芥川龍之介のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
芥川って人の心情を的確に言語化するよなぁ…ほんとにすごい。
『羅生門』は高校で習った!この話はいつ読んでも好き。
特に印象深かったのは『鼻』『芋粥』『運』。どれも人間臭い話で引き込まれる。
『鼻』人に笑われるから自分の顔が気に入らなかった。そして自分の顔を普通に戻した。悪いやつは、どんなに自分が良く変化したとしても、悪く言うには変わりない。また元の顔に戻りたいと思う。悪い奴らに振り回され続けているけど、自分が満足できているならいいってことなのか…。
『運』女は幸せになりたいと神に祈った。その結果、最終的には女は幸せになれたと言える。しかし、果たしてそれは真の幸せなのか……幸せになるための過程で、幸福とは真反対と言える壮絶な苦しみを味わい、罪悪感が付き纏った状態は果たして幸福と言えるのか。盗人の嫁になり、逃げるために叔母を殺した女は人殺しという罪悪感が一生付きまとう。青侍は最後は結局幸せになっているため、神に祈ることは間違いではないというふうに言っているが、そう捉えるか、それとも人殺しという罪悪感を持たせ、幸せになるための過程が壮絶なものを授ける神に、幸福を祈るのことは間違いではないのか。
『邪宗門』
面白いところで終わった。異教徒同士のバトルだね。
『好色』
最後がかなり強烈。侍従との恋を諦めるためには侍従を嫌いになればいい。作品でもあったように、イケメンはやっぱ仕合わせじゃないな。凡人でいいのかも。
『俊寛』
芥川の『俊寛』も面白い。菊池寛ほど明るくはないけど。 -
Posted by ブクログ
〈乙女の本棚シリーズ〉
芥川龍之介+げみ
少し色褪せた黄金色というのか…表紙絵が美しい。
そして、どのページも懐かしさを感じるカラーであり、仄暗いのか明るいのかも掴みかねる微妙さがなんともエモい。
私の他は乗客はいないという客車に発車の笛のあと、小娘が慌ただしく入ってきた。
小娘の下品な顔立ちも服装の不潔さも気に入らなかった。
そのうち硝子戸を開け出したが、開かずに悪戦苦闘していたかと思うとどす黒い煤煙が入ってきた。
怒りが込み上げできた私が、次に目にしたものは…
蜜柑色の空、いや蜜柑だ蜜柑が空を舞っていたその先に三人の弟たちが…。
この光景は忘れることないだろうと思えるほどで、私の少し前までの云いようのない疲労と倦怠とを、そうしてまた不可解の、下等な、退屈な人生を僅かに忘れる事が出来た。
ある出来事で一瞬にして今までの不穏な空気感が一掃されるという…
その光景が心に刺さったということだろう。
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Posted by ブクログ
ネタバレ芥川、晩年の3篇。頭の中が忙しかった人だったのだろうなと思う。常に何かを考え(或いは何かに囚われ)、それを時に人に差し出しては、また自分の中に仕舞い込んで悶々と考え続ける。特に1つ目の引用箇所は印象的であった。この箇所は、論理的思考なるものにも幾つかの流派があり、芥川のそれは少し他人とは異なるものであったということを端的に表していると思う。彼は他者との対話の中で、自分とは異なる論理の組立て方が存在することに気が付きながらも、そちら側に渡ることができなかった。彼の最期に対する意見は種々あるだろうが、この溝こそが彼を死へと導き、また制作欲という光をも彼に与えたのだと思う。
特に印象に残った箇所は以下
・「しかし光のない暗もあるでしょう。」「光のない暗とは?」僕は黙るより外はなかった。彼もまた僕のように暗の中を歩いていた。が、暗のある以上は光もあると信じていた。僕らの論理の異るのは唯こういう一点だけだった。しかしそれは少くとも僕には越えられない溝に違いなかった(p.71)
・この往来は僅かに二、三町だった。が、その二、三町を通るうちに丁度反面だけ黒い犬は四度も僕の側を通って行った。僕は横町を曲りながら、ブラック・アンド・ホワイトのウイスキィを思い出した。のみならず今のストリントベルグのタイも黒と白だったのを思い出した。それは僕にはどうしても偶然であるとは考えられなかった。もし偶然でないとすれば、ーー僕は頭だけ歩いているように感じ、ちょっと往来に立ち止まった(p.80〜81)
・「人生は一行のボオドレエルにも若かない」(p.91)
・人生は二十九歳の彼にはもう少しも明るくはなかった。が、ヴォルテエルはこういう彼に人工の翼を供給した。彼はこの人工の翼をひろげ、易やすと空へ舞い上った。同時にまた理智の光を浴びた人生の歓びや悲しみは彼の目の下へ沈んで行った(p.102〜103) -
購入済み
素直に感銘を受けた
芥川龍之介らしい私小説っぽい作品である。厭世的な気分で乗った汽車の中で素朴な少女に出会ったときの気持ちを結構まっすぐに描き出している。東京帝国大学を優等で卒業し売れっ子作家である という上級国民からの見下した視点 という解釈もできるであろうが、素直に感銘を受けた としておきたい。