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紀彦(のりひこ)にとって相田家はごく普通の家庭だったが、両親は変わった人だった。母は整理収納に異常な情熱を傾け、孤独を愛す建築家の父はそんな母に感心していた。紀彦も結婚し子供ができる。やがて母が癌で亡くなり、父も看取りのあと自ら入った施設で亡くなる。その後、家のあちこちに母が隠したヘソクリが出現し……。限りなく私小説の姿を纏(まと)った告白の森ミステリィ。
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Posted by ブクログ
森氏の私小説のような私小説ではないような 父、母、私の物語。 親が子に与える影響、家族の在り方、老いとの向き合い方、死の捉え方、相田家を通して色々と考えさせられる物語。 私か! 私の父親か!! 私の母親か!!! と思えるエピソードや思想があまりにも多かったので驚きでした。 サリンジャーのナイン...続きを読む・ストーリーズに続いて私のバイブル2冊目に登録しました。
「相田家」という森博嗣のほぼ自伝らしい。 世間からは少し変わり者のような紀彦(森博嗣)の両親が駈落ちをして、紀彦と妹が生まれ、その子供たちがそれぞれ自立し家庭を持ち子供が生まれ、年を取った両親が亡くなるまでの話。 特別なことは起こらないけれど、一つ一つのエピソードが独特で微笑ましい。 世間体を全く...続きを読む気にせず、合理的に生きているけど、実は愛情深い相田家の人たち。ドラマのようなほのぼの、ベタベタした関係じゃなく、それぞれが自立した大人で互いを尊重しつつ依存しない親子関係が潔くてよかった。 親の介護や実家の処分、お葬式のあり方などもものすごく参考になった。 世間の常識にとらわれず、自分の家族の在り方を今一度考えよう、って思えた。
私は紀彦さんとは似ても似つかない性格だと思うけど、何故か紀彦さんにとても感情移入しました。 置かれてる環境がなんとなく似てるからなのか、彼が発する言葉に逐一頷いていました。 森博嗣先生の私小説との事ですが、物凄い告白のような気がします。
淡々と終末について述べられていく私小説。 著者のこれまでの著作にも通ずるような記述が多いが、あくまでフィクションであるので、どれほど事実が記載されているかは不明です。 しかし今回描かたことは、日本中で多くの家庭が直面していることであり、今後自分にも訪れるだろうとシミュレーションしながら読み進めました...続きを読む。 …最後の一言でそんなこと吹っ飛んだんですが。
本当に本当に面白かった! 森さんのお話は何冊も何冊も読んできたけど、今回は初めて彼の本を読んだ時を越える衝撃があった。 あああ、彼のお話にはきっとなかったトリック?しかけ?を話してしまいたい。あってるかどうかは、知らんけどたぶんこう!っていうやつ。 あーもー興奮した!!
先日単行本版を読んだばっかりだけども、文庫版が出ていたので、再読。 解説が加えられているのと、文庫の大きさになっているという違い。 やはり、この静かで暗い感じはいいな。 最終的にどうなるのかを知っているので、また違う読み方ができた。 最終的にあそこに収束していく家族の形。 ---------...続きを読む------- 【内容(「BOOK」データベースより)】 普通の家庭だったけれど、ちょっと変わった両親。最後に息子がしたことは破壊だったか、それとも供養だったのか?さよならだけが現実だ。血は争われない。森博嗣の家族小説。 ———————— 【著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)】 森/博嗣 1957年、愛知県生まれ。作家、工学博士。国立N大学工学部建築学科で研究する傍ら執筆した小説『すべてがFになる』で1996年、第一回メフィスト賞を受賞し、作家デビューする。以後、次々にベストセラーを発表、不動の地位を築く ————————
帯には森ミステリィとあるが、全くミステリィ要素はない。 森博嗣の私生活を描いた(と思われる)私小説であり、人生観、家族観、夫婦観、親子観等々について、共感、あるいは考えさせられる部分が多かった。
本書を読んでいる時に、映画「どうすればよかったか?」を観たり、自分の家族親族に色々あったりと、家族と言うものを強く意識させられた。 親子、夫婦、兄弟の関係、そして病気が重くのしかかる。基本は助け合っているけれど、それぞれのプライドが優先されたりすることもあり、なんだかちぐはぐしてくるものだ。
「喜嶋先生の静かな世界」の、世間の常識とは少し距離をとっているような淡々とした世界が好きなのだけど、その感じと地続き。 相田秋雄と紗江子という夫婦とその子どもたちによって、一定の期間だけ存在した家族についての記録のような物語だ。家族は自然消滅していき、新たな家族関係が生まれる。これを、連綿とした一つ...続きを読むの道のりに繋げようとすると、「イエ」という概念になりそうだけど、繋がりはもっと緩くていいのに、と思う私には、頷ける言葉があちこちに散らばる物語だった。親には親の人生があり、子には子の人生がある。シンプルだ。 「君の幸せの中に、子供たちを入れることは、どうかなと思う。それはやっぱり、エゴじゃないかな」
老後について考えさせられた。 自分は紀彦に共感できる。が、親や子どもが同じ価値観とは限らない。以前、老後の資金をしっかり貯めている母に、自分がしてもらったことに感謝する気持ちを込めて「老後の面倒を見るより、子どもをちゃんと育てることが親孝行だと思っている」というようなことを言ったら、あんたは冷たい、...続きを読むと嫌がられた。それが一般的なんだろうな。でもその時は、母が普通の考えを持っていることに驚いた。
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