あらすじ
気力と体力不足の高橋が、やっと職を得たのは下町の「銀河不動産」。頑張らずに生きる――そんな省エネ青年を訪れる、奇妙な要望をもったお客たち。彼らに物件を紹介するうちに、彼自身が不思議な家の住人となっていた……? 「幸せを築こうとする努力」が奏でる、やさしくあたたかい森ミステリィ組曲。(講談社文庫)
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Posted by ブクログ
久々に読んだ森先生の本。やはり面白い!!
SMシリーズ読み返そう!
四月は君の嘘風に表現すると、モノクロだった人生が主人公の人生が、不動産屋に就職し、様々な人たちの人生に触れることで色づいていく物語。
天才が出てくるわけでも、殺人が起きるわけでもない、とびきり仰天するドラマもない。ただし客はみんなちょっと変。
いつの間にか引き込まれる。
登場人物への共感は難しい。主人公は熱量が低いし、みんな好き勝手に生きてるし。
なんで面白いのか。なんで?と言われたら、無理やり捻り出さずに、何ででしょう?とか聞き返そうなくらい熱量が低い、その絶妙な空気感
Posted by ブクログ
何事にも後ろ向きで省エネ主義の高橋は、社員がたった二人しかいない銀河不動産に就職する。
そこで出会った一風変わったお客さんに振り回されながら、流れに身を任せて生活する。
地元のお金持ちの奥さん。
売れないミュージシャン。
女二人暮らしの芸術家。
アミューズメントを目指す中年。
そして、同年代の素敵な女性。
いつの間にか、高橋の回りには人が溢れ、暖かい善意に触れる。
Posted by ブクログ
すごいゆるい感じの話なのに、後半の急展開と主人公のリアクションがすごい面白い。自分はなりたくないけど、あの人がこういうことになったら面白いのに。とか思って、読みながらニヤニヤしてしまった。
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確かに登場人物の超越っぷりがすごい。でも一番すごいのはやっぱり主人公なのだろうか…。
別に誰もが憧れるわけじゃないけど、こういう生き方ができたら素敵だと思う。
Posted by ブクログ
『長針がずっと回らないまま、短針がぐるぐる時間を送るような』
あれ?私森博嗣の作品を読んでるんだよね?三浦しをんでも、伊坂幸太郎でもなく、森博嗣の作品を。
文章に紛れる独特のリズムと、鉄でできたような綿飴の味、拒絶に近い人への敬遠の影を少しずつ楽しんだ。
いつ人が死ぬのだろう。どんな悲しい別れがあるのだろう。最後は全部壊れてしまうのでしょう?と、思いながら読んでいた。でも、そんなことはこの本の中では起きない。絶妙に全てが和らいで感じる。どこか暖かいような。冬の日よく晴れた昼過ぎの日差しのような。
もちろん、森博嗣なんだから、ただじゃ終わらない。最後の数ページで濃縮された森博嗣を味わう。
日曜日の午後に珈琲とドーナツを食べながら読むのに、とても良い一冊だった。
Posted by ブクログ
森博嗣先生の作品に初めて触れたのはあの有名な「すべてがFになる」で、そこから森ミステリの世界にどっぷり浸かった。そしてミステリ以外の森作品にも手が出た。そして本書はまさに森ワールド。いつも流されていて気力が人よりないと感じる主人公。そんな彼が周囲の人からはやめとけといわれる、不動産会社に就職する。そこに訪ずれる奇妙な人々。そして徐々に変化していく主人公の青年。小説という架空の世界でありながら、他人の人生を追体験できる。そんな素晴らしい作品。
Posted by ブクログ
完全無気力、日々頑張らなくていい方法を模索して生きてきた青年・高橋が就職したのは、大学から「ここだけはやめておけ」と言われた銀河不動産。
顔も口も声もでかい気力満々の社長・銀亀元治と、年齢不詳、控えめだけど鋭い洞察力を備えた事務員・佐賀佐知子と共に社会人生活のスタートを切った高橋は、ひょんなことから客である大地主の間宮葉子から、超個性的な間取りの家を借り受けることになる。
――玄関ホールの左右に一段低い部屋が二つ。とても大きい。左右対称だった。いずれも、奥へ行くほど天井が高くなる。奥の壁の高い位置半分は、全面がガラス。そちらは方角では北になる。青一色の空が、窓の外に見えた。異様に大きい空間である。とても、住宅とは思えない――
まさに「ノースライト」の家。工学部建築学科助教授だった森さんの意匠を空想して物語に入り込む。
何事にも白黒をはっきりとつけない、よく言えば人柄がよく、悪く言えば優柔不断な高橋は、どんどん周りに流されていく。行きがかり上とかひょんなことからといった事情の積み重ねで、彼の住む家がだんだん変貌を遂げていくのは想像の範囲内で、ありがちなコメディを見ているよう。
と、ここまではなんだかな~って感じだったんだけど、この物語の肝はラストの間宮邸でのやり取りにある。
――幸運といったものは、この世にはない。あるとすれば、幸せを築く能力、それを持っていた、幸せを築こうという努力、それをしたというだけのことです。その能力と努力によって、順当に作られていくのが幸運なのです――
ここに来て振り返る高橋の生き方、人との関わり、そんなにうまくいくわけないよな~って思いながらも、彼でなくてはこうはならなかったな~と、ちょっと爽快で、ほんのり温かい気持ちで読み終わりました。
余談:昨日読んだ「森には森の風が吹く」ではこの作品について森さんは、
――この作品を読んで、「真面目にやっていれば、いつか報われるという教訓」を読み取った人がいるようだが、そんなことを読み取られるとは、まだまだ作家として脇が甘いというしかない。真面目にやっていても、報われないことの方が多いだろう。と正直に書いた方が、ずばり通じるのだろうか――
と書いていた。やっぱり相当天邪鬼だわ~
Posted by ブクログ
高橋くんはおちこぼれ大学生で、就活もうまくいかず最後の手段で用意されている不動産屋へ就職。
少数精鋭のようなひまな職場で日々働いて、ひょんなことから変わったお客さんの対応をしたことで自分が引っ越すことになり、その引っ越し先がとても変わった場所のおかげでいろんな人とつながり、流されるままに結婚まで。はては社長、多角経営で大成功。でもとてもそうなるようには見えないとても大人しそうな主人公。人柄と運が彼をここまでにさせたのか。
人生ってわからないのかも、と思わせてくれる本でした。
Posted by ブクログ
勝手に、もっと難しい硬い文章を書く方なのかと思っていました。
初めて読んだこの作品は良い意味で期待を裏切られました。
読みやすくユーモアのある文章力に思わずにやにや。
やられたなぁと。一気読み。
他の作品もどんどん読んでみます。
Posted by ブクログ
何に対してもやる気を持てない主人公が、大学センターから「ここに就職するのは本当に何処にも行くあてがない人」と言われている不動産会社に就職し、風変わりな客を相手にし、人生が色彩豊かになるという物語。森博嗣らしからぬ(?)、とても素朴で温もりのある作品でした。最後に、気に行ったフレーズを。”幸運を摑むのは、その人が持って生まれた能力によるものです。言い換えるならば、幸運といったものは、この世にはない。あるとすれば、幸せを築く能力、それを持っていた、幸せを築こうという努力、それをしたというだけのことです。その能力と努力によって、順当に作られていくのが幸運なのですよ”
Posted by ブクログ
ごく普通の男の子が、新卒で銀河不動産という町の小さな不動産屋に就職して、そこで出会う人たちとの出来事が描かれた話。ほっとする作品。言葉の表現やタイミングや、登場人物のキャラクターが私のツボにハマる。
Posted by ブクログ
通して読むのは三度目くらいかな?
主人公の性質が他人とは思えないレベル。
森博嗣特有の、現実的なんだか非現実的なんだか微妙な世界観はとても好きです。
Posted by ブクログ
シリーズ物ではないので、期待してなかった分、良い意味で裏切られた。
サクサク読める日常系な(=ほのぼのした)お話でした。
※登場人物は全く日常系ではありませんが
以下、あらすじ
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気力と体力不足の高橋が、やっと職を得たのは下町の「銀河不動産」。
頑張らずに生きる――そんな省エネ青年を訪れる、奇妙な要望をもったお客たち。
彼らに物件を紹介するうちに、彼自身が不思議な家の住人となっていた……?
「幸せを築こうとする努力」が奏でる、やさしくあたたかい森ミステリィ組曲。
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Posted by ブクログ
森博嗣の長篇小説『銀河不動産の超越(英題:Transcendence of Ginga Estate Agency)』を読みました。
ここのところ、国内の作品が続いています。
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人気ミステリィ作家が放つ、どきどき×ラブコメ×青春小説!
気力と体力不足の高橋が、やっと職を得たのは下町の「銀河不動産」。
頑張らずに生きる――そんな省エネ青年を訪れる、奇妙な要望をもったお客たち。
彼らに物件を紹介するうちに、彼自身が不思議な家の住人となっていた……?
「幸せを築こうとする努力」が奏でる、やさしくあたたかい森ミステリィ組曲。
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文藝春秋が発行する隔月刊の電子小説誌『別冊文藝春秋』に連載後、2008年(平成20年)に刊行された作品です。
■銀河不動産の超越
Transcendence of Ginga Estate Agency
■銀河不動産の勉強
Learning of Ginga Estate Agency
■銀河不動産の煩悩
Desires of Ginga Estate Agency
■銀河不動産の危惧
Misgiving of Ginga Estate Agency
■銀河不動産の忌避
Avoidance of Ginga Estate Agency
■銀河不動産の柔軟
Flexibility of Ginga Estate Agency
■銀河不動産の捕捉
Acquisition of Ginga Estate Agency
■銀河不動産の羅針
Compass of Ginga Estate Agency
■解説 遠山涼音
無気力・無関心・無感動── そんな僕の人生が変わる!!
毎日がなんとなく気怠い“省電力”青年・高橋は、惨敗続きの就職活動の果てに「ここだけはやめておけ」と言われた銀河不動産に入社した… 「いろいろ見せてもらううちに住みたい家が見えてくる」という曖昧な資産家夫人や、「寝ている間に日光浴したい」というミュージシャン、「スウィングしている部屋に住みたい」という芸術家等々に部屋を斡旋しているうちに、彼自身がとんでもない家に暮らす羽目に、、、
ついには運命の女性までが… 無気力青年・高橋はサラリーマン生活をまっとうできるのか? 極上のユーモア・エンターテインメント!
危険を避け、できるだけ頑張らずにすむ道を吟味し、最小の力で人生を歩んできた高橋青年に感情移入しながら読み進めました… 青春小説要素が強かったかな、、、
ミステリを期待して購入していたので、ちょっと肩透かしを食った感じでしたが… 銀河不動産を訪れる奇妙な要望を持った客や、「奇妙な館」に集まる不思議な人々との交流を経て、高橋青年が成長する姿が微笑ましく感じられて、いつの間にか自分がその館に住んでいるような気分に陥ってしまいましたね。
秋の夜長にピッタリの優しい気持ちになれる不思議な物語でした。
Posted by ブクログ
「すべてがFになる」や「スカイ・クロラ」シリーズとはまた違った森博嗣さんで爽やかで読みやすかったです。
読み進めていると、人との出会いの中で流され続けた結果、幸運にも物事が上手くいく主人公と感じました。
しかしある登場人物の最後のセリフで全てが繋がり、まるでミステリィのトリックが分かった時のようにスッキリしました。
「幸運といったものはこの世にはない。あるとすれば幸せを築く能力。幸せを築こうと努力をしたということだけ。その能力と努力によって、順当に作られていくのが幸運なのです。」
Posted by ブクログ
昔、最初の方だけ読んで「ミステリじゃないな」という事で読むのを中断した作品。今回最後まで読んでみたけれど思ったよりも面白かった。なんというのか前向きな思考になれる小説。森先生の作品の中でもかるーく読める上に展開も奇抜なものではないので息抜きには丁度よかった。
Posted by ブクログ
流されるまま過ごす主人公のお話し。
不動産屋に就職し、困っている人を助けていく内に人脈が広がっていく。いろんな人が転がり込んでくるのを主人公がどんどん受け入れていくので心配になった笑
ドールハウスが出てきた時は、まさか全員人形で箱庭の中の話だった⁉︎ってビビったけど、そんなことは無かった。
読み終わった感想としては、不思議な話だったなぁって感じ。会話のテンポは好き。
Posted by ブクログ
「銀河不動産の超越」 森博嗣 ★★★☆☆
ほのぼのとしております。
「すべてがFになる」とは全然違うスタイル。著者の引き出しが広いなぁ。
物語としては、何だろうこれといったインパクトもなくてある種予定調和ですね。
小説雑誌に連載されてたんだと思うけど、1章ごとがきちんと短編になっており、1冊の本として読むと冗長な説明文が目に余ります。短編としては正しいので出版時に改編すればよかったのに。
Posted by ブクログ
これがただの長屋だったら下町人情ものなんだろうけど
この物語の主人公って、高橋くんではなく家なんじゃないの?って思った。今。
最終話の中盤から急展開。
だまし絵?すかし絵?
ドラマで場面がクロスフェードするみたいに
一気に時代が流れ、
置いてけぼりにされてから、
あっ、そうだったのか!このシーンはもう大人なのね!
と気づいた。
やられた。
で、ドールハウスが出てきたことで、
この物語の構造自体がドールハウスっぽかったなって思った。
神様になったつもりで
俯瞰して見てみれば
世の中なんてみんなドールハウスなのかもね。
超越したら。
Posted by ブクログ
はじめは面白いくらい話が淡々と進んでいくんだけど、読み進めていくとその進み具合がゾッとするというか、本当にそれでよかったのか…と思いました。
Posted by ブクログ
友達に薦められて読んだ本。
シリーズ物は読んでいますが、この本は存在も知りませんでした。
最初は面白く、登場人物たちも結構好きだと思いましたが、
え、なにこの女の人、そ、そうなるの??
と思う展開で、あまり好きになれませんでした。
Posted by ブクログ
”銀河不動産の超越”森博嗣著 講談社文庫(2011/11発売)
(2008/05発売 文藝春秋、2009/09発売 講談社ノベルスの文庫版。解説:遠山涼音(アイドル))
・・・不動産屋に就職した青年。顧客との縁で変わり種物件に住むことに。
さらにその物件に間借り人が次々と現れる。
・・・流されやすい青年とおかしな同居人たちの微笑ましい物語・・・
から、森博嗣著ご都合主義ラブコメな展開になったのは予想外(笑)
まぁ、悪い話ではなかった。
Posted by ブクログ
何をするにも気力の無い男が、銀河不動産に就職し、間宮という女性から大きなアトリエのような家を借りる事から始まるストーリー。
この家と銀河不動産、そして次々とやってくる宇宙人のような、彼の周りの人々。
彼の人柄が引き寄せたものなのか、商売も上手くいき、人が集い、結婚もし、子供までできる。
最後までふわっとしていて不思議な雰囲気なお話。
Posted by ブクログ
主人公を中心に広がって行く人間関係。それぞれが得意なこと?を生かしながら、一つの家を中心につながっていくのは、みていて心が和む。
こんな地域の形があればいいな、と思わせてくれる1冊です。
Posted by ブクログ
ふわっとするする読み終えてしまった作品。
わらしべ長者じゃないけど、葉子さんとの出会いからトントン拍子に進んでいってハッピーエンド。こんな風にいろんな人とどんどん繋がりが持てたら楽しいだろうなぁと思いました。派手な誰にでもわかる努力や苦労じゃなくても、着実に自分なりの努力をしていたら自分も幸せになれるのかな、なんて。
Posted by ブクログ
なんとなく不思議な雰囲気の作品。
身の回りで起きるぼんやりとした幸せを眺めて、実はそれは自分自身で引き寄せてることなのかもしれないんだなあ、なんて感じさせられる一冊。