鷲田清一のレビュー一覧

  • メルロ=ポンティ 可逆性

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    前提知識が多分に必要で難しいです。ただメルロ=ポンティの思想に対して網羅性があり、熟知した解説が覗けましたし、面白いとも思いました。
    近代から勉強し直してまた読み返しますが、その期待値と自分に対する可能値として星5です。

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    2021年02月16日
  • ポストコロナ期を生きるきみたちへ

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    色んな立場における識者の手による、今の時代ならではのアンソロジー。内田樹編ってところで、それなりのバイアスがかかっていることは間違いないけど、氏の慧眼に心酔している身としては、その選択には疑念の余地なし。通読した後も、その気持ちに変わりはなかった。いくら博覧強記でも、単著では、その言論にそれなりの限界があるものだと思うけど、その点本作は、根っこの部分でのブレをほとんど感じさせることなく、だけどそれぞれに違った見地からの論旨が展開されていて、感じ入ることしきりだった。

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    2020年12月14日
  • 〈弱さ〉のちから ホスピタブルな光景

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    講談社学術文庫で、
    鷲田清一氏の著作で、
    タイトルが『〈弱さ〉のちから ホスピタブルな光景』。
    お硬い本を予想して買ったんですが(もちろんどんなにかたいテーマでも優しく語ってくださるのが鷲田清一氏の本なのですが)、あにはからんや、鷲田氏が性感マッサージ嬢やゲイバーのマスターや生け花作家など一癖も二癖もありそうな人に会いに行って、話を聞くという体裁の本。

    でも(だから?)、これが深い。
    それぞれのインタビューが、それぞれの生き方に裏打ちされて出てきた言葉の積み重ねだから、ちょっとやそっとじゃ「分からない」。
    もちろんインタビューだから、書いてあることそのものが分からないわけじゃない。
    でもその

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    2020年11月19日
  • わかりやすいはわかりにくい? ――臨床哲学講座

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    自分がうだうだ悩んでることに対して先人たちはもうずっと前から深く考え続けていてその軌跡を遺してくれてたんだなあ
    鷲田清一さんの本、他も必ず読んでみよう

    意識はしばしば感覚のひだのなかに身を潜めている。重ねられた唇と唇のあいだ、閉じられた瞼、収縮した括約筋、拳をにぎりしめたときの手、押しつけ合った指、組み合わされた腿と腿のあいだ、一方の足の上に置かれた足といった場合がそれである。(……)皮膚の組織は自らの上に折り畳まれているのだと思う。肌は己自身の上に意識を持っており、また粘膜も自分自身の上に意識を持っている。折り畳まれたひだもなく、自分自身の上に触ることもないならば、真の内的感覚も、固有の肉

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    2021年12月01日
  • 二枚腰のすすめ――鷲田清一の人生案内

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    鷲田先生の人生相談という内容。
    ちょっと軽い感じの話かなと思ってよみましたが。
    自分自身の状況が、現在岐路にあるということも
    あるのかもしれませんが。
    ほとんどの内容が心に響き、背中を押してくれる
    内容でした。
    自分にとっては、いろいろ珠玉の言葉や、お話し。さらに
    大切にしておきたい言葉や内容を読ませてもらいました。

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    2020年07月30日
  • じぶん・この不思議な存在

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    むちゃくちゃ面白かった。でも難しいテーマだから半分くらいは消化できてなくて、もう一度読んで、自分の中に落とし込んでいきたい。
    いまのこのコロナの状況だったり、SNSの誹謗中傷の件だったりに通じる内容だと思った。1人では生きていけない、という考えに懐疑的だったけれど、初めて少し納得できたかもしれない。

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    2020年05月29日
  • 濃霧の中の方向感覚

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    対話をするために必要なのは、伝える能力ではなく、価値観を摺り合わせていく能力だという言葉に納得した。正確に伝える技術ばかり意識していた自分にとって、自分の対話の仕方を見直そうと思った。折に触れてぱらぱらと読み返したくなる本だった。

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    2020年03月09日
  • じぶん・この不思議な存在

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    自分らしさにこだわるのではなく、他者とどう関わるかが本書の問いである。
    自分らしさに執着しすぎても、仕方がない気がした。

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    2020年02月04日
  • 大人のいない国

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    小気味良い対談の終章はとくに面白かった。「オメオメ」とか「ノコノコ」といったオノマトペがなぜ伝わるのかだとか、定型に万感をこめて余白をのこすことだとか、「利」でなく「理」で動く政治家がいないことだとか。
    知性あるお二人のやりとりは、行間たっぷりであるのにまとまっている。

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    2020年01月31日
  • 都市と野生の思考(インターナショナル新書)

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    哲学者で元大阪大学総長の鷲田清一氏と、ゴリラ研究で著名な山極寿一京都大学総長の対談。
    ただ第1章からリーダー論がぶっ放されていて、改めて知を探究すると射程は広く、そして「僕たちはどう生きるか」という問題に集約されていくのだなあということを実感。

    文科省が学習指導要領で「生きる力」を提言してからでも随分経つが、文科省が(あるいは日本の政府が)進めようとしている教育改革が、たとえば本書で述べられているような「生きる力」を涵養するものであるかと自問すれば、甚だ疑問であるというよりは、正反対の方向に進んでいるような気がしてならない。

    複雑化する国際社会と日本の現状を踏まえた上で、大人としてどのよう

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    2019年12月07日
  • 京都の平熱 哲学者の都市案内

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    鷲田センセの学生時代とと自分の学生時代は重なっていないけれども、昔の知らなかったこと沢山教えて貰う。
    その後も住み続けている自分にとって、身近なことを紹介してもらうと嬉しく、戒めとなることも沢山教えて貰う。
    モジカで美品を購入。

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    2019年11月18日
  • 〈弱さ〉のちから ホスピタブルな光景

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    あらゆる場面で見つけた弱さのちからをまとめた本。

    精神科の病棟で見る患者は、この本にあるように”どう生きるかを、いつも目に見える形で突き詰めないと生きられない人たち”で、” 普通は人知れず悩むことを、過剰なまでに抱え込んできている人たち” 。その姿を見るうちに自分の歪さや弱さに気づく。精神科にいると、自分の過去を振り返ることにもなる、といった先輩医師の言葉通りであった。それから友人の脆さや作り上げた歪な自分らしさも少しずつ垣間見えるようになって、自分の生きづらさがほんの少しだけど肯定されたような気になった

    べてるの家では、精神疾患を治すものとして捉えない。
    疾患で生じる苦労を治しても、他の

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    2019年08月29日
  • まなざしの記憶――だれかの傍らで

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    涼しく静かで、けれども確かに生きた写真と哲学者のエッセイ。鳥取砂丘を舞台に、シュールでありながらどこか生活感を感じさせる写真を数多く残した植田正治の「まなざし」に鷲田清一は注目します。当書や、ドアノー「不完全なレンズで」、赤瀬川源平「鵜の目鷹の目」などを読むと、写真家の言う「視点」「まなざし」が必ずしも単なる視野だけを指しているのでないことに思い至ります。こと何かを見つめる、視点を変える、一呼吸置くなどと言う事において写真と哲学の相性はいいかもしれません。(宮月)

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    2019年08月22日
  • じぶん・この不思議な存在

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    ・“遠い遠いとこ、わたしが生まれたよりももっと遠いところ、そこではまだ可能がまだ可能のままであったところ” (哲学者,九鬼周造)

    つねに一定のだれかであるために、ありえた自分をつぎつぎと捨てていくこと、特定の文化や社会的なイメージに自分を合わせていく作業が必要となる。それが、じぶんになるということである。

    でも結局は、我々は自分を自分ではわからないし、顔は直接みることもできず、何をしたいかもわからず、自分は他人の中にしか存在しない。

    それを証明できないと、不安になるけども、実はそれは自由の喪失ではないかもしれない。だれかであることをやめることによって、誰にでもなれる自由がそこにあると

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    2019年07月22日
  • 大人のいない国

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    ネタバレ

    教養について、正しさを規定するもの、身体感覚の一致、言論の自由、二項対立を超えた合(アウフヘーベン)、定型句に込める万感の思い。
    結論は、大人になれる気はしないが、めざしてみたい。

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    2019年07月20日
  • 街場の平成論

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    いろいろな観点から「平成」を振り返る論集。30年間の変化の大きさに愕然とする。もっとも改元が時代の変化を表さないことは言うまでもないが。

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    2019年04月14日
  • 大人のいない国

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    身につけるべき教養
    愛国心の形
    言論の自由とは誰でも言いたいことを言う権利があるということではない。発言の正否真偽を判定するのは発言者本人ではなく、自由な言論の行き交う場そのものであり、場の威信に対する信用供与のことである。場の審判力に対する信認のことである。そのような場は、あるかないかではなく、あらしめること、私たちがそこで創り出さなくてはならないもの。

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    2019年02月27日
  • 転換期を生きるきみたちへ

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    中高生に『ミライの授業』と併せ読んで欲しい。

    本書は、大人が読んでも考えさせらえるものである。
    「転換期を若い人が生き延びるための知恵と技術」について、親子で一緒に考えてみてはどうだろうか?

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    2018年10月12日
  • てつがくを着て、まちを歩こう ――ファッション考現学

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    良い本だった! ファッションそのものというか哲学の本で、時代に廃れぬまなざしがある。身にまとうものを含めた自分というおしだしについての哲学。
    その人がそのまま表出されているすがたというのが一番魅力的なんだと語るような場面(ちょっと受け取り方に語弊があるかもしれないけど)が何度となくあって印象的。あるがままのシワとか、そのひとの人生史(時間の澱という言葉が心に残る)をいつわらぬ顔というものに価値を見いだすこと、それはやはり豊かだよな、かくありたいね、と思える。
    そしてなにより言葉選びがつくづくツボで、非常につやっぽい。読んでて無性にどきどきした。乾いた肌に湿り気を取り戻すような読書体験だった

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    2020年04月10日
  • 死なないでいる理由

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    「死ぬ」ではなく、「死なれる」事が、<死>の経験のコア
    今は、何かをする中で、ではなく、何かをする前に、自分にどんな個性があるのかを自問する時代。
    ケア:一方が他方の世話をしながら見返りは求めない。一方的な搾取の関係。
    家族の形は多様化している。婚姻の形にとらわれないペアや共同家族の存在。核家族を社会のユニットとは思わなくなっているが、住居の方は相変わらず核家族を前提に作っている。核家族に代わる社会的なユニットの可能性が見えておらず、定形を失った家族の多様なあり方をゆるやかに受け入れられる空間構成のモデルがない。
    生老病死への対応、ほとんどすべてを外部サービス機関に委託するようになった近代家族

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    2018年07月19日