坂井希久子のレビュー一覧
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百貨店のバイヤーとして働く主人公が、百貨店の呉服売り場の催事で京都から来ていた、老舗織屋の若旦那(一人息子)と恋仲になるところから物語が始まります。結婚を認めてもらうため二人で京都での生活を始めますが、老舗呉服店の嫁に相応しい素養が無いと決めつける若旦那の両親や幼馴染の舞妓の嫌がらせや、直ぐに広まる主人公の噂話で奇異な目で見られながらも若旦那の包容力と主人公のバイタリティで将来を切り拓いていきます。私の感想として、面と向かって婉曲な物言いをする京都弁での台詞は、相手に気づきを与えるという側面はあると思いますが、この物語では主人公が関東の出身なので厭味の意味合いが色濃く出ている感じがしました。ま
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核家族が普通になり、地域の繋がりも希薄になった現代。家庭や家族を維持するのは夫婦2人の双肩にかかっている。そのために夫婦はどうあるべきなのか。
あるひと組の夫婦のライフスタイルを通して、夫婦のあり方を問うヒューマンドラマ。
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岩瀬麻衣子は今、深山工業株式会社の応接室にいる。深山工業は麻衣子が社会保険労務士として顧問を務める会社だ。
向かい合ってソファに座るのは、育休を終え保育園に子どもを通わせたばかりの袴田という女性社員と労務を担当する管理部長。袴田からマタハラの訴えがあったため、麻衣子は話し合いの席に立ち合っているのだった。
遅刻はやむを得ないが連絡は必 -
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『居酒屋ぜんや』の子世代シリーズも、もう六作目。
今回は凶悪な事件は一応収まり、若い人たちの成長に筆が割かれる。
年齢や事情が少しずつ異なるものの、思春期を抜けて青年期に差し掛かる微妙な心理が描かれている。
女子たちの間では、お梅が一番しっかりしているかなあ。そのうち、熊吉の雇い主の奥様になるのである。どんな関係性になるのかな。
只次郎の姪のお栄は、幼い頃からたいそう聡明に描かれていて、先が楽しみだなあ、どんな人生を歩むのかしら、と思っていた。大奥に勤めることになった時は、んんんんん・・・?と思ったのだけれど、そこには様々な仕事があると知り、一応は納得、しかし将軍からお声がかかるという、望ま -
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アンソロジーは「名前も作品も初めて知った」作家のほうが断然面白く感じる。この本では坂井希久子『色にいでにけり』がそれで、普段読まない時代ものだがとても面白かった。主人公の境遇と芯に持つ矜持、江戸の色名と和菓子の描写が実に生き生き、しみじみと描かれていて、このシリーズが読みたくなった。
他は伊吹有喜『夏も近づく』、深緑野分『福神漬』も滋味があってよかった。井上荒野『好好軒の犬』はラストが上手い。柚木麻子『エルゴと不倫鮨』はトップバッターとして勢いがあり好印象。柴田よしき『どっしりふわふわ』はラストが安直な気がしたのと、中村航『味のわからない男』は好みが合わなかった。
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