芥川龍之介のレビュー一覧
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教科書で初めて読んだ芥川龍之介は『蜘蛛の糸』だったと思う。とても、胸に刻まれたから。
自分の事だけ考えて他人を貶めるような人は結局地獄行きなんだ…みたいな強烈な印象が残り、私は子供時代イジメに加担させられるくらいなら1人になったっていいんだと転校する先で度々一人ぼっちになりながらも、逞しくしていたら、最終的には周りの方々に別れを惜しんで頂ける人生を送られていると思うと本作には感謝しかない。
そんな蜘蛛の糸の他、実は未読だった杜子春も改めて読むと、これも最終的に自分だけ良ければいいという考えを改めたくなる話で他にも、そう言ったニュアンスを感じる作品が多いなと実感。
本作は、年少文学を集めているので、教訓が滲む話ばかりで、懐かしい気持ちになる。
そして、巻末の解説は2人の方が書かれていて、それぞれの見解は面白い、御丁寧に年表まであるので、芥川龍之介好きには宝物になる本でした。
東京都北区の田畑文士村記念館では、来年(令和7年1月)までクラウドファンディングで芥川龍之介記念館の建築を計画されてるので、ご興味のある方は北区のホームページを覗いてみてくださいませ。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ羅生門感想
時代背景的に京の街自体が衰退し、寂寥感があるような情景描写が多かった。情景的に今の平和な時代とは真逆の物々しい感じもあった。
この本を読んで、人間の悪の部分について考えさせられた。老婆や最後の下人のように、人間は何かと理由をつけて、悪を正当化する部分がある醜い生き物なのだと。だが、悪を正当化しつつも、その悪を潔しとしない正義感が悪を食い止めようとして、天使と悪魔のささやきのように二項対立してしまうこともあるのも非常に共感できた。ニキビを触る様子を引き合いに出して、悩む様子を描いたのはとても興味深かった。自分で言うのも烏滸がましいが、私は正義感が強いので、このような場面に遭遇したことが何度もある。
だが、下人のように悪が勝ってしまい、背徳的な行為をしてしまうのもいかにも人間らしいではないか。私もそういう経験があるので、人間のことを憎めない点でもある。人生万事塞翁が馬という言葉が脳裏を少しよぎった。人間は達観して将来を見通して行動するのではなく、その時時の感情で善悪を顧みず、行動することもあるのだと。
老婆や下人が悪いことした人には悪いことをしてもいいと言う正当化は、因果応報や身から出た錆という言葉を思い出させてくれた。この人には悪いことをしてもいいと思われないように、悪事などはせず、真っ当に生きようと改めて心に決めるのだった。
最後になるが、この話はすごく短いながらもメッセージ性を感じた。これほどまでに短い話に、ここまで人間の醜さをつめることができた芥川の才能に脱帽する。下人の行方を想像してみるのも面白そうだ
鼻の感想
人間は誰しも多かれ少なかれコンプレックスを持っている。そのコンプレックスに対する考えをメインに書いた本のようであった。私もこの僧のように、周りにはコンプレックスがないかのような強がりを見せ、心の内奥から沸々と泉のように湧き上がるコンプレックスにどう対処していいか困りあぐねるので、この僧には同情の念を抱いた。模範的な人物像というイメージがある僧でもこれなのだから、人間は多かれ少なかれ自分に対して完璧を求めているところがあるのかもしれない。
私はコンプレックスを解消した経験に乏しい。なので、自分の不幸が消えた後で笑われたが故の、僧の昔のコンプレックスへの懐古の念には新たな発見があった。人はないものねだりなんだろうにと改めて痛感したのと同時に、人は他人の不幸を切に願う忌み嫌われるべき生き物なのだと思った。いくら人に笑われたからといっても、コンプレックスを懐かしむなんてなんと贅沢なことだという私の反感を買ったが、それと同時に自分もその境地に至ってみたいとその僧に対して羨望の念を抱くのであった。また人の不幸をつい探してしまう私もこの笑った人たちと同罪なのだと深く内省するのであった。
枝葉末節さがある感想だが、僧が鼻を整形する際に、自分の鼻を踏んだ僧に対して、利己的だと評していたが、僧の自分の鼻というコンプレックスを解消したいという思いも利己的なものではないか?と疑問を呈してみたりもした。人は自分が利己的な考えに至っているのに気づかないものなのかとふとその考えが頭に浮かんだ。自分も気づかぬうちに利己的になってるんだろうなとふと自省した。
最後になるが、この本にもいろいろ学びや感想があって面白かった。文体や文の難易度的にも、非常に読みやすく、芥川を代表する作品の一つでもあろう。自分のコンプレックスを解消した後、また読んてみたい作品でもあった。
芋粥感想
全体を通しての感想は、人間は欲深く強欲な生き物であると同時に、自分がいろんな人に愚弄され、たとえそれが欲望を叶えてくれるための厚意であろうと種々の不安を感じてしまう疑い深い生き物であると感じた。いざ欲望が叶えることができると、お腹いっぱいになって、これ以上その欲望を叶えるのを拒む面もあるのかなと思った。
ネタバレ含む感想になるが、主人公である五位の義侠心(ぎきょうしん)には感銘を受けた。弱き者を守ってあげるのは人間の鑑であると称賛の声を上げるのと同時に、彼の欲深さには私も貪欲な面はあるよなと人の振り見て我が振りなおせといった感じに、自分の煩悩の多さを振り返るばかりであった。このような人間性の面で内省を促してくれる作品を書いてくれた芥川には、感謝してもしきれないところもある。
最後になるが、私たち人間は恒久に欲深く、こればかりは治らないと思う。自分の貪欲さが鏡のように写っている作品だと思うので、自分は強欲だなと言う考えに至ったときはまたこの本を読んで、反省すべきであると思った。 -
購入済み
心情の綾
平安もの今昔物語を元ネタとした作品群の中の一つである。芥川龍之介の数多い作品群の中でも傑作ぞろいのシリーズである。原作の今昔物語では「利仁」の権力 超能力を主体とした話なのであるが、さすがは芥川龍之介、端役の「五位」を主役に抜擢して、黄昏時の人生の悲哀 機微 そして幸せを巧みに描き出している。
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購入済み
シュールな作品
作者芥川龍之介とその先生である夏目漱石が普通に生活していた頃の東京の話である。夏目漱石は彼の作品「夢十夜」にも登場している運慶が仁王像を刻むのを見物し、漱石の弟子である作者芥川龍之介は、森鴎外が書き、池大雅が描いた寒山拾得の二人が歩いているのを電車の窓から目撃している。他の人達はそれをさほど気にしていない様子である。非常にシュールな味わいを持った作品であり、面白い。
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購入済み
不思議なニュアンスをもった話。
上野彰義隊攻撃の前日 という危うい日時のがらんとした上野下町のでき事をすっぽりと切り取って短いドラマ仕立てにしたような作品である。後半の20年後の情景の描写との対比が非常に見事である。
「あの時は ああしないと何だかすまない気がしたのさ、、、。」というセリフが大変に効果的である。 -
購入済み
大事をなし終えたあとの
大事をなし終えたあとで、ゆったりとした気持ちでたゆたっていたのに という大石内蔵助の気分が大変によく表現されている。世間一般に自分たちの虚像が広まってしまい、その虚像が独り歩きをして戸惑ってしまっている そんな感覚もよく表されている。現在でも大きな賞を取ったときなど、マスコミにもてはやされて同じような感覚を味わっている人がはいるのではないか。
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戯曲形式
戯曲形式を取っている。ごく短い作品であるが、一度は劇形式や短編映画で見てみたい気もする。信仰の持つ力 あるいは理不尽さを扱っているが、作者芥川龍之介のシニカルで冷ややかな目が光っているような気がする。
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購入済み
八百万の神々
古来より日本国に住み着いているという八百万の神々について書いている。いつの間にか海外からの輸入品を同化消化してしまうという 日本の特徴を述べている。現在に続く「日本論」の嚆矢するべき作品だろう。このような考えが行き過ぎると「神国日本」となってしまうのだが、まあこの作品はそこまでのレベルではないような気がする。
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はい、龍ちゃんの名作中の名作短編『藪の中』です
もう、深すぎて身悶えするんですが、まずは『乙女の本棚』だけにおくさんのイラストに触れたい
今までのシリーズに登場した方々とはかなり毛色が違って、シリーズに新風を吹き込んだと言いたい
とても良い
若干コミカルな感じもありつつ和のテイストがもうなんていうか好き
もしかしてかなり有名な方なのかも知れんが、そっち方面詳しくないのでごめん
はい、で『藪の中』ね
まぁ、知ってる人は知ってるだろうけど、「証言の食い違いなどから真相が不分明になることを称して「藪の中」という言葉まで生まれた(ウィキペディアより)」っていうね
そりゃあ言うわ
真実は藪の中言いたなるわ
もし当時SNSとかあったら、最初に言い出した人相当鼻息荒かったと思う
で、あっという間に拡散したね
だって言いたいもの「藪の中」
これはもうあーだこーだ言いたい奴
良い方の純文学
基本純文学ってよく分からんのだが、ちーとも分からん悪い純文学と分からないからあーだこーだ言いたくなる良い純文学とあってね
これはもう完全に後者ね
今の時代だったら、完全に芥川賞受賞してたわてなんのタイムパラドックスやねん! -
Posted by ブクログ
ネタバレ本書所収『地獄変』
この作品を読んでいると、まるでサスペンス映画を観ているかのような緊張感に自分が包まれていることを感じます。天才画家良秀が弟子を鎖で縛ったりミミズクをけしかけるくらいまではまだいいのです。「また始まったよ良秀の奇行が」くらいのものです。ですがそこから段々妙な予感が私達の中に生まれ、次第に不気味に思えてきます。「まさか、良秀がやろうとしていることって・・・」とついハラハラしてしまいます。この徐々に徐々に恐怖や不安を煽っていくスタイルは、ミステリーのお手本とも言うべき実に鮮やかなストーリーテリングです。さすが芥川龍之介です。
この作品には「完璧な絵を描き上げんとする狂気の画家を、言葉の芸術家が完全に描き切るのだ」という芥川の野心すら感じさせられます。
この作品が芥川文学の中でも傑作として評価されている理由がよくわかります。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ『蜘蛛の糸』は芥川龍之介が初めて書いた児童向け文学で、仏教説話としても有名な名作短編です。私も僧侶という仕事柄、この『蜘蛛の糸』のお話を法話や仏教書で見聞きすることは数多くありますが、このお話はお寺関係という枠を超えて日本人全体に親しまれてきた作品ではないでしょうか。
そして本書巻末解説では『蜘蛛の糸』制作についての詳しい解説が説かれていたのですが、これが私にとってかなりの驚きでした。簡単に要点をまとめると、⑴『蜘蛛の糸』が元々仏教由来なのかどうかはわからないということ、⑵この作品がドストエフスキーやトルストイとも関係があるという2点があげられます。
これは興味深かったです。