東川篤哉のレビュー一覧
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東川作品はシリーズによってミステリの核となるパターンを変えているのですが、今シリーズでは「倒叙もの」です。しかもそこに「魔法使い」を加えるという変化球。もちろん本格ミステリとしてロジックで勝負しているので、魔法で解決はしません。倒叙ものではコロンボにしろ古畑にしろ、この人が犯人だと決めた上で犯人のミスを探すようなところがあり、その直感力が魔法じみて感じることがあります。(理由が説明されているとしても)そこでその魔法じみた部分を本当に魔法でやっているんですよね。魔法で犯人を確定してから、証拠やミスを探す。なるほどその手があったかと膝を打ちました。
本格ミステリとしてのネタは使い古されたものでも、見せ方次第で新たなパターンを生み出せる。その手腕が素敵です。そこにはキャラクターの名前の色付けと細かいギャグの応酬という、これまた東川作品お馴染みの味付けがなされて、より楽しめます。 -
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謎解きシリーズの初の長編です。豪華客船で起こる殺人事件に麗子と執事の影山、そして風祭警部が乗り合わせる。
物語の冒頭部分は執事の影山と風祭警部のやり取りが面白いです。影山と麗子のやり取りも楽しいのですけど、この二人のやり取りは、子供っぽい風祭警部を影山が大人な対応でかわすと言う感じです。そういえばシリーズ中でこの二人が絡むことはあまりない気がします。
謎解きと言うよりもどちらかと言うよりも、その動機の方が興味深いかなと思いました。世紀の大怪盗はなんとなくあの人かなと、思ったら案の定でした。麗子と影山の今後も気になりますが、そういえば、風祭警部はシリーズ3巻目で転勤になったんですよね。今後も変わらず登場してもらいたいです。 -
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トリックを考え疲れた頭に、底抜けに明るいジョークが叩き込まれてまた文章に引きずりこまれていきます。何度電車の中で「ぶふっ!」って、吹いてしまったか分かりません。
妹を助けるため、謎の女の死体を捨てる為に奔走する姉と巻き込まれた青年は、悪戦苦闘しながらも何とか死体を処理し山奥のペンションに辿りつく。しかし、そこで新たな事件に巻き込まれていく。そして、「密室シリーズ」でおなじみの鵜飼探偵と愉快な仲間達も、謎の依頼人の行方を追って(本来の目的はバカンス)山奥のペンションを訪れていた。それぞれの事件は豪快にクロスしていく。
東川さん特有の、小気味良いジョークの数々やテンポの良い話、そして予想外であり奇想天外なトリックが本書でも大健在です。特に今回は「遊び」が多く、緊張感高まる場面でも笑ってしまうようなことがありました。そんな緩急も合わせて、今までの鵜飼探偵シリーズでも屈指の破壊力と面白さがあります。 -
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コミカルなアラサー女子探偵物語
家賃を滞納する貧乏アラサー女子三人組が、滞納の帳消しを図るために大富豪の大家の命を受けて事件解決に挑む。エピソードや場面によって変わるものの、メインの視点人物を務めるのは、大富豪の大家の甥・啓介。彼はアラサー三人組に家賃の督促をする苦労人であり、ボケ倒す女子たちを捌く優秀なツッコミ役でもある。
キャラ立ちの強い登場人物に、コントのような会話劇。テンポがよくてエンタメ性がとても強く、小説が苦手な人でもスラスラ読めそうなミステリだ。
それでも推理は本格的。お屋敷での殺人事件という定番の展開に始まり、不思議な話やハラハラする話など、さまざまな物語を楽しむことができる。
そして何より、物語の舞台は私の地元!
そのため、物語で描かれている場所の光景が目に浮かぶようだ。ときどき現れる自虐や皮肉にも思わず頬が緩む。 -
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「やぁ、待っていたかい、僕の子猫ちゃんたち」
「誰も警部のことなんて待ってませんよ」
「お嬢様、心の声が漏れまくっております」
「今回は5篇の事件をパワーアップした私たちが見事解決するわよ」
「せんぱーい、わたしも活躍したいでーす」
「そうね、一緒に頑張りましょう」
「はーい」
「こらっ『はーい』じゃない。返事は『はい』だ!」
「警部、顔が怖いですー」
「お嬢様、そろそろ締めのお言葉を……」
「それもそうね、私たちの活躍を見てもらわなきゃね。それじゃみんな行くわよ、せーの!」
『【新】謎解きはディナーのあとで②絶対読まないと許さないんだっつーの!』
※私の勝手なイメージです。本編とは一切関係ありません。
って感じで、ワイワイガヤガヤ気軽に楽しめます。 -
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積読の山から見つけて読んだらおもろかった。
テンポよし、状況面白し、ごまかしノイズと尺稼ぎ少なし。
トリック重視、人物はミニマムで適正数で鼻につく者もおらず
程よい距離感と存在感で
ほんのり古めかしいステレオタイプなコミカルタッチ。
とにかくストレスが少なく連ドラのような軽快な読み心地。
古めの時代設定でビデオテープが序盤から踊り出て面食らうが、
それも謎の材料ならしょうがない。
あまり見ないような不審な視点切り替えと目線の語りで
進行させるあたりが警戒を誘うが、杞憂であった。
実際は伏線も丁寧、叙述トリックなどの飛び道具すら頼らずに
清々しく品行方正。
気持ちのいい一冊。