坂井希久子のレビュー一覧
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ネタバレ人生を彩る料理に乾杯。
7つの個性的な短編が収められている。登場する料理も様々。お酒からお菓子、パン。時代も場所も様々だ。読み終わると美味しい料理を食べた後のように満足している。
柚木麻子「エルゴと不倫鮨」ある程度の年収の男と歳が離れた若い女性が集まる店。そこにやってきた招かれざる客は——。卒乳祝いの女性がパワフルでそこにいる人すべてが巻き込まれていく。世界をひっくり返すようなお客にコロリと順応するのはまた女性たち。疲れ果てた男性たちの顔が目に浮かぶ。
伊吹有喜「夏も近づく」三重県の自然の中に暮らす拓実のところに兄が訳ありの少年を連れてきた。美味しい水と自然の中で育ったものを食べるうちに -
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美味しい料理が縁を結ぶ、7つの物語。
お腹がぐうぐう鳴るくらい美味しそうな料理が出てくる作品ばかりで、その中でも伊吹有喜さんの『夏も近づく』が好みだった。
温かい食卓を通して心の距離が近づく様子を丁寧に描いていたところが素晴らしかったのはもちろん、出てくる料理の美味しそうなこと! たけのこご飯、果肉ごろごろのバレニエ、青竹のコップで食べる素麺ーー。身体の隅々まで染み渡るような滋味あふれる料理が恋しくてたまらなくなる。
テレビやスマートフォンを眺めながらささっと食事を済ますのも悪くはないけれど、目の前の料理の香りと素材本来の味に、もっとじっくり向き合って食事をしようと姿勢を正した。
伊吹有喜さ -
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「居酒屋ぜんや」“花暦 ”という事で、新シリーズにて再始動。
只次郎とお妙夫婦の養女となったお花の視点と、薬種問屋「俵屋」の手代になった熊吉の視点が、交互に展開する構成です。
前シリーズから5年後の設定で、お花は14歳、熊吉は18歳になりました。
実母から虐待&ネグレクトされた上に捨てられたことがトラウマになっているお花は、自己否定が強すぎて、お妙達に嫌われたくないと常に思い詰めている状態です。
一方、熊吉も手代に出世し、主人からも期待されているものの、先輩や同僚から妬まれて、そのストレスからでしょうか、時折胃が痛くなっている様子。
相変わらずお妙さんの料理は美味しそうで、常連の皆さま&只 -
Posted by ブクログ
居酒屋ぜん屋シリーズの新シリーズの開幕。
お妙と只次郎が晴れて夫婦になった。
現代ならネグレクトの母親が男を作って、捨てるように置いていった女児、お花を引き取り、正式に養女になった。
9歳だったお花も14歳になったが、まだ二人はお花を子供扱いにする。
養われて役立たずと思われるのが嫌で、仕事をしたいと思うのだがお妙は料理をさせてくれない。
そこにはただ働くということではなく「料理が面白い」とお花が解ってからという心算があったらしい。
そして、薬問屋俵屋の小僧もいち早く手代になった。
あまりに早くの出世で嫌がらせに遭っている。
この二人にスポットを合わせての家族のものがたりのはじまり。
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