坂井希久子のレビュー一覧
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10年連絡もない間柄だった父親が倒れたと連絡があった。40代バツイチで一人暮らしの明日美は、やむを得ず父の営む居酒屋「招き猫」に駆けつけるとそこには父を慕う従業員や常連客がいた。
女出入りが激しくて父親らしい事をほとんどしてこなかった父に今更情もわかずにいる明日美。冷たいようだけど、今までの関係性から考えると仕方ない。
だけど父の周りの人達は父を慕っており、店を続けていく。借金もあり仕方なく店を手伝ううちに、明日美は過去の辛い出来事を乗り越えていく。
過去の出来事から周りの人達と距離をおいていた明日美。でも店で働くうちに少しづつ気持ちが変化し、周りと打ち解けるようになる。
一人の女性の辛さを乗 -
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ネタバレ料理をテーマにしたアンソロジー。
柚木麻子さん『エルゴと不倫鮨』…安定した著者の「反権力(=男性)」「女たちの結束」鉄板ネタ。安定した漫才を見ているよう。
伊吹有喜さん『夏も近づく』…一番飯が美味そうだった。柚木さんの後に「義姉から性的虐待を受ける少年」が登場するので、並びとして良い。
井上荒野さん『好好軒の犬』…文学的。悪い犬じゃないんだよ、かわいそうな犬なんだよ が無意識的な嫌味、斜めな見方。おもしろかった。
坂井希久子さん『色にいでにけり』…金平糖の着色や和菓子の着色。江戸時代の話。粋。
中村航さん『味のわからない男』…こういう芸能人、いそう。リアル。
深緑野分さん『福神漬』…表現がうま -
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ネタバレおそらくバブル世代くらいのガムシャラに頑張ってきた男性が時代の流れに翻弄され、考えを変えていくストーリー。一話目は、セクハラに頑張って対応しようとしていたものの、現実はさらに変わっており、男性社員から訴えられるというもの。二話目は女性の後輩社員に抜かれた男性社員の話。三話目は仕事に没頭しすぎて離婚した性のみが最後のプライドとして残ってる男性。四話目が、就職氷河期のため、まともな就職ができず、ネット社会にストレス発散を求める男性。五話目が定年後の生きがいがなく、自分の価値を自己満足な世直しに求める男性。いずれも自己肯定感を、こじらせた結果、自身ではなく、外に求めることにより、ピンチを迎え、変わる
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はじめての作家さんの本。
短編5作品。
セクハラを注意された課長、誰が!?
定年を控えてすっかりモチベーションがなくなった部長、全ては後輩の女性に役員出世争いに負けた結果?
役職定年から荒んだ生活を送る男は、娘のために…
四十代の派遣社員は、ネットで女子高生を語るが…
定年退職後に誰からも必要とされない男性
なんだかサラリーマンの悲哀に満ちた作品でした。
仕事、と言う言葉が全ての免罪符になっていた時代、がむしゃらに働き続けた男たちが、今の時代にマッチできなくて居場所も自己肯定感も抱けず、といったやるせない感じ。
これ、人ごとでないなあ。。 -
Posted by ブクログ
無自覚ハラスメントおじさん、ぶつかりおじさん、アル中、風俗狂い、正論暴言などなど、色んな拗らせおじさんたちのお話。
全員共通して「こうはなりたくない」感が強いのに、本人たちは「自分は社会の嫌われ者ではない。自分はそうはならない」って思っている姿を見て、自分も側から見たらこのおじさんたちと同じようなものかもしれない、と思ったら怖くなった。
そう思えば、自分のダメなところと向き合って小さな一歩を踏み出したおじさんたちは、ちょっとえらいかもしれない、と感じた。
人はそう簡単には変われないけど、ちょっとしたきっかけで変わリ始めることもできる、そんな希望が残った…かな?
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