あらすじ
ヒット作『妻の終活』の著者が贈る最新の人情ドラマは「親の終活」
父が脳出血で倒れた。
折り合いの悪い父・時次郎と、この10年連絡すら取り合っていなかった42歳の篠崎明日美。実家からは勘当されとっくの昔に母に逃げられている時次郎にとって、一人娘である明日美は唯一の身内である。変わり者の父は16年前から「まねき猫」という立ち飲み屋を営んでいるが、医師には「回復後も麻痺が残る」と言われ、店に立ち続けるのは難しそうだ。「まねき猫」を閉めるしかないと考えていた明日美だったが、時次郎の友人で店の回転資金として300万円貸しているという「宮さん」によると、返済に関しては「『まねき猫』が続くかぎり無期限」ということらしく、簡単に閉店するわけにはいかず……。
果たして、明日美の選択は――。
※「せんべろ」とは:1000円でべろべろに酔える酒場などの俗称。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
ただの赤羽せんべろ小説ではなく、介護や貧困についても考えさせられる。
明日美を取り巻く状況を自分に置き換えながら読んでいったので、正直しんどかった。自分の生活もいっぱいいっぱいなのに、疎遠にしていた親を大事にとか、当たり前のように他人に言われるのが辛いね。求くんとの会話は本当にイラッとした。なんとかラストはいい感じに着地したので良かったよ。
Posted by ブクログ
人生のターニングポイントっていきなり来るんですよね、きっと
自分は幸い親にも恵まれ、妻や子供にも恵まれて居ますが、主人公の様な境遇だったらどうなっていたことやら…
絶縁していた父親の紡いだ縁がキッカケで親子が和解し前に進めて良かったです
Posted by ブクログ
音信不通だった父親が倒れたという連絡がきて、父親の介護や、経営していた居酒屋をどうするのか等々、諸々の問題に頭を悩ませることになる明日美。
幼い頃から、女の出入りの激しい父親に愛想を尽かし、さらには心に傷も負っている彼女には、介護も店の経営も受け入れ難いことだった。
こんなふうスムーズに介護問題も相続も片付けば世話はないという話ではあるが、テンポ良く読めた。キャラクターもそれぞれ立っていておもしろい。
下町の人情がまだ残っているところもあるのかと信じたくなる物語。
Posted by ブクログ
ジワジワと良さがしみ出してくるお話。
いろんな問題がここには書かれていますね。
ある人が、自分にとっては大嫌いでも、他の人にとっては素敵な人となりうるんですね。
素敵な胸にしみこんでくる物語でした。
Posted by ブクログ
懐かしい赤羽せんべろ横丁。おじさんだけでなく若い人たちが多くてびっくりしたが、コロナ後、賑やかさ取り戻したかなあ。そうした楽しい酔っ払いの人情噺かとおもったら貧困、介護のシビアでやりきれない現実。理不尽な現実に流されながらも立ち向かう明日美のような善人にはなれないな。父親そんな簡単に許していいの?「親と子の繋がりが、必ずしも美しいものであるとは限らない」
Posted by ブクログ
飲んべなので題名の「せんべろ」に惹かれて初読みの作家さん。折り合いが悪かった父親が倒れ、父が営んでいた居酒屋を手伝う羽目になった明日美。人情噺ではなく内容はシリアスで虐待や貧困、介護などの社会問題が描かれる。
Posted by ブクログ
赤羽の下町で育った明日美。父親は自分勝手な生き方を貫き、明日美にとっては大嫌いな存在。すっかり疎遠になっていたある日、父親が脳出血で倒れたと連絡が入り、急遽、大嫌いな父親と向き合うことになってしまう。
下町のせんべろ飲み屋で人情味がある人達と触れるにつれ、父親に対する気持ちや助け合いの気持ちが芽生えてくる。悲しいことや貧困や借金など悩みはそれぞれあるけれど、それを受け入れて、前へ進む話。江戸の長屋で暮らす人々の話の現代版かな(笑)読みやすいので、サクッと読めちゃう作品です。
Posted by ブクログ
42歳の明日美は、10年前に息子を亡くし離婚して今はコールセンターで働いている。
母が誰なのか記憶になく、飢えることはなかったが常に女がいた父とは没交渉のまま10年が過ぎていた…父が脳出血では倒れたと連絡がくるまでは。
医師からは、麻痺が残ると言われ働くのは難しいだろうと「まねき猫」を閉めるつもりで飲み屋に行ったところ…。
知らない女が店内に…
店の常連が運転資金として300万を「まねき猫」を続ける条件で貸していると聞き、借金を返すまでは続けるしかない状態になり…。
三食を満足に食べられない子どもたちを受け入れていることもわかり…。
そんななかで父の介護は…となる。
明日美は息子を亡くしてから人と深く関わらずに孤独の中で必要最低限の暮らしをしてきたが、父の傍にはいつも誰かがいて、助けたり助けられたりしていたことを知る。
人との縁を大切にしていた場所が「まねき猫」だと気づき、知らない間に馴染んでしまっていた明日美。
大きな問題を抱え込んでしまった…と思っていたが、気づいたら誰かが手を差し伸べてくれて面倒なことも相談できる人がいる。
慌ただしくも出会いがある限りやっていけるということは嬉しいことなのだろう。
Posted by ブクログ
介護、貧困の子供、QOL……
今時の話題がふんだんに詰め込まれている。
主人公の背負い混むものの多さに、途中は胸が苦しくなったが、最後まで読むとほっこりした。
Posted by ブクログ
義理と人情あふれる人間ドラマを堪能。
物語の舞台は飲兵衛の聖地『赤羽』。
お酒を飲まない私だが、次々と登場する美味しそうな料理と、ざっくばらんで温かな心根を持つ人達に触れるたびに一緒に飲みたくなった。
主人公は42歳の篠崎明日美。
折り合いが悪く疎遠だった父親が脳出血で倒れた事で、再び人生が交差する。
家庭を省みなかった父へのわだかまりが解けない明日美の気持ちに共感しつつも、父・時次郎の情け深さに胸がジンとする。
つくづく人間の多面性を感じる読書時間だったが、一期一会の大切さを噛み締める時間でもあった。
心温まる読後。
Posted by ブクログ
大阪弁しか書けへんと思ってたらずっと東に飛んで赤羽とは。いわゆる人情ものだけど、諸々の現代の課題も描かれてて、読後はみんな頑張って!って言う気になる。
Posted by ブクログ
10年連絡もない間柄だった父親が倒れたと連絡があった。40代バツイチで一人暮らしの明日美は、やむを得ず父の営む居酒屋「招き猫」に駆けつけるとそこには父を慕う従業員や常連客がいた。
女出入りが激しくて父親らしい事をほとんどしてこなかった父に今更情もわかずにいる明日美。冷たいようだけど、今までの関係性から考えると仕方ない。
だけど父の周りの人達は父を慕っており、店を続けていく。借金もあり仕方なく店を手伝ううちに、明日美は過去の辛い出来事を乗り越えていく。
過去の出来事から周りの人達と距離をおいていた明日美。でも店で働くうちに少しづつ気持ちが変化し、周りと打ち解けるようになる。
一人の女性の辛さを乗り越えるまでを描いた作品。すんなりと面白く読めた。
Posted by ブクログ
こども食堂や福祉など私たちがメディアから得ている情報は、実態とは違うものかもしれないと気付かされた。ただ傍観する立場の時には気づかない、当事者になって知る現実。深い内容が込められているが、重苦しくなくサラッと読み進められた。
Posted by ブクログ
実の娘には冷たかったのに他人は助けていた父親。そんな父親を慕い、まねき猫は繁盛している。が、明日美の気持ちを思うと求や常連の男どもにはイライラさせられた。親子なんて何があるか分からないのだから容易に立ち入るべきではない。ただ、それでもそんな周りの人たちに囲まれて明日美はなんとか生きていく。明日美1人ではきっと潰れていたと思う。結局人は周りに支えられているんだなあ…