【感想・ネタバレ】京都の平熱 哲学者の都市案内のレビュー

あらすじ

古い寺社は多いが歴史意識は薄く、技巧・虚構に親しむ。けったいなもんオモロイもんを好み、町々に三奇人がいる。「あっち」の世界への孔がいっぱいの「きょうと」のからくり――。〈聖〉〈性〉〈学〉〈遊〉が入れ子になり都市の記憶を溜めこんだ路線、京都市バス206番に乗った哲学者の温かな視線は生まれ育った街の陰と襞を追い、「平熱の京都」を描き出す。(講談社学術文庫)

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Posted by ブクログ

京都に関する不思議が、驚くほど明快に示されている良著。
質素なイメージの禅寺とギトギトラーメンの対比。
首都としての保守的な面と日本初の電車を通した先進的な面。
表面をなぞるだけでなく、著者自身の経験や歴史に関する造詣から炙り出される説が面白い。京都に少しでも関わりがある方、あった方におすすめです。

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2024年05月02日

Posted by ブクログ

読み終えて、とてもびっくりした。

こんな素人みたいな始まり方で申し訳ないが、この衝撃は、京都について、余所の者とそこに住み続けている者との見方の差異や、京都がこんな街だとは思わなかったとか、そういう事ではなく、あくまでも、街という存在が、目には見えないところで燻っている、底の知れない人と歴史の複雑な積み重ねで、今なお生き続けている、不可思議なものであることを、まざまざと実感させられたからである。

とは書きつつも、哲学者の「鷲田清一」さんの視線で見た、京都の裏ガイド的意味合いがあるのも確かなので、まずは、親しみやすいところから書いていきます。

京都は、元祖ヴィジュアル系の「ザ・タイガース」を生んだ街であり、それに抵抗が無いのが太秦の存在だという面白い一面を持ちながら、『個』としての時間をもてる喫茶店という空間が、自然と自立を促すことの出来る、近代都市としての支えになっていた、誰でも受け容れてくれる自由な一面も持ち合わせている。

また、意外と知られていない京都の凄いところとして、琵琶湖疏水の工事を指揮した23歳の技師は、世界で二番目の水力発電所も建設し、飲み水としてだけでなく発電用水として活用しようとした、その試みは、後の西陣織等の伝統産業の近代化と、わが国初の路面電車の敷設に繫がっている事や、深泥池(みどろがいけ)の水生植物群落は、屋久島の縄文杉の比では無い、ウルム氷期の植物「ミズガシワ」等の氷河期の生き残りであり、その壮大なロマン故に、かつては幽霊が出るとの噂もあった、おまけ付きだ。

いや、おまけ付きだなんて失礼なことを言ってはいけない。そもそも京都の地には幽霊が見えるといった、嘘のような本当のような話も聞いたことがあるが、それは鷲田さんによると、『弱い者の自衛手段』なのであり、平安末期以来、外部者の権力争いに繰り返し巻き込まれてきた京都人の、それこそ『千二百年も都市であり続けた』故の、無意識に染み込まれていった、自我を持ち続ける為の必死な思いの継承もあったのかもしれず、だから京都人は、『身の丈を超えた京自慢などせずに、それぞれの地域で小さくて濃くて高度な幸福をしずかに堪能している』のではないかと感じさせられる。

しかし、そんな弱い者の自衛手段を分かっているはずの京都人が、それに相反するような行い─覆いや緩衝を許さない視線の暴力─をしている事も知り、それを『都市はいま空襲を受けている』と表現された鷲田さんには、京都という街に対するただならぬ思いに加え、京都から何か大切なものが消え去ってしまいそうな、大きな危機感も窺えるようで印象的だった。

例えばそれは、財布が軽くても、それでも「見かけ」に、「装い」にこだわった、戦後市民の心の張りに見られた、『損得を超えた心意気という「芯」』の喪失が、「着倒れ」がまさに倒れかかっている理由であることや(不況のあおりなどではなく)、ファッションについて、ここまでは何をやっても良いといった、リミットの存在に加え、自由と秩序が共にはっきり明確であることを説いているのは、いのちを保ち続ける多面体としての都市のあり方であり、おそらく、そうしたものが失われる事への多大な危機感を抱いたのだろうと私は思う。

ただ、そんな京都の弱い者の自衛手段を素晴らしい形に転換したと感じられた事の一つに、ファッションを『発姿音』と書かれた、「堀宗凡」さんが主人の、「玄路庵」の喫茶去を称えた、松岡正剛さんの、奇想天外ならぬ『奇想天内』という言葉があり、そこには、単なる奇人の奇想天外なものがあるのではない事に加え、京都でいうところの奇人は、リミットの基準となる程の達観した粋を持つものであり、それを自然に受け容れる度量を持つ京都人は、当然その基準を知っており、外から見えるなんて、そんな品位に反する野暮なことはせずに、その内なる空間でひっそりと華やかに、他では決して見ることの出来ない極上の芸術を披露する。これを粋と言わずに何と言おうか。

そして、更にそれを実感させられた文章を、少し長いが掲載したくて、これは私も目から鱗の思いだった。

『「ワンポイント・チャーム」という言葉があるが、これは褒める言葉がないときに、無理してなにか褒めるべきところを探したときに出てくるものだ。ほんとうに魅力的な物や人には、そんなチャーム・ポイントは探す必要がない。圧倒的な存在感があるだけだ』

まさに私は、この圧倒的な存在感を京都という街に感じられた上で、その存在感には、どこか隙があり過ぎるようでもあり、思わず見るに見かねて、つい手を差し伸べたくなるような、放っておくことのできない魅力的な街なんだと思う。

本書の表紙や本編に収録されているモノクロの写真たちを見ていると、色などには決して惑わされない、『ものの本質』がそこにあるように感じられる。そして、それは普遍的なことだから、きっと言葉も時代性も必要ない。

学校の歴史の授業で教えてくれるのは、「何かが起こった」という結果のみであり、そこから、未来の人達にどのように影響したのかは、自ら知ろうとしない限り、おそらく一生知らずに生涯を終えてしまうのかもしれない。

だからこそ、今回本書を読むことで、京都の街の中に潜む、数え切れない歴史と人々の、美しいことも汚いことも派手なこともささやかなことも全て引っくるめた、数え切れない思いが詰まりに詰まった、街自身の、永きに渡るいのちの歩みを知ることが出来て、とても嬉しかった。


本書は、Macomi55さんのレビューをきっかけに、知ることができました。
ありがとうございます。

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2023年06月06日

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はあ、鷲田さんの京都愛がじんわり伝わってきて心がぽかぽかする。特に市バス206番で一周というのがまた良い。なぜならそれは、ガイドブックに乗るような「定番の京都」とは違うので。京都に根を置いている者だからこそ見つけられる、「あっち」の世界への孔。これは単なる京都案内でも紀行本でもなく、京都という都市の見えない側面への誘いとなる本だ。

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2022年04月17日

Posted by ブクログ

鷲田センセの学生時代とと自分の学生時代は重なっていないけれども、昔の知らなかったこと沢山教えて貰う。
その後も住み続けている自分にとって、身近なことを紹介してもらうと嬉しく、戒めとなることも沢山教えて貰う。
モジカで美品を購入。

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2019年11月18日

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副題の「哲学者の都市案内」というのが「何??」という感じがしないでもないのだが…これは「哲学の教授である筆者が綴った“都市”を論じたエッセイ」という程の意味のように思う。“哲学”等と付けば、何やら酷く面倒なことや、難しい話題のような感も抱くかもしれないが、決してそういうことはない。京都に縁深い大学教授が、普通に、京都を題材に“都市”を語る感じだ。大学の講義や、一般向けの講演で、先生が話しているのに耳を傾けるような気分でドンドン読み進められてしまう文章だ…

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2016年05月31日

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京都市内を1周する市バス206系統に乗った形式で、第一旭、イノダコーヒー、DX東寺、善書堂、神馬堂など「名所」を案内しながら、京都を紹介する本。特に、著者が北区在住のためか、その周辺の紹介には愛を感じる。
「おもろい」ことを尊ぶ風土、聖と俗、革新と伝統の混ざり具合などが繰り返し述べられる。驚いたのは著者の子ども時代に、車通りの少なかった西本願寺近くの堀川通で野球ができたとの記述。今では考えられない。あと、この本を読んで、縁切りの願い事を書いた絵馬が並ぶ安井金毘羅宮は行ってみたくなった。

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2015年11月03日

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以前京都に住んでいたことを思い出しながら、当時のことやそれ以前の京都の風景を懐かしみ想像しながら読んだ。
一度、この本を片手に京都市バスに乗って、京都の町を実際に巡ってみたい。

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2014年12月23日

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「京都」というコトバには独特の響きがありますね。
 本書は、京都生まれの哲学者鷲田清一氏による「京都の町」「京都の人」をテーマにしたエッセイ風の読み物です。
 鷲田氏流の京都案内の中に、これまた鷲田氏流の哲学的エスプリがトッピングされていて、京都に馴染みのない私にとっては、「なるほど」と首肯できるくだりが満載で、とても興味深く読むことができました。
 鷲田氏が本書で語っている多層的・多義的な「京都」の姿について、是非とも、ほかの京都の方々の受け止め方も伺いたいですね。

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2013年09月26日

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じっくり読みました。
僧侶と舞妓さん、そして祇園。。

細い路地を、目的もなくぶらぶらするのは気持ちいい。
雨が止んだあと、町屋が濡れている景色にはいつも心惹かれる。

本多さんの「ALONE TOGETHER」の意味を、「うどん」の考察に見つけました。

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2013年06月01日

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京都人哲学者による気楽な京都市紹介本。市内を環状線のように走るバスから眺める(あるいは下車して訪れる)形で京都のありのままを味わい深く読み取ることができた。終には京都市にまつわる「哲学」が語られるが、それも幼い頃から馴染んだ京都への愛情が溢れていると思った。

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2025年06月06日

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京都市出身の哲学者が語る普段の京都。
市バス206系統に沿って都市案内も愉快。著者の年代とは時代が変われども京都のディープな面の観察はおもしろい。
そう思うとだんだん京都も「おもろない」処になってしまったかもしれんけど。奇人変人もすくのうなったんとちゃうの。

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2022年11月14日

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京都旅の折に、京都を中心として展開している大垣書店で購入。鷲田清一は哲学者で、さまざまな文章を書いていて、僕にとっての初めての鷲田の文章は高校生の時の現代文の時だったと記憶している。自身が京都で生まれ育ち、京都大学で哲学を専攻していた学生だった。市を走るバスの206号系統の道筋をなぞり筆者独自の京都への眼差しを追体験する。京都にいながら読むことで臨場感や思いを馳せることのできた本。

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2021年11月06日

Posted by ブクログ

京都で学生生活を送れて良かったなぁと思う一冊。

受験期に鷲田清一さんの文章に苦しんだ経験がありましたが、この本は凄く面白く読めました。過去に、受験勉強の中で出会った作品も実は凄く面白いものだったのかも、

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2021年03月27日

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京都で学生生活を送ったことのある人なら面白い。「京都」がどういう街であるかを、具体的な街や店の様子を紹介しつつ、自らが暮らしてきた肌感覚に即して語っている。「哲学者の都市案内」というサブタイトルに偽りなし。

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2020年03月25日

Posted by ブクログ

浮ついていない京都案内。
湖のように涼しく静かな口調で、狂乱の魔都を語る。

哲学者である著者の目線は独特であり、地べたを這いずり回るような土着性と熱に浮かされたような祝祭性に付きまとわれているようである。
ちょっと視点の変わった観光ガイドとしても使えて、京都訪問が5回目くらいでぼちぼち飽きてきた人には大変便利だと思う。
とはいえ京都で生まれ育った著者だから、街の裏側まで見透かし分析を試みる。エッセイとしても秀逸。

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2019年10月17日

Posted by ブクログ

京都出身の鷲田センセイが、京都の美味いものや、思い出などを語るエッセイ。

若干哲学的なカタイ話もなくはないけれど、ほとんどは軽くて読みやすいものだった。旅行ガイドとしてはあまり役に立たないけれど、読み物としてなかなか面白かった。

以前にテレビで紹介されていたお好み焼き屋の夢屋に何年か前に行ったら、予約がないと入らないと言われ、昨年満を持して予約して行った。確かに美味かった。この店のこともこの本に出て来た。行ったことのない壱銭洋食という店が紹介されていて今度はここに行ってみたいと思った。

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2019年05月14日

Posted by ブクログ

よく知っている京都の街並みを思い浮かべながら、京都という街の構造についての話を聞いている感じで面白かった。鷲田清一氏の文章は、大学受験の頃よく読まされて苦手意識があったが、今回は思ったより内容がすっと頭に入ってきた。

奇人の話、歌舞伎における「しるし」の話、服装のリミットの話では、なんとなく実感はしていたものの言及されることで改めて気づいた点も多く、とても興味深かった。それから、おしゃれな猥雑さが京都には似合う、というのには激しく同意。

私は2013年から京都に住んでいるけれど、ここ2〜3年で京都の街は「観光客が想像する京都」に近づこうとしている気がする。最後の方に書いてあった「京都らしさ」の追求が、こうした違和感のある街づくりに誘っているのかな。

内容とは関係ないが、自分の好きな店が本で紹介されていたので少し嬉しかった。

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2019年02月08日

Posted by ブクログ

京都生まれの哲学者による京都案内。京都をぐるりと回る206系統のバスに沿って、その場所場所について生活目線で語られています。京都育ちの大学の先生と一緒にバスに乗り、いろんな蘊蓄を「へぇ」と気軽に聞きながら楽しむ。そういう気楽に読んで楽しめる内容になっています。
それに加えて、観光としての京都とは違った、そこに住んで感じる地元としての京都を、そこで育った哲学者ならではの感じ方で知ることができます。外からと内からでは、全く違うということは一般的にもありうることですが、それがどう違うのかということを体で感じることができるのが本書の魅力なのかと思います。
まず、一般の京都の観光をし、京都の歴史について学んだのち、本書でそれとはまた違った「平熱」を知ることで、京都に深く入って行くことができたような気にもなれます。私が「気にもなれます」と書かされる理由についても、読めばわかっていただけると思います。

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2018年05月30日

Posted by ブクログ

京都の魅力とは。学生時代にひしひしと感じていたもの、なんとなくは理解できていたと思うが、ある程度鮮明となった。

よくいう京都が歴史都市であるというのはちょっと違う。歴史の深さなど時間軸で表現されること、つまりは《垂直的》なことっていうのは案外表面的な魅力なんだと。

それよりも、自分自身がひしひしと感じていたことは、本書に多数書いてあることもそうだが、古本屋が多かったり、喫茶店がいい感じだったり、JAZZに陶酔できたり、伝統的価値とか言いながらアバンギャルドであったり、どこかノスタルジックであったり、なんというか「幅」というか、「拡がり」というか、「つながり」というか、どこか《水平的》な価値魅力を感じ取っていたんだと。

京都は奥が深いのではなく、先が見えないところがオモロイんやと思う。

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2016年06月08日

Posted by ブクログ

京都市バス206番に沿って、京都の都市案内。とはいえ、京都の案内にとどまらず現代社会にアラートを示しているようでもあり、そんな小難しいこと考えてないようでもあり。ちょっとひねくれた京都好き、京都で学生時代を過ごしたひとにおすすめ。

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2015年01月24日

Posted by ブクログ

京都案内
京都人論
都市論
そんなふうに僕はこの本を読んだ

まず京都案内
京都人が慣れ親しんだ店を案内するだけあって
とても気になる
店の来歴や著者とのかかわりから記述されるせいか
食べログのレビューの表面的な店の批評とは異なり
もう気になって仕方が無くなるのだ

それから都市論
どこに書いてあったかわからなくなったけど
都市には住む人と訪れる人
それぞれのための顔というか面が必要とか
新しい町には
宗教施設と大木とあとなんか・・・がない
とか
都市の本としてものすごく面白かった

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2013年12月24日

Posted by ブクログ

ネタバレ

古い都市であることの条件として、異界への口があいていること。
京都で生まれ育ち、学び今だにそこに住む著者による観光ガイドではない「平熱」の京都は市バス206番に乗って、という設定だが、そこここで寄り道もあり、またガイドではない、と断りながらもお勧めの店なども紹介してくれる。しかして本書は京都人へ向けて書かれているのではないか?最後の方、京都人がついに自信を失いかけている、とある。何をどうしろ、ということはない。少し元気を出して、嫌味なくらいの自信をとりもどしましょう、ということか。鈴木理策の写真が利いている。

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2013年12月22日

Posted by ブクログ

市バス循環206番の沿線の景観・風俗を題材にした京都論、都市論、コミュニティ論、哲学、そして一風変わった京都案内の本であり学者さんの本。本書自体が万華鏡のような切り口によって様々な表情を見せ、至る所にあやかしの異界が顔をのぞかせる京都を体現しているように思える。

などと難しいことを考えなくても、素直に206番に乗って京都をぐるりと回る前に予習しておく本として読めば良いのではなかろうか。ただし実際に206番に乗るときには本書を持っていくような無粋なことをせずに、読後の記憶をたどりながら回るのが京都や本書の楽しみ方だと思う。

「おもろい」本としてオススメです。

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2013年07月17日

Posted by ブクログ

鷲田清一の本を読み通すのは初めて。206沿線の普通な京都を案内するという。生まれ育ち京都でその後もずっと関西圏なうえに、エッセイの書き手としても腕が確かという最強な組合せで非常に良いし、知ってるところが次々出てくるし素晴らしい。この手の本にありがちな粗も、5年程度住んでた人間に見つけられるものは数点しかなかった。

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2013年07月17日

Posted by ブクログ

京都を一巡りする市バス206番の東廻りの路線に沿った京都案内。京都生まれの哲学者による案内なので当たり前の京都案内になる訳がなく、普通の神社仏閣名所古跡はパスする非常に個性的で、ユニークな京都案内かつ都市論になっている。「あっち」の世界に通じている孔が京都にはいっぱいあるなどの話も楽しいが、ところどころで顔を出す著者の幼少時の思い出などの自伝的な部分が面白い。

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2013年05月19日

Posted by ブクログ

鈴木理策のモノクロ写真がよい。京都の人が大阪のことは良きライバルで時に理解者と思い、兵庫は友だちで東京は反面教師のように思っているのがわかるなか、奈良のことは根っから軽んじているのが文章の端々から窺えるので笑ってしまう。あと意図的に視点を限定しているのだろうけど、本書は「男の都市論」に留まっているとも思う。

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2022年11月07日

Posted by ブクログ

京都に生まれ京大で哲学を学んだ著者が親しんだ京都の日常について語ったエッセイです。京都駅から東山を北上する206系統の市バスのコースに沿って案内しています。

京都の街と人について温かいまなざしが注がれています。本書を京都案内として京都の街を歩いてみる、というのは少し難しいように思いますが、観光客としての視点から、あるいは学生の視点からかいま見た京都とは違う、京都という濃密な空間の雰囲気を、ほんのすこし味わうことができたような気になりました。

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2018年03月25日

Posted by ブクログ

京都に住んで6年、あと2ヶ月弱で離れる。やはり京都は自分の地元だとは思えず、わからないことが多い。この本を読めば、それも当然かなと思う。

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2016年02月08日

Posted by ブクログ

私にとっては京都は“ハレ”の場所だけど、この本に描かれているのは旅行では知りえない京都の裏側。あこがれの芸能人の暴露本みたいに読みました。でも、素を知ってますます好きになっちゃった。ここまで奥深い土地って京都しか思い当たりません。いつか住んでみたい、との思いを強くしました。

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2014年08月08日

Posted by ブクログ

京都らしさ、とは何か。
「◯◯のある街」などとひと言で言い表せないところだろう。

『都市としての襞やチャネルが多く、奥行きと重層性をもっていて、どこからめくっても都市としてのそれなりの顔が見えてくる。そのことで京都は、都市としての圧倒的な存在感をもってきた…』

「隙間」や表のきわで別の世界へとつづく「孔」がそこかしこにあり、聖と俗が隣り合わせる街。きわものを受け入れる街。

『必死で勉強して、きつい恋愛して、はんなりと遊んで、ときおり「まんまちゃんあん」。人生行路みたい』

世界への口がぽっかりと空いている、そこにたまらない魅力があるのかも知れない。

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2014年03月20日

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