東川篤哉のレビュー一覧
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ネタバレおなじみの一行目一緒ショートショートのシリーズ。今回は初読みの作家さんが多かった気がする。特に最初の方、ロボットとかAIとかが続いて、大丈夫かいな、と思ったけど、真梨幸子さんや東川篤哉さんはちゃんと違うテイストで来ててさすがと思った。殺人が罪ではないという世界から、死刑等の罪になるという法律ができた、という大沼紀子「もう、ディストピアじゃん」は皮肉が効いてて特に印象的。面白かった。五十嵐律人「革命夜話」も違う切り口でとても良かった。敗戦後の混乱の中、食うにも困っている頃に、理想を夢見て日本国憲法を作った人がいたんだ、ということに改めて気付かされたわ。ありがたいことだ。
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烏賊川市シリーズの「じゃあ、これは殺人ってことで」。
「李下に冠を正せ」と「じゃあ、これは殺人ってことで」が好きです。
事件の真相が判明した上で、自分のために利用するという魂胆が良い。好意的な良いではなくて、大袈裟な言い方をすると業みたいなものが見えて良いです。悪い笑みが漏れてしまうやつですね。
よくよく考えてみると、ミステリーの犯人というのは自分本位で犯罪を犯してしまうのですが、ユーモアミステリというジャンルのせいか、断罪の気持ちはあまり感じてこなかったのです、東川篤哉作品では。断罪といかないまでも、犯人に共感も否定もなかったのですが、この2作の犯人は厭な気持ちになりましたね。
それが心地よくもあったのですが。 -
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5つの短編集。タイトルが『じゃあ、これは殺人ってことで』いやいや、殺人って『じゃあ』とか言えるようなもんじゃないと思うんだけど?と思いながら読み始めました。とにかく殺人事件なのに、登場人物のトーンが軽くて現実ではありえなさそうなのだけど、読み手としては重くならずに読めたので、あっという間に読み終えた。
こちらのレビューを見て知ったけど、これはシリーズものなのですね。初読みでしたが、全く問題なく読めたのでシリーズ未読の方でも読めます。(前シリーズを読んでいた方がより楽しめるのかな?)
個人的には『博士とロボットの密室』が好きでした。
恋人の博士とロボットを作っていた主人公は恋人に振られ、一緒に開発していたロボットも取り上げられてしまう。主人公は別のロボットと元恋人から開発していた我が子のようなロボットを取り戻すために元恋人の殺人を企てる…というお話。 -
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ネタバレ昨年末にひっそりと刊行されていた、烏賊川市シリーズの最新刊である。前作『スクイッド荘の殺人』は長編だったが、本作はユーモア重視の短編集に戻っている。読み応えは…良くも悪くも東川流ミステリの通常運転か。
李下に冠を正さず、ではなく「李下に冠を正せ」とは。農園で働いていた青年が逮捕された。彼の不可解な行動の理由とは。ハウダニットではなくホワイダニットにひねりを効かせた1編。鵜飼は最後の依頼を受けたのだろうか?
「深夜プラス犬」。ぼやきながら砂浜を掘る、鵜飼と流平。掘り出したものが示す、事件の真相とは。トリックとしては他愛ないが、こちらもホワイダニットがメインか。この結末、鵜飼も砂川警部もそんなに呑気にしていていいのか?
「博士とロボットの密室」。以前にもロボットネタがあったような。動機は短絡的だが、現実より進んだロボット技術を活用したトリックはなかなか面白い。しかし、犯行は露見してしまった。確かに犯罪者としては甘かったねえ。
「どうして今夜の彼女は魅力的に映るんだろう」。正直、この青年の行動は容疑者扱いされても無理はないが、トリックの面で腑に落ちる1編。そのアイテムをそのように使うとは。長ったらしいタイトルの意味には触れずにおく。
表題作「じゃあ、これは殺人ってことで」。東川作品でも読んだ記憶があるダイイングメッセージものだが、これはたまたま同じネタを知っていた。読みどころは、最後の一言か。投げやりなタイトルの意味には触れずにおく。
安直にユーモアミステリと称されやすい東川作品。今回もまた然りだが、ドロドロやブラックな隠し味を効かせた作品集とでも言おうか。鵜飼と流平が登場しない作品もあるが、別に寂しいとは感じない薄情な読者です、はい。
東川流ミステリの数え切れないシリーズ作品の中でも、烏賊川市シリーズは、鯉ケ窪学園シリーズとともに末永く続けてほしい。