芥川龍之介のレビュー一覧
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〈乙女の本棚シリーズ〉
芥川龍之介+げみ
少し色褪せた黄金色というのか…表紙絵が美しい。
そして、どのページも懐かしさを感じるカラーであり、仄暗いのか明るいのかも掴みかねる微妙さがなんともエモい。
私の他は乗客はいないという客車に発車の笛のあと、小娘が慌ただしく入ってきた。
小娘の下品な顔立ちも服装の不潔さも気に入らなかった。
そのうち硝子戸を開け出したが、開かずに悪戦苦闘していたかと思うとどす黒い煤煙が入ってきた。
怒りが込み上げできた私が、次に目にしたものは…
蜜柑色の空、いや蜜柑だ蜜柑が空を舞っていたその先に三人の弟たちが…。
この光景は忘れることないだろうと思えるほどで、私の -
Posted by ブクログ
ネタバレ芥川、晩年の3篇。頭の中が忙しかった人だったのだろうなと思う。常に何かを考え(或いは何かに囚われ)、それを時に人に差し出しては、また自分の中に仕舞い込んで悶々と考え続ける。特に1つ目の引用箇所は印象的であった。この箇所は、論理的思考なるものにも幾つかの流派があり、芥川のそれは少し他人とは異なるものであったということを端的に表していると思う。彼は他者との対話の中で、自分とは異なる論理の組立て方が存在することに気が付きながらも、そちら側に渡ることができなかった。彼の最期に対する意見は種々あるだろうが、この溝こそが彼を死へと導き、また制作欲という光をも彼に与えたのだと思う。
特に印象に残った箇所は -
購入済み
素直に感銘を受けた
芥川龍之介らしい私小説っぽい作品である。厭世的な気分で乗った汽車の中で素朴な少女に出会ったときの気持ちを結構まっすぐに描き出している。東京帝国大学を優等で卒業し売れっ子作家である という上級国民からの見下した視点 という解釈もできるであろうが、素直に感銘を受けた としておきたい。
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Posted by ブクログ
ネタバレこの本に載っている短編は特に読みやすいなぁと思っていたらまさかの年少小説とは!
自分が小学一年生の頃「日が傾いていても外で遊び、暗さで手が見えなくなるまで遊んでいると帰れなくなる」なんていう都市伝説的なものを母から聞いていたから、『トロッコ』の主人公の少年の心情が痛いほど伝わってきた…。走っても走っても進まなくて、ただ日は落ちていくばかり。不安はどんどん募っていく…あの感情を久々に思い出すことができてよかった。
特に『犬と笛』は児童文学の雰囲気が強く、求めていたものと違う感は否めないがこれはこれで面白い。(私が求めているのは河童や或阿呆の一生の方だと思われるので次はそちらを読む) -
Posted by ブクログ
「蜜柑」を以前電子で読んでものすごく感銘を受けたので紙の本も欲しいなあと。
びっくりしたのが、わたくし杜子春のストーリーの前半部分(金持ちになってそのあとまた貧乏になって〜のくだり)すっかり忘れていた←
そこまあまあ重要だろw
「猿蟹合戦」が強く印象に残った。
さらっと読める短編だけど、よくよく考えると結構怖いことだよね。現実世界でも、どっちにも転ぶ可能性があるよってことを肝に銘じておかないと…
その時代の価値観なんて一瞬でひっくり返ることを、私たちは例の感染症で身をもって知っている訳だし。
「白」も良かった。白がみずからの弱さと向き合って、打ち勝って、幸せを取り戻して。
温かいラスト