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伝統あるマルヨシ百貨店に勤める美由起は、最上階にある大食堂のマネージャーに就任した。しかし、長年愛されていた大食堂は時代の変化とともに廃れ、存続の危機に直面していた。状況を改善するため社長が都会から連れてきたシェフの智子は、大食堂の昔ながらの味を否定し、現代風に変えようと試みる。美由起たち従業員はそんな智子に反発しながらも、思い出の詰まった大食堂が再び輝きを取り戻せるよう、少しずつ改革をはじめて――。美味しい料理と懸命な奮闘に勇気をもらえる、お仕事グルメ小説!
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Posted by ブクログ
久しぶりに巡り会えた良書! うまく行きすぎてない様々な人生を歩む人達が集まる職場。それぞれのキャラが立って無理がないストーリー運び。 こんな職場の一員になれたら幸せですね!
王道の逆転物語 一人一人の力は素晴らしいなと感じた作品 食堂で出てくるメニューが美味しそうで気になる
あなたは、『百貨店』『最上階の大食堂』と聞いてどんなイメージを思い浮かべるでしょうか? このレビューを読んでくださっている方の年齢はマチマチです。『百貨店』と聞いてそこに浮かぶイメージもさまざまでしょう。『百貨店冬の時代と呼ばれる昨今、各地の名店が破綻し、大手同士が統合して生き残りを図る』、そんな...続きを読む動きが全国各地でおきてもいます。そんな中では、『必要に迫られて耐震工事やリノベーションは施されて』も、『全体的に昭和のにおいがする』建物には手を付けられず…という状況もやむを得ないのかもしれません。 そんな『百貨店』と言えば『最上階』に『大食堂』が設けられているのが一つの特徴でもありました。そこには、こんな光景が広がっているかもしれません。 『元号が昭和だったころから変わらない大理石模様のテーブル、座席番号を示す銀色のスタンド、つまみを摑んで持ち上げるタイプの古い箸立て』。 今の時代にあっては、それらを『クラシカルな雰囲気』という一言で説明することもできなくはないかもしれません。しかし、『時代と共にマイナーチェンジ』ができなければ、それは『怠慢ね』の一言で片付けられてしまうものでもあるのだと思います。 さてここに、オープンして『もう四十年以上』という『百貨店』の『大食堂』を舞台にした物語があります。『大食堂』ならではのメジャーな”食”が多々描かれるこの作品。そんな『大食堂』をまとめる『マネージャー』視点で描かれるこの作品。そしてそれは、存続の危機に直面する『大食堂』の裏側でそれぞれの”お仕事”に情熱を捧げる人たちの姿を描く物語です。 『時間なので、お先に失礼します』、『ああ、はい。お疲れ様です』と、『ずいぶん歳上』の『ベテランパートたち』に声をかけるのは主人公の瀬戸美由紀(せと みゆき)、三十八歳。『この大食堂のマネージャーになってまだひと月という心許なさもあり、スタッフにはそれなりに気を遣う』という美由紀は、一方で『午後六時半のラストオーダーが過ぎ、人員はもはや少数でいい』と一人で残るホールを見ます。そんな時、『お願いしまーす』と『副料理長の中園敦の声がして、カウンターに湯気の上がる皿が置かれ』ます。『昔ながらの、卵でチキンライスを包んだ』『出来たてのオムライス』を『お待たせいたしました』と『ラストオーダーぎりぎりにやって来た女性客』にサーブする美由紀。『待って』、『あなたがマネージャーの、瀬戸さんね』と言う女を『あらためて見ても、知らない女だ』と思う美由紀。『この食堂は、いつからあるの?』と訊かれ『当食堂のオープンは一九七六年ですから、もう四十年以上になります』と答える美由紀に『へぇ。どうりで古めかしいはずね』と『妙に棘のある言い回し』をする女。それに『どうぞ当店のクラシカルな雰囲気をお楽しみください』と答えると『クラシカル、ねぇ』と言う女に『もういいわ』と『手で追い払われ』た美由紀。 場面は変わり、『開店十分前』『簡単な朝礼を行う』中、『若社長』と中園が呟きます。そこには、『こんな所にはめったに姿を現さない』『マルヨシ百貨店三代目社長、村山翼』の姿がありました。『相変わらずよく日に焼けた、ホスト崩れのような風貌』の若社長は、『白い厨房服を身に付けた、四十がらみの女を伴ってい』ます。『その顔に見覚えがあるのに気づき』『目を瞠る』美由紀。『長らく料理長不在で皆には迷惑をかけたと思うけど、ようやくね、僕がスカウトしてきましたから。前場智子(ぜんば ともこ)さん。行きつけの、中目黒のビストロにいた人』と紹介する若社長に『前場です。よろしくお願いします』と挨拶する女を見る美由紀は、昨夕店に来た女に間違いないと思います。『その前は、都内の洋食店とホテルのフレンチレストランで修行をしていた』と、『誰もが知る老舗洋食店と、外資系ホテルの名を口にする』若社長。『大正ロマンの香りすら漂う老舗と、キラキラしたラグジュアリーホテル』、『なぜこんなところに。都落ちにもほどがある』と思う美由紀。そんな時、『待ってください。聞いてませんよ』と『不満の声を上げ』る中園。『前料理長の退職が二ヶ月前。それ以来ポストは空いていたが、副料理長の中園が引き継ぐものと思っていたし、厨房もそのつもりで回っていた』と思う美由紀。そんな中、『驚いたでしょう。僕が引き抜いてきたんだからね。感謝してね』と『得意げに顎を反らしてみせ』る若社長は『そんなわけだから前場さん、よろしくね』と言うと『今日も笑顔で頑張って』とその場を後にしました。そんな若社長を『あの』と追いかけた美由紀に『このところ、百貨店の売り上げが芳しくないのは君も分かってるよね。ここだけの話だけど、最近じゃ役員達の間で、大食堂はやめにしてこのフロアをテナント貸しに切り替えようという声が挙がっているんだ』と『突然の通告』をする若社長。『まぁ、僕は味方だから安心して。頑張ってね』と続けると『颯爽と行ってしま』った若社長。そして、『突如として現れた料理長、前場智子は不慣れな環境に萎縮するでもなく、「初日だから今日は、厨房の中を見させてもらうわ」と宣言し、腕を組んでじっとスタッフの働きを注視し』ます。『そうやって一日を過ごし、営業時間もそろそろ終わろうというころ』『「だいたい分かった」と言いながら』美由紀に近づいて来た智子は『マネージャーに副料理長、この後ミーティングをしましょう』と宣言します。そして、『まずは洋食から、メニューのてこ入れをしていきます』と『一方的に宣言』をする智子は、『昨日食べたオムライス、ちっとも美味しくなかった』と続けます。『この味が懐かしいって、長年通ってる常連さんもいます』と説明していた中園はその智子の言いように『てめぇ、ふざけんなよ!』と『椅子を蹴って立ち上が』ります。『なにしろ昨日のオムライスを作ったのは、彼』という中、『はい、ストップ、ストップ、落ち着いて』と仲裁に入る美由紀。しかし一方の智子は『そうね、まずはオムライスからてこ入れをしていきましょう』と『手を打ち鳴らし』ます。『てめぇに、なんの権限があるってんだよ』と怒る中園に『あるわよ。料理長権限が』、『若社長には、好きなようにやっていいと言われてる。だから私は、ここに来たの』と言う智子。『外食業者への業務委託はせず、自社経営』という『マルヨシ百貨店』の『大食堂』を舞台にした美味しい物語が描かれていきます。 “伝統あるマルヨシ百貨店に勤める美由起は、大食堂のマネージャーに就任した。しかし、長年愛されていた大食堂は時代の変化とともに廃れ、存続の危機に直面していた。その上、若社長が引き抜いてきた料理人の智子は、大食堂の味を片っ端から変えようとして…!?古き良き大食堂の未来はいかに?美味しい料理と懸命な奮闘が奇跡を起こす、お仕事グルメ小説!”と内容紹介にうたわれるこの作品。「小説推理」2020年4月号から9月号に渡って連載された後、2024年9月11日に文庫本として刊行されています。 そんなこの作品を読み始めた私にはすぐにピン!とくるものがありました。今までに950冊の小説ばかりを読んできた身には、読み始めて数分でおおよそその本が当たりか外れかを直感できる程には勘ができて来ていると思っています。そんな私がピン!と来たのは、この作品は間違いなく面白い!間違いなく当たり!というものでした。実際読み終えてもその勘が見事に当たったことに満足する読後を迎えてもいます。そうです。この作品には面白くないはずがないと言い切れる魅力ある要素がふんだんに詰め込まれているのです。では、順番に見ていきましょう。 まずは、舞台となる『百貨店』から見ていきます。 ● 『マルヨシ百貨店』ってどんなお店? ・『東京までは通勤圏内、歴史ある蔵の町』にある『六階』建て ・『私鉄の駅からは徒歩三分。かといって鉄道系の百貨店ではな』い ・『江戸期から続く老舗呉服屋系でもない。創業者である村山良三郎が昭和十二年に「良三郎商店」を立ち上げ、それを戦後株式会社化し、「マルヨシ百貨店」と商号変更した』 ・『食堂のオープンは一九七六年ですから、もう四十年以上』 どことなくあの街のことを言っているのかなと郊外の街のイメージが思い浮かんでも来ますが、いずれにしても『百貨店冬の時代』にあって苦戦する首都圏地方都市の昔ながらの『百貨店』のイメージが思い浮かびます。『百貨店』を舞台にした物語と言えば、村山早紀さん「百貨の魔法」が有名です。村山さんの作品では、この大切な場所がいつまでも輝き続けて欲しいと願いつつ『百貨店』のさまざまな部門で働く人たちの姿が描かれていましたが、この坂井希久子さんの作品では、「たそがれ大食堂」という書名からわかるように、そんな『百貨店』の最上階にある『大食堂』に光が当てられていきます。 このレビューを読んでくださっている方の中にも『百貨店』の最上階にある『大食堂』という説明でイメージできる記憶をお持ちの方も多々いらっしゃると思います。この国が今に続く発展を遂げていく中でそんな言葉でイメージされる場も記憶の中の存在となって久しいと思いますが、この作品はそんな『大食堂』を”食”と”お仕事”という二つの側面から、その魅力たっぷりに描いていきます。 順番に見ていきたいと思います。まずは、”食”からです。表紙に大きく描かれたプリンが期待をもたせてくれますが、この作品は”食”の描写が前面に出た作品です。とは言え、”食”を取り上げた作品はそもそも大人気であり、巷に溢れかえっている状況もあり、今では何を取り上げるかが勝負と言えると思います。そんな中でこの作品が取り上げるのは『百貨店』の最上階にある『大食堂』で提供される料理の数々です。昨今、『百貨店』がどんどん姿を消していく中にあって『大食堂』という存在自体、絶滅危惧種とも言えます。一方でそんな『大食堂』で出される料理は多彩であることが要求されます。そんな中から冒頭の短編で描かれる『オムライス』の作り方と食レポを見てみましょう。 ● 『大食堂の新オムライス』の作り方&食レポ! ① 『具はあえて、現状のレシピのままにしてみました』と、『鶏胸肉、タマネギのみじん切り、マッシュルーム』を用意する智子。 ②『卵は一人につき二つ。泡立て器でしっかりと混ぜ、笊で濾してカラザを取り除く。そのひと手間に目を瞠り、文句を言っていた中園もひとまずは口を閉じ』ます。 ③『バターはたっぷり。フライパンに卵液を流し入れるとたちまちじゅわっと音を立てて膨らむ。智子の右手には菜箸が握られているものの、左手でフライパンを揺するだけで中身が流動し、かき混ぜられたようになってゆく』。 ④『智子はまだ半熟すぎるのではないかと思われる段階でフライパンを揺するのをやめ、残っていたチキンライスを卵の向こう側半分に載せた』。 ⑤『あとは神業だ。フライパンの底を五徳に軽く打ちつけてから、握った拳で柄をトントンと叩いて卵を巻いてゆく。まるでオムライスがひとりでに躍って形をなしてゆく』。 ⑥『フライパンに赤ワインを注いだ。それを火にかけてアルコールを飛ばし、ケチャップを入れて延ばしてゆく』→『従来よりも赤みの深いソースがぱつんと張ったオムライスのお腹にかけられて、ますます食欲をそそる色味になった』。 食レポ: 『ひと口分を崩し、頬張ってから美由紀は目を見開いた。「んー!」もはや言葉にならない』。『美味しい!…ケチャップライスに半熟の卵がとろとろ絡んで、一体感がありますね』 誰もが知る『オムライス』が出来上がっていく様子ですが、頭の中にイメージが自然と浮かび上がってきます。また、食レポはシンプルではありますが、この短い言葉の中に心の声が凝縮されている分、美由紀の思いがストレートに伝わってきます。物語では、その先も、章題そのままに〈懐かしいプリンと虹色クリームソーダ〉、〈仲直りのエビフライ〉、そして〈追憶のナポリタン〉というように、いかにも『大食堂』で供される”食”の数々が、智子の力で生まれ変わっていく様子が描かれていきます。 ”食”を取り上げる作品にはさまざまな方向からその魅力を描き出していきます。例えば、リアル世界に実際するお店の”食”をそのまま取り上げる原田ひ香さん「ランチ酒」、ファンタジーどっぷりな物語の中に夢見心地で”食”を描きだす望月麻衣さん「満月珈琲店の星詠み」、そしてこの作品の作者である坂井希久子さんにも江戸時代に舞台を移して庶民の暮らしの中に”食”を描く「居酒屋ぜんや」シリーズがあります。いずれもそれぞれの作家さんの筆が醸し出す魅力に溢れていますが、この坂井さんの作品は、誰もがイメージできる極めてメジャーな”食”を取り上げるところが一番の魅力だと思います。そこには、決して気を衒った表現が登場するわけでもない分、庶民の『大食堂』的雰囲気感の中にまとめられていくところも好印象です。まさしく「たそがれ大食堂」というどこか『レトロ』な書名が相応しいこの作品。今すぐ『オムライス』を、『エビフライ』を、そして『ナポリタン』を食べたい!そんな思いが沸々と湧き上がってきました。 次に見てみたいのは”お仕事”の側面です。この作品は、『百貨店』の『大食堂』が舞台となっています。主人公は『マネージャー』の美由紀が務めますが、そんな場には他にも数多くのスタッフが働いています。そうです。この作品は『大食堂』を舞台にした”お仕事小説”の側面も併せ持っているのです。一つの場を作り上げていく”お仕事小説”には、遊園地のスタッフを描く寺地はるなさん「ほたるいしマジカルランド」、シネコンのスタッフを描く畑野智美さん「シネマコンプレックス」、そして上記でも触れましたが、『百貨店』のスタッフを描く村山早紀さん「百貨の魔法」などがあります。いずれも名作揃いであり、”お仕事小説”の醍醐味を存分に味わわせてくれるものばかりです。そんな中にあってこの坂井さんの作品では、『百貨店』の中でも『大食堂』に舞台を絞っていること、そして上記した他の作品とは異なり、視点は『マネージャー』の美由紀から移動しないことが特徴としてあげられます。では、『大食堂』にどんなスタッフが働いているかを見てみましょう。 ・中園: 『副料理長』、『元ヤン』 ・山田: 『凄腕ホール』、『ラーメンのどんぶりを一度に五つまで運べる』 ・八反田: 『和食部門のチーフ』、『見た目が堅気ではない』 ・辰巳: 『麺部門のチーフ』、『色が白く、顎と首の境目が曖昧で、本人の佇まいもなんとなく麵っぽい』 読者が混乱しないようにという配慮だと思いますが、なかなかに個性豊かな面々が揃っています。そして、『百貨店』の『大食堂』では、さまざまな料理が供されます。これらのスタッフたちの協働作業でそんな現場が回っていることを物語は鮮やかに見せてくれます。これは間違いなく面白いです。もちろん、他の”お仕事小説”と違って、そんなスタッフそれぞれに視点が移動しない分、そんな彼らの姿はあくまで『マネージャー』の美由紀視点でしかありません。この点の良し悪しは間違いなくあります。それぞれのスタッフに視点を移しながら描いていけば『大食堂』の裏側がもっと奥深く浮かび上がってくると思います。しかし、文庫本304ページという分量では敢えて美由紀視点を貫くことで見えてくるものもあるはずですし、この描き方がこの作品にはあっているようにも思います。そして、それこそが、”食”を生み出す『大食堂』を舞台にしているにも関わらず、主人公は料理をしない『マネージャー』だという点です。物語では、料理が得意ではない美由紀の私生活も描かれていきますが、そんな物語では、ある『大失敗を犯し』たことで、経験のない『大食堂』へと配置転換された美由紀が『好調とは言えない』『大食堂』を立て直していく様が描かれていきます。 そんな美由紀の日常に大きな起点を作ったのが、若社長が唐突に引き連れてきた新しい料理長の智子の存在でした。 『伝統的なものの価値が薄れ、新しいものが歓迎される時代だが、それでもこの昭和レトロな雰囲気を、集客に繫げられないものだろうか』 そんな風に方向性を探っていた美由紀の前に現れた智子は、『誰もが知る老舗洋食店と、外資系ホテル』を経歴に持つ、間違いなく一流の料理人です。しかしその一方で、 『智子の辞書に、チームプレイという言葉はないように思える』 そんな智子の性格が『大食堂』という数多くのスタンスの協働で成り立っていく場を回していくに際しての懸念材料となってもいきます。そうです。この作品が料理を作る人間ではなく、あくまでそんなスタッフをまとめる立場にある『マネージャー』であることの意味が浮かび上がります。 『もしかして、智子にならできるんじゃないだろうか。輝きを忘れたこの大食堂に、魔法をかけ直すことが』。 そんな風に智子の就任を前向きにを捉えていく美由紀は、『懐かしいのに、あたらしい』というキャッチコピーが誘う方向性へと皆をまとめていきます。この作品は6つの短編が連作短編を構成していますが、上記した通りそのそれぞれの短編に一品ずつ、その方向性で生まれ変わっていく”食”が取り上げられていきます。そして、そんな協働作業の中にスタッフたちそれぞれの顔が浮かび上がってもきます。存続の危機に直面していた『大食堂』の行方はどうなるのか、物語は美由紀の過去に隠されていた出来事も明かしつつ、皆が一体となって協働していく『大食堂』のスタッフたちの活き活きとして姿を描き出していきます。そして、そんな物語が行き着く結末、そこには圧倒的な読後感の良さが演出する”食”と”お仕事”を鮮やかに融合させる物語の姿がありました。 『料理の腕はたしかだが我が強すぎる智子と、飲食業未経験の美由起。その二人でスタッフをまとめられるかと問われれば不安材料しかない』 そんな葛藤の先に、『百貨店』の『大食堂』を舞台にした”食”と”お仕事”が描かれていくこの作品。そこには、「居酒屋ぜんや」シリーズで証明済みの坂井さんの絶妙な”食”の描写に裏打ちされた物語の姿がありました。誰もが知るメジャーな”食”が描かれることの喜びを感じるこの作品。『大食堂』のそれぞれの持ち場を任される人たちの”お仕事”が描かれるこの作品。 『んー!美味しい!』 美由紀が発するそんな言葉に、本を読んでいるだけなのに食欲が抑えられなくなってもしまう、素晴らしい作品でした。
スッキリさっぱり、本当にあと味良い大好きな小説❤️ ぼんくら若社長、ザマみろって感じで。 大食堂の皆さんも、いい人ばっかりで、あっという間に読めました❤️ しかも、二回目(笑)
【美味しい小説】爽快なストーリーと共に空腹と戦う 小説自体久しぶりに読むので続くか不安でしたが作者の表現が上手く、頭に情景を浮かべやすくスルッと物語へ引き込まれました。 時間ではなく 「西側一面に取られた窓が、茜色に焼けた空をパノラマに映す。じわりじわりと夜の藍に侵食されつつ、残光は雲に未練をにじ...続きを読むませる。この大食堂も黄昏色ーーー」 という感じの表現。食堂がレトロで懐かしくエモい様な雰囲気への導入がよかったですね。 食器・インテリア部門から移動させられてしまった主人公美由紀、突如高級レストランから赴任してきた気の強い智子、気の利いた役回りになる頼れる受付のカンナ。この3人の掛け合いや食堂スタッフとの奮闘劇は各キャラクターの個性の強さによりさらに物語へと引き込んでいきます。 食べ物の表現もくどくなくて個人的には良かったです。グルメ系は舌触りや香りetc……そんなに普段細かく感じるか!?とフィクションを感じますが本作に関してはさっぱりとした表現であるが故に本当にお腹が減ってくる。 「んーー!」という表現が正にそれ。 硬いプリン、パン粉を細かくひいたサクサクのエビフライ……食べたいなぁ……
百貨店最上階の古びた大食堂のお話。 あー!めちゃくちゃ良かった! 美味しそうなレトロ表紙デザインに一目惚れで読んでみた☆しかもページめくったら型押し?されたタイトルページも可愛い! 表紙デザインにテンション上がりながら読んでいくと、波乱のストーリー展開に惹き付けられて一気読みしてしまった☆ そ...続きを読むれに、話の中に出てくる オムライス エビフライ ハンバーグ ナポリタン メロンソーダ プリン…♡ どれもこれも美味しそうでレトロ喫茶店に行きたくなった! 喫茶店好きが再燃♪ 人間関係もリアルで良かった! こんな人いるいる!って人や揉め事もあるよねって現実的で面白かったし、人ってちょっと話した印象だけで決めつけちゃだめだなって改めて思った☆ 人付き合い苦手だけど、もっと根気よく私も頑張ろ。 あと、料理頑張ろ…。
右肩下がりだった大食堂を立て直すお話。 外部から招聘された女性料理人は我が強く、反発する従業員が必ずいて、果たして?と思い、先が気になって、しょうがなかったです。 軌道に乗るかは、是非本編を読んでください。 印象に残ったのは、口を出すのは客観的に見て、違和感を感じるので、何も懲らしめるために言うの...続きを読むではないこと。 食品ロスについて、考えさせられました。
大株主を激怒させ老舗百貨店の大食堂のマネージャーに飛ばされたシングルマザーの主人公。 有名ビストロから引き抜かれた女性料理長はベテラン従業員達と初日からけんか腰。 大食堂取りつぶしの危機を乗り越えられるのか。 よくあるぶつかり合いながら絆が生まれる物語なのに中年女性が主人公、懐かしの大食堂といった設...続きを読む定や化粧パケするグルメブロガーの受付嬢。頑固な大株主の子供ちゃんなど楽しいキャラが沢山登場して終始楽しく読めた。 。
「美味しい記憶はこの空間ごと、心の中に残り続ける」 そんな場所が誰でもきっとある。 ダイニングでも、お茶の間でも、近所のファミレスでも、回っていないお寿司でも、確かに私にもあった気がする。そんな気持ちにさせてくれる1冊。 歴史ある町の百貨店、「マルヨシ百貨店」の最上階には良く言えば「昭和レトロな...続きを読む大食堂」があった。 大失敗を犯し、食器・リビング部門より異動となった主人公「美由紀」マネージャーと若社長の引き抜きで料理長となった「智子」。 意見の食い違いはあれど、この大食堂を盛り立てるため奮闘する物語は、各章に冠られた美味しいお料理によってグングン進んでいく。 オムライスや、プリン、クリームソーダなど誰もが知っているお料理がつやつや輝いて見えるほどだった。 お話しも去ることながら、主人公たちや取り巻く登場人物たちが愛しすぎて続きが読みたいと心から思った。
デパートの食堂のお話。出てくるキャラクターがイキイキしててドラマ化しても面白そう。デパートでご飯食べる機会もほとんどないけど美味しそうでした
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たそがれ大食堂
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坂井希久子
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