川内有緒のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
全盲の白鳥さんと美術館を回るドキュメンタリー。
目が見えないので白鳥さんは周りの人からどんな絵か聞きながら想像する。説明する側は今まで無意識に黙ってじっくり見て「感じる」から言葉にすることで今までにない発見があったり、「見る」とはなんなのか。全盲の白鳥さんには何が「見えてる」のか。
そこの想像がこの本を読みながら一緒に考えることができて面白い。美術館に行ってみたくなる。
9章あたりからある美術館の作品を見て、差別とは何か、偏見とは何かを考えさせられるようになる。
差別や偏見はダメと言うのは簡単だけど、もし自分がなったらイヤじゃない?そう思うことは偏見では?
こういう問題は決して簡単に解決するも -
Posted by ブクログ
人の数だけ生きる道があって、場所があって、人生とはそういうものでいいんだなと肩肘張らずに教えてくれた。上昇するために生きていくんでしょうと言う人も、海外に住みながら自分の中の小さな故郷を求める人もみんな素敵。著者が人に向ける視点が何よりも素敵。
死にたいと言う人に「その目が他の誰かを癒してしまう 愛される力を兼ね備えて生まれてくる人がいるんだな」と言葉に翻訳できる力が素敵。
私もいい大人だけど、楽しい生活をしたい。楽しく生きたい。
「ただそこにいるだけでいいわけではなく、もっと濃い、コミュニケーションでも言葉でも、ボディタッチでも 言葉にして欲しい、言葉にしたい。」
あ、そして、私も誰かのため -
Posted by ブクログ
ネタバレ全盲の白鳥さんと、作者含む仲間たちが美術館にアートを見に行く。
こういう話って、目の見えない人の気持ちになろう、想像力を働かせよう、という結論になるんだろう、と思っていたが、導き出されるのは「僕らはほかの誰にもなれない」「ほかのひとの気持ちになんかなれない」「なれないのに、なろうと思ってる気持ちの浅はかさだけがうすーく滑ってる」、そして「ただ一緒にいて、笑っていられればそれでよかった」という言葉。
そのままの自分同士で、障害があろうがなかろうが気の合う人たちと、楽しく笑って過ごす。多様性のゴールはそこなのかもしれないと思った。
どんなに遠くに行って美しい景色を見ても、あとに残るのは同行者の面白 -
Posted by ブクログ
ここ数年で読んだ本の中で一番面白かった。こんなに面白い本を書く作家さんをこれまで何となくしか知らなかったのか!と思った。
日芸卒で2000倍の倍率の国連のポストを手に入れた著者の5年半のパリの記録。なかなか知ることのできない国連の実態を面白おかしく知ることができると同時に、小説のような友情や恋愛もあり、、盛り沢山の内容で、自分も著者と一緒にうたた寝しながら夢を見たような気分だった。
著者が本当にパワフルな方で、国連の職員を次々と巻き込んでいく様子が軽快でワクワクする。解説ではあちゅうさんが(インフルエンサーとしての印象が強かったけど、改めて文章が上手な方だなと思った)著者の夢を手にしていく -
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Posted by ブクログ
自分が好きな分野がアートと関係がある分野だからアートを見に行くことがある。でも自分はアートを鑑賞するときに、正しく見なければいけないと思っていたし、幼稚な感想しか持てないことを情けないなと思っていた。
本を読んで、自分に見えているものを思いつくままに周りに人に伝えあって、どんどん新しい見え方を見つけていくことがすごく楽しそうだったし、私もそういうふうにアートを楽しみたいと思った。好きに見ていいということに少し救われた気持ちになった。
また、自分が「障がいである」と思っていることは他の人にとって障がいなのかとか、障がいがある人と関わることを怖く思うことはいけないことなのかなど、色々なことを考え -