あらすじ
生前一枚しか絵が売れず、三七歳で自殺したフィンセント・ファン・ゴッホ。彼は本当に狂気の人だったのか? その死の真相は? アート小説の第一人者である著者が世界的謎を追う。フランス各地に残されたゴッホのあしあとを辿り、努力家でインテリ、日本に憧れ続けた「人間・ゴッホ」の魅力を再発見。旅のお供にも最適な名解説。
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Posted by ブクログ
ゴッホは狂ってなんかない。みんな自分や誰かのために苦しみすぎてそういう決断をしてしまう。
ようやく絵だけじゃなくて人も知ることができました。ありがとう原田さん。
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マハさんの推測通り、私もゴッホに「狂人」という印象を持った一人だった。
たゆたえども沈まずを先に読んでいたが、本著でマハさんが込めた想いなどを知れてよかった。
そして、マハさんの願い通りゴッホに対する印象や思いが変わり、読んでいる間も、読みながらゴッホ作品をスマホで見ている間も、ずっと涙が止まらなかった。
私は日本人として日本を誇りに思っているが、とは言え日本を美化しすぎることが苦手なので、ゴッホが日本に憧れていたを強調するのはいかがなことかと思っていた(研究されていてそれが本当だったとしても)。
だから、第四章の「小説に込めたもう一つのメッセージ」を読んでマハさんのことがもっと好きになった。
「あなたは私を好きだと言ってくれた。もちろん私を描いてくれて構わない。けれども本当にあなたが好きなのは、私ではなくて、パリなのではないですか?」
Posted by ブクログ
あまりボリュームの多くない、どちらかと言うとすぐに読み終われる分量でした。
しがし、心にしとしとと降り積もるような、著者の言葉に感動します。
狂人ではない。と繰り返し書かれています。手紙からは高い知性が感じられるとのこと。
なるほど。
でも、孤独を抱えての創作活動は私の想像を遥かに超えて大変だったろう。そう思うと、やはりやり切れない思い。
感動と寂しさ。それが感想。
Posted by ブクログ
1時間ほどで読み終えました。
なるほどこれは、旅のお供にしたい1冊だ。
「常設展示室」「楽園のカンヴァス」「ジヴェルニーの食卓」を読んでからパリに行き、モンマルトルのゴッホとテオの家を訪れ、「たゆたえども沈まず」を読んでからゴッホ展に行き、そしてようやくこの本を読んだ。
まーたパリに行きたくなってしまった。常に行きたいけれど、今とても行きたい。戻りたい。恋しい。
「たゆたえ〜」を読んだ時に、マハさんは余程ゴッホのことが大好きで堪らなくて、だから書けた物語だと感じたが勘違いもいい所だった。
林忠正が入口で、ゴッホが出口の物語。
それでもマハさんは、恐れを抱きつつもゴッホの研究を続けて、本当に深く理解をするに至ったことがよく分かった。
マハさんの紡ぐ言葉の美しさ、柔らかさを真っ直ぐに感じられる本としても本当に良い読書体験を授かった。
来月にはニューヨークに行く。「星月夜」にも会いに行くつもり。
その前に読めて本当に良かった。
それからやっぱり、あんなに熱くて濃厚に流れていくような物語を、連載という形で描けるマハさんの情熱と才能は物凄いです。芸術家とは何たるかを、マハさん自身が体現しているように、私には思える。
Posted by ブクログ
ゴッホを深く知れる本。
日本がゴッホに与えた影響、ゴッホが日本に与えた影響、日本とゴッホの繋がりが嬉しくなる。
記されているゴッホを巡る旅に出たい!ゴッホを、そしてアートをもっと知りたい!と思える作品。
Posted by ブクログ
ゴッホがますます好きになる本!
そして弟テオ一家も好きになる本!
さらにゴッホを見つけた林忠正と、ゴッホに丁寧に向き合った作者・原田マハさんに感謝してしまう本!!!
Posted by ブクログ
フランス旅行の予習として読んだけど、先に「たゆたえども沈まず」を読めばよかった。
原田マハさんはゴッホについてめちゃくちゃ調べていて、「ゴッホのあしあと」というタイトル通り、ゴッホのいた街を辿っていて、ものすごくゴッホを理解しているし、ゴッホ愛を感じた。
不勉強者なので、欧州でジャポニズムと呼ばれ日本文化が流行していたことを、先日「物語パリの歴史」を読んで、初めて想像がつくくらい理解した。雨を線でかく描写など、日本美術はかなり西洋の方々にとって斬新だったんだよ〜といった話を高校時代の歴史の授業で習ったことはぼんやり覚えていたけれど、やはり自分から積極的に学ぶと解像度が違う。
しかし、欧州の画家が浮世絵を模写していたなんて。
しかもゴッホが模写していたってなんだかめちゃくちゃ嬉しいな〜。
原田マハさんはゴッホが生涯日本に憧れ続けていたという仮説を話していたけれど、本当にそうだったとしたらさらに嬉しい。
ゴッホはパリにも焦がれていたとも書かれていて、パリを、誰もを受け入れてくれるような、一方で誰も受け入れない街のように表現していたけど、なんだか現代の東京に通じるものを感じた。
大きな街って、そうなってしまうのかもね。
ゴッホは狂人ではないと主張していたのもとても共感したし、原田マハさんのゴッホ愛を感じる。
耳を切る話だけ一人歩きしすぎなのよね。
パリに行くからにはゴッホの見た風景や感じた空気を味わいたい。
2023年現在だとゴッホの時代と大きく変わった街になっていると思うけど、フランスは古い建物も多いと聞くし、楽しみだ。
Posted by ブクログ
マハさんの「たゆたえども沈まず」を読んだので、今まで美術史とかフランスの歴史とか(そもそも世界史はあまり知らない)分かってなかったので、これを機会に19世紀のフランスやゴッホが生きた街、また浮世絵がどんな風に世界に広まっていったのか整理したいと思い手にとった。
画家のことを語るマハさんは、憧れの人を見つめる少女のような、読んでいて、「なんて可愛らしい方なんだ!」と感じる部分があって、親しみが増した。
「たゆたえども沈まず」を書こうと思ったきっかけや、ゴッホの絵画に惹かれつつ、遠くから眺めている存在。ルソーやビカソの話はあたためてずっと構想をねって小説にしたのに、ゴッホの話は一気にまとまっていたこと。林忠正の存在を知ったことで、林さんのご親族の了解まで得て仕上げたこと。
作家さんて、ずっと家で籠って資料だけ読んでるのではなくて、マハさんがゴッホのあとを追いかけて、ここだ! ここかも!と考えながら描いていった様がリアリティーを生んでるんだなと思った。ちなみに、マハさんはとにかく動く!すごい行動力がある方である。
連載小説を書いてるときって、先の先まで検討がついたうえで書く場合もあるんだろうけど、「たゆたえども沈まず」は、手探りというか、まさか最後のあのシーンとか、たまたま途中で浮かんだ!とか聞くと、そういうことが同時進行でやってのけてしまう得るのが、やっぱり作家さんなわけでさよ。すごすぎるだろー。
ゴッホは史実ではセーヌ川を描きたいとか思ってわけではなかったようで、『星月夜』の絵がまるでセーヌ川を描いてるように見えるという、担当者さんの一言で、そういう筋書きに持っていくことにした、という話とか、見きり発車的小説なのに、すごく納得できた。事実は変わらないけど、マハさんによって幸せな真実を描くことができたなと私は思う。
といっても、本当のところゴッホが自殺したのか他殺だったのかは謎だという。
でも、「たゆたえども沈まず」では、弟テオへの思い、兄弟愛を描いているし、林忠正が日本代表としてゴッホの背中を押した人物として関わっている。
この本は「たゆたえども沈まず」の著書によるあとがき。舞台裏を描いたエッセイだ。
もう一度、「たゆたえども沈まず」を読み返したくなる。
Posted by ブクログ
日本美術に興味はあまり無かったけど、ゴッホが研究していた浮世絵をもっと知って見たいと思った。
ゴッホの出す黄色が好き。
希望を感じる。
絶望と隣り合わせだからこそ輝く希望というか。
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「たゆたえども沈まず」の取材 解説の様な本。
このページ数では 箇条書き程度?と思ったけど ゴッホの真実や謎 努力家で勉強熱心な事などしっかり伝わりました。
「たゆたえども沈まず」再読したい。
ゴッホの絵は (これを読んだ後も)もう何度も見に行ってますが 最初に見たときより どんどん惹かれています。
Posted by ブクログ
ゴッホの生涯は37年。
画家を志したのが27歳。
画家としての人生はたった10年。
ゴッホというと、「狂気と情熱」というイメージばかりがフォーカスされ、私自身もその刷り込みで、そのイメージが定着してしまっている部分があった。
でも本書を読むと、私はいかに何も知らず、一部の情報で勝手なイメージを作り込んでいたのかと思う。
画家になるまで、画廊で働いたり、牧師になったり放浪生活になったり…
パリ〜アルル〜サン=レミ−〜オーベル=シュル=アワーズ
たった4年の間に、いくつもの土地を移動し、描いてきた作品たち。
その間には孤独、寂しさ、悲しさなどたくさんの感情がゴッホにのしかかっていたのかな。
そんな兄の道を信じ、支え続けたテオの存在。
ゴッホの絵画に大きな影響を与えた日本美術・浮世絵の存在。
それを伝えた日本人、林忠正がいたということ。
浮世絵がゴッホだけでなく、19世紀の画家たちに多大なる影響を与えていたということに、日本美術の素晴らしさを感じた。
そしてマハさんのゴッホへの想いが強く伝わる内容だった。
ゴッホに寄り添い、ゴッホのことを理解しようと努め、「たゆたえども沈まず」の本の世界では、せめてゴッホやテオに寄り添う人がいたことを描こうとしたマハさん。
ゴッホへの愛を感じた。
Posted by ブクログ
やっぱり食べに行こう→ゴッホのあしあとに導かれました
本を読んで、とても感動しました
ゴッホのことなんて、今まで全然興味もなかったのに、、、
この本を先に読んでいたら、ここまで心に響かなかったかもしれないと思います
さぁ、次読む本は決まってます!
本が本を連れてきてくれます!次の本を読むのがとても楽しみです
Posted by ブクログ
ゴッホの歩みを分かりやすく解説したもの。
同著者の「たゆたえども沈まず」を読んでから読むのがおすすめ。
この2冊で、すっかりゴッホを身近に感じるようになった。ゴッホも画集が欲しい。
Posted by ブクログ
通勤時の本として、積読本の中から手に取った一冊。
薄い本なのに、中身はぎゅっと詰まってて、
全く美術に無知な私にもわかりやすく、
読後は、ゴッホを好きになっている一冊です。
ゴッホは生前、弟テオに向けて、たくさんの手紙を出していたこと。
テオは、兄ゴッホの才能を信じていたこと。
ゴッホは最初から画家を志していたわけではないこと。
苦悩し、葛藤していたこと。
浮世絵に影響を受けていたこと。
本書内では、「たゆたえども沈まず」の創作話にも触れてます。
西洋美術とか、絵画と括られると、
「ふーん、すごいなあ」ぐらいにしか思いませんでした。
だけど、一人の人間が本当に存在していて、
その人がどんな生涯を送って、
どんな気持ちでその絵を描いたのか、
絵画と向き合っていたのか、
それを知り、思うことで、絵画の見方が変わりました。
敬意を持ち、興味深くなり、受け取る感性に厚みが増す気がしました。
さらに好きになりました。
「たゆたえども沈まず」は未読でしたが、
これはすごい読書経験になるかも…予感です。
原田マハさんは本当にすごい。
絵画の世界に連れてってくれるから。
この前、ピカソの展覧会に行き、
ピカソ、クレー、マティスの絵画に会いました。
昔の私だったらたぶん行かなかったのですが。
ピカソの展示スペースはたくさん人がいて、
時代を越えて愛されているんだなあ、と。
絵画を描き上げる気持ち、信念と決意、パワー。
ありがとう、と言いたくなりました。
よし!
「たゆたえども沈まず」を読みます…!
19世紀末から20世紀初頭のフランスのクラシック音楽が好きで、ネットや図書館でこの時代の事を調べていましたが、音楽だけでなく絵画や芝居など芸術全般で、新しい”波”がうねっていたように思います。本書は、小説「たゆたえども沈まず」読了後に読み、フィクション部分と史実の差異など、改めて小説の理解が深まったと思います。
Posted by ブクログ
以前、「たゆたえども沈まず」を読んで、ゴッホのファンになりました。
実際にSOMPO美術館に見に行き、その迫力に圧倒されました。また、ゴッホが描いた作品を間近に見ることができたことに感動しました。
原田マハさんの文才によって、絵画ファンを増やしていますね。
ただ、絵画に関した詳しい訳ではないので、事実かどうかがわからなくなってしまって…
今回、この作品でゴッホの真実を少し知ることが出来て良かったです。
Posted by ブクログ
たゆたえども沈まず、リボルバーを読み終わったので一読。マハさんがどのような経緯で忠正とゴッホ兄弟が登場するたゆたえど沈まずをかいたのかを知ることができた。同時にゴッホ他殺論はないと考える彼女が、リボルバーでゴッホとゴーギャンにまつわる話を書いたのかまで考察できてよかった。 来年あたりにフランスオランダに行きたいなぁ。
(読書メーターからの転記)
Posted by ブクログ
たゆたえども沈まずの解説本。
たゆたえども沈まずが好きで、どこがフィクションなんだろう?と気になっていたので、ゴッホに関する知識や小説の独自設定、そこに込められた著者の思いなどを知れてよかった。
Posted by ブクログ
ゴッホに魅了されている人は、誰しも強烈な自分だけのゴッホ像を密かに丁寧に持っているのではないだろうか。生まれ変わったら原田マハみたいになりたいとも思う私で、彼女の本は大好きだけども、そういう訳で『たゆたえども沈まず』はどうも読む気になれない。けれど非常にもったいない、とこの本で考え直しつつあります。
Posted by ブクログ
以前読んだ. 「たゆたえども沈まず」の説明本のような感じ。今度アルル地方を旅するにあたって少し知識をと思って読んでみた。ゴッホの絵、フランスの地図と見比べながら改めてゴッホの孤独感を感じる一冊になった。
Posted by ブクログ
生前は評価されなかったゴッホ。時代が彼に追いつけなかったと言う他はないですが、そのドラマチックな人生は凄まじいものですね。
本書を読む前に「たゆたえども沈まず」を読みましたが、画家を志しての10年間がいかに濃かったかが良くわかります。
最後の死が、大変残念ですが、アートだけではなく、人生においても「たゆたえども沈まず」でいて欲しかった。
ゴッホに会いに著者のおすすめの場所を訪れたい。
Posted by ブクログ
【一言感想】
どん底にいる状況でも"揺れはしても、沈むことはせず"に最期まで自分の居場所を求め戦った画家を筆者の目線から読み解く作品
日本で知らない人はあまりいないと思われる画家の一人、"フィンセント・ファン・ゴッホ"は作品自体はよく知られているけれども、画家の人となりは自分も含めてあまり知られておらず、知っていたとしても"自分で耳を切って拳銃自殺をした狂人"程度の知識であると思う
ただ本作を拝読するに、"狂人"という言葉では説明がつかない、"感情豊かで教養が深く、自分自身の居場所を彷徨った孤独の人"という人物像が浮かんでくる気がする
ゴッホもモネと同じく日本文化でインスピレーションを刺激され日本を敬愛した人物であり、日本もゴッホの感情豊かでありながら緻密に計算された作品から刺激を受け取る相思相愛の関係性なのだと、この本を読み考える
生涯で一枚しか絵が売れず自分の居場所が得られずに彷徨いながらも、決して堕落せずに自分の中の情熱に向き合い続けた足跡を見ていく中で、読者自身との対話が出来る作品ではないかと思う
ただあくまで筆者の目線でゴッホの足跡を追った作品であり主観的な意見が多く、ゴッホ作品の解説書ではないことは注意が必要だと思われる