鷲田清一のレビュー一覧

  • じぶん・この不思議な存在
    >なにをもって「自分」と言えるのか?
    身体、能力、行動、いずれも自分を定義するには不十分。本書での思考プロセスを経るとデカルトの我思う故に我ありもちょっと納得。じぶんとは何なのか?今生きているという実感をもっとも瑞々しく得られる生き方をしていくべき?自分を意味づけるために失っているものはないか?

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  • 「聴く」ことの力
    他者の他者として初めて自覚させられる「自分」。〈聴く〉ことがそのまま哲学の実践である。考えさせられる論述が続く。メルロ=ポンティ、レヴィナス、フランクルの言葉がつながり、示唆的である。

    ・反方法。エッセイ。
    ・客は今の時代、侵入になってしまう。家父長制の時代はそうではなかった。
    ・苦しみに苦しむ自...続きを読む
  • ポストコロナ期を生きるきみたちへ
     内田樹さんんが呼びかけて「中高生向き」に書いてもらった,オムニバス本。わたしが知っていた人は6~7人だが,それぞれの呼びかけが面白かった。
     本書のメッセージは,30代~70代の年代別に分かれていて,70代なんて,中高生が大人になった頃はほとんど現役ではないわけで,だからこそ,なにを呼びかけている...続きを読む
  • 転換期を生きるきみたちへ
    数年前に1度読んだが、内容を忘れてしまったので再読。
    様々な立場の方々が、先の見えない転換期にあたり、中高生に向けて「根元的に物事を考える」ために書かれた本。

    刺さるメッセージはたくさんあったが、特に刺さったのは「13歳のハードワーク」だった。
    たしかに「夢=職業」にしてる人が圧倒的だなー、と思っ...続きを読む
  • 岐路の前にいる君たちに ~鷲田清一 式辞集~
     終始一貫して、競争社会を生き残れだとか勝ち上がれといったことは言わず「賢い市民」になること、ただ絶対的な自分の価値に目を向けるよう主張されているように感じました。このあたりはSDGsの理念、誰ひとり置き去りにしないというのと通ずるところがあるように思います。
    「複眼をもつ」ことで教養が身につき、「...続きを読む
  • 濃霧の中の方向感覚
    グローバル化に伴う均質化やイノベーションの加速の中で感じる違和感について、鷲田清一の滔々とした語りをまとめた本。1年半ほど塩漬けにしていたけど、今になって一気に読めた。
    思索集なので特定のテーマについて語られる訳ではない。
    しかしその語りの根底には「共通の対価を稼ぎ、対価を持ってサービスを買う」こ...続きを読む
  • だんまり、つぶやき、語らい じぶんをひらくことば
    深い問題意識を前提にしながら、語られる言葉は極めて平易。言葉のこわさ、貴重さ、その間での自己のあり方を、丁寧に語りかける。
    高校生達と一緒に講演を受けた気分で、自分の言葉との向き合い方を振り返ってみたところである。
  • 濃霧の中の方向感覚
    哲学者 鷲田清一先生がせんだいメディアテークの館長として体験した東日本大震災がもたらした変化、京都芸大の理事としての学生たちとの触れ合いから紐解く芸術とは。私たちの社会に蠢く哲学について書かれています。「濃霧の中の方向感」、まさに。
  • メルロ=ポンティ 可逆性
    前期〜後期までメルロ=ポンティ思想を網羅的に解説している。
    ソシュール言語学が分かっていないと読みづらいかもしれないが、前期〜中期思想に関しては非常にわかりやすくまとまっている気がする。
    後期の〈肉〉の思想は難解で、一読しても理解できなかった。
    前期中期後期という区分けの中で、さらに重要なキーワード...続きを読む
  • 〈ひと〉の現象学
    やっと読み終わった!!!!めちゃくちゃ付箋貼りながら読んでた

    >一つのまなざしで見つめられると、それに従うか拒絶するかの二者択一しかなくなる。オール・オア・ナッシングの対応しかできなくなる。

    エスキモーの赤ん坊はめったに泣かない
    >肌の接触から子供の要求を察知し、先回りしてすべての欲求をみたして...続きを読む
  • ポストコロナ期を生きるきみたちへ
    高校3年生の私でも分かりやすい文章が多かった。新型コロナによって振り回される私たちの未来を前向きに考えていこうと思った。まずは正しい知識を得ること。そしてタテ、ヨコ、算数(本書より)の多角的視点から問題をみつめる。これから大学に進学する上で役立ちそうな知恵を得ることができた。
  • メルロ=ポンティ 可逆性
    前提知識が多分に必要で難しいです。ただメルロ=ポンティの思想に対して網羅性があり、熟知した解説が覗けましたし、面白いとも思いました。
    近代から勉強し直してまた読み返しますが、その期待値と自分に対する可能値として星5です。
  • 哲学の使い方
    哲学は何か深遠な問題と出会った時に頼りたくなるような、そんな学問だと思っていた。今日まで書かれてきた夥しい哲学書を繙けばそこに正しい答えが書かれているような気がする。しかしそれは否だ。問題解決の手がかりがあるだけだ。哲学するとは部屋に閉じこもって膨大な文献を読み、書かれた言葉を精査し研究するだけにあ...続きを読む
  • ポストコロナ期を生きるきみたちへ
    色んな立場における識者の手による、今の時代ならではのアンソロジー。内田樹編ってところで、それなりのバイアスがかかっていることは間違いないけど、氏の慧眼に心酔している身としては、その選択には疑念の余地なし。通読した後も、その気持ちに変わりはなかった。いくら博覧強記でも、単著では、その言論にそれなりの限...続きを読む
  • 〈弱さ〉のちから ホスピタブルな光景
    講談社学術文庫で、
    鷲田清一氏の著作で、
    タイトルが『〈弱さ〉のちから ホスピタブルな光景』。
    お硬い本を予想して買ったんですが(もちろんどんなにかたいテーマでも優しく語ってくださるのが鷲田清一氏の本なのですが)、あにはからんや、鷲田氏が性感マッサージ嬢やゲイバーのマスターや生け花作家など一癖も二癖...続きを読む
  • わかりやすいはわかりにくい? ――臨床哲学講座
    自分がうだうだ悩んでることに対して先人たちはもうずっと前から深く考え続けていてその軌跡を遺してくれてたんだなあ
    鷲田清一さんの本、他も必ず読んでみよう

    意識はしばしば感覚のひだのなかに身を潜めている。重ねられた唇と唇のあいだ、閉じられた瞼、収縮した括約筋、拳をにぎりしめたときの手、押しつけ合った指...続きを読む
  • 二枚腰のすすめ――鷲田清一の人生案内
    鷲田先生の人生相談という内容。
    ちょっと軽い感じの話かなと思ってよみましたが。
    自分自身の状況が、現在岐路にあるということも
    あるのかもしれませんが。
    ほとんどの内容が心に響き、背中を押してくれる
    内容でした。
    自分にとっては、いろいろ珠玉の言葉や、お話し。さらに
    大切にしておきたい言葉や内容を読ま...続きを読む
  • じぶん・この不思議な存在
    むちゃくちゃ面白かった。でも難しいテーマだから半分くらいは消化できてなくて、もう一度読んで、自分の中に落とし込んでいきたい。
    いまのこのコロナの状況だったり、SNSの誹謗中傷の件だったりに通じる内容だと思った。1人では生きていけない、という考えに懐疑的だったけれど、初めて少し納得できたかもしれない。
  • わかりやすいはわかりにくい? ――臨床哲学講座
    タイトルに惹かれて読みました。先に読んだ同著者の「〈ひと〉の現象学」とほぼ内容が被っていましたが、解りやさすさ(ライトな切り口)はこちらの方。「生きてゆくうえでほんとうに大事なことには、たいてい答えがない」として、それを問うこと自体に意味があると言う。解らないことに出会った時、それを安易な、解りやす...続きを読む
  • 濃霧の中の方向感覚
    対話をするために必要なのは、伝える能力ではなく、価値観を摺り合わせていく能力だという言葉に納得した。正確に伝える技術ばかり意識していた自分にとって、自分の対話の仕方を見直そうと思った。折に触れてぱらぱらと読み返したくなる本だった。