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地獄変の屏風を画くため、娘を火にかける異常の天才絵師を描いた「地獄変」、映画「羅生門」で一躍世界に名を馳せた「藪の中」など、古い物語の中の人物を見事に近代の中に蘇らせ得た、芥川王朝物の第二冊。他に「運」「道祖問答」「袈裟と盛遠」「竜」「往生絵巻」「六の宮の姫君」「二人小町」を収める。(解説=中村真一郎)
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Posted by ブクログ
読んでいて、書き手の顔が浮かんでこない。僕にとって、そういう感覚を覚える作家はそう多くない。第三者に語らせるという、表面上の技巧の話ではない。作者と関係の無い場所で起こった出来事を、作者と関係のない人が記述したものを読んでいる感覚。しかし、どの作品も無駄がない。何故、これ程読みやすいのか。読み手が、...続きを読む敢えて文章の意図を汲み取ろうとせずとも、文字を追っているだけで、流れるように物語が進んで行く。今回は軽く読みさらってしまったので、今後、精読を重ねたい。
地獄変 お猿の存在が印象的でした。鬼気迫る文章に魅了されました。 語り手の信頼できなさも面白かったです。 藪の中 感情による脚色が施された証言によって生じる不透明さが不気味でした。
芥川の王朝物のなかから短めのもの十一篇が収録された短編集。 芥川って今まで本当に「羅生門」と「蜘蛛の糸」しか読んだことがなかった。なんかもう馬鹿みたいだけど、めちゃくちゃに上手い!自分が今までどれだけ教科書的な先入観に侵されていたかを反省。 とにかく文章を目で追うだけでうっとりしてしまう。「運」...続きを読むの、簾の隙間から覗く往来の風景描写。「地獄変」「邪宗門」での、『大鏡』の語り手を思わせる人を食った語り口。「道祖問答」「好色」「二人小町」の洒落たユーモア。漱石門下で西洋文学の読み方をガッチガチに身につけながら、日本中古の説話集から題材をとることによって、捉え直された物語のエッセンスが凝縮され、完全に〈今〉の小説と感じられる。たしかにこの人はすごい発明家だ。 「竜」は西崎憲の「雨竜見物」の元ネタかな?というかそれが収録された『蕃東国年代記』の宇内というキャラクター自体、「邪宗門」の若殿をモデルにしているように思える。『蕃東国〜』は日本をモデルにした架空の極東の島国という設定で、西洋から見た東洋のイメージを巧みに織り込んでいたが、芥川にもそういう逆輸入されたオリエンタリズムが溢れていて、だからこそ現代的なんじゃないだろうか。小説の形式としては完全に西洋文学で、平安貴族界のドンファンを描いた「好色」や、黄泉の使者すら手玉に取る女たちを描いた「二人小町」などの喜劇はフランスっぽい。「邪宗門」の摩利信乃法師もアポリネールの贋救世主みたいだし、「道祖問答」はオスカー・ワイルドっぽい。全体に、ユルスナールの『東方綺譚』も思い出させる。 また、はじめてまとまった作品群を読んだが、こんなに〈恋〉をテーマにした作品が多いのはイメージになかった。愛ではなく、より執着と幻想に近い〈恋〉。あるいは、その執着を引き起こす〈運命〉を取り扱い、身を滅ぼすほどの破滅へと人を導く恋の引力を物語の中心に据えていたのが意外だった。「藪の中」はここに男のメンツ問題が絡んできてドラマティック。でもこれ、誰の話が正しいにしろ、女は責められる謂れなくない? 一番好きなのは「邪宗門」!未完なのを知らずにエッと声を上げてしまった。こんないいところで……。 作中の女性観にイラッとするところがなくて、これもすごいと思う。もちろん王朝時代を舞台にしているのだから、登場人物たちは夜這い当たり前・女は男の所有物・行き遅れは無価値、という価値観の持ち主なのだが、それに対して地の文には人を物のように扱うことへの批判的な目線がはっきりと感じられるのだ。同じ目線は男女の関係だけではなく、身分制度というものにも当然向けられている。また、理想のみを見て実態から目を背けることの滑稽さをも描いており、崇めるにせよ見下すにせよ、他人を自分に都合よく解釈する視線には疑問を呈している。その上で、キャラクターをオブジェのように作り出して配置する物語作者としての自覚も強い。この二つが合わさると、今日基準のリテラシーで眺めても手放しで素晴らしいと思える作品になるのだなと思った。フィクション作家はみんなこうであってほしいものだよね。 あと、思ってるより全然エンタメ小説だったのも驚きだった。どんだけ先入観強いんだよって感じだけど(笑)、文体も勿体ぶったところがないしリーダビリティが高い。芥川が衒学趣味と言われたのは、自然主義小説全盛期に虚構世界のディテールを突き詰める人だったからなのかもしれない。精巧に作られたジオラマをのぞいているような、色褪せないきらきらのブローチみたいな小説。
何度読んだか分からない作品。 約100年前の作品とは思えない。 けれど、当時に読んだらもっと衝撃的だったろうと思う。
今 読み返してみても 新鮮に面白い! 芥川さんの作品は斬新で スゴイと思う。 人の心の裏側や 黒い部分、理不尽なこと・・・ 人間の 光と闇の部分について教えてくれる 教科書的な存在。
藪の中;1921年(大正10年)。 上質なサイコミステリのよう。古今の推理小説を探しても、これだけシャープな短編は稀だと思う。無駄のない研ぎ澄まされた構成に、常套句になるだけのことはあると納得。1つの殺人に3つの解釈、真相は今も…。
王朝物。ほとんど全て再読。地獄変や藪の中は何度読んでも面白い。邪宗門は古い少年漫画のようで、しかも尻切れトンボ。
正直、前半の『運』『道祖問答』はあまりおもしろくなく、妙に説教臭さばかり鼻についた。『袈裟と盛遠』に至っては全く意味がわからない。 次の『地獄変』は伊藤整などの小説評論や近代文学の概括によく出てくるので期待しつつ、流石にちょっと面白いなと思ったが、その続編みたいな入り方で始まった『邪宗門」の前半はま...続きを読むた退屈になり、後半になって盛り上がってきたところでこの作品は中絶。 『龍』『往生絵巻』とまた説教臭いのが続き、買ったのを少し後悔し始めながら『好色』を読み始めると、平中が侍従のとこに忍び込む夜の情景がやたらにリアルで、文字通り実際にみるようだったことで急に感動を覚え、『藪の中』は少し狐に摘まれたような感じで終わり、読み返そうか、いやでもあと一息でもうこの本も終わりだからと振り返りたい気持ちを断ち切って『六の宮の姫君』を読み切って少し切なくなり、『二人小町』で爆笑した。黄泉の使の間抜け加減と小野小町、玉造小町の女子会ノリが強烈だった。
平安な雰囲気がよろしい。「新・平家物語」の後に「袈裟と盛遠」、「少将滋幹の母」の後に「好色」、「大鏡」の後に「地獄変」を読んだので、更に面白かったかも。
芥川の中では聞いたことの無いような作品が多かった。いい機会に読めたと思う。一つひとつの短編同士が繋がっていることでいくつかのまとまりとしてすんなり溶け込むことができ、彼の中では非常に読みやすかった。しかしまだ最近のものと比べると難しく感じるので今後も慣れ親しんでいきたい。やはり有名どころは面白く「地...続きを読む獄変」や「藪の中」は秀逸だった。
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地獄変・邪宗門・好色・藪の中 他七篇
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