あらすじ
クローン。法律により禁じられている無性生殖による複製人間。研究者のハギリは、ペガサスというスーパ・コンピュータからパリの万国博覧会から逃亡したウォーカロンには、クローンを産む擬似受胎機能が搭載されていたのではないかという情報を得た。彼らを捜してインドへ赴いたハギリは、自分の三人目の子供について不審を抱く富豪と出会う。知性が喝破する虚構の物語。
...続きを読む感情タグBEST3
Posted by ブクログ
いっや、あのウグイが! 無断で外へ食事にでたハギリにあんなに不満を抱いていたウグイがアポ無しで食事のお誘いとか(笑)成長著しくて感動。
登場人物がみな(人工知能含め)少しずつ変わっていく。
ハギリも初めて死別の意味を体感した。今まではただ他人というデータが消えたくらいの感覚しか持てなかったハギリが死の意味を知る。その大きさを知る。それは分析ではわからなかった事だ。
ここまでのシリーズ中、一番心揺さぶられた作品。
*…..*…..*…..*…..*…..*…..*…..*…..*…..*
"生きているものは、いずれは土に還る。それが、本来の循環だ。
悲しい、嬉しい、苦しい、楽しい、といった夢を、僕たちは見せられているだけ。
そんな中に、ただ、生と死の頂点がある。サインカーブの頂点のように、ただ周期の特異点として、それがある。
目印でしかない。すべては繰り返され、未来へ向かって続いていくだろう。
いずれ、宇宙が止まるまで"
(P258)
+:-:+:-:+:-:+:-:+:-:+:-:+:-:+:-
それにしても、人間だからこそ感情に惑わされて間違った判断をしてしまう……と一瞬結論付けそうになったところへ、そうでは無い人工知能も間違うのだ、と畳み掛けるこの構成よ。
ほんと森先生凄いわ。
人間であるラジャン青年も人工知能であるペガサスも同じくプライドに目を曇らされ、自分は評価されていないと思い込み失敗を犯してしまうあたりのオーバーラップもさすが!
Posted by ブクログ
この時代に一族の確執が起こったらこうなるのか...人工知能やロボットを操って悪事を働くの怖すぎる...
ツェリンは悲劇的な最期でした...
お姉様方に嗜められるペガサス少年...スーパーコンピュータ同士の関係性も面白い。
何より二人は早く付き合っちゃえ!笑
Posted by ブクログ
Wシリーズ7つめ。ツェリンが死亡。アネバネとキガタがテニス!無表情に機械的にやってたんだろうな。子供が生めるウォーカロンのからくりは、精子卵子が入ったカプセルを内包したウォーカロンではなく、生殖が可能な人間だったとは。ツェリンの子供はきょうだい児だったわけだ。この世界には不似合いな野心を持ってしまったために起きた不幸だなあ。子供のためなら阿呆にもなってしまう親心をディスってる森さんに激しく同意する。
Posted by ブクログ
やはり素晴らしく高い場所に森博嗣先生はいらっしゃるんだと感じました。
人間、人工知能、ウォーカロン、ロボット。
そこに違いはあるのか?
あるとしたらどの部分なのか?
近づいていくのか?
Posted by ブクログ
人工知能とクローン人間にスポットを当てたテーマだったが、今回はそんなことどうでもよくて、ハギリ先生とウグイの関係でしょ!
ハギリ先生の護衛担当がウグイからサリノに代わったけど、ハギリ先生が無意識になにかとサリノをウグイと比べているところが微笑ましい。
そして、なんといってもハギリ先生とウグイが居酒屋で食事をする場面。もう、ニヤニヤが止まらない。この巻までのウグイ名場面集のトップ3には間違いなく入るシーンだったね。
なんか、こういう視点でWシリーズを読むのは間違っている気もするけど・・・笑。
もう、この二人いい歳して、中高生の恋愛か!って突っ込み入れたくなるけど、まあ、恋愛とか愛情とかあまり重視されない未来の時代はこういう感じなのかもしれないね。
二人の関係も含め、このシリーズどうなるのか、楽しみで仕方ない。
だれか、wシリーズを映像化してくれないかな。アニメでもドラマでも実写映画でもいいから~
Posted by ブクログ
Wシリーズ第7弾
ウォーカロンの暴走事件が起こりその犯人探しをする。あれ、今回はミステリ回?
いろんな登場人物の交錯する思惑や、気持ちのすれ違いを経ての結末は…。
ハギリが初めて?体験する身近な人との死別。
失ったのはその人の未来。
未来にその人が自分に与えたであろう影響。
つまり自分の未来の一部を失ったに等しい。
人間だからこそ一時の感情に負けて過ちを犯す、と思わせておいて人工知能も間違ったり見栄を張るような行動をとるという対比。
考えさせられる事が盛りだくさんの回でした。
何が言いたいかというと
ウグイの「舌認証」が可愛かった( * ॑꒳ ॑*)
Posted by ブクログ
wシリーズ第7弾
ペガサスの解は虚栄か?
Did Pegasus Answer the Vanity?
新たなスパコンの天才ペガサス(日本)が登場。
舞台はトウキョウからインドへ。
フランスで居なくなったウォーカロンに、クローンの技術(禁止)が使われていたのではないか疑惑が。
いつもハギリ、キガタ、アネバナでインド資産家へ調査にいく。
ケルネィ(資産家)、ラビーナ(娘)、そこになんと
ツェリン(チベットでの研究者)登場。 ケルネィが夫だと。そして、息子のラジャン。
久々の森作品らしい登場人物の思惑が交錯し、
家族での思いのすれ違いが入り混じり、、、、行かないでほしい方向の悲しい結末に。
ウグイの、ラジャンの急所を外して打ったシーンは、私も間違ってなかった言ってあげたい。。
・人の心メインの回ではある
・そして、機械(スパコン)も間違える
・そして、そして揺らぐ(アミラ、オーロラに負けたくないと思う)
※姉2人と弟という表現も、素敵でした
天才スパコン3兄弟姉妹
(無敵だろうと思ったが、無敵じゃなかった)
機械がこの感情(揺らぎ、迷い、想い、という欠陥)御免なさい欠陥があるから人間なのに。
もうはや人間だと思ってしまった。。。
※○×
・人間 ○
・クローン ×
・ウォーカロン ○
両者(クローンとウォーカロン)の違いは、頭脳回路のインストールなので
人の完コピーはダメ。
頭脳回路に情報インプットして、完コピーはok
ハギリとツェリンの差異は自分の子がいるか否か
自分よりも大事だと思える存在がいるか否か
法律を超えてでも、護ろうとする姿が暖かくもそして、悲しくあるとてもいい作品でした。
ウグイのプライベートで食事に誘って
ツェリン博士を守ってあげたいと相談するところ
成長や人感があってよかったです
※ウグイは人です(ウォーカロンではないw)
仕事とプライベートわけて、発言と行動できるようになったところ、、、第1弾からの成長みてる(見届けてる)と嬉しくなっちゃいますね
食事の時に舌を出すシーン(舌認証w)
第4弾のデボラは眠っているのかの、あっかんべーと掛けてるところ、素晴らしい!
★3.8
次は
血か、死か、無か?
Is It Blood, Death or Null?
Posted by ブクログ
人間、ウォーカロン、ロボット、見た目ではわからない存在が入り乱れ、謎を深めていっている。サブキャラであったツェリン博士がキーとなる人物になるあたり、シリーズ通りて岐路になる作品なのかもしれない。
事件の動機が、まことに人間的な感情からくるものだったのが面白い。また、結果的にペガサスの予測が外れてしまうわけだけど、どうやら人間的な感情が原因と示唆されている。次作以降、さらに明かされるんだろうか....
Posted by ブクログ
2023.05.14.audible
今度は人工知能か!
新しい命が生まれることの困難。
amzonの本の紹介
クローン。法律により禁じられている無性生殖による複製人間。研究者のハギリは、ペガサスというスーパ・コンピュータからパリの万国博覧会から逃亡したウォーカロンには、クローンを産む擬似受胎機能が搭載されていたのではないかという情報を得た。彼らを捜してインドへ赴いたハギリは、自分の三人目の子供について不審を抱く富豪と出会う。知性が喝破する虚構の物語。
Posted by ブクログ
スーパ・コンピュータのペガサスから逃亡したウォーカロンに関する情報を得たハギリたちはインドに向かう。自分の三人目の子供について不審を抱くインドの富豪と出会ったハギリは事件に遭遇する。
生命や知性について考えさせられる、Wシリーズ7作目。
本作に登場する人工知能たちは、人間よりも人間らしく感じます。
Posted by ブクログ
人間にウォーカロン,ロボット,クローン,人工知能と境界識別がどんどん曖昧になっていく.デボラはともかくオーロラはほとんど人間の反応に近づいて,とても素敵だ.だんだん人間にこだわる必要がどこにあるのかわからなくなってきた.
Posted by ブクログ
Wシリーズ第七弾。まだまだ物語は拡がりを見せる。今回は人間云々よりもウォーカロン中心なのかと思ったら結局は人間が中心な話。人工知能の方々が皆人間くさいというか人間以上に人間的魅力に溢れているというか。ハギリ博士とデボラやオーロラの会話は相変わらず可愛い。
Posted by ブクログ
ペガサスという新登場の(だよね?)人口頭脳とのやり取りから子供を産めるウォーカロンがいるかもしれないという情報を得て、ハギリ博士はアネバネと新護衛キガタを連れてインドの要人の館を訪れる。キガタが学習していく過程とか要人の娘の秘密とかデボラやオーロラの進化っぷりとか見ていると人との差が本当に曖昧になってきている。でも永遠に近い命を持てるようになっても未来を繋ぐ存在の子供を求めるのは「死」の概念を持つ人間特有なのか。今回事件が起こりその犯人が指摘されるというミステリ要素が軸になっていたのが意外。ウグイ前作で退場かー、と思っていたら後半から関わってきてなんか人間らしくなっていて嬉しい。
Posted by ブクログ
クローン。法律により禁じられている無性生殖による複製人間。
研究者のハギリは、ペガサスというスーパ・コンピュータからパリの万国博覧会から逃亡したウォーカロンには、クローンを産む擬似受胎機能が搭載されていたのではないかという情報を得た。
彼らを捜してインドへ赴いたハギリは、自分の三人目の子供について不審を抱く富豪と出会う。知性が喝破する虚構の物語。
「講談社タイガ 内容紹介」より
人間とウォーカロンの違いがますますわからなくなる.合理的でない情動からくる行動をとるのは人間と思うけれども.
Posted by ブクログ
ウォーカロンシリーズ
パリの博覧会から逃亡したウォーカロンの中には
疑似受胎機能を持ったものがいたのでは?
インドの富豪の家に生まれた赤ん坊は
いったい誰の子供なのか
人間とウォーカロン、そして人工知能
さいごはみなひとつになるのだろうか
ウグイがちゃんと出てきてよかった♪
Posted by ブクログ
あーもう、相変わらず森作品はタイトルが秀逸ですね。
「虚栄」・・・色々な虚栄が、なんというか、
パットした光の元では見えず、
しかし、心の奥底に抱えている、そんな気がしました。
Posted by ブクログ
Wシリーズ7弾。
話としては山谷はあまりない感じだが、議論としては中々深いものがある。クローンは道義的に可か不可か。考え方によっては、技術力向上なども考えると、科学者は研究したいとこだろう。その一方で、ハギリ達はクローンの道徳的な部分の議論を展開している。少し意外だったのは、ハギリはクローンに対して賛成とも反対とも言っていないところ。科学者なので、反対は言いそうにないけど。
謎なのは、結局ペガサスは何をしたかったのか、というところ。コンピュータがよく分からないのは前回のオーロラも然り。人間、ウォーカロン、トランスファ、人工知能。これらは果たして区別がつかなくなるのか。
山谷のない話だったけど、私はこの巻が静かな水面に石を投げ込んで出来た波紋のような、物静かで後々影響してくる布石のように感じた。
Posted by ブクログ
いやぁ、ウグイとのペアはやっぱり良いですね。
子どもが生まれない世界の中で、「親(母)になる」ということは、ロジカルに判断できない特殊な状況なのか。
わが子のためなら、なんだってするというこの感情。
Posted by ブクログ
p33
ウォーカロンのユーザーは、そのウォーカロンを他者に譲ったり、売ることが認められています。
p43
この場合、神の称号は人類のものになるのだろうか?
p44
「それは、真実だとはかぎらないよ。そう広めておかないと、そのうち彼を首相にしろと言い出す人たちが出てくるからね」
「その運動は既に各地であります」
「本当に? へえ、知らなかった。それは、リベラルなのかな?」
「ジョークですか? 疑問ですか?」
「ジョーク」
p97
「いいえ、彼女自身も、知らなかったのです」
虚栄か? の答えはイエス。
ちょっと地味に感じたけど、架空の未来のなかでの世界情勢とか垣間見えて面白かったです。また人工知能の演算ミス、というより非常に感情的、人間的なミスが物語の起点になっているのも良い。我々の世界に馴染みつつあるAIが嘘をつく(基本的には聞き方の問題だけど)という体験ともリンクする感覚。
少しずつ各地にいるAIを小出しにしている感じ。あとウォーカロン自身がウォーカロンだと認識していないというケースも盲点そうで最近観た『The Companion』という映画も擬似的人間的な体験をアップロードさせたロボットだったなと思ったり。また身体の自由が効かない人がロボットとリンクする、というのもこの作家が書いているとそれほど遠い未来ではないのかもと感じさせてくれる。
民主主義云々のくだりもサラリと書いていたのと、また今作、クローンに関しても触れられていて、基本的には倫理的にクリアしていない。物語の行先より、こういう描写のほうが予言じみていて読んでいて楽しい。もちろんフィクションとしてだけど、あまりにも早い予言書として読んでる感もあって、次作も次シリーズも寝かせながら読みたいです。
Posted by ブクログ
この物語がたどり着く執着地点はどこなのだろうか。さまざまな切り口で、だけど、森博嗣のことだ。決して無意味なことなどないはずだ。そう思いながら、毎度毎度、先の読めない物語を口にし、消化不良を起こし、悩み考え、あきらめる。そんなことの繰り返しだ。はるか遠く未来の人類はどうなるのか。案外それは他人事だし、他人事ではない。AIの可能性は無限だが、あくまでも演算処理の結果で、AIはAI。そう思いたいが、はたして、どうなるのだろうか。
Posted by ブクログ
ウォーカロンとクローンの違いは?はたまた人間との境界は?死が身近な物でなくなり、ほとんど死ななくなった世界。そこでの死の意味とは?SFでありながら、未来を予知しているような作品。
Posted by ブクログ
寿命や血縁に対する意識が薄くなった本作の人類から見て、家族への愛やそのための自己犠牲がどう映るのか、そんな試みを一本の物語で綴ったように感じた。
それにしても前作に引き続き、人工知能オーロラの所作がお美しい。
Posted by ブクログ
新しい人工知能が出てきたけど、人工知能でもそういうことあるんだな。それこそとても人間らしいなと思ってしまった。
ツェリンが、ラジャンが本当はどういうつもりだったのか、当たり前のように真実は分からないまま。
でも、一冊の中できちんとフックがあるのすごいな〜当たり前なんだろうけど、長くシリーズを追ってると思わずにはいられないな。
一冊一冊でも絵を描きながら、全体で大きな絵を描いている感覚。全体図が見られるのはいつなんだろう。楽しみだな。
Posted by ブクログ
すでに生殖機能のないはずの富豪に子供が産まれた。子供の母親は人間なのかウォーカロンなのか?調査中だった、フランスから逃走した数体のウォーカロンが絡んでいるのか?ウォーカロンが子供を産める可能性、産まれた子供は人間なのかウォーカロンなのか?数々の倫理観を突きつけられた巻だった。今回、新たに登場した人工知能『ペガサス』、彼が一番人間臭く感じた。
Posted by ブクログ
オーロラを上回る演算速度の最新のAIペガサスが登場。
そのペガサスが「人間の数を最小限にすることが、国家の存続に不可欠」と主張。
このやりとりが序盤も序盤なので、物語にすぐに引き込まれます。
Posted by ブクログ
3
Wシリーズ7弾。日本機関に所属する人工知能ペガサス。生殖可能なウォーカロンを研究。彼が予測したカプセル型ウォーカロン。その情報をもとにインドを訪れたハギリ。資産家ケルネィ家で起きた事件。チベットのナクチュにいたツェリン博士との再会。彼女とケルネィの息子ラジャン。ケルネィの娘ラビーナ。地下に軟禁されたラビーナとロボットのラビーナの暴走。ツェリンの死。ペガサスの妄想。人工知能の妄想も含めた未来の世界の課題。なかなか面白い。
Posted by ブクログ
死ぬということはどういうことだろうか。
その人の未来が失われるということ。
その人と係わることが出来る自分の未来を失うということ。
腑に落ちる答え
ウグイが出てきてくれて嬉しかった。
Posted by ブクログ
ペガサスは人類を減らすことがいいと言った
ペガサスは誤ったのか?
ツェリン博士とその息子が死ぬ
生まれた子は息子の子供だった
ラビーネは寝たきり
ウォーカロンが子供を産むというのはマジックのせいだった
ウグイがかわいい
舌認証
あんまり会えなくなったウグイのプライベートが見れて相当胸熱だった
Posted by ブクログ
人間、ウォーカロン、クローンの区別がいよいよ曖昧になっている前提で、遺伝子情報のパーセンテージをヒントに、誰が誰と誰の子だけど、一方は子供ができないという条件を提示し、その矛盾を読者に解かせる、いわいるミステリーの一分野なんだけど、ちょっともう登場人物が多くて理解が追いつきませんでした。
あと、ペガサスという人工知能が出てきたけど、彼が打ち明けた話でうまくミスリードさせられました。
しかし、最近の人工知能の機械学習の進歩を見てると、本書の中の、「AIは演算速度は速くて深いけど、ふとした盲点を人間が見つける」というパートナー関係も成立しなくなりそうで末恐ろしい。