あらすじ
ウォーカロン。「単独歩行者」と呼ばれる人工細胞で作られた生命体。人間との差はほとんどなく、容易に違いは識別できない。研究者のハギリは、何者かに命を狙われた。心当たりはなかった。彼を保護しに来たウグイによると、ウォーカロンと人間を識別するためのハギリの研究成果が襲撃理由ではないかとのことだが。人間性とは命とは何か問いかける、知性が予見する未来の物語。
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Wシリーズ第1弾
彼女は一人で歩くのか?
Does She Walk Alone?
年始早々、こんな素晴らしい作品に出会えたことに感激です
登場人物、背景、そして謎の概念や年代含めての
ザSFのワクワクしか感じない作品
ハギリ・ソーイ先生
ウグイ・マーガリィ
シモダ
めちゃくちゃ良い。
※名前が、最初はピンときてなかったが
S&Mであり、ハギリ(ハ行を切る)
犀川創平(さいかわそうへい)のそうへいの「へ」を取ると「そう(へ)い」「ソウイ」になるだなぁ
そして、天才、頭の回転ふくめて、へっくんと一緒。ウグイも国枝と西之園萌絵を合わせたような感じ。
という人物は置いておいて
時代がいきなり未来の2200年ぐらいかな
人間とウォーカロン(人工知能を携えた人工細胞から作られた存在)※Walk Alone 名前のセンスが秀逸
見た目は人間で区別がつかないと
ロボット→メカニカルな躰→ウォーカロン<人
※ウォーカロン>人
になりつつある(怖いけど、たしかにと思えるところが凄い)
人より人
人を超えた人
新たな人
文明とテクノロジーの発達を経て
人工細胞で修復できる領域が増え
さらに人工知能が加わり
人(体、脳を含む)の代替ができるようになり
結果
寿命が2-3倍と伸びる(普通になる)
そこに、ある問題が
寿命とともに、子供ができなくなる事象が起こり
人口が1/4まで減少してしまう
特に先進国を中心に。
ようは、人工知能含めた、人に近い(人を超える)
ウォーカロンの生成が原因と疑われるが確証のないまま時代が過ぎていく。
人+パラサイトなのか
ウォーカロン+パラサイトなのか
どちらが完成系(純粋系なのか)。。。
後者になるんだろうな。。
この証明をしにいく、探しに行く物語
いい!
(※+じゃなくて-の可能性も)
ハギリが研究してるテーマが
人と人以外を判別する近似式。
重宝される代物ではないと(ウォーカロンの量産がより加速するのは自明)と思いと
それが向かうべき道なのか抗う組織や文化
その渦に巻き込まれる(ど真ん中)科学者や生物学者、そしてそして、真賀田四季。
なんという壮大なテーマだろうか
感動を超えるこの設定。
wwシリーズ含めてあと、十数作品ありますが
これは「全てがFになる」に匹敵する衝撃作、シリーズ間違いないと、第1弾を読んで感じました
※できる限り、S&M、V、四季、G、Xシリーズを読んでからいったほうが楽しめると思います
納得の
★5.0
この物語が続く幸せ。素晴らしい
ウグイがいきなり悲しい結末を迎えそうになるが
まさか、死ぬという概念が変わったこの時代ならでは、すぐ復活するというw
もちろんSFであるが
最初から読んでる人は感じてる。。。
こういう時代がリアルで訪れるでろう恐怖とワクワク感と
人気があるのもめちゃくちゃ納得です
S&MやVでも未来の姿いくつか描かれてましたが
当時からしたら、どういうこと?となってたはず。でも、リアルはその通りになってますからね
次は
第2弾の
魔法の色を知ってるか?
What Color is the Magic?
へ
いざチベットへ
アネバネも登場する!
Posted by ブクログ
舞台はアンドロイド「ウォーカロン」が発展した近代未来の日本、培養で替えがきき寿命が問題にならない
日々のアップデートで簡単に人かどうか見分けがつけにくい生命体。ある日研究者のハギリは何者かの襲撃を受け彼を保護したウグイに出会う。人とは何か生命体とは何か?が大きなテーマです。
アニメ「攻殻機動隊」や「仮面ライダーゼロワン」
近代未来系SF系がお好きな方にはオススメです。
アニメみたいにスラスラ読めます。
Posted by ブクログ
何が起こっているのか、何が登場していて、どういう常識の世界なのか……というのが分からないまま物語が始まり、物語が進むとともに世界が見えてくる。そして同時に恐ろしいことにも誘導によって気付かされていく。中々素敵な構成のストーリーで、なるほど……と思わされた。
Posted by ブクログ
『人はウォーカロン(Walk-alone)と共存できるのか?』
ロボットから進化し、人間に限りなく近づいた【ウォーカロン】 色々な意味を含んでいて、かつ、近未来を予想させるこのネーミング、天才か! 森さんは初読みでしたが、他の作品(シリーズ)も読んでみたくなりました!
Posted by ブクログ
科学技術の進歩で人間と機械の差はどんどん縮まっていくと思います。
現代ではアートやブランド品がこの話に関係があると思います。
偽物を作成する技術は日進月歩で進歩しており、新たな判別方法を見つけると、それを真似る技術が発達するといった、いたちごっこの状態です。
仮に、現在数億円の値が付く数百年前の絵画に対し、全く同じ染料、紙、ペインティングで偽物を再現できるようになった際、本物の絵画の価格は無に等しくなると思います。
鑑定士ですら真贋を区別できなくなった時、その作品は価格ではなく、価値だけで語られる芸術品になるのではないでしょうか。
Posted by ブクログ
Wシリーズ第1弾
ついに二百年後の世界へ˙ᴥ˙
人工細胞で作られたウォーカロンは人間と何が違うのか。人間とは何か。
ミステリではなく完全にSF寄り。好き˙ᴥ˙
ウォーカロンの反乱とか、人権問題とかもっと発生しそうな世界観だけど、一見平和な世界。
青い目、ミチルの保護者。
これは気づけた˙ᴥ˙
Posted by ブクログ
久々に森さんの本を読みました。S&Mシリーズ振りですね。SFは苦手…というか完璧に理解できないので、読み終わってもスッキリとはいかないのですが、森さんの独特な文体は好きなんですよね。Wシリーズの一作目ですね。人工細胞で作られた生命体、見た目では人間と区別がつかないウォーカロンかぁ。内容は面白かったですね。マガタ博士も出てきたし。S&Mシリーズをまた読み直したくなりました。
Posted by ブクログ
こちらも『SF超入門』で知った本。
冒頭で『アンドロイドは電気羊の夢を見るのか?』が引用されていて、テーマがほとんど同じ。
ウォーカロンと人間を識別する研究をしている研究者のハギリは、何者かに命を狙われている。
人間は人工細胞の交換によって半永久的に生きられるようになったが、子どもは産まれなくなってしまった。子供はウォーカロンしかいない。ウォーカロンだけが増え続ける世界。
そんな怖い世界を読んでいる時に「出生率が過去最低を更新した」というニュースが。
この本に近づいているようで更に怖くなった。
途中何か聞いたことがある名前が出てきて、前に読んだ『すべてがFになる』とリンクしていたことに驚いた。
ジャンルを超えて、ミステリーとSFがリンクしてるとは思わなかった。
終わり方が消化不良だなと思ったら、この本はWシリーズの1作目で、全部で10作あるらしい…(^_^;)
Audibleにて。
Posted by ブクログ
英語のタイトルのdoesをisに変えたら「彼女はウォーカロンか?」になるのが面白い。
パラサイトこそが人類を繁殖させていたというのは楽しい発想だと思った。
アダムとイヴが食べた実には寄生虫がいて、それが人間の脳に変化を与えて、二足歩行になってとかだったら…。
パラサイトを作ることができればアップデートが可能ということ?作中であったウォーカロンのアップデートもそれなのかしら。
Posted by ブクログ
Wシリーズ1作目。ウォーカロン(単独歩行者:walk alone)と呼ばれる人工細胞で作られた生命体。人間との差がほとんど無く、判別が容易にできない。研究者のハギリはウォーカロンと人間を識別する研究を行っており、何者かに命を狙われるも保護しにやって来たウグイに助けられる。人間とは何か、命とは何かを読者に問いかける近未来ファンタジー。
人工細胞の反乱。人が死ななくなり、子供が産まれない世界はどこに向かうのか。長く生きることは正解なのか。あの天才博士も登場し、どのように続いていくのか楽しみです。
Posted by ブクログ
【購入本】S&Mシリーズから飛んでWシリーズに着手。講談社タイガからの出版ということもあり、話の内容もかなりライトな印象。〈人間×ウォーカロン〉の世界。「人間」とは、「命」とは、何なのか。曖昧になった社会の中で、ハギリとウグイの''日常''が動き出す。ただ、森ワールド(仮)の中でここまで不明瞭な話の展開はあっただろうか。ミチルは人間か、真賀田四季は生きているのか。謎は謎のまま明かされることはない。次作が楽しみだ。
Posted by ブクログ
Wシリーズの1作目。いわゆるアンドロイドもの(本作ではWalk Alone=ウォーカロンと呼ばれる)。ウォーカロンは身体的にも人工細胞で作られ、人間側にも治療などのために人工細胞が大幅に取り込まれているので、両者の敷居が限りなく低くなっているのが本シリーズのミソなんだろうね。
主人公は、ウォーカロンを見分けるための技術を研究している研究者。巻き込まれ型で、謎の組織に命を狙われるというのが本作のストーリー。
1作目ということで、いろんな伏線を埋め込んでいっている感じ。森作品でおなじみのあの方もでてきたし、次作以降が楽しみ。
Posted by ブクログ
ヴィルヌーブの『Blade Runner 2049』とキュアロンの『Children of Men (トゥモロー・ワールド)』が複合的に組み合わさり、著者のエッセンスがふんだんに散りばめられたような作品。ブログでブレードランナーの続編を観た氏が森博嗣が作りそうと形容していたように、驚くほどすんなりと物語が頭に入ってくる。
当然、このシリーズも四季のいる世界の延長線上にある。最初はSF小説を書きたいのかなと思ったけど、根底にあるテーマは最初から一貫しているように思えます。私たちはどこに行くのか。どこにも行かない。そのはずだけれど、どうにも違う気がする。エキソダスを書こうとしているのかなと想像。だからSFのようでいて、非なるものを、あるいは本当にあるかもしれないいつかを描いているような、どこか不思議なシリーズ。
Posted by ブクログ
スカイクロラシリーズ(10年前ぐらい?)を読んで以来の久しぶりの森博嗣さん。舞台は近未来の日本。身体のほとんどは培養で替えが効き、寿命が問題にならなくなった。他方、人はウォーカロンというアンドロイドを作り出す。度重なるアップデートで兼ね備えた精巧さと頭脳の明晰さから、もはや人かウォーカロンかも区別が難しい、そんな世界で科学者の主人公がウォーカロンに絡む争いに巻き込まれていく。
人とアンドロイドの定義が相対化された中で、何をもって人というべきか。大き過ぎるテーマだけど、物語の展開に合わせて主人公が思考してくれるので、同じ状況と視点で一緒に考えられて、楽しい。
主人公と周囲との掛け合いはどこか抜けてて面白く、それでいてこの世界観にとてもマッチしている。
読後、「若干尻切れとんぼかなぁ」と思ったら、まさかの10巻シリーズの第1巻(笑)壮大な物語に手を出してしまった感があるけど、森博嗣さんの文調は相変わらず好きでこの本も苦にならなかったので、折りを見て、少しずつ消化していきたいと思う。
Posted by ブクログ
資質が限りなく歩み寄って境界線が曖昧になった人工生命体と人間の差異が、天然モノと養殖モノほどだとの説明が、端的で明確で分かりやすくて納得する。両者の違いとは生命とは人間性とはと考え詰めたら、哲学的か宗教的な答えしか成立しないのではないかと思える。
「電気羊」の影が見え隠れする中でハギリ先生の飄々とした語り口で展開考察される物語、科学的で文学的なバランスが絶妙でワクワクした。シリーズ小説の掴みはOK!続きが気になる。
Posted by ブクログ
SFをほとんど読んだことがなかったが、最近興味が出てきたので、おすすめSFと検索したら紹介されていたこの本を読んでみた。
専門用語は少なく、難しい表現もないため淡々と読み進められたが、その一方で内容は重く、人間と見た目も中身も変わらない人造人間ウォーカロンという存在が人間とどこが異なるのかは作中の人物と一緒に考える問題であった。ウォーカロンと人間の共存がどういった形で行われるのかは、すごく興味のある話であったが、本作で結論が出ることはなかった。
読んでいる時は知らなかったが本作はWシリーズというシリーズの一作目にあたり、僕が気になっている話は10作品にわたって続くらしい。というか10作でも終わっていないらしい
うーん。10作は長いて…。
Posted by ブクログ
人工細胞で作られた生命体・ウォーカロン。人間との差がほとんどなく、違いを容易に認識できない状況であった。ウォーカロンと人間を識別できる研究成果を持つ研究者・ハギリは何者かに襲撃される。ハギリは情報局員・ウグイに保護される。人間とは何か、生命とは何かを考える、Wシリーズ1作目。
Posted by ブクログ
audibleにて。
設定も途中の展開もすごく面白いのに、終わり方が微妙だったなーとおもってたら、なんと全10巻のシリーズの一巻だったとは。。。
Posted by ブクログ
Wシリーズ全巻読んでから読み直すと、疑問の出発点が本書でしっかり描かれているなと感じます。
ウグイとハギリの関係性の変化もWシリーズの魅力だと思います。最終巻読んでから本書を読み返すと、そういえばはじめこんなんだったな、という感じで読み直しても楽しめるそんな作品だと思います。
Posted by ブクログ
百年シリーズよりさらに未来のお話でした。
ウォーカロンは人間に近づき区別が難しいほど。
主人公のハギリはどことなく犀川先生に似ており、物語の展開は早く、さらに真賀田四季と思われる人物も登場。
ハマる事間違いなしな作品でした。
Posted by ブクログ
懐かしいこの感じ。
10年前の本なのか。とてもイマっぽい。
そして、ラストにあの人の名前が出てきて震えました。
困った、全部読んでないのだけども。
Posted by ブクログ
白状すると…
SF避けてた(笑)
でもとうとう手を出した1作目
だって他のシリーズだいたい読み尽くしてるし(笑)
キャラがあちこちリンクしてるからね
気にはなるのxx
確かに、テーマは人類にとって切実な課題
科学者じゃなくても
やっぱり繰り返し考えてしまう人類の未来
これだから、暗澹とした気持ちが湧き上がるから
SF避けちゃうのかも
とりあえず頑張って読み続けるかな…
Posted by ブクログ
何でもっと早く読まなかったかね。と、頭を抱えてしまった。独立したシリーズでもあるし、四季シリーズの系譜を感じられもするし、うっすらとスカイ・クロラ味もある。元々の森博嗣好きと攻殻機動隊、アップルシード、ターミネーターその辺の近未来のAIやアンドロイドや人工知能もろもろが好みの自分はどんぴしゃりだった。ハギリ博士のすっとぼけた性格とちょっとずれた思考に当てられっぱなしで、こりゃ、一気読みしそうな勢いで怖いシリーズに手を出してしまったかもと。
Posted by ブクログ
たぶん2世紀以上先の世界の物語。
子どもが生まれなくなった世界。
人間と人工生命体(ウォーカロン)が混在し、生まれること、死ぬことという概念が軽薄化している世界だ。
色々謎のままのことも多くて消化不良だけど、私たちが生きている現代とは生死感が違うから、身近な人が死んでも悲しいという気持ちも希薄で。
でもショックな出来事を経験したことでハギリは眠れなくなったり、やはり何らかの悲しみを引きずっている様子だった。
「生きる」「生かす」ということを突き詰めていくと、悲しみの感情は体に不調を与えるから、削ぎ落とされるべきものなんだろうな…と思った。
ハギリとウグイのエピローグのような話は、この物語の世界では珍しくないことなのかもしれない。
特別な判定がなければ,人間とウォーカロンの区別がつかないのであれば、それはもう同じものなのだろう。
でも人間が思う人間の優位性というものも、この世界でまだ残っているようで、本来、ウォーカロンは人間をサポートしたり人間を豊かにするために作られたという歴史的背景のあたりは、現代と通じるものもある。
人間より優れたウォーカロン達が人間を襲撃している(仮面ライダーゼロワンの疾風迅雷を思い出した。)のかと思いきや、襲撃を手引きしている人物は判然としない。
人間とウォーカロンの区別がされることに、利害関係を有しているのは人間もウォーカロンも同じだ。
ミチルという謎の少女と、マガタ博士。
謎はまだ残ったままだが、普段こういう未来SFを読み慣れていない私にとっては、この一冊だけでも読み切るのが結構大変だった。たったの260ページくらいなのに。
もっと説明してよぉーー!と、何度思ったことか。
Posted by ブクログ
★生きているかどうかは、問題ではないのでは?(p.250)
/「ほとんど人間」のウォーカロンゆう存在とほぼ不死になった人類と新生児が誕生しなくなった状況を設定してまうことによって「人間とは?」「思考とは?」を追究しているようにも見えるし、おそらく結論は出ぇへんこのテーマで思考の遊びをしているようにも見えます。
/森博嗣さんの文章はぼくにとっては読んでるだけで心地ええんですが、特に上手ゆうわけでもあらへんし、豊かな描写があるわけでもあらへんので、なんちゅうか、文章の「呼吸」のようなものが合うんやろうなあと思ってます。
/人工細胞によりほぼ限りない寿命を持つに至ったが新生児が生まれなくなったヒトと、生体で「ほとんど人間」である「ウォーカロン」が大半を占めるようになった社会でヒトとウォーカロンの違いを(結果的に)判定できる手法を開発しているハギリ・ソーイは命を狙われるが情報局のウグイ・マーガリィによって秘密な研究所に保護され研究を進めつつ、誰になぜ狙われたのか考え始める。
/四季博士のような人物が登場したなと思うてたらどうやら近似値ではあるらしい。森博嗣さんはなかなか四季さんを手放さへん。もしかしたら森ワールドの「神」なんかもしれまへんね。
■簡単なメモ
【アカマ】ハギリの助手だった。
【アリチ】人工細胞の第一人者。見た目は老紳士。
【アンチ・オプティマイズ】ウォーカロンが「とぼける」機能。
【生きる】《今の時代、生きていることの定義が非常に曖昧だ。》(第一巻p.250)
【命を狙われて】「気持ちはそんなに悪くないが、また同じことをされたら困るな」(第一巻p.26)
【インスピレーション】インスピレーションは人間独自のものだと我々は思いたがってるが本当にそうなのか常々疑問に思っていました。ヒトも所詮は有機的なメカなので、技術的に未成熟なだけで感情・感覚・発想その他諸々再現できるのではと。ハギリもちょっとそう考えたりしています。
【ウォーカロン】Walk-Alone(単独歩行者)。生体だけでつくられた人造人間。自律的に思考、行動する。ヒトとの間に生物的な差はない。ウォーカロンから子どもは生まれないが、人工子宮で製造され初期の成長速度は異なるがその後はヒトと同じように成長するので子供のウォーカロン自体は存在する。どうやらハギリの同定法は子供のウォーカロンに対しては精度が低くなる。《ウォーカロンが危険であるという根拠は科学的に証明できないからだ。彼らは人間と同じものである。人間よりむしろ整っている。完璧なものに近く、欠陥が少ないという意味だ。だから、争いを好まない。捨て身にならない。穏やかな性格を伝統的に受け継いでいる。》(第一巻p.107-108)。《おおむね、彼らは無駄なことはしない。》(第一巻p.146)。《僕にとっては、人間だろうがウォーカロンであろうが、まったく無関係なのである。》(第一巻p.170)
【棺桶】ハギリの研究室にある。中で眠れるし、閉じたらテーブルとなる。
【完璧】《完璧になったところで終焉だったのです》(第一巻p.56)
【危険】ウグイ「危険には、種類はありません」(第一巻p.11)
【グイン波】《思うという行為の現象について、科学的な証しだよ》(第一巻p.34)。「根拠はない。そうなんだ、そこが、論理的思考の限界だ。そこが私の研究の一つの到達点なんだ」(第一巻p.39)
【熊の生態】チカサカがくれた本。
【子供】ヒトの子供は古い遺伝子を入手するために発展途上国発で「流通」しているらしい。
【殺傷能力】ハギリ「使い方次第では、たいていのものは殺傷能力があります」(第一巻p.11)
【死】《なにしろ、人が死ぬということが非常に曖昧になったし、死というものが昔とは違った概念になりつつあるからだ。》(第一巻p.64)
【持続・維持】《持続・維持を合理的にデザインする社会になった。》(第一巻p.152)
【シモダ】情報局長。ウグイの上司。
【首都】今はサッポロにある。
【人口減少】新生児がまったく生まれなくなり人口は減っている。統計はとっていないらしいが全盛期の三割くらいだろうと。その代わりウォーカロンが急増している。武力衝突は減っている。それどころではないので。ちなみに植物は減っていない。《もっと正直に言えば、べつに人類が滅びてしまってもどうってことはない、という気持ちもある。》(p.73)
【人工細胞】劣化したパーツを人工細胞で作られたパーツに交換することによってヒトは理論的には無限の寿命を得た。現在ではほぼすべてのヒトが体内に人工細胞を持っている。同時に新生児がまったく生まれなくなった。因果関係は不明。当然、人口は減り、高齢者ばかりの社会となる(見た目は若かったりするが)。
【信じる】「人間を信じるのは、人間の代表的な弱点の一つです」(第一巻p.33)
【ジンバ】インド人の世界委員。ウォーカロンを同定したい側。
【それぞれ】《人それぞれに、感情的なものは違っている。違っていても良い。研究だって、それぞれに目的は微妙にずれていることが多い。それでも、だいたい同じ方向ならば協力をし合う。その柔軟性が、組織というものの要だし、人間が群れを作るための基本的な能力だとも思える。》(第一巻p.210)。生物や文化はだいたい多様性により存続してきたわけやし「みんなちがってみんないい」ですな。もっとも最近では「みんな違ってもいい」という考え方に統一しなければならないという向きもありますが?
【チカサカ・ユウヤ】「日本動物園(通称「日本博物館)」園長。動物学者。熊の研究所をくれた。
【チューブ】ニュークリアから地下トンネルで各地に行ける一人乗りリニアモーターカー。
【テロ集団】《この頃、テロ集団というのはほぼ壊滅したと聞いている。争う未来がないい、というのが主な原因だろう。》(第一巻p.139)
【ニーヤ】ニュークリアの職員であるウォーカロン。人間の女性との恋に悩んでいる。
【ニュークリア】地下深くにある研究施設。核廃棄物処理施設の情報にあるようだ。「ニュー」は「NEW」ではなく「νガンダム」のニュー。
【人間】《自分たちを理解しがたいものだと持ち上げたい心理が無意識に働く。でも、誰もがだいたい同じように怒ったり笑ったりしているんじゃないかな》(第一巻p.107)
【人間でない】《また、もし人間でなくても、人間でないことの本当の意味を自分は知りません。》(第一巻p.40)
【年齢】人工細胞によって寿命は理論的には無限。見た目も年齢通りではない。ハギリは八十歳、アリチは百六十歳。
【ハギリ】主人公。おそらくは研究テーマによって命を狙われている。《人間の勘を数式化したものが、僕の研究成果の一つなのだから》(第一巻p.74)。《人間はどんなふうに考えているか、ということが、つまり人間とは何かという問題の答になると思った。》(第一巻p.105)。なぜ狙われているのかは、当初は同定されては困る勢力(ウォーカロン産業など)によるものと考えられていたが、この研究はまた、人間とウォーカロンの差を知るための研究でもあり、ウォーカロンをより人間に近づけたい勢力に反する勢力(要するに差異を保持したい側)の可能性も考えられるようになった。
【パラサイト】人工細胞由来で、人間が子孫を残せなくなった原因かもしれない?
【マナミ・ユカノ】情報局がつけてくれた助手。
【ミチル】ハギリの前に連れてこられたウォーカロンだという少女。だが、ハギリには人間だとしか判定できなかった。ルックス的にはチカサカから進呈された『熊の生態』という研究書から導かれた映像に映っていた少女だった。
【ミチルの祖母】ハギリの前に突如現れた女性で「ミチルのおばあちゃん」だと言う。ルックスは若い。真っ白い服装。四季博士を思わせる人物だと思わされたが、近似値ではあったようだ。こんな人物が登場すると、ウォーカロンのありよう、現在の人類の、いや世界のありよう自体が四季博士のプランだったように思えてきます。「子孫が消えてしまい、そして、死ねなくなった。こうなるしかなかった」(第一巻p.177)。
【リョウ・イウン】台湾の生物学者。《人類は、というよりも生物医学は、道を間違えたのです。》(第一巻p.207)。「人類のために」(第一巻p.210)。
【若い女性】アリチ《うん、若い女だと、つい従ってしまう》(第一巻p.50)
【笑う】ウグイ「面白い、楽しい、と感じることはありますが、それを態度で示そうという気持ちが希薄なのだと思います」。ハギリ《たしかに、この頃は笑うヒトは少なくなった。笑ったところで、なにか社会が変わるわけでもないし》。ウグイ《笑うことは、コストパフォーマンスが悪いといえます》(第一巻p.60)。
Posted by ブクログ
ようやく新シリーズ!
全くミステリではなくて新鮮。赤目姫の潮解以来のSF?
ウォーカロンの設定面白いな。これってきっと100年シリーズよりも後?だよね??ロイディのこと、もっとアンドロイド寄りに想像してたんだけど、どうなんだろう。やっぱり再読が必要?
なんにせよ興味深い。続きが気になる。S&Mから2世紀か〜想像できない〜!