【感想・ネタバレ】セクシャル・ルールズのレビュー

あらすじ

「普通の夫婦」っていったい何!? 社労士事務所を経営している岩瀬麻衣子は、結婚するときに仕事を辞めると申し出てくれた夫の耀太に育児を任せ、大黒柱として家計を担い、日々の仕事に邁進していた。しかし世間の不理解、お互いの仕事と家事への不満、さらに忙しさですれ違う生活のなか、ある決定的な出来事が起こり、とうとう二人は離婚することに。だが、麻衣子にはこれまで任せっきりだった育児、耀太には再就職という高い壁が立ちはだかっていて……。世間の価値観とのギャップに振り回される夫婦生活のゆくえは!? 人気シリーズ「居酒屋ぜんや」の著者が描く、新しい家族の形を捉えた、感動の長編小説。

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Posted by ブクログ

男は外で働き、女は家を守るといった固着観念が未だ根強い日本。麻衣子と耀太は互いの多忙さを理解できず離婚。仕事に貴賤無し。子供たちの耀太への想いが主夫の評価だと感じた。

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2023年06月03日

Posted by ブクログ

やるせないなぁ〜
夫婦も世の中もやるせない…
終盤以外は結構リアル!
少子化が叫ばれている昨今、これがリアルな家庭状況ではないかな…
このストーリーは良い形で読み終えたけどこんなふうに上手く収まるケースはあまりないような気もする。

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2023年05月13日

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社労士事務所を経営しバリバリ働く麻衣子と専業主夫の耀太。
耀太は、5歳と2歳の子どもの育児も担い、家事もするということを納得していたが…

日々の仕事に追われながらも邁進していく麻衣子とただただ家事、育児で社会から離れていく不安や周りの目もあり、妻との会話も減っていく耀太との間にある決定的な出来事が起こり、とうとう二人は離婚することに。

普通とはなにかということを感じてしまう。
夫は稼いで妻は家事・育児が当たり前のことなのか…と。
今の時代は、共働きがほとんどで、それでも家事・育児を分担しているか⁉︎というと、そうではない。
夫は、手伝ってるよと言うが、手伝うじゃないだろうと。そこからして家事・育児は本当は妻がして当然と思っている節がある。
この小説は、まるッと逆なわけだが、立場が変わると見えてくるものも違って、離婚後に気づくこともある。
何が理想で完璧にできるか…はわからない。
だが失敗してからの気づきもある。

しかしながら子育てはしんどいよね。
孫は、可愛いいがずっとは体力もたない。
「私もさすがに、しんどいわ。いつまでも頼れるとは思わんといてほしい」
と言う麻衣子の母の言葉にそうなのだと共感した。
娘の手助けはしたいし、孫に不憫な思いはさせたくないが、ずっとは無理である。
しかし娘に辛い、しんどい思いはさせたくないのである。
そんなことを思いながら一気に読んでいた。







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2024年10月14日

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 核家族が普通になり、地域の繋がりも希薄になった現代。家庭や家族を維持するのは夫婦2人の双肩にかかっている。そのために夫婦はどうあるべきなのか。

 あるひと組の夫婦のライフスタイルを通して、夫婦のあり方を問うヒューマンドラマ。
          ◇
 岩瀬麻衣子は今、深山工業株式会社の応接室にいる。深山工業は麻衣子が社会保険労務士として顧問を務める会社だ。
 向かい合ってソファに座るのは、育休を終え保育園に子どもを通わせたばかりの袴田という女性社員と労務を担当する管理部長。袴田からマタハラの訴えがあったため、麻衣子は話し合いの席に立ち合っているのだった。
 
 遅刻はやむを得ないが連絡は必ず朝のうちに入れるよう要望する管理部長に対し、袴田は次第に感情をあらわにしだした。
 熱を出した子どもを病院に連れて行ったりしているときに連絡する余裕はないと言い立てる袴田。社員としての責任があるのだから連絡は何とかして入れるべきだと言う管理部長。

「岩瀬先生にもお子さんが2人いらっしゃるんでしょう? 私の気持ちわかりますよね。」
 袴田が麻衣子に訴えかける。麻衣子は、小さい子どもがいると大変なのはよくわかりますと受け止めておいて、こう切り出した。
「ところでご主人は、家事育児をどの程度負担なさっていますか?」( 第1章 ) ※全5章。

      * * * * *

 夫婦の役割分担。
 半世紀前までは「男が外で働き女は家庭を守る」というのが一般的なパターンでした。
 けれど時代の変化とともに共働き世帯が増えてくると、いろいろな問題が見えてきました。
 その部分をテーマにした小説が多いことから、それが社会問題として捉えられていることがよくわかります。

 本作は、妻が家事育児の大半を担うという家庭が圧倒的に多く、夫は時間のある時にお手伝い程度しか関わりを持たないという現状を、端的に切り取ったシーンで始まります。 
 麻衣子は会社側の要望を是とし、袴田の大変さを認めつつ家事育児における夫の分担を増やすようアドバイスします。2人の幼子を持つ麻衣子の意見は重く、袴田も強く言い返せません。

 ここまでなら、垣谷美雨さんをはじめ多くの作家が問題視する「男は家事育児には役に立たない」ストーリーかと思いますが、テーマは別のところにありました。


 未だ世間に残る「男は仕事。女は家庭」という観念。その封建的な社会通念は女性を苦しめるものと考えられがちですが、はたしてそうなのでしょうか。

 本作の主人公は麻衣子と、その夫である耀太です。
 麻衣子は個人事務所を構え精力的に仕事をこなす、やり手の社会保険労務士です。収入は少なくありませんが、その毎日は多忙を極め、帰宅が深夜になることもよくあります。
 幼子も2人いるのに、いかにして家庭生活を回しているのか。実は夫の耀太が専業主夫として家事育児一切を担っているのでした。

 岩瀬家の1日を簡単に紹介しておきます。
 
 耀太は早朝に起き、朝食の用意をしたあと子どもたちを起こし、食事の世話や登園の準備をさせながら身支度をします。
 途中で起きてきた麻衣子は耀太の作る朝食を食べ、支度をして出勤。麻衣子が担当する家事はたまのゴミ出しのみと、まさに親父パターンです。

 麻衣子を見送った耀太は、長男の陸人を幼稚園に連れていきます。もちろん下の子の萌香を伴ってです。
 帰宅後は萌香を遊ばせつつ、長男お迎えの時間までに掃除や洗濯を済ませ、必要に応じて買い物にも出かけます。
 萌香の昼食の世話のほか、陸人を連れ帰ったあとは夕食の用意をして子どもたちに食べさせ、さらに入浴と歯磨きをさせて寝かしつけと、息つく暇がありません。

 麻衣子はというと、子どもたちが寝たあと帰宅。食事と入浴をしてあとは眠るだけ。残りの家事も耀太任せ。何よりその間、耀太に対する感謝や労いはありません。 ( 仕事のことをずっと考えています )

 「家事育児は立派な労働」だと認めてもらえないのは女性だけではないようで、若い頃から家事一般が得意な耀太と言えど、このワンオペ状態はキツいのひとことです。


 さらに耀太を苦しめるのは孤独感でした。

 子どもを公園に連れて行ってもママ友グループの中には入れず、話し相手はいません。妻の帰りは遅く、夫婦の会話すらままならない毎日です。
 そのうえ、日中に買い物に出かければ奇異な目を向けられ、ぐずって大泣きする萌香を引きずるようにして帰宅を急げば不審者扱いで警官に呼び止められる。孤立無援の状態と言えます。

 1人前の男が勤めに出ないでいることに対して、世間の目はなかなか厳しい。男が家庭に入ると、専業主夫に対する偏見が加わって社会から孤立しているように感じてしまう。この苦しみは専業主婦以上だと思います。


 本作を読んでわかったこと。

 世間でよく言われるように、「男性は家事育児の大変さやしんどさがわからない」というのは誤りです。麻衣子にもわからなかったのです。
 
 耀太の家事能力の高さは麻衣子をはるかに上回り、事務処理や交渉等ビジネスに必要な能力は麻衣子が優れているということは、結婚前から2人にはわかっていました。そのことが今回の完全分業に繋がったのは確かでしょう。
 けれど、完全分業には相手の苦労に目を向けなくなるというリスクがあることまでは、2人とも考えが及びませんでした。

 最初の場面で、麻衣子が袴田さんにした助言は正論です。
 夫と相談して家事育児の分担をきちんと決める。子どもの急な発熱などのアクシデントへの対応も夫に協力してもらえるよう話し合っておく。理想でしょう。
 けれどワンオペ状態で生活をスタートさせてしまった袴田さんには、夫にSOSを出して話し合うだけの時間的精神的余裕が今のところないというのが実情であることに、麻衣子は気づかないのでした。

 男女関係なく、「家事育児をしたことがない人」には、その苦労がわからない。ならばどうしたらいいか。
 そんなことを、ヒントも提示しながら考えさせてくれる作品でした。

※ 麻衣子と耀太の完全分業は破綻して夫婦の危機を迎えます。それを2人はどのようにして乗り越えたのかについては、ぜひ本編をお読みください。

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2024年09月29日

Posted by ブクログ

展開に飽きがなく、テンポよく読み進められます。
男だから女だからという価値観は見直されつつありますが、まだまだ潜在的な意識には残っていると思います。偏見をなくしてフラットなものの見方をしたいですが、それには、それはおかしいんじゃないか、と言ってくれる自分とは異なる視点のパートナーの存在が欠かせないなと思いました。

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2024年08月24日

Posted by ブクログ

まさに私も
妻の子どもに対する気持ちはちょっと、、、なところも確かにあったけど
男が外で稼ぎ、女が家のことをする
それがスタンダード文化なところ
男がやるとイクメン
女がやると当たり前
周りから言われた一言の裏にある
子どもたちをよくみてくれて、イイ旦那さんねー
私もやってるんだけど?!
やっぱりママがいいのね
いやいや、なんだそのママ神話

という女の私も自分がメインの稼ぎ手になると焦り、麻衣子の気持ちもわかった
自分が倒れないように喝をいれてと
ちょっとしたすれ違い、会話も相手の代わりになってみるも大事だと思う

子どもたちが大きくなる頃には、
スタンダードが変わって欲しいと願う

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2024年02月15日

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すっごく皮肉がきいた本だなあ。
男性の育児参加が推奨されてるが、
世の中が変わらんと
結局、何も変わらん。

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2023年08月16日

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ネタバレ

とても興味深い内容。
私は専業主婦なので、わかる、わかるーと、共感する場面がたくさんあった。
まあ、本では、主夫だけど。

一度離婚したことにより、全てを晒しだして話し合えたことは、よかったなと思う。うらやましい。

私も知らない間に、男だから。女だから。という古い価値観を持っていて、それを自分で自分に当てはめ、もがいている気がする…。

色々と考えさせられる本だった。

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2023年08月16日

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古い価値観、偏見根こそぎはなかなか…。ただ“男だから”“女だから”と意識しすぎない事が肝要で、ある程度の役割分担は“生き物”としては自然なのでは?怒られちゃうか⁈「できれば残りの人生は、自分のために生きたいと母は言う」みんな自分のために生きてるんじゃないの?人のお世話するのも回り回って自分の為じゃないの…。陳腐な言い回し寂しすぎ坂井さん。それにしてもハラスメントモンスター怖すぎだけど、アルアルだ。

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2023年08月16日

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男女平等とは言いながら、実際には男には男らしい、女には女らしい立場が求められていて、本当に対等に生きて行こうとすれば生きにくい。
このお話では、妻が働き、夫が家事育児をするという選択をした夫婦が、周りの無理解、ひいては何より自分達が自分達によって追い詰められていく。
なかなか社会派なお話でした。
ころで、坂井希久子さん、Wikipediaには官能小説家とありましたが、このお話は全く官能小説ではありませんので念のため。

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2023年07月16日

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妻がばりばりと働き、夫が専業主夫となる。
そんな形があったっていいじゃないかと思うけれど、やっぱり世間の目はそれを簡単には受け入れてくれないし、
何よりもその形を選んだはずの自分達の中にも根強い偏見は生きていた、という。
こういった形の本がどんどん増えていけば、いつか多様性を構えずに普通にあるものといて受け入れられるようになるのかもしれない。
読後感はとても良かった。

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2023年06月16日

Posted by ブクログ

専業主夫の夫とバリキャリ社労士の妻、ほのぼのホームドラマかと思っていたら途中からの展開が意外でした。

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2023年06月05日

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一家を養う妻、家事・育児を担う夫。
お互いの得意分野を理解し、納得して役割分担した進歩的な夫婦でも、壊れるときは壊れる。

男とか女とか、夫なら妻なら、父親なら母親ならという価値観はかなり根深い。
性別に関係なくと思っていても、長年刷り込まれた価値観は消えるわけではないし。

途中まで、なんて出来た夫なんだろうと感心して読んでいたが、ある行動から一転してしまった。
普段接するのが子供だけ、社会での妻の活躍を目の当たりのすると、考え方が狭く不安定になるのか?!いや、違うだろー!と、ドン引きしてしまった。

一昔前のモラハラ夫のようになりかけた妻、家の中のことに無関心で無協力の夫に不満を溜め込む妻のようになる夫、これでもか!というくらい問題が起こる。
双方のイライラやうっぷん、嫉妬、焦りがよく分かってしまったのだけど、女性ばかりが古い価値観に苦しむ話ではなく、何よりコミカルなので楽しかった。

仮に専業主夫(専業主夫ってまだ一度に変換できないのね。)、妻が大黒柱というのが主流になったとしても、夫婦の危機というのは十分起こるね。

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2023年05月28日

Posted by ブクログ

ネタバレ

 この時代。主婦であるのか、主夫であるのか? それぞれのスタイルがあってもいいと思います。

 でも現実は主夫で妻が仕事となると色物に見てしまう人の方が多いでしょうね。

 ですが、読んでいて、この夫婦って絶対的に会話が足りない! と思ったことも事実です。

 アルバイトの女の子がカギ明けたまま、外へ出て行ってしまうのは論外だけどね。
 信じられない、社労士事務所なんて個人情報の塊を抱えているようなものなのに、しかもブログにグチを書くなら勉強しろと思った私なのでした。

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2023年04月06日

Posted by ブクログ

今年最後の一冊になる。
専業主夫と働く女。
だいぶん男女の役割に固定概念は薄れてきていると思いつつ、やっぱり根強く感じてしまうものだろうと感じた。

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2024年12月31日

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専業主夫と社労士事務所を切り盛りするキャリアウーマン、2人の小さな子供達の物語。
専業主夫は専業主婦よりマイノリティである。
男なのに、働いていない、と言われる。
また、子供をダンナに任せっきりにして、仕事に精を出すキャリアウーマンも、女のくせに、と言われる。
それでも、ひと昔前に比べたら、だいぶ固定観念は薄らいでいるんじゃないかと思う。
男、女、関係なく、仕事に向いている人とそうでない人がいる。
上手い具合に、仕事好きと仕事嫌いが、結びつけば、家族のバランスはいいのじゃなかろうか。

まあ、お互いに仕事嫌いなら、田舎で自給自足に近いことをやっても良いし、お互いが仕事好きなら信頼できる親族に頼っても良いのだ。

多様な生き方が選択できる世の中へ
人類は進歩し続けている!

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2024年10月26日

Posted by ブクログ

専業主婦の夫とバリバリ働く奥さん。
話が思わぬ方向に進んで行って、面白かった。

色んな家族の形があって、男だからとか女だからとか言ってはいけない世の中なんだけど、やっぱり頭の片隅ではどうしても子供の頃に植え付けられた考え方が残っていて、、その心の内を主人公たちが全部言葉にして表してくれた感じ。

ラストは良い終わり方で良かった。

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2023年11月26日

Posted by ブクログ

よく男性が「家事を軽んじている」、「稼ぐ方が偉いと思っている」、「家事は女性の仕事だと思っている」と言われるが、男女逆転した場合、女性はそんなことを一切思わないいい人ばかりなのだろうか?
この疑問が少しシミュレーションできる本でした。

家族の仕事には総和があって、その中にお金を稼ぐ事や家事が含まれる。それらをいかに配分することが効率よいか、それを考えて実施する事が家庭というユニットを運営していく事だと思う。そこに「偉い」や「偉くない」なんて概念はない。

結局、相手の立場に立って考えることが不足してることが原因なのだろうか。

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2023年08月22日

Posted by ブクログ

社労士でバリバリ仕事したい妻。そんな妻を支える専業主夫の夫。幼い子ども2人。本人たちが幸せなら良い話なのに、そこは社会の古い価値観が振りかざされて不安や不満が積み重なって…とても読みやすく、すっきりとしたラスト。お互い頑張ろうねーと登場人物たちを応援したくなるお話でした。

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2023年05月06日

Posted by ブクログ

バリキャリママと専業主夫の話。
他所の夫婦の愚痴をずっと聞かされてる感じで、正直滅入るなぁと思ってたけど、読み進めて3分の2位で夫婦の形が変化して、そこからが面白い。
結局元サヤだけど、
よくある家庭を顧みない夫と専業主婦の話だったらすんなり元サヤにはならない。きっと妻は子供を連れて実家に帰るから、旦那はワンオペ子育ての苦労や妻への感謝はわからないでままだろうなぁ。
坂井さんの作品は、やっぱり時代小説の方が好き!

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2023年04月28日

Posted by ブクログ

「普通の夫婦」っていったい何!?

多様性が謳われている今、夫婦に限らず人の数だけ自分基準の普通が存在する。
もうこれからは「普通」に囚われる必要はないと思う。

社労士事務所を経営している岩瀬麻衣子と、二人の子の育児と家事に追われる専業主夫の夫。
一組の夫婦を通して、夫婦と家族の在り方が描かれる。

昔に比べ性差別も性別分業も減少して来たとはいえ、まだまだ男は仕事、女は家事・育児が当たり前と古い価値観が残っているのも事実。

仕事も家事も誰かがやらなければ生活は成立しない。
家族が幸せであるならばその形は自由で良いと感じた。

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2023年04月10日

Posted by ブクログ

社労士事務所を経営し、大黒柱として家計を担う
麻衣子と専業主婦の耀太。しかし2人は離婚する
ことに。だが、麻衣子には育児、耀太には再就職と
いう高い壁が立ちはだかっていて…。

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2023年03月27日

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