坂井希久子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
本当は、人間が自分たちは地球で一番偉いと思って、管理人気取りで他の生き物たちの居場所をどうこうしようとしていることが一番問題なんだろうけど…
そんな大風呂敷を広げたところで全く現実的ではない。
人は、身近で手の届くことから関わっていくことしかできないのだ。
医学部志望のはずが、一浪してやっと一つだけ受かった獣医大に入った玉置翔(たまきかける)は、動物に対する周りとの温度差について行けない。
空いた時間で「猫の世話をするだけの簡単なお仕事」というバイトに応募するが…
個人的な感想だけれど、犬好きの人たちに比べて、猫好きは引きこもりでコミュ障的な人が多いように感じる。
そんな人たちが人とのかかわりを少し広げて行けたり、猫と人の関係、人に管理されるしかないペットの、命と幸せについて考えたりする物語だ。
そして、自分の進むべき道に迷っている若者が成長するという王道でもある。
理想と現実の違い、頭でっかちで行動が伴わない学生、思い込みが激しすぎるボランティアなど、ちょっとした困りごともきちんと描かれている。
…こう書くと堅苦しいようだけれど、個性的な猫たちと、個性的な人間たちがたて糸と横糸になって織りなす、楽しくて温かい気持ちになれる物語。
翔の雇い主であり、“猫のいる喫茶店”『虹猫』の女主人・鈴影サヨリに寄り添う・黒猫のタイ、謎の美青年・ヒカルにしか懐かない白猫のアイ、臆病で極度の引きこもり、居るのに気付かれなかったサビ猫サビ子…
翔が世話を任された、荒れ放題の猫屋敷、東丸おばあちゃんのところの約40匹の猫たち、サヨリにぞっこん(死語)で、暑苦しくてかっこいい動物病院の院長・相田先生、翔の憧れ、同じ大学の一年生・桜子ちゃん、地域猫の保護活動に力を入れるオバサン・伊澤さんなども、それぞれ個性的。
個人的には、すぐに貰われて行ってしまった、貫禄があるデブ猫・豚丼が気になる存在でる。
そして、読み終わった日、ナポリタンを作りました! -
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「居酒屋ぜんや」シリーズ、第4弾。
お妙の身辺に暗い影を落としていた駄染め屋の事件が一段落して、ぜんやにも明るさと落ち着きが戻ってきた。
これでまた、読者としても安心して、お妙の料理の数々を想像の世界で味わうことができる。
今回も、豆腐尽くし鰹尽くしに、唾液腺が痛い!
しかし、只次郎にとっては、一難去ってまた一難?
恋敵の登場にやきもきし、林家のドル箱であるルリオの後継をめぐっての、周りからの重圧も悩ましい。
がんばれ、非力な武家の次男坊!!(笑)
そんな中、“かるめいら”という和スイーツがタイトルということで、子供がらみの話だろうとは思ったが、なんとも微笑ましいエピソードだった。
只次郎の姪・お栄の、可愛さと賢さに、これからも期待したい。
そして、草間重蔵は何者なのか?
駄染め屋のような悪い人間ではないと思うけれど、秘密はありそうだ。
『藪入り』
小さいころから親元を離れて奉公に出される少年たち。
藪入りは、待ちに待った里帰りのお休みだが…
江戸時代の男の子は若いうちからしっかりしているなあ、と感心しつつも、そんなに小さなうちから苦労して…と、ちょっとほろり。
『朧月』
主君をお慰めするために、鶯の美しい声を聞かせたい、という柏木。豆腐が好物。
『砂抜き』
酔っ払い武家乱入であわや刃傷沙汰?!というところへさっそうと現れた、強い浪人。
何者なのか?
『雛の宴』
お妙が浪人者を用心棒に雇ったことで、自分の頼りなさを実感して落ち込む只次郎。
にわかに剣術の稽古を始めたが体がなまっている。
姪のお栄が、ひな祭りのお祝いに祖父の柳井殿を呼んだ。
『鰹酔い』
妻の志乃が子供を産んでから、升川屋は、仕事以外の飲み歩きを控えているが、初鰹を三尾持ってきて、内祝いをしたい、と旦那衆を呼び集めた。 -
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ネタバレ単行本を文庫化する時全く違うタイトルに変えられるのが好きではない。この本も単行本の時は「迷子の大人」って全然ちゃうやないか!…と本を探す時は思ったのだが。
改題は正解だったと思う。確かに「迷子の大人」が主人公なんだけど、物語の雰囲気は実に「恋するあずさ号」なのである、しかもこのあずさ号特急なのかどうか分からんくらい、いらんとこに停車し、寄り道し、時には事故に会い…文庫化にあたって書き加えられた最終章によると、どうやら終着駅にはたどりついたようだが、途中迷走しまくる(ということは単行本当時のタイトルでもエエのか?)
解説にもあったが、主人公梓の行動は戴けない部分も多く、実在したらこういうヤツは嫌いなんだが、この小説は主人公の魅力で読ませる本ではない。かといって主人公の思い人もムッサイケてるわけでもなく…。実はこの小説、脇を固める人々がとてもいいのである。とりわけ年上と年下の女友達がすごくいい。彼女らがいるから読ませる小説。
そして、小説の大切な舞台となる高遠町がこれまたなんともいいのである。南アルプス登山の際にほんのちょっとだけ立ち寄ったことがあるが、次はゆっくり滞在してみたいと思わせるところ。桜の季節が有名みたいだが、出来れば冬に行ってみたいなぁ。 -
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人情モノという点で言えば,本作が一番のような気がする。
今作もハズレなし。とても面白かった。さっそく次巻を読まねば。
あらすじ(背表紙より)
寛政三年弥生。預かった鴬を美声に育てて生計を立てる、小禄旗本の次男坊・林只次郎は、その鴬たちの師匠役となる鴬・ルリオの後継のことで頭を悩ませていた。そんなある日、只次郎は、満開の桜の下で得意客である大店の主人たちと、一方的に憧れている居酒屋「ぜんや」の別嬪女将・お妙が作った花見弁当を囲み、至福のときを堪能する。しかし、あちこちからお妙に忍びよる男の影が心配で…。桜色の鯛茶漬け、鴨と葱の椀物、精進料理と、彩り豊かな料理が数々登場する傑作人情小説第二巻。 -
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女子マラソンのオリンピック代表に選ばれながら、妊娠が発覚しバッシングを受けながら娘を産んだ峰子。彼女は離婚を経てまたマラソン競技へ戻ろうとするが…
自分の信じた道を行こうとして、何度も惑いながら、それでもずんずんと前へ前へと進んでいく「強い」主人公、峰子の姿に引っ張られるままに、あっという間に物語のゴールへとたどり着きます。爽快感、がまず後に残る清々しいお話です。
といっても彼女の道は苦難ばかりで、まったく理不尽なものも少なくない。それでも、大切な娘や親、ライバル、コーチたちの支えを得て、彼女は進んでいく。いっしんにゴールを目指していく。
そんな芯のゆるがない彼女の姿は時折痛々しいほどだけれど、それでも、ゴールの果てを目指さざるを得ない。その果てを超えないと、自分が未来へと、これまでの自分自身ではない自分へ変わってゆけない。その真摯さが、ひたすらまぶしく、時折うらやましく思いました。
マラソンを描いた物語ですが、スポーツ物というよりも、ひとりの女性の生きかたを描いた話として、とても心に残りました。 -
Posted by ブクログ
かなり前のことになりますが、夫の転勤で関東地方に住んでいたことがあります。
大阪出身と言うと、「大阪弁じゃない!」、「浜ちゃん(ダウンタウン)としゃべり方が違う!」と言われること度々。
さらには、大阪の人の挨拶は「もうかりまっか?」「ぼちぼちでんなぁ」なの?等々。
若かりし頃、東京に遊びに行ったとき、友人と大阪弁でしゃべっていると視線を感じたし…
東京で就職した友人が帰省したさい、標準語でしゃべっていてビックリ。
大阪弁は肩身が狭いと言っていたっけ…
ダウンタウンが売れて、吉本印天然素材が売れて…
大阪弁はとてもメジャーになったと勝手に思っています(笑)
その一方で、大阪弁のイメージが独り歩きしてる、と感じることも。
祖父母が使っていた大阪弁の中には現在は使われなくなってきているものも多いし…
と、この本とは関係のないことを書いてしまいました。
というのも、この本、こてこての大阪弁で書かれています。
ちょっとこてこて過ぎると思わないこともないのですが…(笑)
この本の舞台は大阪、新世界の北端にある北詰通商店街。
主人公のセンコの実家はこの商店街で「ラーメン味よし」を営んでいる。
おせっかいでうっとおしい近所のおっちゃん、おばちゃん。
そうそう、大阪のおっちゃん、おばちゃんってこんな感じやったなぁ~
と、子どもの頃を懐かしく思い出しました。
中盤からどんどんひきつけられて、最後は涙腺が…
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