【感想・ネタバレ】渋沢栄一「青淵論叢」 道徳経済合一説のレビュー

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Posted by ブクログ

渋沢栄一「青淵論叢」 道徳経済合一説
著:渋沢 栄一
編:鹿島 茂
講談社学術文庫 2639

青淵とは、渋沢栄一の雅号である
回顧録から談話を聞き取り口述筆記したものとある。
論語と算盤は渋沢の書であり、青淵論叢とは談話集なのである

・金それ自身には善悪を判別する力はない。善人がこれを持てはよくなり、悪人がこれを持てば悪しくなる。つまり、所有者の人格いかんによって善ともなれば悪ともなる

・功なり名を遂げた人が、自分がいまのような金持ちになれたのも、すべては社会の恩だと自覚して、社会の救済だとか、公共事業とかいうものに対し、常に率先して尽くすようにすれば、社会はますます健全になるなずなのです。そして、社会が健全になれば、それと同時に自分の資産運用もますます健全になるというわけなのです。

・国が真正に富強となるには、政治とか、軍事とか、法律とか、教育とかいうものが進歩していかけばならないのはもちろんです。

・自分自身が大きな富をなすことは必要としないとしても、それなりの恥かしからぬだけの富は造らなければなりません。

・無理はけっして立身出世の近道ではありません。むしろ蹉跌を来たし将来を誤る恐れがありますから、功を焦り、無理をすることは大いに慎まなければなりません。

・成功出世をするには、まずもって実力を養うことが肝要であると思います。

・人間の立身出世というものは、与えられるものではなく、自分自身で築くべきものなのです。

・共栄共存の精神が根本であり、協和の心が最も大切であります

・嚢中の錐というたとえがあるように、実力が備わっている人は、事があれば必ずその才能が現れます

・青年諸君は努めて先輩に接し、その意見を敲き、経験を聞き、これを参考資料としてよく消化し、仕事をなすに際しても周到に用意をして、先人の失敗を繰り返さないように心がけるべきなのです。

・不断の修養は処世の必須条件であることを、深く心に銘するべきです。常に修養に心掛け、いわゆる内容の充実、実力の涵養(かんよう)に努力していれば、いかなる場合においても出処進退を誤ることなく、また失望落胆して自暴自棄に陥ることもありません。

・資本は万能ではありません。もっと大切なのは人です

・加うるに信用の厚い人であれば万一失敗するようなことがあっても再起することができるけれども、信用のない人は一度失敗して投下した資産を失うようなことがあると、とうてい再起することはおぼつかないのです。

・社会の信用はどうして得られるものであるかというと、一言にして尽せば、責任をお音字、誠心誠意をもってことに当たることにあります。

・人間が社会の一員として世に立っていくにあたって、第一に必要なことは誠実ということであります。

・わかりやすく言えば、人に接し事物に対するには、精神を籠めて諸事親切心をもってするようにせねばなりません。

・堪忍の必要であることを、熟々と感じ、常に忍耐心を養うことを心がけたのです

・論語「己に克ちて礼に復るを仁と為す」 克己ということは、人間にとって最も大切なことです。

・人事を尽くして天命を待て 人は誠実に努力して運命を待つ以上のことはできないのです。

・弊を見て功を没する勿れ 人の弊害をみて過去の功績を否定するようなことをしてはならない

・道とは人の心に行うところ、守るところの一切の正しいこと、理とは、筋のことで、全て筋立てることを意味しています。つまり、道理とは、人の踏み行うべき筋目ということです

・道理を知り、道理を行うには、安心立命を得ることが肝要です


目次
本書について
富者の要務
堅固正当な目的を持て
立身出世の秘訣
現代青年の短所と通弊
信用を得る人得ない人
資本よりも信用
叱言の云い方
勘忍強くなる様に修養した体験
克己心を修養した体験
真の成功とは何か
予の人物鑑識法
常識の発達と其の修養
口舌は福禍の門
順逆両境の覚悟
弊を見て功を没する勿れ
道理論
大国民は斯う有り度い
日本経済連盟に対する所感
対支政策の根本義
思想問題と教育の改善
我国労働問題の前途
外来思想と咀嚼消化の力
国家観念と世界主義
世界主義に立脚して産業の発達を期せ
国産の振興と其の根本策
政治経済と道徳観念
道徳と経済の合一説
商業道徳の振興
事業経営に必須の条件
我国の財政経済問題
「付録」家訓
編訳者解説

ISBN:9784065219034
出版社:講談社
判型:文庫
ページ数:360ページ
定価:1260円(本体)
発売日:2020年12月09日第1刷

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2024年01月08日

Posted by ブクログ

道徳の教科書を読んでいるだが、東京商工会議所、東京海上等500社以上を立ち上げて、財を成さなかった人の言葉なのでスッと入ってくる。
こういう考え方の人が経済団体のトップなら今のように役に立たない社外役員ばかり重んじて、全く機能しないガバナンス改革など起こらなかったと思う。

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2021年07月30日

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