あらすじ
40代で母親になって考えた。「この子に残せるのは、“何かを自分で作り出せる実感”だけかも」。そこから不器用ナンバーワンの著者による小屋作りが始まる。コスパ・タイパはフル度外視。規格外の仲間たちと手を動かすほどに「世界」はみるみるその姿を変えていき……。暮らしと思索が響き合う、軽快ものづくりエッセイ。
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筆者の本、白鳥さんに続いて二冊目。自分たちの手で、小屋を作ろうというプロジェクト(?)のもと、全くの素人だった筆者夫婦が、友人達の手をかりながら、小屋を完成させていくお話。どうしてこう、困ったときに救世主のように、ある種の力を持った友人が現れるのだろう。筆者のこれまでの素敵な生き方が透けて見えるようだ。もちろん、そんな簡単な話ではなく、トラブルもあり、大変な道のりなのだけど、いつも作業のそばにはお嬢さんのナナちゃんがいて、このエピソードもとてもかわいい。そして332頁のナナちゃんへの愛のメッセージに、なぜか涙があふれてしまった。強烈にうらやましいぞ。子育ては、結局自分の生き様の先にしかないのだなと思い知るのであった。人を大事にすること、そして自分を大事にすること、筆者は本当に身体で理解している人なのだと思ったのでした。おうちが見たい。
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生まれたばかりの子のために自分たちだけで小屋を作ろうと思い立つ。究極のDIY。4年かけて完成するまで、多くの友の助けを借りる。小屋の建築の進捗と子供の成長。クライマックスに向けて積み上がる感動。
ただ小屋を作るだけの話ではあるが、試行錯誤の繰り返し、困った時に助けてくれる友人たち。笑いつつ涙のペーソスに富んだ作品。
ジブリの「熱風」の不定期連載だったとか。確かあの落合博満の映画エッセイもこの社内報の連載だったかと。そっちのクオリティの高さも非常に気になる。
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ある日思い立って小屋を作る。
いざ始まってみれば、予期せぬことばかり。
想像してたよりかなり大変。ちゃんとやらなきゃいけない事がたくさんある。
自分の店を作った時にも思ったが、DIYは想像以上に人を成長させる。
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有緒さんからナナさんへ、小屋を通した壮大なラブレターだった。関わっているいろんな人たちや登場する人たち全てがキラキラしていて素敵で、大人ってこんなに楽しいんだなって思わせてくれるような一冊。
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いつものようにスルスルと。
川内有緒さんの書く文章はとても丁寧で軽やかだ。
楽しく読み進み、そして大きく共振してしまう言葉に出会える。
次も楽しみ。
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読みはじめてすぐに「妙に馴染みのある文体だな」と思ってたら、途中でこないだ聴き終わったオーディオブック「目の見えない白鳥さんとアートを見にいく」の作者さんだった。小屋づくりも良さそうだが、井戸掘りも楽しそうだった。
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人に助けてもらう力、人を寄せ付ける力がすごいなあと感じた。「不器用」なのに、小屋を建てることに挑戦、努力するのもすごい。
ナナちゃんも只者ではない感じがして、今後の成長が楽しみ。また著作に登場してくれるだろうか。
読者の私も、そこに参加してるような、参加したいような気になった。
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有緒さんとイオ君が多くの人を巻き込んで小屋を建てる物語だが、子供のナナちゃんの成長過程がうまく織り込まれていて楽しめた.やはり大工さんの丹羽さんの貢献度が高いと感じたが、その他のメンバーもそれぞれの得意分野を生かして取り組んでいく姿勢が良かった.小屋作りにのめり込まずに、ある程度適当に進めるのが秘訣みたいだ.有緒さんのバイタリティーが本当に凄い.
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『自由の丘に、小屋をつくる』。ノンフィクション作家が山梨県塩山の山麓(おそらく大菩薩の麓)の土地で小屋づくりに励むドキュメンタリー。著者は特にDIYが得意というわけではなく、逆に苦手な分野。「ひとつ何かが作れるようになるたびに、自由になれるように感じた。己の力で何かを変えることができる。その実感の先に広がるのは、新しい風景だった」。小屋をつくる苦難を乗り越えた者しか実感できない言葉である。田舎に小屋が欲しいとは思っているが、さすがに一から自分でつくってしまうとは、天晴である。
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川内有緒さんの最新刊。「目の見えない白鳥さんと…」で読み始めた著者だが、「パリの国連で夢を食う」の時からの時代をつなぐ内容。「空を行く巨人」も大好きです。なんだろう、読み物としておもしろいというよりも、川内有緒さんの、すごーく興味深い生き方を知ることができる本。コロナの時代はみんな、ほんとに大変だった。自由ってなんだろう?
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40歳を過ぎて出産した作家が、娘のために小屋を建てよう、
と決意し、友人らの協力を得ながら、6年の月日をかけて、
完成、とはいわないまでも普通に住める小屋をつくりあげた、
というお話。
さてこの著者、誰だろう、結構投稿しては賞をもらっている、
と思いながら読み進めたら、なんだ、先日読んだ
「目の見えない白鳥さんとアートを見に行く」を書いた人だった。読みやすい文章。
フリーで活動している年下の夫と山梨の土地を見つけ、
そこに基礎から始まって徐々にツーバイフォーの小屋ができていく
様子が描かれている。
と同時に、生まれたばかりのお子さんが保育所に行き、
小学生になるまでの成長記録も。
悪い人が一人も出てこない、ほのぼのしたドキュメンタリーになっている。
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自由で明るい筆者の人柄が見えるエッセイ。
小屋を建てながら、子育て、コロナ禍など経験していく。
小屋作りにたくさんの人と関わり合っていて、人付き合いが好きな方の印象。
人との関わりが多すぎて、小屋作り以前に私には到底辿り着けない領域に思えた。
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川内有緒さんの作品を読むのは、『目の見えない白鳥さんとアートを見にいく』『晴れたら空に骨まいて』に続き3作目になります。読みやすくて飾らない文章で、親しみが持てて結構好きな作家さんです。
この作品は、娘のナナちゃんのために小屋づくりに家族一丸となって小屋づくりに取り組むというエッセイです。川内有緒さんの人脈ってすごいですね…様々な立場の人たちが、もてる専門分野を活かして手伝ってくれます。多分、私が小屋を建てたいって言っても、なにふざけてるの??って本気にしてくれなさそう…!!まぁ、ウチは田舎なんで、子どもたちのために小屋を建てようとは思わないけど(笑)。
小屋づくりのノウハウ的なものより、読んでいてナナちゃんの成長が垣間見えるのがよかったなって思いました。台風やコロナの時期、何よりも仕事をしながらの小屋づくりはとっても大変そうでした。この作品が出版されてから1年ちょっと、小屋は完成したのでしょうか?そして、ナナちゃんはどんなふうに成長しているのか…気になります。
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ある時に小屋をセルフビルドすることを思い立ち、奮闘する家族のお話。もちろん家づくりの苦労やドタバタの話もたくさんあるが、読んでいるうちにお子さんの成長記録のようにも感じられ、ほのぼのとした印象を受ける。途中、何を自由とするのか、それについて語られているところがあるが、筆者の想うところにも共感できる。同世代ということもあるのかもしれない。おそらく小屋は今も進化を続けながら、お子さんがいっそうそこに前のめりになっている。そんな姿を想像してしまう。
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田舎を持たない小さな娘のために、自然の中に小屋を建てる、という体験記。
モノを買う以外の選択肢、としてまずDIYした机に続く、第二弾が建物!
3年ほど?の時間をかけて、途中、コロナ期も経ての、大作業でした。
シンプルな小屋を建てるにも、
作業工程は季節を考慮する必要があること。
箱モノの前に、まず土台が本当に重要で千問技術を要するものなのだとあらためて知る。
そして家にも、壁、窓、など、
一つ一つのパーツがまた大変そうでした。
トイレ、井戸はナイスチャレンジだったのだろうと思います。
小屋も家も、物理的にはいつどうなるか分からないけれど、
確かなことは、ここまでの時間の積み重なりだということも書かれていました。
一つ一つ記録していったということもあるだろうけれども、
手足身体を動かして何かを行う、その手応えを一時一時感じて取り組まれてきた姿勢がとても伝わります。
そして、人を呼び寄せる力、体力、気力も感心して読んでいました。
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社交的とは言えない自分からすると、著者は向こう側のひと。出会う人と打ち解け、ともだちとなり、輪を広げてゆく。うらやましくもあり、ひがみもでてくる。そんな著者夫婦のDNAを受け継ぎ、ふたりの背中を見て育つお子さんは自由の丘を登ってゆく。
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自分の家族を追ったノンフィクション。
行き当たりばったりな暮らしをしてきた著者が我が子の未来に何をしてあげたいかと考えた結果、小屋を作る事に。この発想も自分の不器用さや計画性の無さとかを笑って肯定するのも川内さんらしい。彼女を取り巻く人々の協力や温かさがとても良く描けてた。
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小屋なんて本当に作れるのか。
疑問を抱きながら6年間の記録を読んだ。
自分の無力さ、何も生み出すことができず、消費者としての生き方しかしらない。
私も何かを作るのは苦手なので、気持ちはよくわかる。小屋もそうだが服を縫ったり、棚を作ったり、野菜を作ったり出来る人はすごい。
小屋作りに携わった人たちも、それぞれ出来ることがあり上手く作業に活かせている。
皆での作業の様子が楽しそうで羨ましい。
一つの事を協力してやり遂げる体験は、なかなか機会がない。
私も何か小さなものでも作ってみたいと思った。
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著者の子どものために小屋を作る過程を描いたノンフィクション。想像力を働かせるためなのか、最後どんな小屋ができたのか写真がなかったのが小屋好きとしては少し残念でした。
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本書は、経済的に余裕のある人が小屋づくりに挑戦した単なる趣味的なDIYエッセイではなく、困難な時代を生き抜く力があふれる6年間の軌跡です。
不器用な著者が、なぜ小屋造りへと突き動かされたのか? そのきっかけ、経緯、完成までが詳細に記録されています。
しかし本書の肝は、その小屋が出来上がっていく物理的な変化以上に、娘の成長の記録であり、周囲を巻き込んで一つ一つ困難をクリアし、行きつ戻りつしながら親も成長していく記録、まさに人生の縮図を著している点にあると思います。
シンプルに「娘に心の原風景を与えたい」という想いから、よくぞ頑張ったなと感心します。
これこそ「生きる力」ですね。変化の激しい今の時代に、生活をより豊かにしていくためにどうするかという課題へ、自ら考え、判断し、行動を起こして学んでいく‥、思い描く幸せの実現こそが、導き出した答なんですね。
ダンナさんとの関係性や娘さんへの接し方も素晴らしいですし、周囲に気心許せる仲間が多くいるのも魅力的で羨ましいです。
あやかりたいなと思いながら、一歩踏み出せない自分がいます。悲しい‥。
それでも、DIY(自分でやろう!Do It Yourself)をさらに進め、D(どうなっても) I(いいから) Y(やろう)という前向きな姿勢が、私たちに大きなヒントを与えてくれる一冊でした。