原田マハのレビュー一覧
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原田マハは心温まる作品が多いイメージであったが、この短編集はどれもアートの世界を暗く描いたような話であった。
どの話も暗い作風と共に官能的な表現も多く、原田マハの新たな1面を垣間見えることができた。
装丁の影響もあり、普段は華やかに見える作品もなんだか暗く見えてきた。
"深海魚"はアート要素はなかったがどんでん返しがあったため楽しめた。
"楽園の欠片"は美しい男から離れられなくなってしまった女性を描いていた。2人の関係を楽園と結びつけていた解説も見事だった。
"指"は教授が助手と不倫する物語。行為中の指と仏像の指というのが斬新であった。最後の青年が現れるシーンは主人公の妄想であると思うがふわっと現実感の無くなるシーンで個人的には好きであった。
"キアーラ"では地震で崩壊した"聖フランチェスコの生涯"の修復に携わる主人公を描いた話。修復不可と思われた壁画のピースが嵌る場所を次々と言い当てる謎の少女。数年越しに少女に会うことになった亜希は衝撃の運命を辿ることとなる。
聖フランチェスコの生涯にまつわる表現がどれも壮大さを感じさせるもので実際に見てみたくなった。
"オフィーリア"では溺れ死ぬ直前の一瞬を描かれた絵の中の女性視点で物語が進む。画家や大殿の胸糞な様子があっただけにオフィーリアや画家の娘はより一層美しく感じた。
"向日葵奇譚"ではゴッホが主人公となる作品を書いた作家塚本視点でゴッホを演じる俳優山埜が描かれる。役を演じ切るためにはどんな手段も選ばないと言われる山埜が何かをするという所までは読めたが、まさか絵の中の人物となって塚本の部屋に現れるとは思ってもみなかった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ短編集。この感じのジャンルをノワールというのか。世にも奇妙な物語みたいなささやかな非現実性がクセになる感じ。
女性目線の官能表現が多くてちょっと冷笑しちゃう。中年女性がハイスペイタリア人に恋すな、求められるな。AVか。
「深海魚」描写がエロい。最後はちょいスカッと。
「楽園の破片」激イタ。見てられん。
「指」これもイタいけどカメラの青年は実在したのかそれとも、、みたいな終わりは良かった。
「キアーラ」この中では一番好き。因果応報というか罪に対して罰が返ってくるというか。意識がブツっと切れるようなラストが迫真。
「オフィーリア」絵に描かれることの永遠性を感じる。写真の発達していない時代の人がモデルになりたがる理由なのかもと想像させられる。
「向日葵奇譚」山埜がどんなヤバいことするのかと期待しただけに消化不良。 -
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短編集。
『フェルメールとの約束』は、展示会のチケットもない状態でアムステルダムまで赴く主人公の話。最初、筆者のエッセイなのかと勘違いした。チケットを譲ってくれたコンシェルジェの女性が素敵だった。彼女は何かを諦めたのだろうか。でも、芸術への情熱は忘れていないんだろうな。きっと同じ情熱を持つ主人公に心を動かされたんだろう。
『ユーレイカ』は、憧れの人の「憧れの人」を紹介されるというシチュエーションが好きだ。当然、憧れの人の「憧れの人」なんて素敵な人に違いないと思うが、現れたのは飾り気のない女性だった。そういう人を憧れと言える人に私もなりたい。 -
Posted by ブクログ
原田マハさんは2000年の6ヶ月間、森美術館の設立準備室から、MoMA(ニューヨーク近代美術館)へ実務的な研修と人事交流と云う目的で派遣されていた。
その時に体験した事柄から生まれたのだろうか、5話の短編を収めた『 モダン 』を手に取った。
物語は当然フィクションだろうが、とてもリアル感溢れた短編集だった。
MoMAと言えば世界の現代美術を収集した美術館との評価がある。
特に1950年代からの作品の充実度は、現代アート群を収集している他の美術館を圧倒している内容を誇っている。
この一冊では1934年に開催されたレディー・メイドの「Machine Art(機械美術)」展、そしてアクション・ペインティングを生み出した1人のジャクソン・ポロックが取り上げられていて、これら現代アート群の収集・企画展開催により、近代美術の聖地はフランスのパリからアメリカのニューヨークへと変わったと言われた。
タブロー自体が主役になるのではなく、MoMAに従事しているスタッフ及びキュレーターたちの人間関係が綴られている。
原田さんはMoMAに派遣され、作品と接することは勿論のこと、美術館のスタッフとして企画展を開催するノウハウ、マネージメントなどを習得されたようだ。
主人公は各物語で変わるのだが、日系の杏子をはじめ、館内の警備員として働くスコットの話などが特に印象深かった。
ニューヨークの11.3の悲しい出来事、東北大震災3.11が絡んだ福島の美術館の物語なども心に響く物語だった。