坂井希久子のレビュー一覧
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貧乏長屋に暮らすお彩。父は腕のいい摺師だったが、火事で視力を失い、許婚も彼女のもとを去り、独り身で父の面倒を見ながら暮らしている。
彼女には天性の鋭い色彩感覚があり、ひょんなことからお彩のその才能を知った謎の京男・右近に色にまつわる無理難題を持ち込まれることとなる。
右近の正体は、呉服屋を営む塚田屋の妾腹の三男坊。強引な右近に押し切られ、呉服の色見立てを始めたお彩のもとには、今日も様々な相談事が舞い込んでくる。
しかし、弟を目の敵にしている塚田屋の主人は、お彩が新しい流行り色をつくりだせなかったら、右近を江戸から追い出すと告げる──。
江戸の色彩感覚の豊かさや奥深さに驚かされ、文化や芸能と密 -
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江戸時代は、洗練された美意識と、繊細な色彩感覚が頂点に達した時代でした。
もしも、江戸にカラーコーディネーターがいたら……?
お彩の父親は腕のいい摺師でしたが、火事で視力も、仕事場も失ってしまいます。
盲いた父の面倒を見ながら貧乏長屋で暮らしているお彩。
婚約者との縁談も流れ、粗末な木綿の着物に身を包んでいますが、お彩には、天性の鋭い色彩感覚があるのでした。
そこに目をつけたのが、謎の京男、右近。
一本気なお彩に邪険のされながらも、懲りずにまとわりつく右近は、お彩に次々と色に関する難題を持ち込みます。
そして、“江戸のカラーコーディネーター”、お彩の活躍が始まります!
着物や芸能にも詳しい坂井 -
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「居酒屋ぜんや」のセカンドシリーズ、“花暦 ”・第三弾。
美人女将・お妙の作る美味しい料理が魅力の居酒屋〈ぜんや〉を舞台に、お妙と只次郎の養女・お花と薬種問屋〈俵屋〉に奉公する熊吉を中心に描かれる、連作五話が収録されています。
新シリーズになって、お花と熊吉という若い二人がメインの話になっているのですが、お花がネガティブすぎるのと(被虐待児だから仕方ないのですけど)、前巻では熊吉が同僚から妬まれて嫌がらせを受けたりと、読んでいてしんどくなることが多いな・・と感じています。
なのでお妙の作るお料理と、それを美味しそうに食べる只次郎の存在がある意味オアシスのようになっていますね。
今回は、熊吉 -
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本書のタイトルと、第一話「スコール」、以下「時雨雲」「涙雨」「天気雨」「翠雨」というタイトルからこんな内容は想像出来なかった。
各話とも、所謂昭和のオヤジ像を引きずった、又はジェンダーによる男女差別を本音の部分では否定出来ないオヤジ達のお話。
其々、最後は僅か乍も時代の変化に近付こうと変わっていく姿も描かれて救われる。
第四話の、中年派遣男性がSNSで女子高生になりすまし、それがバレて高校生らに脅される話に出てくる「さなたん」(なりすまされたJK本人)の、あっけらかんとしながらも、回りの仲間に流されない核を持った「若い女に特有の不寛容さがない」「フラットさ」が清々しい。 -
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摺師であった辰五郎は、2年前、火事が元で、失明した。5人の弟子達も、散り散りになり、自暴自棄の生活を送っていた。
娘のお彩は、針仕事をしながら、父娘二人の生活を支えていた。
そのお彩は、天性の鋭い色彩感覚を持っていて、ある日、謎の京男・右近が、その才能に目をつけ、半ば強引に、次々と難題を持ちかけた。
やんごとなき筋の茶会に出す主菓子。
小間物問屋の娘の見合いに着る着物。
吉原の花魁に着せる仕掛け。
見事に解決するお彩に、右近は、身分を明かし、お彩の才能を生かして、仕事にしないかと、持ちかける。
摺師辰五郎の仕事場を再興したいというお彩。
希は、叶えられるのか、続きが楽しみな作品だった。
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