芥川龍之介のレビュー一覧
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ネタバレ「王朝もの」と言われる6編を収録した短編集。
どれも初めて読むものばかりでした。
圧倒されたのは「地獄変」です。
超有名作品なのでタイトルだけは知っていました。なぜもっと早く読んでいなかったのかと、自分を問い詰めたいです。
「見たものでないと書けない」から、上﨟を乗せた車を用意して実際に火をかけて欲しいと、大殿に頼み込む良秀。それを快諾した時点で、哀れな上臈の正体は予想できました。
車が燃え盛り、中で悶え苦しむ娘、それを見る良秀の狂気的な描写が凄まじく、圧巻でした。
至高の芸術とは狂気と紙一重なのかと考えさせられます。
最後に良秀は自死しますが、芥川の最期とも重なり、心に深く残りました。 -
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ネタバレ4月の感想会(芥川龍之介・魔術)から地獄変を読んでみる。久しぶりに吐き気がした!堀川の殿様に仕える絵師の良秀は嫌われ者だが、娘は気立てが良く可愛がられ、良秀の自慢の娘だった。ある時、良秀は大殿様から地獄の様子を描いた屏風を描くようにと命じられる。しかし良秀は実際見たものしか描けないと言い張り、牛車に女性を乗せて燃やしてほしい、その様子を描きたいと大殿様に申し出る。大殿様は承諾し、牛車に乗せたのは良秀の娘だった。良秀は目の前で苦しみながら死んでいく娘の姿を描き、屏風を完成させますが、首を攣って自殺した。⑤
我が娘は死なざるを得ない状況、良秀の絵師としてのプライドなのか、堀川の殿様への復讐として -
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立て続けにおネェの本棚ですわ
芥川龍之介の『蜜柑』です
イラストは乙女心をキュンキュンさせるげみさん
ちなみに『蜜柑』は知りません、、、
ま、いいじゃないですか
だって『おネェの本棚シリーズ』は素敵なイラストを楽しむものだから
(また言ってるわ!)
また本作も素敵イラスト楽しませてもらったわ〜
特に、
物語のクライマックス!
女の子が窓から蜜柑をパッと投げたその瞬間から、、、
アタシの心の上には、せつないほどはっきりと、この光景がやきたけれましたわ
(げみさんのイラストが素敵すぎる!)
そして最後に、
大きな風呂敷包みを抱えた手に、しっかりと三等切符を握っている女の子の姿に -
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教科書で初めて読んだ芥川龍之介は『蜘蛛の糸』だったと思う。とても、胸に刻まれたから。
自分の事だけ考えて他人を貶めるような人は結局地獄行きなんだ…みたいな強烈な印象が残り、私は子供時代イジメに加担させられるくらいなら1人になったっていいんだと転校する先で度々一人ぼっちになりながらも、逞しくしていたら、最終的には周りの方々に別れを惜しんで頂ける人生を送られていると思うと本作には感謝しかない。
そんな蜘蛛の糸の他、実は未読だった杜子春も改めて読むと、これも最終的に自分だけ良ければいいという考えを改めたくなる話で他にも、そう言ったニュアンスを感じる作品が多いなと実感。
本作は、年少文学を集めている -
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ネタバレ羅生門感想
時代背景的に京の街自体が衰退し、寂寥感があるような情景描写が多かった。情景的に今の平和な時代とは真逆の物々しい感じもあった。
この本を読んで、人間の悪の部分について考えさせられた。老婆や最後の下人のように、人間は何かと理由をつけて、悪を正当化する部分がある醜い生き物なのだと。だが、悪を正当化しつつも、その悪を潔しとしない正義感が悪を食い止めようとして、天使と悪魔のささやきのように二項対立してしまうこともあるのも非常に共感できた。ニキビを触る様子を引き合いに出して、悩む様子を描いたのはとても興味深かった。自分で言うのも烏滸がましいが、私は正義感が強いので、このような場面に遭遇したこ -
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心情の綾
平安もの今昔物語を元ネタとした作品群の中の一つである。芥川龍之介の数多い作品群の中でも傑作ぞろいのシリーズである。原作の今昔物語では「利仁」の権力 超能力を主体とした話なのであるが、さすがは芥川龍之介、端役の「五位」を主役に抜擢して、黄昏時の人生の悲哀 機微 そして幸せを巧みに描き出している。
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シュールな作品
作者芥川龍之介とその先生である夏目漱石が普通に生活していた頃の東京の話である。夏目漱石は彼の作品「夢十夜」にも登場している運慶が仁王像を刻むのを見物し、漱石の弟子である作者芥川龍之介は、森鴎外が書き、池大雅が描いた寒山拾得の二人が歩いているのを電車の窓から目撃している。他の人達はそれをさほど気にしていない様子である。非常にシュールな味わいを持った作品であり、面白い。
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不思議なニュアンスをもった話。
上野彰義隊攻撃の前日 という危うい日時のがらんとした上野下町のでき事をすっぽりと切り取って短いドラマ仕立てにしたような作品である。後半の20年後の情景の描写との対比が非常に見事である。
「あの時は ああしないと何だかすまない気がしたのさ、、、。」というセリフが大変に効果的である。 -
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大事をなし終えたあとの
大事をなし終えたあとで、ゆったりとした気持ちでたゆたっていたのに という大石内蔵助の気分が大変によく表現されている。世間一般に自分たちの虚像が広まってしまい、その虚像が独り歩きをして戸惑ってしまっている そんな感覚もよく表されている。現在でも大きな賞を取ったときなど、マスコミにもてはやされて同じような感覚を味わっている人がはいるのではないか。
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戯曲形式
戯曲形式を取っている。ごく短い作品であるが、一度は劇形式や短編映画で見てみたい気もする。信仰の持つ力 あるいは理不尽さを扱っているが、作者芥川龍之介のシニカルで冷ややかな目が光っているような気がする。
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八百万の神々
古来より日本国に住み着いているという八百万の神々について書いている。いつの間にか海外からの輸入品を同化消化してしまうという 日本の特徴を述べている。現在に続く「日本論」の嚆矢するべき作品だろう。このような考えが行き過ぎると「神国日本」となってしまうのだが、まあこの作品はそこまでのレベルではないような気がする。
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