芥川龍之介のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレこの本に載っている短編は特に読みやすいなぁと思っていたらまさかの年少小説とは!
自分が小学一年生の頃「日が傾いていても外で遊び、暗さで手が見えなくなるまで遊んでいると帰れなくなる」なんていう都市伝説的なものを母から聞いていたから、『トロッコ』の主人公の少年の心情が痛いほど伝わってきた…。走っても走っても進まなくて、ただ日は落ちていくばかり。不安はどんどん募っていく…あの感情を久々に思い出すことができてよかった。
特に『犬と笛』は児童文学の雰囲気が強く、求めていたものと違う感は否めないがこれはこれで面白い。(私が求めているのは河童や或阿呆の一生の方だと思われるので次はそちらを読む) -
Posted by ブクログ
「蜜柑」を以前電子で読んでものすごく感銘を受けたので紙の本も欲しいなあと。
びっくりしたのが、わたくし杜子春のストーリーの前半部分(金持ちになってそのあとまた貧乏になって〜のくだり)すっかり忘れていた←
そこまあまあ重要だろw
「猿蟹合戦」が強く印象に残った。
さらっと読める短編だけど、よくよく考えると結構怖いことだよね。現実世界でも、どっちにも転ぶ可能性があるよってことを肝に銘じておかないと…
その時代の価値観なんて一瞬でひっくり返ることを、私たちは例の感染症で身をもって知っている訳だし。
「白」も良かった。白がみずからの弱さと向き合って、打ち勝って、幸せを取り戻して。
温かいラストが良かった。 -
Posted by ブクログ
まず装画が怪しげで綺麗!いわゆるジャケ買い
あとタイトル『疵の迷楼』別世界へと誘い込まれるような魅惑的な感じに加え、名だたる文豪たちの作品に興味を引かれてしまう。
まだ、このとき耽美という言葉の意味を理解していなかった。ただ「美しい」くらいにしかとらえていなかったので読んでみたら本当の意味を思い知らされ、常軌を逸した世界への入り口だった。
なかなか普通の感覚では理解、共感し難い作品ばかり。どの作品も何かに心を奪われていたり、病的にのめり込んでいたりと現実からかけ離れていて危うい空気が漂っている。
抗いがたい好奇心や欲望、まるで[パンドラの箱]を開けてしまったようなそんな感じだ。
収録されている一部の作品の感想
『鏡地獄』 江戸川乱歩
鏡や凹レンズの魔力の虜囚となっていくKの話。
自宅の実験室で奇妙な物を作りその後Kは…
Kが見た世界は何なのか?鏡に纏わる話はたくさんある。異界の入り口、魂を抜き取られる、神の依り代。そんな鏡の持つ神秘性、恐怖感とあわせ、鏡に耽溺していく狂気の過程とKの末路が常人には理解し難くカオス。極めてはいけないものを極め、見てはいけないものを見た。
そしてKの見たものも語られていないから一層恐怖心と好奇心がわいてくる。
『妙の宮』 泉鏡花
少年士官が肝試しに妙の宮という神社を訪れ不可思議な光景に遭遇し不可解な結末を迎える。
明治28年の作品とあって文体が古臭くて読みづらい、けれどどこか美しい文章。たった四頁の中にはたくさんのメッセージが詰まっていた。
寂れた山中の神社が醸し出す妖しい雰囲気、夢か現実か幻か。いったい全体どこへ引き込まれてしまったのか?曖昧で幻想的な世界観にゾクリとさせられる。
金時計が意味するものは何なんだろう?時間を盗られた?
『死後の恋』 夢野久作
美しい宝石に魅入られ元貴族の男が罪悪感に耐えられず死後の恋というロマンスに変え自己正当化しようした?
宝石が持つ魔力と呪いが彼を狂気に導き歪んだ愛に発展させたのか。そもそも語り手の男の話がどこまでが真実かも曖昧。
実は敵軍に殺されたのではなく語り手の男が殺し話を美化したのかも。
戦争の狂気、宝石の魔力が男を狂わせたのか?
結末も曖昧なので読み手に委ねられる。
「強制的な肉体の結婚」という言葉が衝撃的だった。
『疑惑』 芥川龍之介
芥川らしい繊細な男の物語。
罪の意識、良心の呵責から「本当は妻を殺したかったから殺した」のではと悩み苦しむ男の話。そもそも本当に殺したいと思っていたら、そんな長期間悩まないのではないだろうか。
妻を愛していたが故に自分を罰するために「愛していないから殺したことにしたかった」という風に思いたい。
どうもこの物語の主人公の男が芥川自信の心の葛藤を投影しているように思えてしょうがない。
「今日私を狂人と嘲笑っている連中でさえ、明日私と同様な狂人にならないものでもございません」最後の台詞がこころに妙に残った。
耽美文学は面白いとか面白くないではなく
耽美的、幻想的な世界観を楽しむもののように感じた。
たまにはこういう変わった世界観を味わうのも良い読書経験になった。
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Posted by ブクログ
ネタバレ「藪の中」が読みたくて買った。「藪の中」はもちろん、「好色」、「将軍」も面白かった。
特に「好色」はめちゃくちゃな話で、とあるモテモテの平安貴族が、一目惚れした侍従に自信満々で手紙を書くんだけどろくに返事ももらえず、ついに忘れたいと願うのだがそうもいかない。そこで、その侍従の何か汚らしい物を見れば諦めもつくだろうと考える。そして何とかして手に入れた侍従の「糞」の入った箱(当時の貴族は、自分の排泄物を箱に入れてお付の者に捨てに行かせていたらしい)の蓋を開けるの開けないので逡巡する姿が、芥川龍之介の美しい文章で生き生きと描かれているのがほんとに面白い。「この中には侍従の糞がある。同時におれの命もある」とかちょっと何言ってるのかわからないんだけど何故か趣があるんだよなぁ。