イノベーションの最終解」以来だな。

    こんなイノベーティブな実業家がいたのかと驚かされる本だった。年代的には渋沢栄一の子供くらいの世代だろうか。マーケティングの授業でセグメンテーションの切り口として年齢、性別、所得レベル、地域、人口などの項目を教わるのだけど、自己流で歴史人口学に着目して次々と新規事業を連鎖的に考えて日本の生活インフラを変えてしまった人だ。

    小林一三は、新規事業家のようなクリエイティブなイノベーターには普通の生い立ちではとてもなれないのかも・・・、と思えるような複雑でドラマのような家庭環境で育つ。ただし、彼のように最初に銀行へ就職し、

    0
    2023年06月21日
  • パリ万国博覧会 サン=シモンの鉄の夢

    Posted by ブクログ

    この本がどういう本かは、下記の、本書からの引用で示す。
    ■私の全著作の中で最もアカデミズム寄りの一冊である。なぜなら、万博関係の一次資料に世界でも最初にとはいわないが、かなり早い段階でアクセスし、パリ万博というものがサン=シモン主義から直接的に生み出されたものであることを実証した本だからである。(文庫版P391)
    ■1855年と1867年のパリ万博については、次のように断言してもよいと思う。すなわち、パリ万国博覧会とは、「人間による人間の搾取から、機械による自然の活用へ」というサン=シモン主義的思想を受け継いだミシェル・シュヴァリアとその盟友のフレデリック・ル・プレーが、ナポレオン三世というパ

    0
    2023年05月25日
  • 日本が生んだ偉大なる経営イノベーター 小林一三

    Posted by ブクログ

    阪急や宝塚の創業者である小林一三の生涯ついて書かれた本 明治維新とは異なる人口ボーナス期の起業家 著者の分析や解釈もしっかり目に書かれており、ただ何があったかだけでなく、なぜというところも考察してある。

    0
    2023年02月28日
  • 日本が生んだ偉大なる経営イノベーター 小林一三

    Posted by ブクログ

    この方も真っ直ぐな思いと理念、理屈を持っており、広く海外の知見を持っている。
    狭い世界で大成することが難儀なのは明らかで、人口が減る日本にはこういった知見が必要だと改めて認識しました。

    0
    2023年02月07日
  • 『パンセ』で極める人間学

    Posted by ブクログ

    めちゃくちゃ面白い本でした。
    人間観察を徹底して行ったパスカル!その名著がこの本「パンセ」です。
    めちゃくちゃ腹落ちする内容で、「なるほどー!」と思う箇所が満載でした。
    ぜひぜひ読んでみて下さい。

    0
    2022年07月03日
  • 日本が生んだ偉大なる経営イノベーター 小林一三

    Posted by ブクログ

    ①不遇な生い立ちから、”家族”に対する強い思いが、彼の企業活動のビジョンに活かされている。
    この強いビジョンがなければ、彼の原動力は生まれなかった。

    当時、”家族の楽しみ”の文脈で、女性、子供も意識していたことが発想として新しい。

    小林一三は、勃興しつつある、良質な中層中産階級の娯楽をターゲットにした。(これが経営の軸)
    健全なモラル、そこから生まれた少女歌劇団。

    欧州では養老院が栄えていることに気付く。
    子供は親から独立する。
    一方、日本は直系家族、親子関係が大切。
    その価値観をベースにビジネスモデルを築く。(日本オリジナル)

    ②人脈
    岩下清周に引き立てられる。
    彼は三井物産パリ支店

    0
    2022年05月29日
  • NHK「100分de名著」ブックス パスカル パンセ

    Posted by ブクログ

    このシリーズの中での、最高傑作だと思います。とにかく今の自分に腹落ちしました。養老先生の考えの根底にあるものと感じました!感謝、感激!

    0
    2022年02月10日
  • NHK「100分de名著」ブックス パスカル パンセ

    Posted by ブクログ

    パスカルが『パンセ』を書いた目的、内容、普遍性が手堅くまとまっている。学生時代に拾い読みしかしていなかったが、改めてパンセを紐解く気持ちになった。

    0
    2021年08月28日
  • 日本が生んだ偉大なる経営イノベーター 小林一三

    Posted by ブクログ

    これは伝記であり評論であり時代背景や思想の解説書。
    計数に強いこと、アイデアを持つこと。これは選択肢を多く持つことだ。理想を持つこと。東宝はビジョナリー企業というのもうなづける。
    商工大臣になったというのは知らなかった。
    鹿島茂はスゴイ。気になっていた渋沢栄一を買った。上巻のみ。

    0
    2021年08月14日
  • NHK「100分de名著」ブックス パスカル パンセ

    mac

    ネタバレ

    気晴らしの効用

    ・人間の不幸というものは、部屋の中に静かに休んでいられないことから起こるものだ。
     生きるために十分な財産を持つ人ならば、もし彼が自分の家に喜んで留まっていられさえすれば、
    なにも危険を冒し、冒険することはないだろう。社交や賭博の気晴らしを求めるのも、じっとしていられないからである。
    ・病や死の恐怖を遠ざけたいのだ。真の幸福は、賭博で儲ける金や、狩りで追いかけるウサギを得ることにあるのではない。
    人が求めるのは、われわれの不幸な状態から、われわれの思いをそらし、気を紛らわせてくれる騒ぎなのだ。
    ・ここから人間は、騒ぎや、動きを好む。ここから牢獄は、あんなに恐るべき刑罰になる。ここから

    0
    2022年09月30日
  • 世界史に学ぶコロナ時代を生きる知恵

    Posted by ブクログ

    お気に入りの2人の対談集。コロナ禍の中、目の前のことばかりが話題となっている今日、ちょっとだけ引いて、世の中を俯瞰してあります。出口さんが良く言われる「ヨコとタテ」でこの時代を見つめ、未来に何を残すのか、残すべきなのか。2人の冷静な語り口で未来への明るさを感じさせて貰いました。

    0
    2021年02月18日
  • クロワッサンとベレー帽 ふらんすモノ語り

    Posted by ブクログ

    フランス発の物の起源が書かれた本。豆知識が増えて面白い。さらに起源の詳細を調べても、90年代に書かれた物なので、ネット上にも情報がなく、歴史から消えていく過程にある物もあった。

    0
    2021年01月13日
  • ドーダの人、森鴎外 踊る明治文学史

    Posted by ブクログ

     冒頭「軟ドーダの元祖・成島柳北」、漢文読み下しのような引用文に辟易する。「置き字」なんて久々に復習した。
     続く「外ドーダでい続けた坪内逍遥」からは引用文もわかりやすくなった。
     そこから後の森鴎外編、引き倒される独裁者の銅像の如く、私の中で鴎外神話がガラガラと崩壊した。
     副題「踊る明治文学史」には「踊る森鴎外」という含みがあったのか。実際、踊り上手だったようだし。
     ドラマ『獅子のごとく』、劇画『秋の舞姫』、小説『タイムスリップ森鴎外』でつちかわれたストイックな文豪のイメージは今いずこ……。

    0
    2020年10月18日
  • NHK「100分de名著」ブックス パスカル パンセ

    Posted by ブクログ

    『パンセ』本文を読む前にウォームアップ。

    人生いかに暇潰すかってことが主眼の一つになっている。
    自分はその一つが読書で、それは好奇心に突き動かされていると思っている。

    しかしパスカルによれば、好奇心は虚栄心である。僕は虚栄心に突き動かされて読書しているのか・・・?
    完全に違うと言い切れないところに、自分への懐疑心が芽生える。

    レオナルド・ダ・ヴィンチは好奇心による犠牲者の一人だが、パスカルに言わせれば彼は虚栄心の奴隷だったのだろうか?
    そうは思えないけどなー。

    その他いくつか気になった点を以下にまとめる。

    ・「人は精神が豊かになるにつれて自分の周りに独創的な人間がより多くいることに気

    0
    2020年08月26日
  • NHK「100分de名著」ブックス ユゴー ノートル=ダム・ド・パリ 大聖堂物語

    Posted by ブクログ

    原作未読、ミュージカル、アニメ鑑賞済。
    わかりやすく細かな解説。一気に読んだ。
    時代背景も感じられたし次は原作に挑戦したい。

    0
    2020年05月28日
  • NHK「100分de名著」ブックス ユゴー ノートル=ダム・ド・パリ 大聖堂物語

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    鹿島先生の魂のこもった解説が秀逸。ところどころでうなり、時に笑いながら読み進めた。特に、以下のポイントが印象的。

    ・ビクトル・ユゴーの生まれ育ち、そのキャラ
    ・本作品の書かれた時代背景(POSTナポレオン)
    ・フロロが、要するに、身勝手なストーカーである、
     が、フロロ側にも事情がある
     (=東海林まさお、どーだ理論=自己認知欲望)
    ・カジモドもフロロもオタクの元祖
    ・エスメラルダは、マス消費される、現代のタレントのようなもの
    ・ノートルダムドパリの歴史的な意味合い

    [引き続き読みたいもの]
    ・パンセ
    ・鹿島茂
    ・フランスの歴史(フランス革命前後、ナポレオン3世まで)
    ・魔女狩り

    0
    2020年05月24日
  • 日本が生んだ偉大なる経営イノベーター 小林一三

    Posted by ブクログ

    東宝という会社はもちろん知っていたが、その成り立ちは全く知らなかった。
    小林一三はスゴイ!初めてちゃんと知ったわ。
    こんなにすごい実業家が日本にいたのかと舌を巻いた。
    しかも経営者としての才覚を発揮していくのは、サラリーマン時代の後だ。
    三井銀行で15年間を勤務したというのだから、退職したときは30代も後半。
    それまで普通のサラリーマンをしていた人が、どうしてここまでのカリスマ経営者になれたのか?
    しかも三井銀行勤務時代も決して優秀な社員ではなかったのだ。
    全国の支店がきちんと働いているかを探る内偵係。
    調査部という名前だが、社員からは嫌われる閑職だ。
    そんな身分だから、社内でも味方は少なかっ

    0
    2020年04月04日
  • 渋沢栄一 下 論語篇

    Posted by ブクログ

    上巻、下巻と読み進めるうちに、渋沢栄一という人物ににどんどん引き込まれた。
    究極の平等、客観的感覚。それなのに、人間味溢れるバランス感。
    日本が誇るべき偉大な人物なことが、著者のマニアックな程の描写で、面白く知ることができた。

    0
    2020年02月03日
  • NHK「100分de名著」ブックス パスカル パンセ

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    人間は考える葦である、という有名な言葉を残したパスカルについて、含蓄ある彼の他の言葉が紹介されていました。以下、心に残った部分です。


    「暇は人間を腐らせる」
    無為ほどつらいものはないという言葉はとても心に残りました。


    「人間はどんな職業だろうと生まれつきあらゆる職業に向いている。」「向いてないのは部屋の中にじっとしていることだけだ。」最初は向いていないと思った職業でも続けているうちにいつしか向いていると感じ始めることがある、という話は興味深かったです。


    「自然は私たちを不幸にする。たとえ快楽に到達しても幸福にはならない。私たちはその新しい状態にふさわしい別の願望を持つに至るから

    0
    2020年02月03日