坂井希久子のレビュー一覧
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ネタバレ初めて手に取った作家。
浅草の芸者として生きる地方(三味線や唄)の真白、立方(踊り)の美鈴、半玉(見習い芸者)のきよ鈴の三人の生き様の物語。
幸田文の花街を舞台とした物語をイメージしたけれど、いい意味で裏切られた。芸者という芸に生きる人たちのお仕事小説だった。
時代の流れ、コロナ禍、伝統文化への無理解、芸者の生きる世界は狭く、窮屈なものになっている。
敢えてその世界へ身を置いた三人は其々の理由で覚悟を迫られる。
独特の世界かもしれないが、お座敷、三味線、長唄、踊り、元芸者の真白の母の営む喫茶店、時代が止まっている様な雰囲気を感じた。
其々に作法が、しきたりには理由がある。
ページを捲るのが面白く、知らない世界を知れて楽しかった。 -
Posted by ブクログ
自分の父親が登場人物たちと同年代なので、他人事とは思えなかった。
私も自分の将来が心配になることはあるが、この世代の男性はまた違ったかたちで将来に対して不安があるのだと思う。
男性特有のプライドは厄介で、年齢が上がるほど拗れてしまうのだろう。(お父さんごめんなさい)
その時代の犠牲者でもあるだろうし、ある意味可哀想なのかもしれないが、今の時代に合わせていく柔軟性は自分自身で培っていくしかない。
とはいえ、自分も違うかたちで時代の影響を受けているはずなので、令和の価値観と自分にとっての大事な価値観をバランスよく受け入れられるように生きていきたい。 -
Posted by ブクログ
今回何より嬉しかったのは、前作を読んだ者にとって、とっても懐かしい面々にまた会えたことである。特にお勝姐さんが良いタイミングで再登場してくれた時は、心の中で「待ってました!」と叫んだ。死んだ弟をいつまでも想ってくれるお妙にはありがたく思いながらも、新しい幸せを見つけて欲しいとも願うお勝姐さん。そんな彼女の思い遣りが切なく、痛くて温かい。
相変わらずお妙に鼻の下を伸ばす男連中と、その気持ちを知ってか知らずか、恥ずかしげに、それでいて胃袋はしっかり掴んでいるお妙の強かさ。
そんな居酒屋の周りには、不穏な事件があったり無かったり…とにかくいつも賑やかである。
季節は夏。おろしきゅうりと蛸の和え物を称して「翡翠蛸」という、なんと美しい名前だろう。関西では土用に蛸を食べる風習があるが、そんな夏の食文化が江戸の空気感と重なって瑞々しく伝わってくる。作中によく登場する「麦湯」は身体の熱を冷ます働きがあり、次に出てくる「真桑瓜」の素朴な甘みとともに、当時の人々の暮らしの知恵や夏の情景が五感を通して心地よく残った。
江戸では天麩羅をごま油で揚げるのだな、と改めて実感。ごまの栽培が盛んになり搾油技術が向上したという歴史的背景も透けて見えて、当時の食文化への興味がそそられた。 -
Posted by ブクログ
居酒屋ぜんや シリーズ1-8
江戸の火事で良人が残してくれた「ぜんや」が焼ける。どさくさに紛れての只次郎の告白?!おお、スッキリしたーと思いきや、火事でお妙の幼き頃の記憶が蘇り、何だかなぁ。悲しい。辛い。
只次郎の卵がゆの気持ちが心に染みた。
おえんと姑の話も心に残った。
自分以外の誰に対しても、たとえどんなに近しい人にも、自分の気持ちや考えは言葉で表さないと伝わらないんだなーと再確認した。やっぱり、世の中そうそう根っからの悪人や意地悪な人っていないと思う。悩みの多くは大抵勘違いだと思ってる。甘い考えか。
絵描きの勝川春朗が出てきて驚いた。羨ましい。
鰤大根、粕漬け卵、小芋の柚子味噌煮、豆腐饅頭、羅漢汁、胡椒飯、みぞれ鍋。
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