鹿島茂のレビュー一覧
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単行本は2004年刊。もとはNHKテレビ「フランス語会話」テキストの連載コラム、2年分、24回。
エッフェル塔とアポリネール、オペラ座とガストン・ルルー、凱旋門とモーパッサン、リヨン駅とドーデ……パリの名所とそこを描いた作家を解説。24の名所、24人の作家、まさに文学史的パリガイド。ただし、作家は19世紀と20世紀前半限定。古典や現代の作家がひとりもいないのがいい(すっきりしている)。
もちろん、たんなるパリガイドではない。1836年以前には凱旋門はなかったし(着工は1809年)、1847年以前にはリヨン駅も、1889年以前にはエッフェル塔もなかった。それに1853年からはパリ大改造も始まった -
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2008年刊。もとは「東京新聞」連載(隔週、3年間)、計72回分。いつも通りの安定した語り口。パリのトリビア満載。
とくに興味を引いたのは、以下の3回。それぞれ、仙台出身の漫才コンビ、しぶ~い喫茶店、メリーポピンズの相手役のことではない。
「背と腹を看板にかえて」。サンドイッチマンが登場したのは、1820年頃のパリ。宣伝用の看板を背中と腹にかついで街を歩いた。最初は看板男と呼ばれていたが、イギリスからサンドイッチマン(homme sandwich)という呼称が入って来て定着。これをするのは、ガタイのいい退役軍人だったそうな。なるほどネ。
「洗濯船の興亡」。パリに洗濯船が登場するのは15世紀末。 -
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『上等舶来 ふらんすモノ語り』(1999)の改題文庫版。
前半が「ふらんすモノ語り」。もとは「日本経済新聞」連載、50回分。フランスにまつわるアイテムについての鹿島流の解説。後半は、雑誌等に載せたフランス関連のエッセイ、35篇。
初回に読んだ時には読み流してしまったのか、再読すると、いろんな発見がある不思議なエッセイ集。たとえば、2つほどあげると、
「イギリスの五カ国?」。12世紀から15世紀にかけて、ボルドーを含むアキテーヌ地方はイギリスの領土だった。ボルドーと言えば、ワイン。でも、ボルドーのワインは19世紀まで(つまり運河網ができるまで)、パリではほとんど知られていなかった。では、それまで -
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2000年刊のエッセイ集。もとは「オール讀物」連載、26回分。
フランス文化にまつわる常日頃からの疑問。仮説を立てながら、思考実験も交えて、解き明かす。もちろん、決着がつかないものもある。これも、謎が謎を呼んでおもしろい。ビデの謎、情死の謎、乳房の謎、SMの謎、ポルノの謎、長茎ぺ〇スの謎……疑問の半数は下ネタ、でも考察は上品に締めている。
下ネタを除いたマイベスト3は、以下のエッセイ。
「ナポレオンの片手」。肖像画のナポレオン、片手の指先を服のボタンとボタンの隙間に入れていることが多い。なんのポーズなのか? ナポレオン暗殺説や病死説と絡めて、いろんな推理が展開する。
「パリ焼き鳥横町」。パリで -
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フランス文学者の書いた、フランスを愛し過ぎた蕩児・薩摩治郎八についての評伝である。
この人は、突き抜けた人が好きなんだなあ、と改めて思った。薩摩治郎八は祖父と父が築いた財産を一代で蕩尽した男だけれど、その金の使い方は彼なりの美学に基いたもので、各方面に影響を与えることになっている。芸術を解し才能を愛しパトロンとして惜しげもなく援助し、窮地に陥る知人には我が身を投げ打って尽力する。それは私財があらかた尽きてからも変わらず、大戦中の困難な時期に手を尽くして渡仏したのも私欲だけではないだろう。
この評伝はとても変わっていて、というのは治郎八は時間に関する記述にきわめて不正確な面があり、その事実を -
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いま、18世紀に生きたフランスの詩人であり小説家のビクトル•ユーゴーの『レ•ミゼラブル』について、フランス文学研究者の鹿島茂の書いた解説本を読み終えたところである。10年ほど前にNHK(地上波)で放映されたドラマを見て、どうしても忘れられなかった。感動があったからこそ原作を読破しようと若い頃から思っていたがそのままになっていた。幅広い知識と当時のフランス社会の動乱についての分析力と洞察力、ユーゴーに対する熱烈な愛を感じさせる文章は、静かに心に伝わり幸福感を覚える。まさに、大長編である原作(全4巻)を1冊にまとめ、より多くの人にこの本が読まれることを提示した著者の力量であると思う。勿論、全4巻を
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ネタバレ神保町書肆街の変遷を大学、予備校等の沿革を絡めながら、叙述しサブカルにまで及ぶ。
・幕末の蕃書調所が神田神保町界隈の護持院ケ原(もともと池を干拓した後に護持院が建立、廃寺となり広大な松林や馬場になっていた。)に移され、東京大学、東京外語学校もここが発祥の地。
・教科書の古書売買から古書店が始まる。明治9年の出版条例までは書籍販売は株仲間、条例により認可制から届出制になり出版が可能に。更に八品商取締規則と古物商取締条例により、出版、取次、新刊書店、古書店が分離していく。
・有斐閣、三省堂、冨山房、東京堂、中西屋の歴史。洋書取扱・翻訳本出版は武士の商法から。
・私立法律学校が神田に集中したのは、 -
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この本、すごいなあと思います。ハード面でもソフト面でも。「文藝春秋」としては、生みの親である菊池寛についての本を出すのですから当然なのかも知れませんが。
裏表紙にはドーンと菊池寛の顔写真。本を開いてびっくりしました。見返しには文藝春秋に関係する、そうそうたるメンバーの集合写真。中にもふんだんに人物や雑誌の写真が使われており、内容理解の助けになりました。
タイトル『菊池寛アンド・カンパニー』のカンパニーには、2つの意味がかけてある。1つは文学仲間たち、もう1つは「文藝春秋」を支えた読者。このように記した鹿島茂さん。
鹿島茂さんが人間、菊池寛を論じていくにあたり、とても効果的に過去の「文藝春 -
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文学者であり、文藝春秋を創業した菊池寛の、評伝であり伝記。
彼は激動の時代に、どう行動して生きたのか。
菊池寛と彼の仲間(カンパニー)たちと文藝春秋を含めての
企業(カンパニー)の足跡を詳細に解き明かし、綴る力作。
1~20
・あとがき
参考文献、菊池寛 略年譜、人名索引有り。
明治・大正・昭和の激動の歴史の変遷の中、
菊池寛は藻掻き、紆余曲折の道を歩み、文学者としての
立場を確立していった。特に一高時代の仲間たち、
同人としての仲間たち、それらの人間関係が彼を支えてゆく。
文藝春秋の創刊。
大衆のニーズに応じた編集方針。原稿料について。
SNSのようなの呟き文から総合雑誌への大転換。広告。 -
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▼ダレることなく、本当にオモシロい一冊でした。菊池寛(明治生まれ~戦後直後逝去の、小説家であり、文芸春秋を起業した編集者であり経営者)の評伝。鹿島茂さんなので、編集者、本作り、雑誌作りの裏側を同業者として考察しながら。
それから、「アンド・カンパニー」ですから、「菊池寛と仲間たちの評伝」「菊池寛の作った文芸春秋社の、終戦までの評伝」とも言えます。まあ、でもひとことで言えば菊池寛の評伝、菊池寛とその時代です。
▼とにかく本の書かれかたがエンタメでした。こういうのは、「どういうひとを読者のラインとして設定するか」が難しいと思います。
・菊池寛という名前を聞いたことも無い人で、文芸春秋の歴史や -
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タイトルは、あのシルヴィア・ビーチのパリの書店、Shakespeare & Companyからヒントを得たものという。Companyは、「仲間たち」と「会社(文藝春秋)」のダブルミーニング。絶妙。しかも、表と裏の見返しには、菊池寛と「仲間たち」の集合写真を使っている。造本も凝りに凝っている。
「逸話」ではちれんばかりの菊池寛(1888-1948)。評伝や伝記を書く際には、これが足枷となる。逸話が目くらましになって、本体が見えなくなってしまうからだ。しかし、そこは鹿島茂、膨大な資料をもとに、きっちり仕事をしている。
一高のマント事件での退学、京大の学生時代、secretの女性関係など、読 -
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2023年に100周年を迎えた文藝春秋の目玉企画。『創刊100周年記念新年特別号』から連載開始、楽しみにしていました。「マント事件」のあたりまでは毎月欠かさず読んでいましたが、例によって一回飛ばすとなんか執着できなくなってそのままになっていました。8月に入ってからの読書で菊池寛がGHQから公職追放されたことに接し、ここは改めて読んでおかなきゃ!ということで開きました。鹿島茂という書き手のチョイスが抜群でした。明治、大正、昭和と近代化する日本社会で菊池寛が作り出してきたものをフランス文学や世界文学ともシンクロする「時代精神(ツァイトガイスト)」で見つめる「評伝」でもあり「伝記」でもあります。それ
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寝る前5分のパスカルを読んで、よりパンセへの見識を深めたくなり、出会う。
前書に比べ、キリスト教義や専門用語などだいぶ省かれ、現代日本の事例に落とし込まれておりとてもわかりやすい。ただし、おそらく簡素化しすぎて大まかに解釈がされすぎているところもあるように感じる。
内容はもちろん前書とも重複するが、より幅広く、少し深く、理解を持てたことに加え、最後の寄稿で、パスカルとデカルトの違い、パスカルの思想が現代社会にもたらす意味合いがとても共感を覚え、刺激を受けた。完璧な自分、一貫性、完成させることにとらわれるのではなく、日々自分も世界も変わるものと受け止め、フラットに新しい取り組みをしていくことに勇