坂井希久子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
坂井希久子『妻の終活』祥伝社文庫。
家族と夫婦の小説。もしも、昭和の男の代表格のような夫が妻に先立たれたれるとしたら……
主人公の一ノ瀬廉太郎の考え方はよく理解出来るし、それ故に陥った状況もよく聞く話だ。
帯には『感涙必須の傑作!』とあったが、そこまでの作品ではなかった。蛭田亜紗子『エンディングドレス』、伊吹有喜『四十九日のレシピ』に比べると……
70歳を目前に嘱託として会社に人生を捧げ続けて来た一ノ瀬廉太郎は、42年連れ添った妻の杏子が末期癌で余命1年を宣告され、愕然とする。
家庭を省みることなく仕事一途で、家庭のことなどは全て妻に任せ切りだった廉太郎に炊事や洗濯など出来る訳もなく、それでも夫としてのプライドが先立ち、意地を張るばかりだった。
そんな父に娘は母をもう解放してと責め立てる。妻に対する後悔の思いと自分の将来に対する不安に襲われた廉太郎だったが、少しずつ妻に教わりながら、自活の道を切り開いていく。しかし、残されたのはほんの僅かな時間だった……
男たるもの、こうあらねばと頑固一徹を貫き、粉骨砕身、家族のために仕事一辺倒で人生を突っ走ってきた男というのは嫌いではない。それが人間の男としての本来の在り方ではなかろうか。
しかし、気が付けば自分一人では何も出来ず、これまでどれだけ妻に負担を掛けて来たのかということに気付いた時には後の祭りというのはよく聞く話。
今は、男ならこうしろ、女ならこうしろと簡単には言えぬ時代。仕事を休んで子供の学校行事に父親と母親が揃って顔を出すという不思議な時代。昭和生まれの自分には理解出来ない時代だ。
本体価格720円
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Posted by ブクログ
ネタバレ5つの短編集。17歳という子どもと大人の狭間にいる少女たちの物語。(そもそも、「少女」という言葉は何歳の女性まで使っていいのだろうか。でも、20歳過ぎたら大人の女性だしな。あ、成人は18歳になったから、18歳以上は大人なんかな)
この5編、それぞれ地方で生きる主人公たちで、方言がたっぷり入っている。作家さんは方言を調べ尽くすのだろうか?東北の言葉とか、けっこう難しいと思うけど、博多弁も難しいと思う(関西人の感想)。
でも、その方言がね、地元で生きてきた人間が、地方に残るべきか、それとも都会や他の地域へ行くべきか、将来の進路に悩む姿にリアルさを増し加えていると言える。
また、この短編のタイトルは全て昔の洋楽のタイトル。わたしはあんまり洋楽を知らないので(メロディとかは知ってるけど、歌詞の内容まで知らない。つまり、英語が分からんってことです)、それぞれの洋楽の歌詞を知ったうえで読むと、感じるものが全然違うのかもなあと思った。ちょっともったいないことしたかも。
一応、5編のタイトルと舞台となった地域を。
「Owner of a Lonely Heart」(京都)
「Hero」(青森)
「We are the Champions」(福岡)
「Changes」(和歌山)
「I Want You Back」(山形)
具体的にどこの府県かまでは出てこないけど、その地域の地名が出てきたり、地理的な説明や文化、祭りなどが出てくるので、そこから判断。
ちなみにわたしは、「Hero」と「Changes」が好きやな。で、福岡はやっぱり怖いなと思ってしまいました(笑)。 -
Posted by ブクログ
オジサンの嫌なところ、自分に活気が漲っていた時代と今の時代の価値観の齟齬でもがく姿を目の当たりにした。
この作品では男性のそういうところに焦点が当たっていて、女性は比較的前向きだったりいい意味で強かに描かれているけど、生きづらさというのはポイントが違うだけで、誰もがもがいているのだと思う。
オジサンの嫌なところ、とはいったものの、誰もがその人なりに一生懸命に生きているのに、環境や価値観、容姿など色々なもののタイミングが違うだけで、自分も含め簡単にこの人たちになり得るのだということにぞっとする。
自分は幸い、理不尽なセクハラに遭うことも若者に絡まれることもなく、田舎で平和にオバチャンになったけど、自分の子どもが理不尽なパワハラに潰されたり面白半分に誰かに害を加えたり、誰かに弱みを握られたり握ったり、あやしい薬物に染まってしまったりする機会はゼロではないと思うと心配は尽きない。
無意識の無神経はとても怖い。自分だってオバサンの嫌なところを煮詰めた人間になっているかも。せめて、他人もただ一人の「人」であることを忘れず、敬意を持って接していきたい。 -
Posted by ブクログ
他の本の最後に紹介されていて、雨の日が続いていたり、自分自身もちょっと「一回お休み」と言う気分だったので、手に取った一冊。
しかし。
いや~、昭和のおじさん全開の中年男性の悲喜こもごもを描いた中編短編集でびっくり!
タイトルのイメージと内容が全然違う!
そして、1作目のセクハラ親父の強烈さ。
他の方のレビューにあったけど、1作目で止めたくなる気持ちがよく分かる。
女性軽視、男性ならば許されると言う勝手な思い込み。
バブル入社組のありがちな無意味な上から目線・・・
思い当たることが盛沢山過ぎて、確かに読むのがしんどくなる。
だけど1作目を乗り越えると、少しクールダウン。
それでもおじさん達の勝手な思い込みは怖いけど、2作目以降の主人公は改心していくので、そこは救われる。
前章で登場する人物が、次の章の主人公になると言う構成も面白い。
こんなにリアルなおじさんを描いているのが、女性作家であることが、一番怖い・・・ -
Posted by ブクログ
「江戸彩り見立て帖」シリーズ2作目。
お江戸のカラーコーディネーターの仕事ぶりは?
貧乏長屋に住むお彩は、摺師の父の仕事を見て育ち、錦絵が大好き。
ひょんなことからお彩の才を見出した京男・右近の正体は、呉服の大店・塚田屋の三男坊だった。
店の主人・刈安はその異母兄で遊び人、口が悪く、引き合わされたお彩を意地悪く問い詰める。
何が出来るという自信も元からないのに、店の番頭はお彩を睨みつけてくるし、何かと気を遣うのでした。
右近は妾腹で跡取りでもなんでもないのだが、実質的には店を切りまわしている様子。
本音のわからぬ笑顔でのらりくらりと語る右近の言うことは素直に信用できないお彩だが、酒浸りだった父を立ち直らせてくれた恩もあり、一目置かないわけにはいかない。
布の専門家ではないのでその知識を補うために学び始め、次第にのめり込んでいきます。
主人の妻のお春は、若々しくおっとりしていて優しい。
もっと似合う色があるかという問題を出されたお彩の答えは。
芸者のゆかりはその名にちなんで紫の着物をよく着ているのだが、その旦那から新しい着物の見立てを頼まれ、もう紫は嫌だというゆかりの好みを探し当てられるか。
紅葉の名所で父の旧友に会い、羽織りの裏地の見立てを頼まれる。これは慈愛からの依頼だとわかるが…
右近の兄に、流行りの色を作りだすのが条件、出来なければ右近にも出て行ってもらうという無理難題を押し付けられ、乗せられて引き受けてしまったお彩。
大して気にしていない様子の右近に次第に腹が立ってきて…?
ぽんぽん言うところが面白い!
で、はっと気づいて急におとなしくなったりと意外に素直なとこも(笑)
肩の力が抜けた、風通しがいい感じが魅力。
楽しみなシリーズです☆
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