坂井希久子のレビュー一覧
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新シリーズ 第3
18歳になった熊吉は「龍気補養丹」の売広所を設けるため若旦那のお供で上方まで行き、上首尾の結果をもたらした。
養い子故に、養い親の只次郎・お妙夫婦に、気を使いすぎていたお花も、少しずつではあるが、自分の居場所を確立しつつあった。
押し込み未遂騒動に巻き込まれた俵屋。
女中の機転で、事なきを得たが、その戝は、熊吉の声色を使ったと言う。
声色を使う七声の佐助という芸人が浮かび上がったが、似顔絵を見て、最近「ぜんや」によく来る客だと知れる。
そんな頃、お花がお使いの帰りに、自分を捨てた実の母親から声を掛けられる。
なんとなく、胡散臭い母親の出現が、不気味。
熊吉が、随分成 -
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江戸彩り見立て帖 シリーズ2
右近の正体が、呉服屋「塚田屋」の妾腹の三男坊だとわかった。
その「塚田屋」で、色見立てをはじめたお彩。
右近は、お彩を高く買っているが、お彩自身、自分に自信が持てない。
そんなお彩だが、客が、色見立てを気に入ってくれるにつれ、だんだんと、仕事に魅力を感じ始めた。
その矢先「塚田屋」の主人が、お彩に、難題を持ちかけた。
「新たな流行り色を作れ」
もし、できなかったら、お彩は、塚田屋を辞めて、その上、目の敵にしている、右近を江戸から追い出すと言う。
目を失って、自暴自棄になっていた、お彩の父親も、右近のお陰で、前向きに生きるようになった。
飄々とした、京男の右 -
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坂井希久子『妻の終活』祥伝社文庫。
家族と夫婦の小説。もしも、昭和の男の代表格のような夫が妻に先立たれたれるとしたら……
主人公の一ノ瀬廉太郎の考え方はよく理解出来るし、それ故に陥った状況もよく聞く話だ。
帯には『感涙必須の傑作!』とあったが、そこまでの作品ではなかった。蛭田亜紗子『エンディングドレス』、伊吹有喜『四十九日のレシピ』に比べると……
70歳を目前に嘱託として会社に人生を捧げ続けて来た一ノ瀬廉太郎は、42年連れ添った妻の杏子が末期癌で余命1年を宣告され、愕然とする。
家庭を省みることなく仕事一途で、家庭のことなどは全て妻に任せ切りだった廉太郎に炊事や洗濯など出来る訳もなく -
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ネタバレ5つの短編集。17歳という子どもと大人の狭間にいる少女たちの物語。(そもそも、「少女」という言葉は何歳の女性まで使っていいのだろうか。でも、20歳過ぎたら大人の女性だしな。あ、成人は18歳になったから、18歳以上は大人なんかな)
この5編、それぞれ地方で生きる主人公たちで、方言がたっぷり入っている。作家さんは方言を調べ尽くすのだろうか?東北の言葉とか、けっこう難しいと思うけど、博多弁も難しいと思う(関西人の感想)。
でも、その方言がね、地元で生きてきた人間が、地方に残るべきか、それとも都会や他の地域へ行くべきか、将来の進路に悩む姿にリアルさを増し加えていると言える。
また、この短編のタイトルは -
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オジサンの嫌なところ、自分に活気が漲っていた時代と今の時代の価値観の齟齬でもがく姿を目の当たりにした。
この作品では男性のそういうところに焦点が当たっていて、女性は比較的前向きだったりいい意味で強かに描かれているけど、生きづらさというのはポイントが違うだけで、誰もがもがいているのだと思う。
オジサンの嫌なところ、とはいったものの、誰もがその人なりに一生懸命に生きているのに、環境や価値観、容姿など色々なもののタイミングが違うだけで、自分も含め簡単にこの人たちになり得るのだということにぞっとする。
自分は幸い、理不尽なセクハラに遭うことも若者に絡まれることもなく、田舎で平和にオバチャンになっ -
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他の本の最後に紹介されていて、雨の日が続いていたり、自分自身もちょっと「一回お休み」と言う気分だったので、手に取った一冊。
しかし。
いや~、昭和のおじさん全開の中年男性の悲喜こもごもを描いた中編短編集でびっくり!
タイトルのイメージと内容が全然違う!
そして、1作目のセクハラ親父の強烈さ。
他の方のレビューにあったけど、1作目で止めたくなる気持ちがよく分かる。
女性軽視、男性ならば許されると言う勝手な思い込み。
バブル入社組のありがちな無意味な上から目線・・・
思い当たることが盛沢山過ぎて、確かに読むのがしんどくなる。
だけど1作目を乗り越えると、少しクールダウン。
それでもおじさん達の勝手 -
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「江戸彩り見立て帖」シリーズ2作目。
お江戸のカラーコーディネーターの仕事ぶりは?
貧乏長屋に住むお彩は、摺師の父の仕事を見て育ち、錦絵が大好き。
ひょんなことからお彩の才を見出した京男・右近の正体は、呉服の大店・塚田屋の三男坊だった。
店の主人・刈安はその異母兄で遊び人、口が悪く、引き合わされたお彩を意地悪く問い詰める。
何が出来るという自信も元からないのに、店の番頭はお彩を睨みつけてくるし、何かと気を遣うのでした。
右近は妾腹で跡取りでもなんでもないのだが、実質的には店を切りまわしている様子。
本音のわからぬ笑顔でのらりくらりと語る右近の言うことは素直に信用できないお彩だが、酒浸りだっ -
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「居酒屋ぜんや」シリーズが人気の坂井希久子さんの新シリーズ。
貧乏長屋に住むお彩は、子供のころから絵に馴染み、色彩感覚が抜群。
自分ではあまり自覚していなかったが…
父が摺師で、自宅兼工房に弟子たちも抱えていたが、火事ですべてをなくし、目まで見えなくなったため、酒浸りに。
弟子たちはいっせいに出て行き、お彩のいいなづけも去った。
父を一人で支えて奮闘するお彩でした。
ある日、京ことばを話す謎の男・右近に才を認められ、色の見立てを仕事にしないかと勧められます。
そんなことが仕事になるのかと、うさん臭さを感じ反発しつつも、何度かの機会をこなしていくお彩。
江戸っ子気質の上に苦労を重ねたからか、 -
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居酒屋ぜんやの新シリーズ第2弾。
今回は、いよいよお花と熊吉がダブル主人公として舞台に独り立ちした感がある。
お花はまだちょっと頼りないけれど、熊吉はずいぶん仕事のできる男だったのだなあ〜
お妙はすっかり母親役が板についたような気がする。
只次郎は、今回は鶯のことよりも経営コンサルタントである。
主人公を若手に引き継いだのだから、出番が減るのは仕方ないですね!(笑)
前のシリーズは、常に暗い影がチラついていたけれど、「花暦」は若くて前向きなパワーが感じられます。
どうかすると厄介者だったお銀婆さんが意外とね、人をよく観る人生の先達者みたいになっていた。
『荒れもよう』
寛政十一年文月
若
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