【感想・ネタバレ】パリのパサージュ 過ぎ去った夢の痕跡のレビュー

あらすじ

フランス革命直後からパリに陸続と生まれたガラス天井の通り抜けを、「パサージュ」という。オペラ座、パノラマ、グラン・ブールヴァール……時代ごとの街の名所に、パリ市民を導いてきた。夢と欲望が吹き抜けたパサージュの歴史は、パリ近代化の歴史でもある。現存する19のパサージュを、フォトグラファー鹿島直の写真で辿る新しいパリガイド。

【目次】
まえがきに代えて

Ⅰ パサージュへ時間旅行の手引き

パサージュの定義

パサージュガイド19の散歩路
01 ギャルリ・ヴェロ=ドダ
02 ギャルリ・ヴィヴィエンヌ
03 ギャルリ・コルベール
04 パサージュ・ショワズール
05 パサージュ・デ・パノラマ
06 パサージュ・ジュフロワ
07 パサージュ・ヴェルドー
08 パサージュ・デ・プランス
09 ギャルリ・ド・ラ・マドレーヌ
10 パサージュ・ピュトー
11 パサージュ・デュ・アーヴル
12 パサージュ・ヴァンドーム
13 パサージュ・デュ・グラン=セール
14 パサージュ・ブール・ラベ
15 パサージュ・デュ・ケール
16 パサージュ・デュ・ポンソー
17 パサージュ・デュ・プラド
18 パサージュ・ブラディ
19 アルカード・デ・シャン=ゼリゼ

パサージュの歴史

Ⅱ パサージュ文学全集

失われたパサージュを求めて
ギャルリ・ド・ボワ
ギャルリ・ドルレアン
パサージュ・ド・ロペラ(オペラ・パサージュ)
パサージュ・デュ・ポン=ヌフ
パサージュ・デュ・ソモン

パサージュを読む
パサージュ・デ・パノラマ
パサージュ・ショワズール

あとがきに代えて
文庫版のためのあとがき

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Posted by ブクログ

「パリのパサージュ」という題名であるが、普通の人にとっては、では、「パサージュ」って何?ということになるはずだ。
それについて、筆者は「まえがきに代えて」の中に下記のように記している。
【引用】
ところで、パサージュを日本人に説明するときには、「まあ、日本のアーケード商店街のようなものですね」と言うのだが、そう言ってから、「いや、本当はまったくちがうものなんですが」と言い直したくなる。しかし、その実、具体的にどこがどうちがうのかを具体的に語るのは案外むずかしい。形態的にはよく似ているからである。
ただ、形態的には同じでも、パサージュはパサージュで、アーケードの商店街はアーケードの商店街なのである。
では、パサージュとアーケードの商店街との本質的なちがいとはなんなのだろう。
思うに、それは、パサージュには、バルザックやフロベールの生きた十九世紀という「時代」がそのまま封じ込められている点にある。
【引用終わり】

筆者がこの本を書いた時点では、パリには19のパサージュが残っていた。それらは、すべてセーヌ川の右岸、すなわち、オペラ座側に位置している。
本書は、その19のパサージュについての紹介が中心となっている本だ。カラーのものを含めて、写真が多く掲載されているが、それを見れば、日本のアーケード商店街とは異なることが一目で分かる。パサージュとアーケード商店街の違いというよりは、パリと日本の違いである。
パリには何度か行ったことがあるが、パサージュを訪れたことはない。この本をもっと昔に読んでいたら、是非、訪ねただろうのにと思ってしまう。

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2023年06月20日

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