坂井希久子のレビュー一覧

  • 注文の多い料理小説集

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    料理をテーマにしたアンソロジー。
    柚木麻子さん『エルゴと不倫鮨』…安定した著者の「反権力(=男性)」「女たちの結束」鉄板ネタ。安定した漫才を見ているよう。
    伊吹有喜さん『夏も近づく』…一番飯が美味そうだった。柚木さんの後に「義姉から性的虐待を受ける少年」が登場するので、並びとして良い。
    井上荒野さん『好好軒の犬』…文学的。悪い犬じゃないんだよ、かわいそうな犬なんだよ が無意識的な嫌味、斜めな見方。おもしろかった。
    坂井希久子さん『色にいでにけり』…金平糖の着色や和菓子の着色。江戸時代の話。粋。
    中村航さん『味のわからない男』…こういう芸能人、いそう。リアル。
    深緑野分さん『福神漬』…表現がうまい。そして後の作品『どっしりふわふわ』にもなんとなくつながっていくのだが、主人公の「私」が男なのか女なのか判然としないまま終わる。それもうまいな、と。
    柴田よしきさん『どっしりふわふわ』…前半部分、悩める50手前の女主人公に、感情移入。パンの描写もうまい。だがオチはいまいち、だと思う。同性愛者である必然性が、まったく無い。単純に同性愛者を「オチのネタ」として使うのは、驚きを起こすには技術としてアリ、だが、テクニカルすぎて興ざめ。

    ☆気になった表現
    私が小説なんて書くようになったら、妻である部分は少なからず損なわれるはずだ。

    時に飢えるほどの貧乏暮らしだったという少年時代を持つ光一郎は、今は自分が稼いだお金でたべたいものを食べられる、という現実と時々うまく折り合えなくなる。

    『好好軒の犬』井上荒野


    見事だった本棚はがらんどうとなり、お腹を空かせて恨めしそうに私を見た。

    『福神漬』深緑野分

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    2025年04月18日
  • 月草糖 花暦 居酒屋ぜんや

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    花暦居酒屋ぜんやシリーズ6巻目。

    大奥勤めをやめて町人になりたいと転がり込んできたお栄の顛末や熊吉の苦悩やら。

    熊吉は本当に苦労性だなぁーと、読んでいて気の毒になっちゃう。

    最後の最後で、熊吉とお花の関係にちょっとだけ変化の兆し?!

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    2025年03月26日
  • 雨の日は、一回休み

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    おそらくバブル世代くらいのガムシャラに頑張ってきた男性が時代の流れに翻弄され、考えを変えていくストーリー。一話目は、セクハラに頑張って対応しようとしていたものの、現実はさらに変わっており、男性社員から訴えられるというもの。二話目は女性の後輩社員に抜かれた男性社員の話。三話目は仕事に没頭しすぎて離婚した性のみが最後のプライドとして残ってる男性。四話目が、就職氷河期のため、まともな就職ができず、ネット社会にストレス発散を求める男性。五話目が定年後の生きがいがなく、自分の価値を自己満足な世直しに求める男性。いずれも自己肯定感を、こじらせた結果、自身ではなく、外に求めることにより、ピンチを迎え、変わるきっかけを得ていく。ただ、自身の幸せは今、この時に自分の中で探さないといけないという話は共感できるが、こじらせてる内容がかなり共感できず、ピンチも運良く乗り越えて変わって幸せになるのは、被害を受けた周りを考えると微妙な気持ちになる。小説の中と割り切り、主人公にはそこまで、感情移入せずに読みたい本。

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    2025年03月26日
  • ハーレーじじいの背中

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    始めから最後まで、めちゃくちゃな話しだった。仕事もせず、家にもたまにしか帰らず、若い時からずっとハーレーに乗って放浪いるおじいさん。一体お金はどうしてるの?家族にこんな人がいたら、この話に出てくる家族のようには、許せないだろうな。

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    2025年03月14日
  • 赤羽せんべろ まねき猫

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    こども食堂や福祉など私たちがメディアから得ている情報は、実態とは違うものかもしれないと気付かされた。ただ傍観する立場の時には気づかない、当事者になって知る現実。深い内容が込められているが、重苦しくなくサラッと読み進められた。

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    2025年03月12日
  • おじさんは傘をさせない

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    はじめての作家さんの本。
    短編5作品。

    セクハラを注意された課長、誰が!?
    定年を控えてすっかりモチベーションがなくなった部長、全ては後輩の女性に役員出世争いに負けた結果?
    役職定年から荒んだ生活を送る男は、娘のために…
    四十代の派遣社員は、ネットで女子高生を語るが…
    定年退職後に誰からも必要とされない男性

    なんだかサラリーマンの悲哀に満ちた作品でした。
    仕事、と言う言葉が全ての免罪符になっていた時代、がむしゃらに働き続けた男たちが、今の時代にマッチできなくて居場所も自己肯定感も抱けず、といったやるせない感じ。

    これ、人ごとでないなあ。。

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    2025年03月10日
  • 菊むすび 花暦 居酒屋ぜんや

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    ずっと気になってた続編!だけどこれで終わりでもないみたい。また続きがあるんだ!楽しみ。

    おたえさんは子供も生まれるし、
    おはなちゃんは、もしや年下男子と結婚?!(江戸時代にもそういうのあったんだ

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    2025年03月05日
  • 菊むすび 花暦 居酒屋ぜんや

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     今では忘れられがちな料理が数多くある。そんな古き良き味を描く物語だ。四季折々の食材を使い手間を惜しまぬ料理が登場し読めばその香りまで漂ってきそうだ。
     現代の料亭、割烹とは違う家庭料理の伝統の味は失われつつある。だからこそ過去の料理に触れ、味わい、未来へと受け継ぐことが大切なのだ。

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    2025年03月02日
  • 雨の日は、一回休み

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    無自覚ハラスメントおじさん、ぶつかりおじさん、アル中、風俗狂い、正論暴言などなど、色んな拗らせおじさんたちのお話。
    全員共通して「こうはなりたくない」感が強いのに、本人たちは「自分は社会の嫌われ者ではない。自分はそうはならない」って思っている姿を見て、自分も側から見たらこのおじさんたちと同じようなものかもしれない、と思ったら怖くなった。
    そう思えば、自分のダメなところと向き合って小さな一歩を踏み出したおじさんたちは、ちょっとえらいかもしれない、と感じた。
    人はそう簡単には変われないけど、ちょっとしたきっかけで変わリ始めることもできる、そんな希望が残った…かな?

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    2025年03月01日
  • 妻の終活

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    終わりはきれいにまとめてあるけど。
    読みやすかったけど。
    男尊女卑、もろ昭和な亭主関白夫にめっちゃいらついたわ。普通は離婚ものだよね。
    妻も子供もよくまっすぐ育ったわ。
    男の人が読むと違う感想なのかな。てか男の人にこそ読んでほしい!

    将棋好きな隣人みたいな人がいいな。あ、でもその人もかつては違ったみたいだし。むずかしいねぇ。

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    2025年02月28日
  • おじさんは傘をさせない

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    おじさん達が切ない。石清水の回、エース営業の門前がいつかおじさんになったらめっちゃ悲惨な人生送ってますように…

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    2025年02月27日
  • 注文の多い料理小説集

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     アンソロジーは初めてかも。柚木さんの『エルゴと不倫鮨』が最高に面白かった。柚木作品に限らず、今まで読んできた短編の中でも1、2を争うほど好き。おしゃれな創作寿司の店で完全に自分のペースに持っていくママがカッコ良すぎる。次点は『色にいでにけり』と『夏も近づく』。なぜかお彩は北川景子で脳内再生された。料理がテーマなので、ほっこりと終わる話が多い。よだれが出そうなほど美味しそうな料理の描写は柚木さんがダントツだった。

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    2025年02月09日
  • ふうふうつみれ鍋 居酒屋ぜんや

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    ついに、妊娠したのか!と思う笑えるキャラ(癒しキャラ)のおえんさんが妊娠。

    寅次郎さんの縁談があり揺れるお妙さん。
    こういう昔のゆるキュンがたまらない。

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    2025年02月01日
  • あったかけんちん汁 居酒屋ぜんや

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    重蔵さんと、おたえさんとの関係性がわかってしまいちょっと驚き。読み進めていくうちになんだか私もぜんやのお客さんになってきたような気がします。

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    2025年02月01日
  • 月草糖 花暦 居酒屋ぜんや

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    大奥勤めをしていたお栄が林家に帰っちゃいましたね。町人になってどうなりたいのか、武家から町人になる覚悟がきちんとできてなかったんだね。まだ16だもんね、部屋住とはいえちゃんと稼いでそれなりに世間を見て考えていた只次郎とは違うよ。熊吉と女郎さんの話、女郎さんにしてみれば愛情でも友情でもなく哀れみをかけられたと感じたんだろうな。お梅ちゃんの輿入れやっと具体的に動き出してよかった。

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    2025年01月30日
  • 虹猫喫茶店

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    喫茶店でほっこりかと思いましたが思っていたのとは違く、猫の去勢や保護に関しては描いていました。人間のルールなので猫にとってはたまったもんじゃないですよね。でも野放しも難しいし…
    考えさせられる内容でした。

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    2025年01月30日
  • つばき餡 花暦 居酒屋ぜんや

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     生き生きと暮らす江戸の町人、女性たち。今はなかなか口にしないかなあ、四季折々の料理。作ってみたくなる。
    主役が料理の時代小説。人が生き生きと生き、そして味わい、お腹と心を満たす。

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    2025年01月29日
  • 赤羽せんべろ まねき猫

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    実の娘には冷たかったのに他人は助けていた父親。そんな父親を慕い、まねき猫は繁盛している。が、明日美の気持ちを思うと求や常連の男どもにはイライラさせられた。親子なんて何があるか分からないのだから容易に立ち入るべきではない。ただ、それでもそんな周りの人たちに囲まれて明日美はなんとか生きていく。明日美1人ではきっと潰れていたと思う。結局人は周りに支えられているんだなあ…

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    2025年01月28日
  • おひとりさま日和 ささやかな転機

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    ひとり暮らしには寂しさが漂うものだけど、考え方を変えるだけで、また違った人生が始まる。
    ペットに癒されたり、趣味に出会ったり、友達付き合いも無理せずに。
    そんな風に、ひとり人生も楽しい、と思えるといいよね。

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    2025年01月28日
  • 江戸彩り見立て帖 粋な色 野暮な色

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    苅安との賭けで湊鼠改め深川鼠を売り出すことになったお彩と右近。辰巳芸者の嫁入り衣装のためにひとはだぬぎ、読売を使って煽ったり。ファッションリーダーにまず着てもらってメディア戦略、といつの時代も流行の作り方は同じなんですね。お彩の幼馴染のお伊勢ちゃんの婿騒動。イケメンに言い寄られても中身を見て選んで想い人が他人から笑われてもあえてその良さを口にしなかったお伊勢ちゃん、お幸せに。

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    2025年01月19日