坂井希久子のレビュー一覧
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火事で家も仕事場も失って視力がなくなり、仕事もやめなければならなかった父親、腕利きの刷り師、辰五郎。
辰五郎は生きがいをなくして、酒に溺れ体力も失う。
お彩はそんな父親の世話をしながら内職に励む。
本当ならとっくに結婚をする年でもあった。
ある日、大好きな錦絵をみていると、あまりの摺りの具合が悪く、つい怒鳴ってしまう。
色がひどいのだった。
横で見ていた京都訛りの男が話しかけてくる。
何度も、色合わせの仕事を持ちかける金持ちの男、右近。胡散臭さに邪険にするお彩。
生菓子、見合いの着物、花魁の打ち掛けなど次々と嫌々ながらも仕事をすることに。 -
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料理をテーマにした時代小説のアンソロジー「まんぷく」の中の一作で、良さそうな作家さん…と思って手に取った「ヒーローインタビュー」が良かった。
で、もう一作さらっとした時代小説を読み、次が、本書。
うむむ、なかなかヘビーだった。
先に読んだ作品から、なんだかんだあっても気持ちの良い読後感を期待していたところに、不意打ちだったからか。
登場人物が、境遇や悪意や運命に翻弄される過酷な物語は数多く読んでいるけれど…
作中の出来事は、犯罪でも死でもないのに、この粘りつくような読後感はなんだろう。
主人公の莉歩が、あまりに普通で…傷付いたり挫折したりしつつ、男性の視線を厭いつつ自分に魅力がある事も知っ -
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居酒屋ぜんや 最終巻
只次郎は、道でいきなり倒れた少女「お花」を介抱した。
痩せた身体と、所々にある痣を見て、虐待を疑う。
前巻で、ようやく結ばれたお妙との仲は、何故かぎこちなく、思い切って、夫婦になって欲しいとの申し出も、あっさり断られてしまう。
お妙の両親と夫、それに、鶯の糞買いの又三を殺した黒幕を、ようやく見つけたが、あまりの大物に、手出しが出来ず、旦那衆もお妙も皆「忘れよう」と決めたところが、当の黒幕・徳川民部卿治済から、只次郎は、呼び出される。
お妙の両親の仇と解りつつ、一矢も報えなかったと、悔しがる只次郎。
だが、商人となり、江戸の町に、国中に金を回して、世の中を変えてみせ -
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居酒屋ぜんやシリーズ 9
火事にあった翌年、神田花房町代地に「ぜんや」が再建された。
只次郎のアイデアで、旦那衆が、資金を出し、利益を配当するシステムにした。
事業投資型クラウドファンディングとでも言えば良いのか。
一方、只次郎は、新ぜんやの隣に「春告堂」という名前で、新しく商いを始める事になった。
鶯稼業の傍ら、商い指南も初めた。
ある日、ひょんな誤解から、お妙と只次郎がとうとう結ばれた。
只次郎の母親が、お妙に、何やら身分違い的な釘を刺してはいたが、お妙の決心は、変わらなかった。
只次郎は、以前からの気掛かりである、お妙の両親が殺された訳を調べる為、久世丹後守と会う。
お妙の父には -
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居酒屋ぜんや シリーズ 8
神田花房町で、亡き夫が残した居酒屋「ぜんや」を切り盛りするお妙。
小十人番士の旗本の次男坊・林只次郎とは、かれこれ、三年近い付き合いになる。
駿河町の大店・三河屋との縁談が立ち消えて、不安定な立場でありながらも、只次郎は、以前よりも、腰が据わった様子。
最近は、お妙に対する好意も、誤魔化そうとせず、開き直っている。
贔屓の旦那衆と、紅葉狩りに行く予定の前日、湯島の無縁坂から出た家事により、神田花房町界隈は、丸焼けになる。
命からがら逃げた、お妙と只次郎。
お妙は「ぜんや」が焼ける炎を見て、両親が、火事で死んだ真相を、思い出した。
呆けてしまうお妙を、力づけ -
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居酒屋ぜんや シリーズ7
小十人番士の旗本の次男坊・林只次郎は、鶯が美声を放つよう飼育するのが得意で、その謝礼で一家を養っていた。
林家の長男が、家督を継いで、両親が、只次郎の部屋に移ってきたため、只次郎は、家を出て、ぜんやの裏長屋に越してきた。
心配の種であった、ルリオの後継問題も、雛が成長し、美しい声色で歌い始め、一段落した。
そんな只次郎に、縁談が舞い込んできた。
一年前に、彼を見初めた、大店「三河屋」の娘、お浜の婿にと望まれたのだ。
お妙への想いと商人になりたいという、夢を天秤にかけたまま、どちらも決めかね、揺れ動く只次郎。
ようやく、心を決め、お妙に、想いを打ち明けようと -
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居酒屋ぜんや シリーズ6
小十人番士の旗本の次男・林只次郎は、鶯が美声を放つよう飼育し、その謝礼で一家を養っている。
只次郎が一方的に憧れているお妙は、亡き良人・善助が残した居酒屋「ぜんや」を切り盛りしている。
その「ぜんや」の用心棒に納まっている・草間重蔵は、はたして、お妙の良人殺しに関係しているのか、そもそも、天明の打ち壊しを先導した人物なのか。
一方、只次郎は、飼い鶯・ルリオの美声を引き継ぐべき雛たち、3羽とも、歌が下手で
「ホーホケキョ」ではなく「オゲチョ」としか聞こえず、この分だと、今年中にも、廃業の憂き目に遭うかも知れないと、心穏やかではない。
善助殺しの全貌が、いよいよ明 -
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居酒屋ぜんや シリーズ5
林家の次男・只次郎は、居酒屋「ぜんや」の美人女将・お妙に、一方的に、想いを寄せている。
最近、恋敵が現れ、心穏やかではない。
好事家の飼い鶯に、愛鳥ルリオが歌を教えるその謝礼によって、百俵十人扶持の林家の台所は支えられている。
ルリオに五羽の子ができた。そのうち、三羽が雄で、ルリオの後継鶯として期待されるが、喉がまだできておらず、美声を受け継いでいるかどうかわからない。
一方、「家事で二親を亡くした時に、駆けつけてくれたのが、早すぎる」と、亡き夫であった善助が、何者であったのかと、今更ながら気になり出したお妙。
ひょんな事から、医者をしていたお妙の亡き父親と -
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居酒屋ぜんや シリーズ4
小十人番士の旗本の次男坊・林只次郎は、鶯が美声を放つよう飼育して、その謝礼で一家を養っている。
只次郎は、居酒屋「ぜんや」の料理上手で美人女将・お妙に、密かに恋焦がれている。
只次郎の父の上司であった佐々木が、預かり先で亡くなり、駄染め屋も、速やかに処刑されて、お妙に目をつけて、殺人まで起こさせた訳を追う事ができなくなった。
「ぜんや」で、酔客と揉めた際に、お妙を助けてくれた浪人・草間重蔵が気になり、お妙は、店の用心棒として雇うことにした。
お妙の重蔵に対する気持ちが、気になる只次郎。
豆腐尽くし、鰹尽くしと、美味しそうな料理がやたら出てくる。
やはり、 -
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「お酒」を題材にしたアンソロジー5作。
・織守きょうや「ショコラと秘密は彼女に香る」
チョコレートボンボンに思い入れがありげな伯母を探る姪っ子は、その人物に会いに行く。
・坂井希久子「初恋ソーダ」
果実酒作りが好きなキャリアウーマンの話
・額賀澪「醸造学科の宇一くん」
実家を継ぐのが既定路線の酒造の一人娘は自分の将来に悩んでいて…
・原田ひ香「定食屋「雑」」
夫の好きな食事が許せない妻は離婚を切り出される。
・柚木麻子「bar きりんぐみ」
コロナ禍で昔の同級生からオンライン飲み会を依頼されたバーテンダー。
お酒がスパイス的に、過去だったり、これからだったりを見つめ直すきっかけにな
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