鷲田清一のレビュー一覧

  • 老いの空白

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    私は若くて、周りからは「成長」の話をよくされます。
    でも、「成長」より「成熟」のほうはどうなのか、最近は気になっています。
    この本は「老い」についての本だけど、「老い」を分解していった先にあるいろんな要素、「できなくなる」「疲れる」とか「成熟」とか、人間として私も感じたことはある。
    できるつもりの自分との乖離とかいつも感じていてそれで疲れてる。
    「老い」を介護とか延命とかの高齢化社会の「問題」に限定して捉えず、人間的な生活のひとつの側面として扱っている本です。

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    2023年03月09日
  • じぶん・この不思議な存在

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    1996年に発行されたこの本は、発行以来、版を重ねています。そして、大学入試問題にも何度も繰り返し出題されています。受験勉強に即効性のある読書(という表現そのものがそもそも矛盾していると思いますが)を求める人は、すぐにでも読むべき一冊です。著者の鷲田清一は、大阪大学総長も務めた哲学者。現在も多くの著作を発表しています。

    「私とは誰だろう」―― このような問いを耳にすると、哲学好きでもない限り、そんな考えても仕方がないことをよく考えるな、といった反応をする人が多い気がします。しかし、そういう人も、人生のさまざまな局面で、じぶんとは何かをじぶんに問うています。恋愛で、進学で、就職で、そして家族の

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    2022年10月06日
  • じぶん・この不思議な存在

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    ゛自他は相互補完的である゛

    相互補完的とはお互いに足りないところや弱いところを補って、助け合うこと。
    つまり、自己と他者は切り取っても切り離せぬ関係であると。その存在が持つ意味とは。
    色々と考えさせられた。

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    2022年09月21日
  • てつがくを着て、まちを歩こう ――ファッション考現学

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    わー!おもしろかった!
    モード(ファッション)論ですが、身体についてもかなり触れているので身体論としても興味深いです。
    私は大学の身体論をほとんど理解できなかった人間だけど、この本だとおもしろい視点がどんどん入ってきたので、理解が深められた気がする。

    そしてことば使いがとてもきれいで、読んでいて気持ちがいい。漢字とひらがなのバランスがすごく好きな感じだった。

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    2022年08月20日
  • つかふ ~使用論ノート~

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    つかふことは、わたしとモノとの間の相互変容(相互浸透、相互侵蝕)の関係性が生まれることである。生活におけるさまざまの「つかふ」状況について、よくよく観察してみようと思った。

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    2022年07月26日
  • 都市と野生の思考(インターナショナル新書)

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    f.2025/7/13 (2025-041)
    f.2017/10/16
    p.2017/8/10

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    2025年08月12日
  • 京都の平熱 哲学者の都市案内

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    はあ、鷲田さんの京都愛がじんわり伝わってきて心がぽかぽかする。特に市バス206番で一周というのがまた良い。なぜならそれは、ガイドブックに乗るような「定番の京都」とは違うので。京都に根を置いている者だからこそ見つけられる、「あっち」の世界への孔。これは単なる京都案内でも紀行本でもなく、京都という都市の見えない側面への誘いとなる本だ。

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    2022年04月17日
  • 〈ひと〉の現象学

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    日本の哲学者の権威ということで手に取ってみた。これがなかなか深い!読んでいて頭の中を駆け巡る自分の思考と対峙する時間は、とても意義深い。哲学書を読み味わう時間は、とても「ならでは感」を味わえる。
    顔は一瞬しか存在しないという言葉が一番印象的だ。

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    2022年04月09日
  • だんまり、つぶやき、語らい じぶんをひらくことば

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    コロナ禍の中、高校で行われた講演録。
    わかりやすい言葉で、「ことば」について語られている。

    鷲田氏は「ことば」は面倒くさいものだと言う。
    自分について語りたい時、過剰になってしまったり、過小になってしまったりしてちぐはぐになってしまう。
    でも、ことばがあるからこそ、ちぐはぐであやふやな自分の感情を表現することもできる。ことばに救われることもある。

    タイトルにもあるように、「だんまり、つぶやき、語らい」の順でことばについての話が展開する。
    だんまりの例では、今の世の中で政治家の話やSNS上でのことばを取り上げて、今、足りないのは「話し合い」ではなく「黙り合い」だと述べる。
    つぶやきでは、断片

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    2022年02月28日
  • じぶん・この不思議な存在

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    >なにをもって「自分」と言えるのか?
    身体、能力、行動、いずれも自分を定義するには不十分。本書での思考プロセスを経るとデカルトの我思う故に我ありもちょっと納得。じぶんとは何なのか?今生きているという実感をもっとも瑞々しく得られる生き方をしていくべき?自分を意味づけるために失っているものはないか?

    >「われわれにとって不可能でないものを不可能たらしめるのは習慣である」
    水を飲むし、唾液も飲み込むけど、水と唾液をコップで混ぜて飲むことはしないよね、という例が私達の当たり前に疑問を呈してくる。ここで言う不可能はCanの否定ではなく、Willの否定ー意志を持たない、という意味だと思う。できない理由は

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    2022年02月05日
  • 「聴く」ことの力

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    他者の他者として初めて自覚させられる「自分」。〈聴く〉ことがそのまま哲学の実践である。考えさせられる論述が続く。メルロ=ポンティ、レヴィナス、フランクルの言葉がつながり、示唆的である。

    ・反方法。エッセイ。
    ・客は今の時代、侵入になってしまう。家父長制の時代はそうではなかった。
    ・苦しみに苦しむ自分。苦しみに目を背けることはできても、苦しみであることは認識せざるをえない人間という存在の不思議。
    ・存在の世話
    ・「どっちつかず」と仲介性

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    2022年01月17日
  • ポストコロナ期を生きるきみたちへ

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     内田樹さんんが呼びかけて「中高生向き」に書いてもらった,オムニバス本。わたしが知っていた人は6~7人だが,それぞれの呼びかけが面白かった。
     本書のメッセージは,30代~70代の年代別に分かれていて,70代なんて,中高生が大人になった頃はほとんど現役ではないわけで,だからこそ,なにを呼びかけているのかが,気になる。
     新型コロナによって暴き出された現代社会の矛盾は,コロナ禍が過ぎ去ったとしても,なんらかの修正を迫られるはずだ。会社に行かなくても仕事ができる…と分かったからには,満員電車に乗って会社へ行くこと自体が,すでに「必要なこと」ではなくなってしまった。密を避けることは,過疎地域では当た

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    2022年01月10日
  • 転換期を生きるきみたちへ

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    数年前に1度読んだが、内容を忘れてしまったので再読。
    様々な立場の方々が、先の見えない転換期にあたり、中高生に向けて「根元的に物事を考える」ために書かれた本。

    刺さるメッセージはたくさんあったが、特に刺さったのは「13歳のハードワーク」だった。
    たしかに「夢=職業」にしてる人が圧倒的だなー、と思った。

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    2021年12月11日
  • 岐路の前にいる君たちに ~鷲田清一 式辞集~

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     終始一貫して、競争社会を生き残れだとか勝ち上がれといったことは言わず「賢い市民」になること、ただ絶対的な自分の価値に目を向けるよう主張されているように感じました。このあたりはSDGsの理念、誰ひとり置き去りにしないというのと通ずるところがあるように思います。
    「複眼をもつ」ことで教養が身につき、「ディスオリエンテーション(方向を見失うこと、自分の位置がわからないこと、そして居場所がないということ)」は自分のいままでの生き方を根本から変えるチャンスになる。困ったら、教えてもらう、手伝ってもらうということが、何の遠慮もなくあたりまえのようにできる空気は、わたしたちの社会にもっとも必要なものでもあ

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    2021年12月08日
  • 濃霧の中の方向感覚

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    グローバル化に伴う均質化やイノベーションの加速の中で感じる違和感について、鷲田清一の滔々とした語りをまとめた本。1年半ほど塩漬けにしていたけど、今になって一気に読めた。
    思索集なので特定のテーマについて語られる訳ではない。
    しかしその語りの根底には「共通の対価を稼ぎ、対価を持ってサービスを買う」ことに慣れたため自らの「いのちの世話」が出来なくなった現代人への不安と、「難民化」を想起させその脆弱性を浮き彫りにした東日本大震災の経験がある。
    各々が当たり前のように肩代わりをしあい互いの「いのちの世話」を成立させていたコミュニティが機能を停止し個人の「自立」が進んだ現代では、ヒト同士の対話、摩擦の

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    2021年11月26日
  • だんまり、つぶやき、語らい じぶんをひらくことば

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    深い問題意識を前提にしながら、語られる言葉は極めて平易。言葉のこわさ、貴重さ、その間での自己のあり方を、丁寧に語りかける。
    高校生達と一緒に講演を受けた気分で、自分の言葉との向き合い方を振り返ってみたところである。

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    2021年11月21日
  • 濃霧の中の方向感覚

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    哲学者 鷲田清一先生がせんだいメディアテークの館長として体験した東日本大震災がもたらした変化、京都芸大の理事としての学生たちとの触れ合いから紐解く芸術とは。私たちの社会に蠢く哲学について書かれています。「濃霧の中の方向感」、まさに。

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    2021年08月08日
  • メルロ=ポンティ 可逆性

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    前期〜後期までメルロ=ポンティ思想を網羅的に解説している。
    ソシュール言語学が分かっていないと読みづらいかもしれないが、前期〜中期思想に関しては非常にわかりやすくまとまっている気がする。
    後期の〈肉〉の思想は難解で、一読しても理解できなかった。
    前期中期後期という区分けの中で、さらに重要なキーワードについて個別に論じられているので、難解ではあれど論旨は追いやすい。

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    2021年06月16日
  • 〈ひと〉の現象学

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    やっと読み終わった!!!!めちゃくちゃ付箋貼りながら読んでた

    >一つのまなざしで見つめられると、それに従うか拒絶するかの二者択一しかなくなる。オール・オア・ナッシングの対応しかできなくなる。

    エスキモーの赤ん坊はめったに泣かない
    >肌の接触から子供の要求を察知し、先回りしてすべての欲求をみたしてやるのである。
    >赤ちゃんは、この極楽のような羊水と、お母さんの子宮の壁にとてもべったりになります。その居心地のよい母胎の液体からいよいよ産み出されると、体温よりずっと低い温度の気体に包まれます。そうなると、赤ちゃんは皮膚感覚が刺激され、敏感になっていきます。ここから、赤ちゃんの子

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    2021年12月01日
  • ポストコロナ期を生きるきみたちへ

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    高校3年生の私でも分かりやすい文章が多かった。新型コロナによって振り回される私たちの未来を前向きに考えていこうと思った。まずは正しい知識を得ること。そしてタテ、ヨコ、算数(本書より)の多角的視点から問題をみつめる。これから大学に進学する上で役立ちそうな知恵を得ることができた。

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    2021年02月19日