森博嗣のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
悲観とは
「物事は予測や予定通りには運ばない」と考えること。
本書で伝えたいのは、この「思わぬこと」に対する考察の重要性だ。重大な過ちを繰り返すことへの歯止めは悲観することしかない。「機械はいずれ壊れる」「人間は必ずご操作する」という工学の設計には当たり前のフェールセーフの思想が、人間の心理や感情には決定的に不足している。
エラーの想定が不十分なのだ。
もちろん単なる心配や諦めは悲観ではない。「これでは駄目かもしれない」と思ったら次にどう対策するのか。
豊かな社会ゆえの楽観を排し、有効な悲観の技術を伝授する。
(あらすじより)
今の職場はエネルギッシュで非常に挑戦的だ。
入社して3ヶ月、圧 -
Posted by ブクログ
風見鶏的な不安定さ 人それぞれ拠り所が違う 理屈で考えればこうだ 仲間外れを罵る事で結束が保たれる 無関心が反逆と映る いくらでもプロパガンダで捏造できるものなのだ 火山の水蒸気爆発 表向き装う 自信に必要なのは「悲観」だ 今や天然記念物クラスの死語である いつの間にか「むらむらした」と犯罪者が言い訳する言葉なに落ちぶれてしまったということか 単なる個人的感情などを吐露している 「誰でも良かった」と語られることが多いが、それにしては、やりやすい相手を選んでいるように見える。 一矢報いる気持ちで事を起こす 加害者の生い立ちや被害者の嘆きなどを広く公開しない方が良い。演じられた彼が主役のフィルムを
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Posted by ブクログ
ネタバレ事件のトリック自体は古典的だった。クリスティの『オリエント急行』のパターンだ。動機も森作品としては割と穏当で、単発の作品としては地味な印象を受けた。
むしろこの巻で感心したのは、殺人事件以外のトリックだ。ひとつはVシリーズの『朽ちる散る落ちる』との絡み。この研究所の物理的構造が次の事件のトリックに活かされていて、この巻自体がいわば前哨戦なのだ(なので『超音波』と『朽ちる』の2つはセットで読むと面白い)。
もうひとつは、テクノロジーを利用したトリック。橋が爆破されて研究所が孤立した時、「なぜ誰も携帯を持ってないんだ」と思ったのは私だけではないと思う。山奥だから使えないという一見もっともらしい -
Posted by ブクログ
森博嗣という人間の考え方を垣間見ることのできる作品。
同時に, 今まで彼の小説を読んできて, 「森博嗣の死生観に触れた気がした…, 森博嗣っぽい…」などなど感想に書いてきたが, 非常に的外れで恥ずかしいということに気付かされる。森博嗣という人はどこまでも私からは離れた思考回路の人間なのだと感じた。気持ちが良い位スパッと割り切った考え方をしていて, 共感できることも少なくないし, なるほどそう考える人もいるのねと「はっ!」とさせられることもある。
小説ではない森博嗣のこの世界観, 個人的には好きなので次のシリーズもチャレンジする予定です。
以下備忘録。
*不満を持っている方が, 満足しているよ -
Posted by ブクログ
「客観的に考える」ないし「抽象的に考える」ということについて、著者自身がふだんから心がけていることを紹介しながら、自分で考えるための方法を読者に向けて語っている本です。
けっして語り口はむずかしくないのですが、著者特有の概念の用いかたになれず、しばしば戸惑いをおぼえました。たとえば、「考えてみたら変な話だが、言語という具体的なもので、抽象的なことを表現するのである。きっと「~のような」という表現を多用することになるだろう」と書かれているのですが、言語というのは抽象的な概念を表現するものであり、「~のような」というのはイメージの連絡をかたちづくっていくことを意味するのではないか、といったような