芥川龍之介のレビュー一覧

  • 奉教人の死(新潮文庫)

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    近代日本文学の面白さのひとつが、東洋と西洋の文化のぶつかり合い、そこから発するところを知ること。
    鷗外や漱石もその文脈から読み解くと面白いし、そのスタンスは各々特徴がある。
    また、白樺派や社会主義者もキリスト教の影響を受けているが、宗教として定着したかは疑わしい。

    芥川龍之介のこの短編集は上記にある時代背景から、テーマを切支丹物とし描く。ただ、キリスト教の良し悪しきを問うものではなく、且つ一方的な視点から描いているものでもない。読者側の解釈が求められるので、それが面白い。

    芥川龍之介自身は、聖書を常に身近に置いていたようだ。彼にとってのキリスト教がどのような位置づけにあったのか、これはもう

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    2024年01月21日
  • 蜘蛛の糸・杜子春

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    「魔術」、「猿蟹合戦」、「白」がお話としてとても好きだった、「蜜柑」は文章が綺麗で好き、読書ノートの感想めちゃ長になった

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    2024年01月17日
  • 蜘蛛の糸・杜子春

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    「蜘蛛の糸」
    「犬と笛」これぞ龍之介の短編!!ってかんじがして大好き
    「蜜柑」
    「魔術」谷崎潤一郎の『ハッサン・カンの妖術』のマテイラム・ミスラを巧妙に利用して試みた二重虚構。粋。
    「杜子春」
    「アグニの神」
    「トロッコ」帰り道のあの泣きたくなるような不安感が分かりみすぎる…
    「仙人」
    「猿蟹合戦」最後の一文、“君たちも大抵蟹なんですよ。”……!!??恐怖!!そもそもこれはEテレの昔話法廷そのものでは?
    「白」

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    2024年01月18日
  • 春の心臓(乙女の本棚)

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    ネタバレ

    妖精や神話が好きだったので、より面白く読めた。物語に出てきた紅帽子の精霊が特に印象に残った。アイルランドの赤帽子と同じ存在なら、悪い妖精なので老人は騙されたのかもしれない。
    そもそも老人が求めたような永遠の命というものはなくて、生命や自然の美しさがあり、それらが最盛の状態である事を春の心臓と表現し、永遠と続く生命の繋がりや重なりを現しているのかもと思った。
    戸口を葉っぱでふさいでいた老人はその美しさを見ることもなく死に、夢見た青春もなく寂しく終わっていく。それに対して少年は脈々と続く生命の美しさを感じ、答えを見つけた。
    願望を追い求めすぎて閉じ篭もると、答えが見えなくなるのかもしれない。日々に

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    2023年12月30日
  • 羅生門・鼻

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    日本人の国民的図書である。大正を代表する小説家である芥川龍之介の短編集だ。その中でも最もポピュラーな「羅生門・鼻」を読んだ。この本には「羅生門」「鼻」「芋粥」「好色」「邪宗門」「俊寛」などが載っている。数ある短編集の中でも、有名どころをまとめた作品だ。まあ邪宗門と俊寛はちゃんと読んだわけじゃないのだが、別にいいだろう。今昔物語という作品がベースになっている作品ばかりなので、そっちを知らないと楽しめないかと思ったのだが、別にそんなことはなかった。タイトルにもなっている羅生門と鼻は本当に皮肉が効いていて面白い。ただ流石大正の作品というだけあって、言葉遣いが今と若干違うが、かといって読みづらいような

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    2023年12月13日
  • 蜘蛛の糸・杜子春

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    ああ、思い込みって勿体無い。
    羅生門、地獄変、蜘蛛の糸あたりを子供の頃に読んだせいか、芥川龍之介=仄暗い怖い話を書く作家、と思い込み、あまり読んだ事がなかった。
    こんなに素敵な作家の作品を今まで読まなかったなんて、私のバカ!

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    2023年12月02日
  • 乙女の本棚7 蜜柑

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    これはいいぞ!
    今のところシリーズベストかと

    はい、12おネエは芥川龍之介&げみさんの『蜜柑』です
    郷愁をそそる古いフイルム映画のようなげみさんの蜜柑の舞うイラストが良すぎです

    この一枚を見るためだけに手に取っても良いですね

    そして龍ちゃんの文章からは存分に日本語の美しさを感じることが出来ました!
    まぁ半分はそんな分かったようなこと言いたかったのと半分は身贔屓と半分は心からそう思ったのです


    ん?

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    2023年10月27日
  • 杜子春

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    杜子春
    お金がなくなれば離れていってしまう人たち。そんな虚しさはいつの時代でもあると思います。
    大切なものに気付いた杜子春の最後の決断、すごく良かったです。

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    2023年10月27日
  • トロッコ・一塊の土

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    気に入った作品
    あくまで個人のメモとして

    「庭」
    人の営み
    無常感
    たった9ページなのに
    時の流れの余韻

    「猿蟹合戦」
    社会風刺もあるようだけど
    パロディ面白い
    こういうの国語の教科書に
    載せればいいのに

    「一塊の土」
    外づら内づら
    家族間のエゴ
    フラストレーション
    それでも生きていく

    一二三館書店にて購入

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    2023年10月03日
  • 蜘蛛の糸・杜子春

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    ネタバレ

    短い絵本むきの話がたくさん載っており、起承転結がくっきりしていて読みやすい。芥川龍之介の文章は本当に読みやすい。
    「蜘蛛の糸」あまりにも有名な話なので、芥川の作品とは知らなかった(仏典やロシア版もあるようだけど)。
    「杜子春」別の話と勘違いしていた。仙人になるための試練の話だけど、「封神演義」を彷彿とさせた。
    「猿蟹合戦」童話の後、裁判になったらどうなるか、という話。「昔話法廷」と同じ形式。
    「白」主人公の犬自体は不幸だけど、人助けをする伝説の犬みたいになってる!

    巻末に芥川の人生の概要が載っている。子供の頃から読書が好きで本当に利発なようだけど、母親も義兄もそして芥川も精神を病んでいる様子

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    2023年09月25日
  • 蜘蛛の糸・杜子春

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    どれも面白くて楽しく読めた。
    芥川ってこんなに読みやすかったんだ。
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    地獄に落ちた男が、やっとのことでつかんだ一条の救いの糸。ところが自分だけが助かりたいというエゴイズムのために、またもや地獄に落ちる「蜘蛛の糸」。
    大金持ちになることに愛想がつき、平凡な人間として自然のなかで生きる幸福をみつけた「杜子春」。
    魔法使いが神の裁きを受ける神秘的な「アグニの神」。
    少年少女のために書かれた、健康で明るく、人間性豊かな作品集。

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    2023年08月11日
  • 羅生門・鼻・芋粥

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    表紙がかっこよかったので思わず買ってしまいました。煙草と悪魔はいつ読んでもゾッとしますね。悪魔は転んでもただは起きない……

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    2023年07月13日
  • 羅生門 鼻 芋粥 偸盗

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    『羅生門』『鼻』『芋粥』『偸盗』。1文が短く、無駄なく、小気味がいい。短中編だが、どれも読みごたえがあり、余韻もある。
    とくに『芋粥』が気に入った。欲望は叶えられないうちが花なのだ。
    『偸盗』は映画のような場面転換の妙。死に行く者と生まれ来る者が重なるラスト。筆一本でこれだけのシーンをつくり出すとは。もっとたくさんの作品を読んでみよう。

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    2023年06月18日
  • 【語注付】地獄変

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    何十年ぶりに芥川を手に取ってみた。
    まずは、芥川龍之介の写真。ここまで印象にのこる作家も珍しいが、それほど、心に残る何かがあるのだともおもう。
    羅生門の人の中にある曖昧な善悪の境界、生と死の混在する現実は、妙な納得を強制的にさせられる感じ。
    鼻と芋粥も、望んだものが手に入ることが、自分自身の中の何かを失くすことでもあるという矛盾の可能性を見せてくれる。
    地獄変は、純粋さと、美しさと、悪意とが、人間臭さのなかに見出される。クライマックスが派手であるが故に、心に残る。
    奉教人の死もまた、人の感情や世俗のなかに埋もれる純粋さと、集団の犠牲にはその集団が意味づけしていく不条理さに気付かされる。
    舞踏会

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    2023年05月30日
  • 【語注付】地獄変

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    恥ずかしながら、国語の授業以来の芥川だった。

    当時は感じ得なかったが、こんなに緻密で多彩で表現力豊かだったんだと思わされた。

    地獄変は解釈の仕方がさまざま。語られてない余白がある。余白があるからこそ、時代を超えて読み継がれていく物語になるんだろうな。

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    2023年05月20日
  • 芥川龍之介作品集 蜘蛛の糸【試し読み】

    購入済み

    さすがの文章力

    文豪と呼ばれた人の文字は、おどろおどろしい世界を体感までさせる勢いでリアルに目の前に浮かび上がらせる。

    火のはぜる音、雨で湿った感じ、忍び寄る肌寒さ、腐臭、小さい虫たち、やるせなさ、
    満たされない自己重要感…エゴ…

    醜さの集大成のようなこの世の地獄を描き切ってるなぁという印象。

    #シュール #深い #エモい

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    2023年04月30日
  • 羅生門 鼻 芋粥 偸盗

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    模試で出ていた『芋粥』が読みたくて読みました。ゴーゴリーの『外套』を読む前後で少し読後感が変わったような気がします。読む前は「健気な爺さんだな」と思っていましたが、『外套』を読んだあとでは「可哀想な爺さん」だなと思うようになりました。

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    2023年04月25日
  • 河童・或阿呆の一生(新潮文庫)

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    書物には良薬と劇薬があるというけれど、これは後者である。「羅生門」の文体を想定して読み進めたら痛い目を見た。
    個人的には、最晩年の作品はかなり好み。理知の枠から漏れ出す激情と不安が作品全体を包む。故に小説は小説の形を保っておらず、むしろ詩に近い印象を抱かせる。
    一度読んだくらいでは味わいきれないくらい深い作品。

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    2023年04月08日
  • 乙女の本棚7 蜜柑

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    なんともあたたかく、せつなく、美しい情景。
    娘の手からこぼれる蜜柑をこの眼で視たような心持ちになった。
    同じ果物を表題にしたという点で、太宰の“桜桃”をつい思い出し、両者の世界観の違いにほくそ笑んだ。

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    2023年04月02日
  • 地獄変・偸盗(新潮文庫)

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    ネタバレ

    古文の問題集で『地獄変』の元になった作品がでてきて興味深かったから芥川の創作も読んでみた。全て古典作品を元にした短編集。

    『偸盗』
    ただ面白いなと思いながら読んでいたが、徐々に多くの人の愛が複雑に交わり、美しい兄弟愛の話でもあることが浮き彫りになってきて良かった。芥川の作品で一番好きかも。ただ解説によると芥川はこれを一番の悪作としているらしい 笑

    『地獄変』
    原作よりも主人公良秀の性格が狂っている。良秀の愛娘を彼の前で焼き殺して見せることを決めた大殿様も恐ろしいが、それを微笑みながら眺める彼も相当恐ろしい。直後に自殺をしてはいるが。

    『藪の中』
    数人の証言で構成されるが結局事実が分からな

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    2023年03月17日