会社勤めを長年していると、いずれ訪れる定年後の身の振り方に思いを馳せずにはいられない。
昔とは違い現代では定年の年齢も、再雇用等もあって60歳から延びつつあるけれど、やっぱり60歳は社会人にとって一つの区切りの年齢だと思う。
そこから残りの人生をどう生きていくのか。お金・健康・生きがい…考えることは
...続きを読む尽きない。定年後の時間が長ければ長いほど、より楽しく幸せなものにしていくため生き方を模索していかなければ、と焦るばかり。
そんな人生の転換期・60歳を迎えた中学時代の同級生との二人暮らしを描いた物語。
同い歳の女性の二人暮らしはほんと理想的。私もできればこんな老後を迎えたい、と何から何まで羨ましかった。
同じ歳だから互いの好みも分かるし抱える悩みも似たようなもの。けれど一番大事なことは夢中になれるもの、価値観が同じってこと。あと適度な距離感。これらが同居する上で必須なのかも。
「最期のときまで傍らにいる相手は、夫婦や親子でなくていい」
「しょうがない。人生とは学びの連続だ。平均余命がまだ二十九・二十八年もあるのなら、予想外の道に迷い込むのもアリとしよう」
還暦=華寿と考えると少しは気持ちも楽になれるかな。
まだまだ先と思われた人生の転換期に、私も近づきつつある。現実的な問題は尽きないけれど、できるだけ楽しい時を過ごすため生き方について考えていきたい、と思わせてくれた作品だった。