【感想・ネタバレ】岐路の前にいる君たちに ~鷲田清一 式辞集~のレビュー

あらすじ

未来はけっして明るくない。そんな気分が充満するなかで、
どうかこのことだけは心に留めておいてほしいという願いを込めています。
――あとがきより

哲学者・鷲田清一が、大阪大学、京都市立芸術大学の入学・卒業式で、
新しい世界に旅立つ若者へ贈った、8年分の人生哲学。

東日本大震災の2週間後、戸惑いのなかで話されたリーダーシップ論
「… 請われれば一差し舞える人物になれ … 」も収録。

不安と希望が入り混じった若い人へ向けたメッセージはそのまま、
私たち現代人が直面する仕事や人生の悩みに寄り添い、背中を押してくれます。

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Posted by ブクログ

鷲田清一氏がこれから社会に旅立っていく若者へ贈った言葉と(卒業式式辞)、そしてこれから大学で学びを始める若者へ贈った言葉(入学式式辞)が集められた本だから、当然、そこには鷲田氏が「生きていく上で重要だ」と考えていることが表明されている。臨床哲学を提唱されてきた氏の言葉だから、それはそのまま「生きるヒント」でもある。
多くの人に読んでもらいたい言葉たちでした。

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2024年03月13日

Posted by ブクログ

 終始一貫して、競争社会を生き残れだとか勝ち上がれといったことは言わず「賢い市民」になること、ただ絶対的な自分の価値に目を向けるよう主張されているように感じました。このあたりはSDGsの理念、誰ひとり置き去りにしないというのと通ずるところがあるように思います。
「複眼をもつ」ことで教養が身につき、「ディスオリエンテーション(方向を見失うこと、自分の位置がわからないこと、そして居場所がないということ)」は自分のいままでの生き方を根本から変えるチャンスになる。困ったら、教えてもらう、手伝ってもらうということが、何の遠慮もなくあたりまえのようにできる空気は、わたしたちの社会にもっとも必要なものでもある。といった言葉には、社会人になってから相応の地位にいる方から聞くと勇気づけられるものがありました。ここ数年話題になっている心理的安全性につながっているのも印象的でした。
 工学分野では大学の研究成果が世に出るまで十年くらいかかると言われますが、人文系の学問も似たようなところがあるんだなと思いました。全体を通して、校長先生の話は退屈だという先入観を覆されました。

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2021年12月08日

Posted by ブクログ

朝日新聞の「折々のことば」で響く言葉を書かれている鷲田清一さんが阪大、京都市立芸術大学の総長、理事長をされていた時の式辞をまとめた本。想像力の重要性、ものの見方、問い方、考え方を広げるための一般教養の重要性を説いている。

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2023年10月18日

Posted by ブクログ

"芸術は何か人びとの鑑賞にたえる美しいものを創り上げる活動というより、日々の暮らしの根底にあるべき一つの〈態度〉のようなものかもしれません。死者をどう弔うのかという態度。他者の悲しみにどう寄り添うのかという態度。人びととどう助けあうのかという態度。政治的なものにどう参加するのか、さらには自分自身とどう向き合うのか、生き物としての、あるいは身体としての自分の存在にどうかかわるかについての態度、それらを貫く一つの確かな〈態度〉として芸術はあるのです。"(p.65)


"わかっていることよりもわかっていないことをきちんと知ること、わからないけれどこれは大事ということを知ることが重要なのです。そしてそのうえで、わからないものにわからないまま的確に対応する術を磨いてゆかなければなりません。"(p.117)

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2020年08月27日

Posted by ブクログ

興味深く読みました。

誰にも見えているはずなのに、誰も見ていない領域である、「隙間」を大切にすること。
「価値の遠近法」、なくてはならないもの、見失ってはならないもの、なくていいもの、あってはならないことを見極める力を持つこと。
消えそうな声を聴く耳を持つこと。
他者を他者の方から理解しようとすること。
わからないことに、わからないままきちんと出会うこと。

式辞のときにこの言葉と出会えた学生さんたちのことを、こころの底から羨ましく思いました。
卒業式、入学式シーズンに読めてよかったです。

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2020年03月17日

Posted by ブクログ

日々の仕事やプライベートで忙しくなって、学びにゆとりを持てなくなった時は鷲田さんの本に立ち返る。やっぱりハッとした。教養の大切さ。分かりにくいものから逃げない、分かりにくいものは分かりにくいまま理解する姿勢、また複眼の姿勢を大事にして、答えを急がないこと。

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2021年03月21日

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