Posted by ブクログ
2013年06月04日
読後にまず思い浮かんだのは、「おもしろうて やがてかなしき フェチ男かな」という言葉。
女のハイヒールに踏みつぶされることに性的快楽を覚える大学教授と、彼に亡き父の面影を重ねる女子大生。花粉症対策のため、おなかにサナダムシを飼おうとする彼氏と、それを阻止しようとする彼女の攻防。ある日突然ヌーディズム...続きを読むにめざめてしまった同僚と、彼に振り回される男性。
一風変わった「フェチズム」に振り回される人々の悲喜こもごもが、オフビートな笑いとともに描かれる短編集。ありそうでなかった着眼点に、目から鱗。テンポのいい会話も面白い。
ラストに収録されたデビュー作「虫のいどころ」は、特に笑いの要素が顕著。「花粉症のせいで土下座のフォームが決まらない」と嘆く彼氏が登場するのだが、つい地獄のミサワを思い出してしまった。