あらすじ
クローン。法律により禁じられている無性生殖による複製人間。研究者のハギリは、ペガサスというスーパ・コンピュータからパリの万国博覧会から逃亡したウォーカロンには、クローンを産む擬似受胎機能が搭載されていたのではないかという情報を得た。彼らを捜してインドへ赴いたハギリは、自分の三人目の子供について不審を抱く富豪と出会う。知性が喝破する虚構の物語。
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Posted by ブクログ
いっや、あのウグイが! 無断で外へ食事にでたハギリにあんなに不満を抱いていたウグイがアポ無しで食事のお誘いとか(笑)成長著しくて感動。
登場人物がみな(人工知能含め)少しずつ変わっていく。
ハギリも初めて死別の意味を体感した。今まではただ他人というデータが消えたくらいの感覚しか持てなかったハギリが死の意味を知る。その大きさを知る。それは分析ではわからなかった事だ。
ここまでのシリーズ中、一番心揺さぶられた作品。
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"生きているものは、いずれは土に還る。それが、本来の循環だ。
悲しい、嬉しい、苦しい、楽しい、といった夢を、僕たちは見せられているだけ。
そんな中に、ただ、生と死の頂点がある。サインカーブの頂点のように、ただ周期の特異点として、それがある。
目印でしかない。すべては繰り返され、未来へ向かって続いていくだろう。
いずれ、宇宙が止まるまで"
(P258)
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それにしても、人間だからこそ感情に惑わされて間違った判断をしてしまう……と一瞬結論付けそうになったところへ、そうでは無い人工知能も間違うのだ、と畳み掛けるこの構成よ。
ほんと森先生凄いわ。
人間であるラジャン青年も人工知能であるペガサスも同じくプライドに目を曇らされ、自分は評価されていないと思い込み失敗を犯してしまうあたりのオーバーラップもさすが!
Posted by ブクログ
この時代に一族の確執が起こったらこうなるのか...人工知能やロボットを操って悪事を働くの怖すぎる...
ツェリンは悲劇的な最期でした...
お姉様方に嗜められるペガサス少年...スーパーコンピュータ同士の関係性も面白い。
何より二人は早く付き合っちゃえ!笑
Posted by ブクログ
Wシリーズ7つめ。ツェリンが死亡。アネバネとキガタがテニス!無表情に機械的にやってたんだろうな。子供が生めるウォーカロンのからくりは、精子卵子が入ったカプセルを内包したウォーカロンではなく、生殖が可能な人間だったとは。ツェリンの子供はきょうだい児だったわけだ。この世界には不似合いな野心を持ってしまったために起きた不幸だなあ。子供のためなら阿呆にもなってしまう親心をディスってる森さんに激しく同意する。
Posted by ブクログ
人工知能とクローン人間にスポットを当てたテーマだったが、今回はそんなことどうでもよくて、ハギリ先生とウグイの関係でしょ!
ハギリ先生の護衛担当がウグイからサリノに代わったけど、ハギリ先生が無意識になにかとサリノをウグイと比べているところが微笑ましい。
そして、なんといってもハギリ先生とウグイが居酒屋で食事をする場面。もう、ニヤニヤが止まらない。この巻までのウグイ名場面集のトップ3には間違いなく入るシーンだったね。
なんか、こういう視点でWシリーズを読むのは間違っている気もするけど・・・笑。
もう、この二人いい歳して、中高生の恋愛か!って突っ込み入れたくなるけど、まあ、恋愛とか愛情とかあまり重視されない未来の時代はこういう感じなのかもしれないね。
二人の関係も含め、このシリーズどうなるのか、楽しみで仕方ない。
だれか、wシリーズを映像化してくれないかな。アニメでもドラマでも実写映画でもいいから~
Posted by ブクログ
人間、ウォーカロン、ロボット、見た目ではわからない存在が入り乱れ、謎を深めていっている。サブキャラであったツェリン博士がキーとなる人物になるあたり、シリーズ通りて岐路になる作品なのかもしれない。
事件の動機が、まことに人間的な感情からくるものだったのが面白い。また、結果的にペガサスの予測が外れてしまうわけだけど、どうやら人間的な感情が原因と示唆されている。次作以降、さらに明かされるんだろうか....
Posted by ブクログ
2023.05.14.audible
今度は人工知能か!
新しい命が生まれることの困難。
amzonの本の紹介
クローン。法律により禁じられている無性生殖による複製人間。研究者のハギリは、ペガサスというスーパ・コンピュータからパリの万国博覧会から逃亡したウォーカロンには、クローンを産む擬似受胎機能が搭載されていたのではないかという情報を得た。彼らを捜してインドへ赴いたハギリは、自分の三人目の子供について不審を抱く富豪と出会う。知性が喝破する虚構の物語。
Posted by ブクログ
Wシリーズ7弾。
話としては山谷はあまりない感じだが、議論としては中々深いものがある。クローンは道義的に可か不可か。考え方によっては、技術力向上なども考えると、科学者は研究したいとこだろう。その一方で、ハギリ達はクローンの道徳的な部分の議論を展開している。少し意外だったのは、ハギリはクローンに対して賛成とも反対とも言っていないところ。科学者なので、反対は言いそうにないけど。
謎なのは、結局ペガサスは何をしたかったのか、というところ。コンピュータがよく分からないのは前回のオーロラも然り。人間、ウォーカロン、トランスファ、人工知能。これらは果たして区別がつかなくなるのか。
山谷のない話だったけど、私はこの巻が静かな水面に石を投げ込んで出来た波紋のような、物静かで後々影響してくる布石のように感じた。
Posted by ブクログ
いやぁ、ウグイとのペアはやっぱり良いですね。
子どもが生まれない世界の中で、「親(母)になる」ということは、ロジカルに判断できない特殊な状況なのか。
わが子のためなら、なんだってするというこの感情。
Posted by ブクログ
p33
ウォーカロンのユーザーは、そのウォーカロンを他者に譲ったり、売ることが認められています。
p43
この場合、神の称号は人類のものになるのだろうか?
p44
「それは、真実だとはかぎらないよ。そう広めておかないと、そのうち彼を首相にしろと言い出す人たちが出てくるからね」
「その運動は既に各地であります」
「本当に? へえ、知らなかった。それは、リベラルなのかな?」
「ジョークですか? 疑問ですか?」
「ジョーク」
p97
「いいえ、彼女自身も、知らなかったのです」
虚栄か? の答えはイエス。
ちょっと地味に感じたけど、架空の未来のなかでの世界情勢とか垣間見えて面白かったです。また人工知能の演算ミス、というより非常に感情的、人間的なミスが物語の起点になっているのも良い。我々の世界に馴染みつつあるAIが嘘をつく(基本的には聞き方の問題だけど)という体験ともリンクする感覚。
少しずつ各地にいるAIを小出しにしている感じ。あとウォーカロン自身がウォーカロンだと認識していないというケースも盲点そうで最近観た『The Companion』という映画も擬似的人間的な体験をアップロードさせたロボットだったなと思ったり。また身体の自由が効かない人がロボットとリンクする、というのもこの作家が書いているとそれほど遠い未来ではないのかもと感じさせてくれる。
民主主義云々のくだりもサラリと書いていたのと、また今作、クローンに関しても触れられていて、基本的には倫理的にクリアしていない。物語の行先より、こういう描写のほうが予言じみていて読んでいて楽しい。もちろんフィクションとしてだけど、あまりにも早い予言書として読んでる感もあって、次作も次シリーズも寝かせながら読みたいです。
Posted by ブクログ
3
Wシリーズ7弾。日本機関に所属する人工知能ペガサス。生殖可能なウォーカロンを研究。彼が予測したカプセル型ウォーカロン。その情報をもとにインドを訪れたハギリ。資産家ケルネィ家で起きた事件。チベットのナクチュにいたツェリン博士との再会。彼女とケルネィの息子ラジャン。ケルネィの娘ラビーナ。地下に軟禁されたラビーナとロボットのラビーナの暴走。ツェリンの死。ペガサスの妄想。人工知能の妄想も含めた未来の世界の課題。なかなか面白い。