川内有緒のレビュー一覧
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仕事になるかならないかまだわからないような段階だったけど、福島の復興に関する仕事をすることになるかもしれなかったので、実際に浜通りに行ってみた。
この本は、その浜通りエリアをタテに走る国道6号線こと、ロッコクを舞台に、今浜通りに住む人が何を食べているのかを取材した本だ。
読み終わって、明るいとも暗いともちがう、強いて何か言葉を当てはめるなら切ない、というような気持ちになっている。
実際にみた光景もいくつか描かれていて、そこの空気感もなんとなく想像できて、余計に胸に迫る。色々な想いを抱えた人が当たり前に存在していて、何かを一つに決めきれないことの難しさを、そして決め切らないでいいと、それをゆった -
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Posted by ブクログ
現代美術のスーパースターである蔡國強は駆け出しの頃に福島のいわきに住んでいたので、現在もいわきと交流がある…という一般的な説明では全く不十分で、両者の関係は想像以上に密接だった。世界的アーティストになってさえ蔡はいわきの人々のサポートを求め、やがていわきの人々もまた、震災を乗り越えるために蔡の想像を超えた万本桜プロジェクトというアート活動を始めた。単純な地域交流ではなく、互いに切磋琢磨する盟友同士と呼ぶべきかもしれない。
大人物の器に素朴な人柄を込めた蔡國強と、現実世界の困難を器用に解決する才に恵まれた志賀忠重。人を感動させる行為そのものがアートならば、これほどアートの神様に愛された人はなかな -
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(まだ途中)
【本文より】
・その日、そのときにしか出せない言葉というものがある。
(中略)飲み込んでしまった数々の言葉を、胸の奥にある引き出しにしまい込みながら生きるしかない。でもこうして旧友に話したことでほんの数グラムだけ引き出しが軽くなった気がした。
・いつだって作品を見にいった先には新たな発見があり、人間同士の出会いがあり、一緒に過ごした時間の手触りはお互いの中に残っていく。
・「優生思想を考えるうえで、いま障害があるひとに対してどう接するのかという『差別』の問題と、それ以前に生まれてくる障害者を減らそうという優生思想的な考え方、そのふたつは切り離して考えないといけないと思うんだよ -
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エネルギッシュな人に憧れがあります。
チャレンジ精神が旺盛で、良い意味で我が道を行ける人。
「新しい海に無計画にダイブする癖がある」という著者の川内有緒さん。
仕事も日常の生活も、自分ならではの生き様を追い求めている。
そんな姿勢が伺えて、最高に魅力的でした。
彼女の緩さとストイックさのバランス、すっごくいいなぁ。
第一章の「コスタリカのバスのなかで」から、私の好奇心は煽られっぱなし。
私の全然知らない国、全然知らない人たちの「マジーー?!」と思うような日常のひとコマひとコマが読んでて楽しかった。
印象に残った話はいくつかあるけど、今の私にちょっと響いて、好きだと感じたのが「真夜中の演奏会 -
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目が見えなくてどうアートを見るんだろうと興味を惹かれて読んだ。
この本は、アート鑑賞を導入にした哲学書だと私は思う。
白鳥さんとのやり取りをきっかけに
・アートをみるとは?
・障害を持つとは?
・優生思想
など、著者の川内有緒さんが考えたこと・気付きが書かれていて、通常の思考の下にある自身の価値観を揺さぶられた。
読みながら考えることが多くて、ゆっくりじっくり読んだ。
痺れたのは「誰かの立場になって想像したとしても、ほかの誰かの人生や感覚まで体験することは決してできない」というフレーズ。
エンパシーが大切だというのは広く知られるようになってきているが、その前提としてこの知識が大切だと感 -
Posted by ブクログ
筆者の本、白鳥さんに続いて二冊目。自分たちの手で、小屋を作ろうというプロジェクト(?)のもと、全くの素人だった筆者夫婦が、友人達の手をかりながら、小屋を完成させていくお話。どうしてこう、困ったときに救世主のように、ある種の力を持った友人が現れるのだろう。筆者のこれまでの素敵な生き方が透けて見えるようだ。もちろん、そんな簡単な話ではなく、トラブルもあり、大変な道のりなのだけど、いつも作業のそばにはお嬢さんのナナちゃんがいて、このエピソードもとてもかわいい。そして332頁のナナちゃんへの愛のメッセージに、なぜか涙があふれてしまった。強烈にうらやましいぞ。子育ては、結局自分の生き様の先にしかないのだ