原田マハのレビュー一覧
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ネタバレ日本が舞台の美術をめぐる原田マハ作品。
忖度抜きの評価を下すなら期待は超えてこなかった。東京に根を張ってきた菜穂が大震災による原発問題を機に京都に居候することから始まる展開。
京都特有の縁故を重んじ、独特の街並みや文化、価値観に対して夫である一輝と菜穂の感じ方に徐々にギャップが生まれる構図。
小さな問題がいくつか起こり、最終的に大きな問題に直面するというストーリーは小説としては王道の展開なのだが、睡蓮売却とか倒産の危機がご都合主義のパンチ力が個人的に弱く感じてしまった。
あと、京都を意識したであろう落ち着きのある文体が逆にあまり盛り上がれなかった。 -
Posted by ブクログ
ゴッホとゴーギャンを研究している高遠冴という三十代女性が主人公。冴はアート好きの母を持ち、日本の一般的な家庭で育つ。自信もアートに関心を寄せ、フランスへ留学・就職する。就職先はオークションを運営して7年?になる新しい会社であり、オークショナーとして働いている。冴の友人莉子は冴とは対照的にフランス人ハーフで父親の仕事で3か国に渡って生活しており、両親共に美術関係の職についているエリートである。
冴の研究対象であるゴッホとゴーギャン、ゴッホは絵に対して情熱が強く、生真面目で精神的に病むこともあった。若い頃は画商で働いていたが解雇されている。画家となってからも自分なりの新しい画法を探求しながらも -
Posted by ブクログ
ネタバレモネ展に行くので読んだ。マティスの召使・マリア視点の話である『うつくしい墓』、ドガの友人であり女性画家メアリー・カサット視点の話である『エトワール』、セザンヌなどを支えたタンギー爺さんと言われた画材屋の娘視点の話である『タンギー爺さん』、モネの義理の娘・ブランシュ視点の話である『ジヴェルニーの食卓』の4作を収録。
以前、『たゆたえども沈まず』を読んだときは思わなかったんだけど、原田マハの創作ってどこまで許されるんだろうってこれを読んで思ってしまった。どこまでが史実に忠実で、どこからがフィクションなのかがわからなくなる。全てフィクションだと思って楽しむのが一番いいんだろうけど。いいのかなあと思う