川内有緒のレビュー一覧
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バングラデシュで言い伝えられている伝説の吟遊詩人・「バウル」を求めに旅に出た著者の話。
記録もない。歴史的資料もほぼない。口伝で伝わる世界無形文化遺産であるバウルの歌。「本物のバウルの歌」を聞くためにバングラデシュの街から村、祭りや聖者廊をカメラマンの友人と、現地の仲間と旅をする。旅をする中で、バウルはただ歌い手なのではなく、その裏の哲学を伝える人であることに気づいていく。
文面からバングラデシュの喧騒、香り、ほこりっぽさ、カレーの味などが事細かに伝わってくるリアルさに取り憑かれて、一気に読み進められた。「バウルはどんな人たちなの?」「なぜ子供を作らないの?」など色々な疑問をひとつずつ解決 -
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アーティスト蔡國強といわきに生まれ育った志賀忠重というふたりの男性の人生とその友情を描いたノンフィクション作品。
1人にフォーカスするのでなく、それぞれの人生とその交わりが描かれていたのが良かった。
蔡國強がいわきでアートプロジェクトを実施するにあたって掲げたフレーズ「この土地で作品を育てる/ここから宇宙と対話する/ここの人々と一緒に時代の物語をつくる」は、彼にとってアートがどういうものかをよく表している。ふつうに生活をしている中で、宇宙と対話するというスケール感を持つことは難しいけれど、それを可能にするのがアートなのだと思う。ことばにできないことや、ことばになる前のなにかを、身体で感じ取るた -
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現代美術界のスーパースター・蔡國強さんと
いわきの会社経営者・志賀忠重さんの三十年の交流を追った、ノンフィクション。
蔡さんといえば、北京オリンピックの開会式では
芸術監督として壮大なスケールの花火パフォーマンスを行なった方。
あー、あの花火、素敵だったな。
冒険家の大場満郎さん、いわき市民など
この本に登場した人たちは、みなさん、すごいパワーを持っている。
肩ひじ張らずに自然体だ。
2011年、東日本大震災による
福島第一原発の原子力事故。
p276
「福島はフクシマになった」
山に桜を植える「いわき万本桜プロジェクト」
p337
志賀さんの言葉。
「お客さんに来てもらうためではないん -
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中国人の現代美術家蔡國強氏と福島いわき市との繋がり、特に志賀氏との個人的な繋がりを描いたノンフィクション作品。
東北大震災、原発問題もテーマの柱としてストーリーが進んでいく。
中国と日本との繋がり、911と震災との繋がりと、ドットが結びつく過程をモチーフとしてうまく取り上げている。
個人的には蔡氏も志賀氏も、いわき回廊美術館のことも知らなかったので、この本を通じて自らが知らない領域に導かれる心地よさを感じながら読み進めることができた。
そして人生を大きく、太く生きている人の人生観は興味深い。
ノンフィクションの場合、テーマ選びがとても重要だと思うのだが、著者が海外で生活し、勤務した経験がある -
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中国人芸術家の蔡國強氏と、友人で共同制作者でもある志賀忠重氏のお話し。川内作品は何冊か読んでいるが今回もまたプロローグから面白い。
本作を読むまで全然知らなかったが蔡氏は世界的なアーティストで、美術界のオリンピックと呼ばれているヴェネツィア・ビエンナーレで国際金獅子賞を受賞しているそうだ。たしかに沢山のオオカミが宙を舞う作品「壁撞き」は自分も見たことがあった。
そして蔡氏を無名の頃からサポートし続けている志賀氏は、芸術家ではなくいわゆる市井の人なのだが、親分肌で非常に使命感が強い人物である。たまたまテレビで見た冒険家に資金を援助し、資金援助だけではなく実際に北極まで物資を届けに行ってしまっ -
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この本を読んで少しでも感動した時点で、本当の自分を知りたいとか全ての事象にもっと寛容になりたいとか余裕を持ちたいとか、何ならバウルの様に生きてみたいとか、今の自分からは到底辿り着けないものを望んでるのは確かなんだと思った。だってそんな思いにふけっていたら今の日本での豊かな生活は不可能だし、もし両立させたとしたらそれは多くの矛盾を孕むから。
読みながら内面の旅へ誘ってくれる本で、いつの間にか読むのを止めて何か考え事をしてる事が時折あった。この本を読んで小さいけど確実な変化は、今後の人生は今自分が望むものと生活の矛盾と葛藤しながら生きる修行が始まったと言う事だろう。
ちなみに元国連職員として様々 -
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解説で高野秀行さんが、「酸欠になった肺に新鮮な空気がいっぱい入ってくるような爽快感」と書いている、まさにその通りの読後感だった。これ見よがしの感じが全くない自然な書きぶりが好感度大。お気に入りの一冊になりそうだ。
「パリの国連で夢を食う」を読んだとき、この方のスーパーな経歴や、それをまたあっさり捨ててしまう度胸の良さに驚いたものだが、この本で書かれている旅も「普通」からはほど遠い。観光地とはとても言えないバングラデシュに、ちょっと興味を持った「バウル」を探しに行く。連れは男性の友だち(川内さんには夫もいるのだが)。
本当におもしろいと思うのは、そういうことをなんでもないようにごく自然に行動