川内有緒のレビュー一覧
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元国連職員でパリの国際機関に勤めていた川内有緒氏の著書。自分が今まで読んだいわゆる「面白い本」には一つの法則があって、それはプロローグからすでに面白いという事なのだが、この作品も例外にもれず面白い作品となった。
著者の川内氏は国連職員時代の出張先バングラデシュで、「バウルの歌」の噂を聞くことになる。バウルとはバングラデシュや、インドの西ベンガル地方に住む吟遊詩人の事なのだが、地元の人でも詳しいことはよくわからないらしい。この訪問から数カ月後に国連を退職した川内氏は、知り合いのカメラマンと現地ガイドの3人で、バウルを探す約2週間の旅に出るのである。
実はこのレビューに、バウルについてもう少し -
Posted by ブクログ
題名と表紙に惹かれて読んだ。
5人の方の生と死。
その家族や友人の故人を見送るエピソード。
涙したり「ふふふ」と笑ったりしながら一気に読めた。
以前に読んだ何かの小説で、夫が「墓はいらない。葬式も年忌もやらなくていい」というのに対して妻が「お墓は故人の為でなく、残された者のため。お墓がなくてはあなたに会いに行けないし、年忌がなければばらばらな土地に嫁いだ娘たちが全員揃う機会がない」と答える会話があったことを思い出した。
弔うというのは、故人のためではなく故人の周りの人間たちのためなのかなぁ、と。
この本に登場する故人たちは、旅が大好きだったり、世界の山に登ったりといった自由に生きていた方々 -
Posted by ブクログ
6月目前の東京、梅雨の気配を孕んだ風を頬に受けながら、思考は熱気と土埃と人いきれのバングラデシュに飛んでいく。
ほんとうに素晴らしい本に出会った。
「自分を探す旅」と言うと酷く陳腐だけど、著者は意図せずして自分を見つけに行ったのだ。
バウルの歌に引き寄せられて旅をしながら、思考は過去(国連での仕事、学生時代の経験、そして父親のこと…)と現実の間を行き来する。
まるで鳥籠の中と外を気紛れに飛び交う「見知らぬ鳥」のように。
バウルに出会うには2週間では短すぎると言われた旅で、信じられないくらい多くの邂逅があった。
彼女が引き寄せたのか、バウルが引き寄せたのか、いずれにせよ出会うべくして出会っ -
Posted by ブクログ
ぬるま湯に浸かっている気がしている。やりたかった仕事のはずなのに。
この描写がまさしく私も同じことを今思っているところだった。彼女のように立派な仕事をしているわけではないが、やはりこのような悩みを持つタイミングってあるんだなと思えた。
履歴書の入社希望理由が、想像以上に自由で情で訴えてくるとかありなんだとか。気軽に転職をしようとしている人が世界にいるんだなとも思えた。
彼女は、努力家だねと言われるがそうじゃない、その場を生きるために必要スキルをその場その場で付けてきたのだ。をみて、そもそも動くと言うことが重要でそのために前もって頑張るよりも一旦動いて受かっちゃったらその場で頑張ろうと私も思えた -
Posted by ブクログ
ネタバレ読み終えてとても色んなことを感じた本でした。
美術鑑賞することとか、障害者と社会のこととか、表現することとか。
白鳥さんはとても淡々としてて、自分に与えられたもので幸せになる術を知っていて、楽しみたいっていう欲があって、その気持ちで人生を楽しめる人なんだなーと思った。すごく面白くて魅力的な人だと思った。その人柄に夢中になった一冊でした。
絶対に手に入らない欲は手放して(それは生まれつきの容姿とか、才能とか、そういうことにもいえる)周りの人たちとの愛おしい時間を大事にしたいと思いました。
目が見える方がいいっていうのは、目が見える人側のエゴなんだね。
余談ですが私も星野源さんのファンなので、 -
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Posted by ブクログ
全盲の白鳥さんと美術館をめぐるお話。
読む中で、自分の中にある障がいを持つ人に対する差別を感じてしまった。
障がいのことを知って、分かった気になる怖さというものも感じた。手前の知識ではなくて、その先にある共に居られる、笑いあえる世界を想像していきたいと思ったり。
本の中で紹介されていた、風間サチコさんの作品(木版画?)がとても印象的で、近くで展示会があれば行ってみたい。
以下メモ
・当たり前だけどさぁ、全盲の人でも感覚が鋭い人もいるし、そうじゃない人もいるんだよ。運動神経が良い人もいれば、音楽の才能がある人もいる。
・「見えない人」が隣にいるとき、普段使っている脳の取捨選択センサ