芥川龍之介のレビュー一覧
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特に『杜子春』『蜜柑』『トロッコ』が好きだ。
『杜子春』は、人情を捨てず、正直に生きるということの大切さを語っている。
困窮した若者の杜子春の前に仙人が現れ、お金持ちにしてくれるも、豪遊して使い果たしてしまった杜子春は、再度会った仙人に「仙人になりたい」と頼み込む。仙人は了承、修行を言い渡し、杜子春も良いところまでいくが、最後に両親を想う気持ちから修行は失敗し、元の困窮した状況に逆戻りする。
仙人から「これからどうする」と問われた杜子春はこう言う。
「何になっても、人間らしい、正直な暮しをするつもりです」(p66)
お金でも仙人の超人的な力でもなく、ただ正直に生きることを願うようになる杜子春。
欲と物に溢れた現代では、「人間らしい正直な暮らし」とは何だろうと思う。
『蜜柑』は、汽車の中で見た若い女性の行動を描いた短編。
最初は女性を「不潔」だの「窓開けるな」だの、散々心の中で文句を言う主人公。しかし後半、女性が踏切で見送る弟たちに向かって蜜柑をばら撒く場面に遭遇し、その美しい光景に、女性の見方が変わる。
経過した時間でいえば、ほんの短い時間を表した作品だし、劇的な展開があるわけでもないけど、ただその蜜柑の光景が美しくて大好きだ。
『トロッコ』は、田舎の少年の冒険と心細さを描いた短編。
土工たちが使うトロッコに憧れていた主人公の良平は、あるとき若い土工たちのトロッコを押すことを任され、遠くまで行くことになる。とても楽しんでいた良平だが、家からかなり離れたところで「俺たち今日泊まるから帰りな」と言われ、心細さに泣きながら家に向かって走る。
ひどい土工たちだ。良平もめちゃくちゃ驚いただろう。
乗り物に憧れる気持ちや、遠くまで来てしまった不安は、何となく自分の子どもの頃にも身に覚えがあって、共感できる。
この作品全体を通して描かれる牧歌的な風景がとても癒される。
芥川龍之介の作品は寓話的なものが多い印象があるが、それだけに、今読んでも普遍的なテーマを感じられる。
『蜘蛛の糸』も『杜子春』も、「欲を出したら失敗する」という教訓が含まれる。
この本の短編は少年少女向けに書かれた短編がメインだそうだが、子どもへ向けた作品は、平易な言葉で普遍的で深いテーマを含んでいるものが多い。
最終的には自殺を選んでしまう芥川龍之介。当時の文豪たちは自死を選ぶ人が少なくない。
自らの芸術を突き詰めて、突き詰めすぎて自分を追い詰めてしまうのだろうか。
それくらい人生を賭けた表現をする人間の感覚というのは、どんなものだろうか。 -
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ネタバレ何気にちゃんと読むのは初めてかもしれない、芥川龍之介。短編作家だったんですね。
100年読み継がれる、は言い過ぎじゃない。さすがの一言。
芥川賞作品を読みまくる前に、芥川を読もう。
・蜘蛛の糸
地獄にいるカンダタは、罪人だが蜘蛛を殺さなかった。その慈悲として、お釈迦様は蜘蛛の糸をたらす。
千載一遇のチャンス、掴むか逃すかは自分次第。
・トロッコ
良平はトロッコに乗って山を下ってくる土工に憧れ、トロッコを押したいと思う。ある日それが叶うも…。
1人だけの帰り道の心細さ。外から見た憧れと、実際に経験することの差が短い中に見事に描かれていた。
・鼻
ある高僧は、顎まで垂れ下がった大きな鼻を嫌っていたが、態度には出さないようにしていた。ある日弟子が、鼻を小さくする方法を聞いてきたので試すと、小さくなったが…。
自分にとっての欠点も、そのままのほうがいいこともある、という学び。落ち葉で黄金色に輝く庭を見ながらの高僧の晴れやかな気持ちが伝わってきた。
大がかりな美容整形をしたい人に読んでもらいたい。
・蜜柑
二等車両に乗ってきた、みすぼらしい娘。隣に来て窓を開け、煤が入ってきて咳き込む。
このあたりまでの描写では主人公同様に娘に不快感を覚えたが、蜜柑のシーンは感動した。心情と情景がはっきりと浮かぶ。
この話、かなり好きだった。
・羅生門
暇を与えられた下人は、羅生門で雨宿りしながら、飢え死にか盗人になるかを考えていた。死人がたくさん放置された楼の中を見ると、老婆が女の死体から髪の毛を抜いていた。
老婆を見て、盗人になるなどありえないと思う。老婆の話を聞いて、飢え死になどありえないと思う。そして老婆から着物を奪って去る。
この怒涛の流れに胸を覆われる。すごい作品。
・仙人
仙人になりたい権助は、医者夫婦の家で20年間無報酬で奉公する。いざ20年経つと、医者の妻は松の木に登り、両手を離すよう命じる。
これはちょっとよくわからなかった。嘘から出た誠なのか、純粋に信じたことによる修行効果なのか。
・舞踏会
鹿鳴館の舞踏会で、明子はフランスの海軍将校と出会い、エスコートを受ける。
何もかもが美しい。
・白
シロという名の犬が主人公。ある日、白は犬殺しに狙われた黒を見殺しにして逃げる。すると真っ白だった体は真っ黒になっていて、飼い主たちに追い立てられてしまう。
勇敢な行動を繰り返したのち、最後には白い犬に戻って、飼い主に歓迎されて、めでたしめでたし。
・魔術
インド人の友人から魔術を習いたい。魔術は欲を捨てないとできないと言われる。
ファンタジー感あふれる。あのカルタで欲が出たからダメってのは、かなり厳しい条件だなと思った。
・杜子春
金持ちの息子の杜子春は、財産を使い果たして困っていた。するとある老人が、夕日に映った影の頭にあたる地面を掘ると金塊が出てくると告げる。大金持ちとなった杜子春は贅沢三昧で毎晩宴をし、また貧乏に。
仙人の修行は『魔術』に似ていた。結局どう転んでも仙人にはなれないのかねぇ。 -
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『蜜 柑』
七月二十四日 芥川龍之介 命日
河童忌 しかも 百回忌です
3月から始めた 【月イチ文豪生活】も今月で
5回目です♡♥♡ やったー\(*ˊᗜˋ*)/♡
普段 なかなか読まない本であったり、初めましての作家さんであったりと 毎回 お題を提供してくれる
おびのり姐さん♥には 本当に
感謝の気持ちでいっぱいです (*´艸`)フフフッ♡
とにかく 絶妙なライン なんですよね
あんまり 難しすぎちゃったら 読めないし…
読む前からそれ知ってる…ってのもね( ͡ ͜ ͡ )
選書が素晴らしくって…
いつもありがとうございます 姐さん♥
今回は 芥川龍之介
今日が命日で河童忌、そして100回忌
100回忌って凄いよなぁ…
亡くなって 100年ですよ( ಠдಠ)
そりゃ 亡くなって10年…20年…って月日が流れるのは 当たり前です。 亡くなって100年経っても偲ばれるのって 凄いことですよね( ͡ ͜ ͡ )
そんな 芥川龍之介…。
今まで あまり読んだことがないと思うんです
(^艸^)恥ずかしながら
だから、しっかり読みましょう!
『蜜柑』
私はこの作品を読んだことがなかったんです
読み始める前と 読んだ後で こんなに変わる?
って、いうくらい 感動しています。
なんだろう… とても 暖かい気持ちになりました。
一瞬の出来事、なにひとつ会話もないお話
なんなら 情景。登場人物の男の人の心の中
それだけなのに胸に刺さる…そして この余韻
これは…読んだ方がいい作品♡♥♡
胸にグッと込み上げて…
目頭がちょっと熱くなるの (*´艸`)フフフッ♡
やばーーい♡♥♡
7月も無事に終えることができました。
それにしても…本当に選書が凄い。
『蜜柑』を持ってくるのは 凄すぎますって!
前回の太宰治で 私は少しずつ 太宰を読もうと決めました。今回の芥川龍之介でも…やっぱり 芥川も読んでいこうって……
( ͡ ͜ ͡ ) なっちゃうじゃん♪
姐さん♥
今月も素敵な【月イチ文豪】でした♪
自分が如何に名作を知らずにいたのか…
恥ずかしい反面 来月は何を読めるのだろうかと
楽しみが過ぎるんです♡
本当にありがとうございます ⁽⁽٩(๑˃̶͈̀ ᗨ ˂̶͈́)۶⁾⁾
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ネタバレ芥川の晩年の作品のうちの一つ『歯車』を読んで感じたのは、霊的なものや人間そのものの怖さといった類いではありません。ただただ、言葉では表現しがたい不気味さを孕んだ闇でした。
『歯車』は全6章から成る作品ですが、第1章の「レエン・コオト」からして、とにかく気味が悪いのです。実際に読んでみると分かりますが、この作品は、言葉の水面下にイメージを結びつけることが非常に巧みです。まず「レエン・コオト」というキーワードそのものに、どことなく不吉な気配を忍び込ませておき、章末の一節でその正体を明かすことで、読者の胸に積み上げてきた不安を一気に噴き出させます。
もちろん、視覚的な表現も見事です。第6章終盤の「まぶたの裏に銀色の羽が鱗状に畳んだ翼が見えた」という描写には、思わず鳥肌が立ちました。これは医学的にもかなり正確な描写とされており、芥川が悩まされていた偏頭痛の前兆である「閃輝暗点」を表していると言われています。
芥川の晩年の作品には、私小説的な要素が色濃く表れるようになります。『歯車』の主人公も物書きを生業としており、第1章の「レエン・コオト」での出来事をきっかけに、自分の身に起こるあらゆる出来事を「復讐」や「死」といった観念へと被害妄想的に結びつけていきます。まるで透明な「歯車」が、その裏で静かに噛み合いながら、逃れようのない恐怖を回し続けているかのようです。
芥川を自死へと追い込んだ「何か僕の将来に対する唯ぼんやりとした不安」が、いかなるものだったのか。その答えは、文章中にこれでもかと詰め込まれた幻視的な描写から、おぼろげながら想像することができます。
『歯車』は、『或阿呆の一生』と並ぶ芥川最晩年の作品とされています。そして芥川は、この原稿を書き終えてから約3か月後の昭和2年(1927年)7月24日、自ら命を絶ちました。 -
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芥川の初期の“王朝物”を集めた短編集
収録作品は羅生門、鼻、芋粥、運、袈裟と盛遠、邪宗門、好色、俊寛の8篇。
芥川が教師時代に選書した短編集(英米怪異・幻想譚)が面白かったのでこちらを手に取る。
芋粥と好色が好き。邪宗門も未完ならではの面白さが良き
芥川は教科書で蜘蛛の糸を読んだっきりだったので8作品全て初見。
前半は「教科書に乗りそうな“ザ・文学”って感じだなー。まぁ、芥川賞が純文学だしなー」って思いながら読んでたから、邪宗門で「おや?」となり好色で「これは話が違う(真顔)」ってなったよね(笑)
いやもう、すごいな、癖が笑→
好色読みながら、いや、そういう読み方をする私が汚れているのか……?でもどう考えてもそういう話だよな……?って混乱しつつ読み終わり、次の俊寛で「あ、そういう感じね」と納得したり(笑)
芥川龍之介、おもしろい……エンタメっぽいのも書きはるんやなーという印象。
引き続き読んでいきたい。 -
Posted by ブクログ
年少文学と言われる作品集
短編で其々の作品の世界観に合わせた文体、どの作品も読みやすい。解釈は色々あると思いますが、教訓を感じられるお話が多かったです。
自分なりに一部まとめ
蜘蛛の糸:見られているからではなく、良き行いをすると運が現れる。幸福は独り占めしてはならない。
杜子春:お金は尽きてしまう。大切なのは愛、自分の望みを捨ててでも愛を選ぶべき時がある。
トロッコ:他人への甘えを捨てて自分の人生に責任を持つことが成長(大人)である。後戻りは簡単ではない。
犬と笛:「いく子さんに献ず」とタイトル横に書いてありました。誰なのか気になって調べると、芥川妻の親戚、15歳の女の子のようです。終わり方が不思議で髪長彦は自分が救ったお姫様と結婚したけど、二人のうちどちらかは分からない、と。
自分を救ってくれる優しい男性が現れるけど、思い通りにはならないかもしれないよ、っていう裏設定話のようにも見えました。