坂井希久子のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
「居酒屋ぜんや」シリーズ、もう第五弾!
季節感たっぷりあふれる料理が美味しい「ぜんや」
亡くなった夫の店を引き継いで、お妙が料理の腕をふるっている。
鶯の鳴き合わせで一家の生計を支える、武家の次男・林只次郎。
太物屋菱屋のご隠居。
亡き夫・善助の姉で、居酒屋を手伝ってくれるお勝。
そして、少し前からぜんやの用心棒を務める謎の浪人・草間重蔵。
常連さんの、江戸の大店の主たち。
ひとつの謎は解決されたが、重蔵の正体も気になるところ。
そこへ、最初の頃からどうも気になる、お妙の夫・善助の素性。
医者の娘であった、というお妙の医学の知識が、だんだんとクローズアップされてきている。
ミステリとしても、ますます面白くなってきました!
『五月晴れ』
升川屋では、お志乃が産んだ男子・千寿(せんじゅ)の初節句の祝い。
上方から志乃の両親もやってくるので、上方出身のお妙が料理を頼まれる。
若い母親の心理と、人の気持ちを斟酌できない男親が、絶妙に描かれている。
お志乃さんの成長が嬉しい。
『駆け落ち』
世間知らずの大店のお嬢様は悪い奴に目を付けられがち。
ここでは、娘に振り回される父。
ちょっとコミカルも入るお話。
只次郎の甥・乙松の病状をきいて、お妙が“医者をかえたほうがいい”というアドバイスとともに“西瓜糖”を渡す。
『七夕流し』
江戸中でいっせいに“井戸浚い”
江戸の風俗が分かって面白い。
『俄事』
又三の件で黒狗組に潜入した際、世話になった大山に、只次郎が再び接近。
段々と互いの親しさ、大山への(読者としての)信頼度が増す。
偽名の付き合いだが、そのうち突然バレそうな気が…
『黒い腹』
江戸では“毒がある”と嫌われる太刀魚だが、毒はない。
ただ、さばくと腹の中が真黒である。
南蛮漬けがおいしそう。
栗ごはんも…
しかし、急な展開にびっくり!!
ますます目が離せない。 -
Posted by ブクログ
オリンピック代表から外されることになった峰子が、妊娠、出産、子育てを経て再びオリンピックを目指す。
妊娠と出産と子育てを経験した女性として、共感する感情がたくさんあった。近くに峰子がいたら、そんな風に思うのはあなただけではないのだと声を掛けたいと思った。
辻本に対する感情は私の理解を超える部分があったけど、オリンピックを目指すくらいの選手だから、根性も感情も強くて粘り強くて感動する。
これは実話なのかな。
読みながら探し続けていた、最後にさりげなく書かれた結果に、涙が流れた。
市民ランナーの端くれとして、またマラソンしてみようかな、という気になった ^_^ -
Posted by ブクログ
てっきり真田広之と鈴木保奈美共演の同名映画の原作だと思い込んでいました。1994年の映画でしたから、かれこれ20年以上前のこと。そちらはヤクルトスワローズの選手という設定でしたが、こちらはまったく別物の阪神タイガースの選手という設定。阪神ファンならまちがいなく笑います泣きます。
主人公は2001年から2010年まで阪神タイガースに野手として在籍していたという仁藤全(アキラ)。一軍で活躍することはほとんどなく、「二軍の帝王」と呼ばれたまま退団。ヒーローインタビューを受けたことなどないけれど、一部の人の心に強烈な印象を残した選手。彼とつきあいのあった人物が彼について語るという形式が取られています。
主人公こそ架空の人物ではありますが、野球関係のほとんどの登場人物が実在し、笑える仮名となっています。真弓は阿弓、桧山は絵山、山本昌は山村昌、岩瀬や岩背というように。2010年のプロ野球シーズンを知っている人なら興奮度倍増。著者はプロ野球にまったく知識も興味もないのに、『泣いたらアカンで通天閣』を書いたのちに会った出版社の社長から「阪神の代打男の話なんてどう?」と無茶ぶりをされたそうです。断れば女がすたると本作を書いたというのですから驚き。
阪神ファンにとっては宝物のような本かと。病院の入院患者がテレビの前に集まってワーワー言いながら試合観戦する様子、みんなが監督で、DNAに「阪神」が組み込まれた阪神ファン。終盤には当時の中継を再現するかのような世界の盗塁王・福本の名(迷)言も出てきます。泣かずにはいられません。
借りた本だったのですが、これは永久保存版にするために購入します。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ亡き夫・善助と営んでいた居酒屋「ぜんや」を一人で切り盛りする美人女将・お妙。
その妙にひそかに思いを寄せる、武家の次男坊・林只次郎。
林家の飯のタネ、鶯のルリオ。
そしてもちろん、美味しいごはん。
居酒屋なのは分かっているが、どうも、「つまみ」というより、「おいしいごはん」と言いたくなるような、家庭的な雰囲気なのである。
妙は後家さんだが、湿ったところや隠微なイメージはどこにもない。
清潔で、ふんわり温かい…洗いたての白い手のひらのようなのである。
しかし、そこに不審な事件の影もちらつく。
読み終わってすぐに続きが読みたくなった。
すいません、次、いつ出ますか?
『花の宴』
花見に集まる男たち。
只次郎の兄嫁と、その父の、ちょっと温まるエピソード。
鯛茶漬け、桜餅。
『鮎売り』
騒動に巻き込まれ、転んで売り物のアユを落として傷めてしまった少女。
定価で売り切って帰らないと、兄嫁から叱られるというが、無論魚河岸の者たちは相手にしない。
鮎粥、花梨糖。
『立葵』
只次郎の長兄の娘…つまり姪のお栄はたいそう賢い。
学問をしたくてたまらないようでもある。
女に知恵が付くのを嫌う父や長兄には内緒で、只次郎は栄に勉強を教える決心をする。
武士の世の中も変わりつつあるのだ。
鴨丸ごと一羽使い切り料理。
捌くお妙さんがたくましい!
『翡翠蛸』
升川屋の妻・志乃の騒動再び。
しかし、まことに気持ちのいい(女性にとって)幕切れ。
上方では、土用は鰻ではなく蛸で決まり。
善助の姉・お勝から優しい言葉。
『送り火』
精進落としの穴子天。
只次郎の兄嫁・お葉の父、柳井。
まことにいい男であり、北町奉行所の吟味方与力としても有能だ。
この先も頼りにしたいものである。
…というのも不穏な影が… -
Posted by ブクログ
前巻を読んでからだいぶ時間が経っているせいで、ちょっとどんなだったか忘れているところもあるけれど、妙がつくる料理への愛が、変わらずとてもやさしくて、ほっこりします。わたしも食べにいきたい!
とりあえず、きゅうりとタコの酢の物を食べたくなりました。
妙に狼藉を働いた後に行方知れずになっていた藍染屋がひょんなところで発見される。それも妙に恋慕する只次郎に。よりによって、お武家らしさ皆無で男らしさもなんだか足りない優男の只次郎に!
とひどい言いようですが、それは只次郎が憎めないからです。可愛さ余ってなんとかて言うやないですか。
幸いなことに只次郎は浅はかな男ではないので、なんとかなるんじゃないかなぁって思ってはいるけども、ますます続きが気になります! -
Posted by ブクログ
読後にまず思い浮かんだのは、「おもしろうて やがてかなしき フェチ男かな」という言葉。
女のハイヒールに踏みつぶされることに性的快楽を覚える大学教授と、彼に亡き父の面影を重ねる女子大生。花粉症対策のため、おなかにサナダムシを飼おうとする彼氏と、それを阻止しようとする彼女の攻防。ある日突然ヌーディズムにめざめてしまった同僚と、彼に振り回される男性。
一風変わった「フェチズム」に振り回される人々の悲喜こもごもが、オフビートな笑いとともに描かれる短編集。ありそうでなかった着眼点に、目から鱗。テンポのいい会話も面白い。
ラストに収録されたデビュー作「虫のいどころ」は、特に笑いの要素が顕著。「花粉症のせいで土下座のフォームが決まらない」と嘆く彼氏が登場するのだが、つい地獄のミサワを思い出してしまった。
表示されていない作品があります
セーフサーチが「中・強」になっているため、一部の作品が表示されていません。お探しの作品がない場合は、セーフサーチをOFFに変更してください。