坂井希久子のレビュー一覧
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「それは、そのうちね」お妙がにっこり笑う。
お花が「料理を教えて」というと、お妙はきまってそう有耶無耶にしてしまうのだ。
養い子のお花は、引き取ってくれた只次郎とお妙の役に立ちたいだけなのに──。
一方、かつてお妙と只次郎の世話になった薬問屋「俵屋」の小僧・熊吉は十八歳になり、手代へと昇進していた。
出世頭には違いないが、小僧とは距離ができ、年嵩には疎まれ、心労で胃が痛む……。
蕗の薹の芥子和え、タラの芽の天麩羅、ホクホク枸杞飯、そしてふわふわの鰻づくし!
彩り豊かな料理と共に、若い二人の成長を瑞々しく描く傑作人情時代小説、新装開店です! -
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貧乏長屋に暮らすお彩。父は腕のいい摺師だったが、火事で視力を失い、許婚も彼女のもとを去り、独り身で父の面倒を見ながら暮らしている。
彼女には天性の鋭い色彩感覚があり、ひょんなことからお彩のその才能を知った謎の京男・右近に色にまつわる無理難題を持ち込まれることとなる。
右近の正体は、呉服屋を営む塚田屋の妾腹の三男坊。強引な右近に押し切られ、呉服の色見立てを始めたお彩のもとには、今日も様々な相談事が舞い込んでくる。
しかし、弟を目の敵にしている塚田屋の主人は、お彩が新しい流行り色をつくりだせなかったら、右近を江戸から追い出すと告げる──。
江戸の色彩感覚の豊かさや奥深さに驚かされ、文化や芸能と密接につながる色の名前の数々は眺めているだけでも飽きません。
色のことになると寝食忘れるお彩と、煮ても焼いても食えない京男の右近、凸凹コンビの二人のやり取りがたまりません。
右近の知られざる生い立ちや素顔も明らかになり……ちょっと切ない気持ちにもなります。 -
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江戸時代は、洗練された美意識と、繊細な色彩感覚が頂点に達した時代でした。
もしも、江戸にカラーコーディネーターがいたら……?
お彩の父親は腕のいい摺師でしたが、火事で視力も、仕事場も失ってしまいます。
盲いた父の面倒を見ながら貧乏長屋で暮らしているお彩。
婚約者との縁談も流れ、粗末な木綿の着物に身を包んでいますが、お彩には、天性の鋭い色彩感覚があるのでした。
そこに目をつけたのが、謎の京男、右近。
一本気なお彩に邪険のされながらも、懲りずにまとわりつく右近は、お彩に次々と色に関する難題を持ち込みます。
そして、“江戸のカラーコーディネーター”、お彩の活躍が始まります!
着物や芸能にも詳しい坂井さんならではのエピソードや、
色や柄にまつわる知識も満載。
例えば鼠色だけでも、これだけ種類があるのか!と驚かされます。
※お彩はお蔦の顔と見比べながら、帳面をめくっていく。
白鼠、銀鼠、藤鼠、湊鼠、錆青磁、柳鼠──。(中略)
「あっ!」
唐突に、記憶の糸が張り詰めた。
一枚の錦絵がするすると、脳裏に引き出されてくる。(本文より)
新作菓子の意匠から花魁の仕掛けの図案まで、豊かな色彩溢れる江戸のカラーコーディネーターとして活躍するお彩の人情物語。 -
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「居酒屋ぜんや」のセカンドシリーズ、“花暦 ”・第三弾。
美人女将・お妙の作る美味しい料理が魅力の居酒屋〈ぜんや〉を舞台に、お妙と只次郎の養女・お花と薬種問屋〈俵屋〉に奉公する熊吉を中心に描かれる、連作五話が収録されています。
新シリーズになって、お花と熊吉という若い二人がメインの話になっているのですが、お花がネガティブすぎるのと(被虐待児だから仕方ないのですけど)、前巻では熊吉が同僚から妬まれて嫌がらせを受けたりと、読んでいてしんどくなることが多いな・・と感じています。
なのでお妙の作るお料理と、それを美味しそうに食べる只次郎の存在がある意味オアシスのようになっていますね。
今回は、熊吉の声色を真似て〈俵屋〉に押し込みを働こうとする窃盗団が現れたり、お花が実母のお槙と再会してしまったりと、またまたメインの二人の心をザワつかせる展開になっております。
とりわけ、自分を虐待した挙句捨てたお槙に対する複雑な思いを一人で抱え込んで、彼女と会っている事を秘密にしてしまうお花の姿に、じれったさを感じてしまいました。
結果、それが原因で〈ぜんや〉に集まった旦那衆の命が危なかった訳ですし・・・。
今回の押し込み未遂と、お槙と関わりがあるのか、そして“熊吉の友人”と偽って、お花に猛毒“附子”を渡した青年は、前巻で姿を消した“アイツ”なのか・・。
すごく気になるところで、終わってしまいました。
次巻が出るまで待ちきれない気持ちです~。
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