あらすじ
犀川助教授と西之園萌絵。四季と再びの邂逅を試みる。四季が残したメッセージは、何を示す? 妃真加島で再び起きた殺人事件。その後、姿を消した四季を人は様々に噂した。現場に居合わせた西之園萌絵は、不在の四季の存在を、意識せずにはいられなかった……。犀川助教授が読み解いたメッセージに導かれ、二人は今一度、彼女との接触を試みる。四季の知られざる一面を鮮やかに描く、感動の第3弾。
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Vシリーズのねじれ屋敷で出てきた50歳を越えた保呂草が、いよいよ30半ばになる犀川に20年ぶりとなる久々の再会を果たすところは2シリーズを読んできたものとしては感慨深いシーンだった。
滅多に驚くといった素振りの無い犀川が「本当に?」と驚いていたが、まあ当然だろう。
しかし当時小学生の”へっくん”だった犀川がよく50になる保呂草に気づくものだ。
やはり犀川の頭脳も相当な記憶力と瞬時にそれを引き出す事ができる回路を持っているということか。
犀川自身も保呂草の胡散臭さには母親の紅子同様知っているものの、しかしそれが決して額面通りの悪ではないこともまたわかっている。そのため保呂草を庇い、保呂草は犀川をしっかりと見守っている。
その世代を超えた友情の深さは凄い。
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春・夏とは違い、四季は登場しませんが、娘の死と研究
所から出た理由が明らかになります。
読み始めてすぐに思ったのは、「萌絵ちゃんどうした?」
でした。挙動が凡人のようで…
でも思い返してみると、萌絵ちゃんは犀川先生のことに
なると、昔から「普通の女の子」でした。
「有限と微小のパン」が萌絵ちゃんが自信をなくしたの
ではないかと少し心配になる終わり方だったので、四季
と犀川先生の関係、それぞれに対する萌絵ちゃんの思い
がわかるようで第1章は読んでいて辛かった。
第2章ではとんでもない事が起きるけど、それに関して
犀川先生は言及しないし、萌絵ちゃんがハッキリ聞くこ
ともないので、「あの犀川先生だから」で読者も納得さ
せられてしまう。 犀川先生と萌絵ちゃんらしいです。
Vシリーズは未読なので、読んでおくべきだったと少し
後悔している。
それでも十分楽しめた。
一見終わったように見えて、タイミングや場所などに
四季の意図を考えると、終わりじゃないんだろうなと
思う。人々が好んで四季の後を追ってるとしても、四季
は色々な事に人を巻き込み過ぎてる気がして、彼女に対
する印象はあまりよくない。
それより、瀬在丸紅子が興味深かった。
扇風機と太陽のたとえには声が出てしまった。
いいね。 その話だけで好きになった。
力への憧れや恐れの話も面白かった。
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夏もご褒美回だったけど
秋のオールスターっぷりに読んでてニヤニヤが止まりませんでした( * ॑꒳ ॑*)
犀川創平と西之園萌絵、保呂草潤平と各務亜樹良、そこに真賀田四季。S&MシリーズとVシリーズの繋がりや気になってた部分がたくさん語られる。
何も事件が起きてないのに最高に面白い。
これが森ミステリの真髄か( * ॑꒳ ॑*)
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S&MシリーズとVシリーズを読んできた読者にはご褒美みたいな巻でした…!!
まさか萌絵ちゃんと紅子さんの絡みが見れるなんて、嬉しすぎました…。
犀川先生&萌絵ちゃんも良かったけれど、保呂草さんと各務さんの関係もあって、ウワァ…!てなりながら読みました。
世津子さんのお母様が祖父江さんなの、犀川先生と紅子さんの関係がわかったら想像できるのに明言されるまで気づけなかった。
シリーズの連続性?というか、CLAMP作品的なリンクも楽しめてすごく良い。
肝心の四季博士の登場は少なかったけど、萌絵ちゃんや犀川先生など登場人物に多大な影響を与えているんだなというところがまたすごいなと実感した巻でした。
Posted by ブクログ
今作は真賀田四季の出番は少なかったですが、他シリーズの登場人物達の新たな関係性とともにストーリーが進み、十二分に楽しめました。
作中で、自らも相当に優秀でありながら、犀川創平を惹きつける真賀田四季の自分を圧倒する天才性に焦燥する西之園萌絵の描写を読んで、改めて四季の遠さを感じさせられました。
真賀田四季、ひいてはストーリーを創り上げる作者の思考を本シリーズを通じてトレースし、少しでもその天才性に迫りたいと、改めて感じさせられる3冊目でした。
Posted by ブクログ
序盤からまさかまさかと今まで知らなかった相関図を仮定して読み進めながら何回もうわあ!うわあ!と思った。
登場人物がかなりスペシャルだし徐々に明かされていく過去シリーズとの関係も興奮だし、犀川先生と萌絵ちゃんの模様も相変わらずなところがありながら大きな進展(なのか?)もちょっと見えるし、要素ぎゅん詰めだった。うわあ〜!
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瀬在丸紅子がかっこいい。
林や四季が惹かれるのも納得。
春、夏と四季目線だった物語が、今作では犀川、萌絵、各務、保呂草を中心に進んでいくので、S&Mシリーズ・Vシリーズのファンにはたまらない。
みんなそれぞれが歳月を重ね、人間としても成長しているのも見所。
今まで点と点だったものが線になったような一作。
今までで一番楽しめた。
いよいよ次で本シリーズが終わると思うと少し寂しい。
Posted by ブクログ
もうなんかすごいご褒美。ほんと読んでて楽しいな〜。最後の萌絵ちゃんと紅子さんの会話がすごく印象的で、そこだけすごく覚えてた。
保呂草さんが案外粘着質で可愛らしく思える。色んなものに執着がなさそうなのに、各務亜樹良は諦めきれないんだなあ。記憶してたよりも2人が好ましいカップルでよかった。いいコンビだよ。
犀川先生と萌絵ちゃんも、ちょっとずつ進展してて微笑ましい。国枝先生もいい。ずっと読んでると、たいていの登場人物はみんな愛着が湧いて好きになるな。C大も山吹さんも出てきたし、Gシリーズも思い出しながら読めてほんと贅沢!
ずーっとみんなの年齢を計算しながら読んでたけど、本人のセリフ以外だと印象でしか年齢が書かれてないから、なんかぜんぜん計算合わなくない??ってなる。年表が欲しい。
春、夏は真賀田四季目線で世界を見ていたけど、秋は完全に真賀田四季に置いて行かれて残像だけ。萌絵ちゃんが思ったみたいに、読んでる私も人類が天才に見捨てられたみたいに感じる。もう、真賀田四季の頭の中は見せてもらえないんだなあって、勝手に寂しくなる。
とはいえ冬も楽しみ!そのあとのGシリーズ、Xシリーズは途中まで買ってるはずだから、探さなきゃな。
Posted by ブクログ
ついにS&MシリーズとVシリーズが一つになりました。
森先生はS&Mシリーズを書くときに一体どこまで先を考えて書いていたのか…
次の「冬」が楽しみで仕方がありません。
Posted by ブクログ
萌と犀川、各務と保呂草の恋愛のストーリーでした。また四季から"すべてがFになる"の内容について語られます。そして萌と紅子が会います。これまでのシリーズを読んでいる人にとってはなんとも贅沢な内容です。
Posted by ブクログ
S&Mを主軸にVそして四季。
さながらオールスターゲームの様相。
いやぁ読んでて楽しい。
言いたいことは色々あるけれど、楽しかったの一言に尽きる。
こういう作品(シリーズ?サーガ?)をもっと色々読みたいなぁと思う今日この頃でした。
Posted by ブクログ
さいこうだった、、、。
夏でご褒美はおしまいかと思ってたら、
まさかのもっとご褒美がきた。
萌絵ちゃんと紅子さんの
会話のシーン、泣きそうになった。
保呂草さん、このふたりを「似てる」って言ってたよね
S&Mシリーズが、もえちゃん可哀想、、
で終わったから、幸せそうにしててすごく安心した。
、、、でさ、
ミチルのクローン、、細胞、、
ってもしかして「女王の100年密室」につながるのかしら、、、
森博嗣、天才かよ。
もう絶対すぐ読み直す。
100年シリーズだいすきなのよ
Posted by ブクログ
S&M・V・四季と読んできて, もはやこの作品を単独で評価することは不可能。
シリーズや時を越えて大好きな登場人物たちが四季によって集められる。
四季シリーズなのに, 主要な人物軸が萌絵と犀川で,まるでS&Mシリーズのappendixみたいな位置付けと思いきや, どのシーンにも誰の脳裏からも四季の影を感じる。彼女の圧倒的な存在感たるや。
そして, 四季が紅子を感じて子どもをもうけた。その四季から母性を感じて萌絵が「子どもがいたら…?」と影響を受けている連鎖に鳥肌。
それにしても, 真賀田四季が実在したら心酔してしまいそう。
Posted by ブクログ
あぁー・・・あぁーもうっ!!!
夏でもやられたのにさらにきたこれ・・・。
四季はほとんど出ていないのにやっぱり主役は彼女。
気になるお歴々のその後が。。。
ちゃんと答えを出してくれるとは思ってなかった・・・!!
もう大大大満足!!
犀川先生・・・どういう風の吹き回しだったんだろう。。。
Posted by ブクログ
真賀田四季の過去の話と思い春夏秋冬を読み始めたが、ここに来てS&Mシリーズのその後が描かれているとは!不意打ちでびっくりして犀川先生と萌絵に会えたのが嬉しい。
四季が残した手がかりに気付き追う2人の噛み合ってないけど歩みは同じという感じが好き。この少しズレた感じで予想を超える2人がこの先もずっと一緒にいてほしい。
瀬在丸紅子さんが雰囲気あって気になるなぁ、と思ってたらまさか犀川先生の母親だったなんて!そう言われると納得してしまうけど衝撃。
そして紅子さんVシリーズの主人公なん?それ知って四季シリーズで終わるつもりがVも手を出そうと決めた。
Posted by ブクログ
こちらも感想を書くためにパラパラとめくりました。
私はあんまり再読とか、確認が好きではないのですが、
森博嗣さんの本は、二周目も楽しめるかも。
保呂草さんが登場する、×シリーズ?も読みたくなります。
人殺しで殺人犯であるはずの真賀田四季だけど、
周囲の人間たちの行動や、
本人の言動を見ていると、
それが犯罪行為だったのかわからなくなる。
だからこそ、萌絵ちゃんがいてくれてよかったと思います。
四季、犀川、紅子を見ると、
まっすぐな萌絵ちゃんが、
一番自分と感覚が近い気がして安心するんですよね。
紅子さんもブレずに素敵でした。
今巻は、周囲との決着をつけていくような一冊でした。
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保呂草さんも好きだけど、やっぱりs&mシリーズだよなと思った。
真賀田四季博士(大人)と犀川先生。良い。
当たり前かもしれないけど、保呂草カップルは出会った当初(いがみ合ってた?頃から)から2人の間を漂う色気があったよな
それが犀川と萌絵には全くないんだなと今回改めて感じた。どーでもよいか。
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第3弾
四季にとらわれている人たちの話。 最後の方は怒涛の展開で、あ、そうだったんだってことが、そうなのかなって思っていたことが確認された感じ。 やっぱり萌絵は好きじゃないけど、それを上回る犀川好きのため、止めることができない。難しい。 スケールが大きすぎるけど、四季にとっては小さな世界というか世界が小さいのか
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犀川創平 と西之園萌絵が天才科学者・真賀田四季が残したメッセージの謎に迫る物語。四季シリーズ4部作の3作目。
今作は真賀田四季はあまり登場せず、S&Mシリーズの犀川創平 と西之園萌絵、Vシリーズの保呂草潤平と各務亜樹良の2組が真賀田四季が残したメッセージの謎を追っていきます。
VシリーズとS&Mシリーズその後を描くものであり、2つのシリーズの関連が明確になる物語でもあります。また、S&Mシリーズ第1作『すべてがFになる』では明かされなかった部分も書かれています。
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何度目かの再読。四季シリーズ第三弾。今回は真賀田四季がメインではあるけれどスポットが当たっていたのは萌絵ちゃんと犀川先生、そうして保呂草さんと各務さんである。萌絵ちゃんはきっとここらへんでようやく許すということの片鱗を知ったのだと思う。それは真賀田四季からのメッセージのおかげでもあり、もしくは紅子さんとの出会いでもあったのだと思う。二組のカップルの話はここでほぼ終わりを迎えたのだろう。
Posted by ブクログ
四季シリーズ第三弾。「すべてがFになる」後の四季の物語。しかしながら、四季はほぼ出てこず、犀川と萌絵の物語である。今までの謎が少し解決するかも…
Posted by ブクログ
【あらすじ】
妃真加島で再び起きた殺人事件。その後、姿を消した四季を人は様々に噂した。現場に居合わせた西之園萌絵は、不在の四季の存在を、意識せずにはいられなかった……。犀川助教授が読み解いたメッセージに導かれ、二人は今一度、彼女との接触を試みる。四季に知られざる一面を鮮やかに描く、感動の第三弾。
【感想】
四季の春夏と違って、西之園萌絵視点で物語が進む。S &Mシリーズ、Vシリーズが交差する話で、単発で読んで楽しいというよりも今まで追ってきたファンが読んでこそ楽しい作品だと思う。
なぜあの研究所を出たのか、というのが確かに今まで描かれていなかったし、夏で出てきた通りドクタースワニィとの関係性が分かって、面白かった。
保呂草さんと各務亜樹良の関係性が良いし、萌絵が紅子さんに会ったシーンが好き。
【好きな箇所】
「いえ、それはわかるの。でもね、正しく理解して、充分に評価することと、愛情は、また別ものでしょう?」
「考えることだけが、自由なんだ」犀川は言う。「行動なんて、些細な問題だ。考えたことを、僅かに具体的に、ほんの部分的に試すに過ぎない。完全なサブセットなんだ。考えたことの百分の一だって実現することはできない。行動するだけで時間やエネルギィが消費される。真賀田博士くらいの思考能力を持っていれば、行動はすなわ無駄だ」
(略)
「それって、つまり、生きていることが無
駄、ということになりませんか?」
「いや、思考は生きていなければできない。肉体を動かすこと、物体を移動させることが無駄だという意味だよ。そう考えている人間が、何故、あんなことを、つまり研究所を抜け出したりしたのか、という問題」
「自身の中にどれだけの自由を取り入れることができるかしら。 時間と空間を克服できるのは、私たちの思想以外にありません。生きていることは、すべての価値の根元です。」
「意志?」
「可能か不可能か、という問題では、きっとない」 犀川は鋭い視線を萌絵に返した。
「それを可能にする意志が、あるかどうかだ」
「その価値を認めるかどうか。そして、それを許すかどうかだ」
「歴史的に築かれたモラルは、そのほとんどが、生命を守るために、我々が存続するために選ばれた手法の一部なんだ。人を殺してはいけない。人を食べてはいけない。血縁者と交わってはいけない。生命は神聖なものだ。人は神によって作られた。堕胎をしてはいけない。自殺をしてはいけない。しかし…………」 犀川は煙草を吸い、そして煙を吐いた。「それらはすべ
て、結局のところ、人の集団を守るためのエゴでしかない。自然を破壊してはいけない、何故か?それは人が生きにくくなるからだ。あらゆる道徳は、そのエゴから発している。それが良い、悪いという話をしているのではない。(略)」
「私が許しても、許さなくても、あの人は存在している。」
「そうだ。君が許さなくても、地球はある。誰も許さなくても、太陽の周りを回っているんだ」
ハンカチを出して、涙を拭った。
四季も泣いただろうか?
人間は、どうして泣くんだろう。
どうして、どうして、どうして、それを言うのが人間?
けれど、涙を見てくれる人がいる。
疑問を受け止めてくれる人がいる。
それだけで、充分ではないか。
静かに。
自分が泣くことを許すように、沢山のことを許さなくてはいけない、と彼女は思った。
「国枝先生は、人のクロンを作ることを、どう思いますか?」
「動物のクロンを作ることと、あまり変わらないと思う」
「いや、賛成も反対もするつもりはない。そういうのは専門家が判断することで、充分な情報を持たない私が、どちらか決めても意味はないね。ただ、クロン技術で生まれた人間は、本当の人間であって、もし実現するならば、そういった人たちを守る法体制が必要だろうとは思う」
(略)
「肉体が単なる入れものに過ぎない、問題はハードではなくて、そこに芽生えるソフトなんだって、なんていうのかしら、そういったフィジカルな拘束から精神が解放される日が、いつか来るでしょうか?」
「眺めていても、いくら近くで見ていても、その理想には近づかないわ」
「それはそうですけれど、その理想の人を、自分の方へ向かせれば、その一部だけでも、自分のものにできるかもしれないって・・・・・・」
「何が自分のものにできるの?」
「えっと….....」
同じだと萌絵は気づいた。
他人の何を自分のものにできるのか。
その実体は、何なのか。
同じ概念に自分は拘っている。
「幻想ですね」 萌絵は頷いた。
「扇風機のように、前にしか風が来ないのなら、こちらを向いてくれないと困りますけれどね。たとえば、太陽はどう? メキシコが晴れていたら、その分、日本は損をしますか?」
「つまり、その差は、何ですか?」
「貴女が、太陽を好きになったか、扇風機を好きになったか、の差です」
「結局は、私の問題なの。私の認識だったのね」
「それは、人を許すということですか?」
「いいえ、自分を許すということ」
(略)
「人は、自分が許せないときに、悲しくて泣く、そして、自分が許せたときに、嬉しくて泣くの」
なにかの答を得たような気がする。
何だろう?
どんな問題だったかしら?
解けてしまったときには、問題も消えている。
それが、本来の問題だ。
消えたあとに、優しい気持ちだけが残る。
Posted by ブクログ
Vシリーズを全て読めばよかったと後悔しました。
そうすれば、二組の主人公を楽しむことができたのに・・・。
また、扇風機と太陽の例えは凄い特殊だなと感じました。
Posted by ブクログ
四季の各巻はS&Mシリーズのどのタイミングで読むのがベストなのかと考えてしまった。少し先に進んでしまったようなので、今度はS&M に戻ろうと思う。
秋はもっとも構えないで読めたもので、犀川と萌絵のカタツムリラブストーリーが飛躍した巻だった。
Posted by ブクログ
消えてなお思考に影響する真賀田四季。
にもかかわらず、その存在すら疑わしい。
今回は彼女自身ではなく、彼女に人生振り回された人たちの物語
これまでになく恋愛要素も強い
Posted by ブクログ
巨大な塊を、砕いて、割って、削って、挽いて、溶かして、ようやく飲み込める。そんな一冊。
凡人の私には「シリーズを読み直して、人物と出来事を時系列でまとめないと付いていけないなあ。」なんてことを思い、
再読した今もまた思う
「考えることだけが、自由なんだ」
Posted by ブクログ
Vシリーズを読んでいなかったので、驚きはかなり薄れてしまっただろうと思う。
西園寺と犀川のその後のストーリーという点では興味深かったけれど、謎解きがあるというわけではなく、今までのシリーズの総集編という位置づけで、十分に楽しめなかった感じはある。
全シリーズを通して読み終えたばかりというときに、続けて読んだら、かなり面白いのだろうと思う。
「考えることだけが、自由なんだ」犀川は言う。「行動なんて、些細な問題だ。考えたことを、僅かに具体的に、ほんの部分的に試すに過ぎない。完全なサブセットなんだ。考えたことの百分の一だって実現することはできない。行動するだけで時間やエネルギィが消費される。真賀田博士くらいの思考能力を持っていれば、行動はすなわち無駄だ」(p.101)
「扇風機のように、前にしか風が来ないのなら、こちらを向いてくれないと困りますけれどね。たとえば、太陽はどう?メキシコが晴れていたら、その分、日本は損をしますか?」(p.279)